宝石乙女まとめwiki

水着選びも慎重に

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匿名ユーザー

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「ねー、これなんてどおって、こっち見なさいよー」
「そ、そうは言うけどね……さっきから過激すぎるんだよぉ」
 月長石が僕を無理矢理アメジストさんの屋敷に連れて行く時は、
大抵大変な目に遭う。
 今なんて本当に大変だ。何せ月長石が今度海で着る水着を何着も
見せつけてくるんだから。
 別に普通の水着だったら何ともない。だけど何というか、その……妙に
色っぽいというか、誘惑するような……。
「ほら、ちゃんと選ばないと月長石に襲われるよ」
「アメジストっ、話に割り込んでこないでって言ってるでしょ!!」
「おっと、恋する乙女は凶暴だな……フフ」
「むきーっ」
 そして、僕が照れていると壁にもたれかかって眺めているアメジストさんが
ちょっかいを入れてくる訳で。
 さっきからこのやりとりも4回目だ。
 それにしても、一体何着水着を持っているんだろう。
「それよりこれなんてどうー? 蛋白石っぽくてセクシーでしょっ」
「蛋白石向きの物を着るには、色々と貧しいだろう?」
「うっさい!」
 ……ごめん、月長石。僕も同じ事考えちゃった。
「大体アメジストには聞いてないの……それよりっ、あんたは早くこっち見てよ!」
「え、うん……そ、その、僕はもう少しおとなしめの方が……」
「そう? じゃあこっちの白いのかなー。ちょっと待っててね」
 また隣の部屋へと姿を消す月長石。
 このときが、唯一の息抜きの時だ。
「はぁー……」
「まったく、世話を焼かすね」
 さすがのアメジストさんも、少し困ったような笑みを浮かべる。
「いえ、月長石が楽しそうならいいんですよ」
 大変なことも多いけれど、月長石の楽しそうな姿を見ていると元気になれる。
 だから、疲れるけど嫌ではない。むしろこういう月長石をもっと見たいと思ってる。
見られるかどうかは別問題だけど。
「ほう……月長石も、男を見る目は確かなようだね」
 そんな僕が面白いのかどうかは分からないけれど、アメジストさんがわずかに微笑む。
「でも、本当は月長石が着たいと思う物を着てくれればそれでいいんですけどね」
「つまり、月長石の水着ショーはもうこりごりと?」
「え、そういう訳じゃ……」
 どうして、この人はそういう意地悪な返し方をしてくるのだろうか。
 そして大体、冗談だと笑って言う。
「ふふ、冗談だよ。だが、その答えがこれなんだろう?」
「答え?」
「月長石が着たいと思う物、それの答えさ」
 答え……大体アメジストさんが言いたいことは分かった。
 でもそれがなんだか恥ずかしくて、思わず目をそらしてしまう。
 ……僕好みのを、か……うぅ。
「大丈夫、今日はただ好みが知りたいだけと言っていたから、何を着てくるかは
当日までのお楽しみだ」
「アメジストーっ!」
 アメジストさんのいる方に向かって分厚い本が飛んでくる。
 それを片手でたやすく受け止める。
「おいおい、あまり本を粗末にするな」
「うっさいっ、余計な事言うアメジストが悪い!」
「で、でも本を投げるのは……」
「何よー」
「……何でもありません」
 うーん、どうしてこんなに気が立ってるんだろう……。
「大体何でアメジストがいるんだか……それよりっ、これなんてどう?
あんたの言うとおりおとなしめよー」
「え……う、うん、確かに、さっきよりは……うぅ」
 やっぱり、誘惑系の水着な気がする……。

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