雛見沢の冬を、俺は思いっきり舐めていた。
まさか足が隠れるぐらいの雪が降るとは、まったく持って思っていなかった。
おじいちゃん連中は元気に梨花ちゃんと沙都子のために通学路を作るべく雪かきをしているが、
あんまりがんばりすぎるといろいろと取り返しのつかないことになりかねないので、
もうちょっと自分の体を大切にしてほしい。
こんな雪の日にも、部活があるんだと魅音から電話がかかってきた。
雛見沢分校は今、冬休みに突入してる。
なので、魅音の家で部活をする、というわけだ。
都会っ子の俺に、いきなりこんな雪中行軍をやらせるとは。
下手したら春まで俺の体沈みっぱなしだぞ、この雪は。
などと、魅音に言えるだけの文句を考えながら、なんとか園崎邸へとたどり着いた。
ここからがまた長いのだが。
立派な玄関の呼び鈴を鳴らすと、魅音が走って出てきた。
さすがの魅音もかなりの厚着で、魅音というよりむしろ綿の塊みたいになっていた。
もしかして、寒さに弱いのだろうか。
「圭ちゃん、よく来てくれたね、ささ、早く上がって! 皆はもう待ってるよ!」
「おう、死ぬかと思ったぜ、魅音。これが園崎のやり方かよって何回思ったか」
文句を笑顔で言う。魅音にも冗談が通じたみたいだ。
「うちがやるんだったらもっと金になりそうなことやるよ! こちとらロマンじゃやっていけないのよ! あっはっは」
「おーおー、さすがは次期頭首! 園崎家も安泰だな」
寒い中だったから、さっさと話を切り上げて、家の中へと入っていく。
そこには、皆の姿があった。そう、俺は一番最後だったのだ。
「みぃ、遅いのですよ、圭一」
「あぅあぅ、罰として圭一はボクのためにみかんを剥くのです」
はじめに出迎えたのは、梨花ちゃんと羽入だった。
皆はコタツに足をつっこんだまま、動こうとしない。
 「はぅ、羽入ちゃん、自分でみかん剥けないのかな? か、かぁいいよう」
小刻みにぷるぷると震えだすレナ。危ない。禁断症状が出かけている。
「圭一さん、レディを待たせすぎですわー!何か芸のひとつでも見せてくださいませ!」
「さ、沙都子、圭一も大変だったんだよ。
だって、僕たちの家の近くは人が住んでるから雪かきするけど、
圭一のところはほとんど圭一の家だけだろ? 後回しにされるんだよ」
 沙都子の悪態に、悟史がフォローを入れる。
この大所帯にも、そろそろ慣れてきた。
ついに部活のメンバーは羽入と悟史、そして最大時には詩音を加え、八人を数えた。
 今日は七人で、いったい何をするというのだろうか? 
ジジヌキなんかはこの大人数でするにはちょっとつらい。
一巡二巡で勝負が決まり、ジジに関わらない人間も出てくるのだ。
ポーカーも七人だと、一人五枚でチェンジ分の余裕を合わせて七十枚必要になってしまう。
五人までなら対応できるが、それ以上はできない。
トランプがテーブル中央にあるのに、まさかトランプ以外のゲームを?
「今日はね、ブラックジャックをやるよ」
「ブラックジャック?」
皆がいっせいに、疑問の声を上げる。
「まぁ、数字を競うゲームだよ。二十一を目指してカードを引いていって、
いろいろな役もあるけど、今回は無し。
二十一に近いほうが勝ちで、同数の場合の強弱はここに書いてあるから」
魅音は、わざわざ用意していたルール用紙を、皆に配った。同時にチップも配る。相変わらず用意のいいやつだ。

賭けのルールは、参加料として最低一枚のチップを払い、その後の賭け量は自由。
親と子の一対一勝負を子の数だけする。
親が勝てば相手の分を取り、子が勝てば賭けた分だけ親から取る。
親は参加料も取れる。
今回の勝負では借金も可能で、一番多く借金をしたものが、
一番多く稼いだやつの言う事を聞くという、過酷な罰ゲームが待っている。
言う事を聞く、なんて限りなくフリーだ。
何をやらされるかわかったもんじゃない。
「チップは一枚百円だからねー」
「そういうの、いけないと思うなぁ」
「じょ、冗談だって、レナ、その孫の手しまって!」
レナが、金銭の賭け行為をしようとたくらむ魅音の野望を、
孫の手のあの丸いゴムがついたほうで打ち砕いた。
あれを脳天にでも叩き込まれれば、あの形に頭蓋が陥没するのは目に見るより明らかだ。

「さて、とりあえず私から親ね。勝とうが負けようが、親は時計回りに回っていくから。
勝負は常に青天井! いくらでも張っていいよ! 二十五回勝負で総チップの多い人が勝利!」
確認、五枚分四つ、一枚分五つの、合計二十五枚分のチップを渡されている。
つまり、参加料だけでのらりくらりと張っていけば、二十五回は遊べるわけだが、
そんなのでトップになれるはずがない。とりあえず、俺は強気の姿勢でいくつもりだ。
最初に渡されたカードは……ハートの三とクラブの七……平均値より下回っている。
このゲーム、五十二枚中、十が十六枚もあるのだ。
そのことはルール用紙ですでに把握している。
三枚に一枚は十が信頼できる。
加えて、場の十の数で、次に引くカードは結構想像できる。
そう、それぞれの数は親以外、公開されている。
親は好きなほうを片方だけ公開するという権利を与えられている。
それでハズレの予想をさせるのが親が取ることのできる戦略だ。
 「どうしたの、圭ちゃん? 怖気づいてるの?」
場の十の数は、魅音の未知数を十としたとして、三枚しかなかった。
この場には、十四のカードがあり、そのうち十三枚が公開され、そしてそのうち二枚、十が確定している。
これは確率的に異常なことだ。
なんせ、山からすべての三分の一も出ているというのに、十のカードの三分の一、
すなわち五枚という数字を、三枚も下回っているのだ。
 かなりの確立で次は十を期待できる。魅音の公開札は七。
そして、俺は十。ここで十を引けば、俺はほぼ安全圏。
なぜなら、二十という数字を超えるのは二十一しかないのだ。
対して、数字の低いカードがことごとく皆の手に回っている。
そこから、魅音の伏せた一枚が十である可能性が飛躍的にアップする。
さらに先ほどの計算から導き出される解から、魅音はまず引かないだろう。
引けば死ぬ。もう一枚が三か四でないかぎり、あまり引きたくは無い状況だ。
三は俺を含めて三枚出ている。まずありえない。
四は二枚しか出ていないが、これも無いだろう。
残る二とエースは全くの未知数。

こいつは、なかなか緒戦から熱くさせてくれる!

「さぁ、どうしたの? 引くの?」
「もちろん引くぜ!」
二十! 思ったとおりだ。
「くっくっく、圭ちゃんなかなか運がいいじゃないの」
ほかの皆は、悟史を除き好調だが、俺には及ばない。
悟史はいきなりブタになっている。
俺は、無言で十枚分のチップを置く。
のこり十五枚、勝てば三十五枚。
ほかの皆の張りを見る限り、俺が勝てば最初のトップだ。
親の魅音はさすがに全員に勝てば余裕のトップになるが。
「では、勝負!」
魅音が掛け声とともに、カードを一枚引き、すべてを公開した。
七、五、六……十九だ。俺以外のやつ全員に勝ち、十枚の上がりを、俺に丸々取られる形になった。
「撒き餌撒き餌、くっくっく」
そういいながら、皆から巻き上げたチップを、魅音は俺に放り投げてきた。
「三十五枚だぜ? このゲームの総得点数は百七十五。
過半数を取ればまず勝ち確定だから、八十八ほどとりゃあいいんだ。
あと一回同じ賭けをして、その後全賭けしたら詰めだぜ?」
「勝てりゃあね」
「は、はぅ、なんか二人で燃えてるよ……私たちもがんばらないとね、
梨花ちゃん、沙都子ちゃん、羽入ちゃん……あ、悟史くんも。」
「むぅ……レナ、さっきの、最後に僕を出しただけだよね? 忘れてたわけじゃないよね?」
「細かいことは気にしないで。とにかく勝ちにいこう?」
「むぅ、うまくごまかされた気がする……」
 かくして、俺と魅音の壮絶なバトルが繰り広げられる。
そう、しょせん皆のは頑張りなのだ。
俺と魅音にあるのは、確信。
必ず勝つという確信なのだ。
「うは、圭ちゃんやるねぇ!」
「魅音こそ……さっきのブラフ、危うく踏みかけたぜ!」
「や、やっぱり私たち、ただのエキストラなのかな? かな?」
「あぅあぅ、ボクと梨花なんて、一言ずつしか喋ってないのです」
「そんなの、わたくしもでしてよ……」
沙都子のトラップワークも、梨花ちゃんの黒魔術(?)も、レナのかぁいいモードでさえ、
俺たちの勢いを止めることはできなかった。お互いが五十のチップを取ったとき、
最後の二十五回戦目を迎えた。ちなみに、ビリは羽入で借金十枚だ。
「あぅあぅ……このままでは魅音か圭一に調教されるのです……」
「羽入、大丈夫よ。二人ともそんな勇気ないから。
せいぜいメイド服着させてご奉仕とか、もうマンネリ化した罰ゲームでお茶を濁すと思う」
「はっ、魅音、どうなんだそのへん?」
「上等、すっごいの用意してあげるよ。安心して、圭ちゃん?」
「はぁ、何で俺なんだよ?」
「一騎打ちしない? あの時みたいに。今日は……最高だったから」
「……たしかに、このまま羽入で確定、っていうのも面白くないなぁ」
「よかった、圭ちゃんが腰抜けじゃなくてさ!」
「なんだとぉ?」
「皆、いいよね?」
魅音が、皆一騎打ちの是非を問う。羽入は全力で肯定していた。
「よし、じゃあ……やろうか」
「お互い公開札は一枚のみ、勝負は”逃げる”か”受ける”か。三回逃げたら負け、でいいな?」
「圭ちゃんからルールを提示されるとはね、いいよ、受けて立とう!」
俺は、魅音から配られたカードを早速確認した。ハートのキングと、スペードのクイーン……
ほとんど勝ちだ。俺は、スペードのクイーンを公開した。
「それでいいの?」
すこし、心臓がはねた。一瞬、見抜かれたかと思ったからだ。
「ああ、いいぜ。おれは勝負する。」
魅音が公開しているのは、ハートの七だった。また、あのパターンだろう。魅音は、三枚目を引く。
「本当に、いいんだね?」
魅音が不適に笑う。
「受けて立ってやる」
「……スリーセブンだよ、圭ちゃん」
魅音がぱらぱらと、七を三枚公開する。
七が三枚……すなわち、二十一だ。
「なんてやつだ……負けたよ、魅音。さすが部長だなぁ!」
「くっくっく、圭ちゃん、罰ゲームはあとで伝えるからねー、さぁ、皆、片付け手伝って!」
「はーい」
早々に勝負を強制的に捨てられた他の皆は、すでに片づけを開始していた。
俺もそれに加わり、罰ゲームからさりげなく逃れようとしたが、魅音に思いっきり襟首をつかまれた。
「はいそこ、逃げない」
「ぐっ」
「明日、学校の特別教室に一人で来ること。いいね?」
魅音はそう囁いて、俺を解放した。
特別教室というのは、いつもの教室の隣にある、園崎家寄贈のテレビとビデオが設置されている教室だ。
そこで教育用ビデオを見たり、男女別のとある教育をする。
都心の学校には普通にあるが、このへんじゃまだ珍しいらしい。

次の日の放課後、俺は罰ゲームの用事があると言って、レナと別れた。
魅音が俺の肩をぽんと叩き、皆を撒く旨を告げる。
俺をどうにかして、皆を驚かせる算段なのだろう。
変わっていく過程を見るより、いきなり変わっていた時の方が衝撃力が高い。
たぶん死ぬ。
きっと死ぬ。
「魅音、お手柔らかに」
特別教室は鍵がかかっているわけだが、そこは大人の事情で魅音はいつでも鍵が取り出せる。
というか、この子鍵なくても勝手に入るけど。
特別教室は廊下からはすりガラスで隔離され、庭側からは黒いカーテンで隔離されている。完全な密室だ。
「んじゃ、覚悟はいい? 圭ちゃん?」
「……ああ、いいぞ」
何も提示されていないから、覚悟のしようが無いのだが。
「……罰ゲーム。私に告白すること」
「はぁ? 告白って、罪の告白か?」
「んなわけ無いでしょ! 愛の告白!」
「……なんだよそれ、俺をすさまじい格好に仕立て上げて、みんなの前に拘束した状態で放り投げるんじゃないのか?」
「圭ちゃん、そっちのほうがいいの?」
「嫌です」
即答。きっと魅音は逆を望んでいたのだろう。
そう、自分が選択してしまった罰ゲームというのは、通常よりも一ランク上の状態にされても文句は言えないのだ。
 「じゃ、言ってみよう」
「……なんていやあいいんだよ……んー、好きだぜ、魅音。愛してる」
とりあえず、芝居がかった声で言ってやった。さすがに適当すぎたか。
「私もだよ、圭ちゃん」
「これで、終わりか?」
「私も……好きなんだよ、圭ちゃん」
「はぁ? ……み、みおっ!」
突如、魅音が俺に抱きついてきた。魅音の香りは、女の子だった。
髪の毛からシャンプーのいい香りがする。
長い髪だっていうのに、きちんと手入れがされた髪。
ぶっきらぼうに結んだように見えて、実は……細心の注意を払っている髪。
それが、目の前にふわっと広がる。
「圭ちゃん……も、もう一度言うよ。す、好きだから。圭ちゃんのこと、好き……だから……」
さらに強く、魅音が抱きしめてきた。俺は、何も抵抗出来ないで居た。
ただ、そこで硬直している。魅音の胸が、俺の胸に当たる。
柔らかい胸。少し、魅音の顔が見えた。真っ赤だった。
「お、おい、魅音、じょ、冗談だよな?」
「じょ、冗談だよ……あはは、じょ……じょう、うっく……じょ……あは、う、うう、ふえぇ、じょうだん、だから」
馬鹿か俺は。何で魅音が泣いてる? 冗談だから? 馬鹿か俺は? なぁ、馬鹿。おい、馬鹿。何か言えよ、馬鹿!
「魅音、俺ももう一回言う。俺、魅音が好きだ。罰ゲームだって? 
何で罰ゲームなんだよ? 
そりゃ、俺が魅音のこと嫌いだったら罰ゲームなのかもしれんけどよ、俺、魅音のこと好きなんだぜ?」
また芝居臭かっただろうか? ちょっと俺も熱くなりすぎた。
「あはは、圭ちゃん騙された、騙された!」
魅音の手から、目薬が落ちる。
「うぉっ! お前!」
俺が魅音を思いっきり引き剥がす。魅音が机にしりを突き、俺が魅音を机の上に押し倒したみたいな格好になった。
「あ、ご、ゴメン……」
俺、ダメだ。確実に赤くなってるぞ。ああ、からかわれる。死ぬ。死ぬる。
「あー、圭ちゃんに襲われるー」
魅音が泣いたまま、俺を馬鹿にするように笑った。
「だから、ごめんって、ほら」
魅音を引き起こそうとするが、俺の手がはずされる。不思議な感覚だった。
なぜなら、下に向けた俺の手が万歳してるんだから。
「と、私が襲われても、これで金的してKOだから」
俺に護身術をレクチャーするように、魅音は恐ろしいことを言った。
「お、おい、魅音」
「何?」
「ぱんつ、見えてる」
「亜qswでfrgtyふじこlp;。@」
魅音が奇怪な声を上げながら顔を赤くし、スカートを必死にガードする。
そんな長いスカートでパンツが見えるわけないだろ。
「あっははは、ひっかかったひっかかった」
「うりゃ、かにバサミ!」
机に寝転んだままの魅音が、俺の腕ごと両足で挟み込み、締め上げて寄せた。
「うぉ、きゅ、急にすんな馬鹿!」
俺はバランスを崩し、とっさに手を前に出す。とりあえず、手の動きは計画的に。
特に、目の前に女の子が転がってる場合は。
「う、うあぁあ、ご、ごごご、ごめ」
魅音は茹で上がった蛸みたいになって、完全に固まっている。
とりあえず、足を離してもらわないと、手が柔らかい部分にかぶさったままで、
俺の男の子の事情が膨れ上がってくるんですがいかかでしょうか魅音さん。
「け、圭ちゃん、そ、その、手、手どけてくんないかな?」
「いや、その前に足はずしてくれよ。じゃ無いと無理だから」
「圭ちゃんの、えっち」
「はぁ?」
「圭ちゃんの、すけべ」
「だ、だから、足放せって!」
「で、でも……ぁの……けぃちゃんだったら……いいょ」
消え入りそうな声で、魅音は言った。
「は、はぁ……」
気の抜けた返事。また、俺を騙すつもりなのだろう。
「えっちなこと……してもいいよ……その、平気、だから……皆にも、言わない」
魅音は、目を逸らしたまま言った。
「ははぁ、そうかそうか。まぁた俺を騙すんだな、そうはいかねえ」
「ほ、本気だょ」
「そうかそうか、ほら、放せ!」
俺が、一回手のひらに力を込めてやった。きっと、驚いて足の力が緩むだろう。
「あっ、あぅ……け、圭ちゃん、もっと、やさしくして……」
「お、おいおい、放せって」
「だから……ぁの……揉んで……下さい」
魅音は完全に目をつぶっている。あのー、そろそろ胴締めが効いて頭がくらくらしてきたんですけど……
「冗談はいいから」
「冗談じゃないよぉ、圭ちゃん、嘘だっていいから、ねぇ、
圭ちゃん、そばにいたいよ、圭ちゃん、ねぇ、圭ちゃん、圭ちゃん、圭ちゃん、圭ちゃん」
俺を、足で揺さぶってきた。
俺が必死に胸にあてまいと頑張って開いている手も、そろそろ限界だ。
「ゆ、揺らすなよ、魅音」
「うっく、くぅ、けぃちゃぁん、ううう、うっく……圭ちゃん、圭ちゃん」
魅音は壊れたテープレコーダーのように、何度も何度も同じ言葉を繰り返した。
「も、もう限界だ」
俺は、とりあえず休憩するために、魅音の胸に手を置いた。とりあえず休憩するために。
「あうぅ、あ、あ、あぅ、あぅうう、あぅ、あぅあぅ」
魅音が羽入みたいな声を出しながら、俺を揺さぶり続ける。
俺の理性は少しずつ剥がれ、休憩から一泊にチェンジしつつあった。
「み、魅音っごめんっ!」
「圭ちゃん、圭ちゃぁんっ!」
俺は、ついに自らの手で魅音の胸をもみだした。ああ、やわらかい。
脳が溶けそうだ。もう、ちんちんがわけのわからないことになってる。
「ちょ、魅音、下が大火事、上も大火事、これなーんだ? 正解、俺。た、たのむ、魅音、放して……」
「うっ、け、けいちゃっ、あぅっ、うっ、う、うー……あっ……ふっ……」
冬だというのに、魅音は玉の汗を出して動きを止めた。心なしか、痙攣しているようにも見える。
「お、おい、魅音、大丈夫か?」
ぐたっとした魅音の拘束が解けた俺は、魅音の肩を掴んだ。
「圭ちゃん……好きぃ……圭ちゃん、圭ちゃん!」
俺は、魅音に思いっきり抱き寄せられた。そして、そのまま……
「み、みお、むぐっ」
口をふさがれる。何か、やわらかいもので。時間が、止まった。
「ぷはっ、も、もう一回、ね?」
「どうしちまったんだよ……魅音?」
俺は、出来る限り優しい声でたずねた。
「もっかいしてよぉ、圭ちゃん……」
魅音は、また泣き出してしまう。俺は、どうしたらいいのか全くわからなかった。
「あの、魅音さん?」
「してよぉ……してよぉ……」
「なぁ、魅音、俺は……その、どっか行ったり、しないぜ?」
「だって、私たち、もうちょっとで離れ離れじゃない……寂しいよ、圭ちゃん」
「そりゃ……仕方がねえよ、俺と魅音は一年違うわけだし……まぁ、でも放課後なら会えるだろ?」
「それじゃ、やだ……私、圭ちゃんと一緒がいい……」
「そんなわがまま、俺に言われてもなぁ……魅音のほうで何とかできねぇのかよ?」
「ぐすっ……そう、そうだね、やるよ、私……決めた、私、圭ちゃんの初めてもらう」
ぐわっ、勝手に決めるな! って、何か俺、この台詞違う場所で聞いたような気がする。
「ちょ、みお」
俺は、今度は押し倒される格好になってしまった。
俺が立ち上がろうと、机に手をつくと、すぐにその手が払われて、倒れこんでしまう。
「ふふ、ムダだよ、圭ちゃん」
「あの、み、魅音さん? ちょっと怖いんですけど……」
「圭ちゃんには……おしおきが必要みたいだね、だって、圭ちゃんのここ、こんなになってる」
否定は出来ない。全く出来ない。
「うわっ、むわってきた、圭ちゃんちゃんと洗ってるの? ここ?」
「洗うって、洗うの? そこ?」
「……サイテー、私が洗ってあげるよ、圭ちゃん」
魅音は、ポケットからティッシュを取り出した。
そして、俺の肌色につつまれたちんちんを、ああ、ちんちんがつかまれつつある、ああ、さらば、ちんちん。
「何言ってんの? 圭ちゃん?」
「え、俺、何か言ってた?」
「うん、ちんちんがどうのこうのって」
「ああ、そ、そうか、いや、ちょっと頭がぼーっとしてて……」
「剥くよ、圭ちゃん?」
「剥くって、何……うぉっ!」
魅音の手が、俺のに触れる。瞬間、感じたことの無い感覚が走った。
「あの、み、魅音、ちょっと、まて」
「いーや、剥くね」
魅音の手が、俺の隆起した局部を、上からすこしずつ……って、
み、魅音、ちょっと、それ、そんなになんの? い、いた。
「あうっ!」
……爆発した。気持ちよすぎる……一体、魅音は何をしたんだ……
「ちょっと、圭ちゃん、さっき起きたありのままのことを話していい?
圭ちゃんの皮を剥いたと思ったら、圭ちゃんが射精した……圭ちゃん、早すぎぃ」

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最終更新:2007年08月27日 17:14