悟史が行方不明になったというのはもう村中の皆が知っていた。
けれどここ何年か続いていた綿流しの日の事件の所為か
オヤシロ様の祟りとか、鬼隠しとか“そういうこと”だと皆思っていた。
別に私は誰がやったとか、オヤシロ様とかそういうのはどうでもよかった。
悟史は仲の良いクラスメートだったし
好きか嫌いかと言われたら好き…だった。大好きだった。
でも詩音が悟史の事を好きなことは知っていたし、
そして私は園崎家の次期頭首だ。
北条家や悟史のために泣くと詩音や婆っちゃを裏切るような気がした。

悟史が何処かへ行ってからもうすぐ一年だ。
――四年目の連続殺人・失踪事件…。

ざわ、と風を感じた
頭の高い位置で結んだ髪の毛が揺れ、うなじを生温い風があたった。

本能的にバッと振りかえる

何も居ない 何も居ない。
あるのは広く暗い空に浮かぶ月だけ。
黄色く少しだけ霞んだ月。
悟史の髪もこんな色だった気がする。
そう考えるとじわりと涙が滲む。
「ちょっと…何泣いて…しっかりしろ 園崎魅音!」
自分に渇をいれ、涙を拭う。
拭った指の先から何か見える

…人?
100mぐらい離れている…だろうか
目を凝らせばギリギリ見える、小さい人影。
なんだかひどく見覚えがある気がした。

まさか・・・!
その答えを思いつく前に走り出す
「悟っ、史……!?」

そばまで行ってはぁ、と溜息をつく。
人影なんかじゃなかった ただの案山子。

「皮肉だなあ…。悟史と見間違えるなんて しかも案山子…」
  あの時の会話を思い出す。
―魅音は?
―私?
―僕が他人と入れ替わってたら

「はぁ…」
失踪する一週間前に悟史は私のうちへやってきた。
なにか深刻な様子だったのでとりあえず、と行って散歩を提案した。
――園崎のうちで話すのも気が引けたのもあった。
夜だし誰にも会わないはずだ。
二人とも無言で歩いていると 悟史がぽつりぽつりと話し出す
沙都子を庇うのが、叔母からの虐待が 全部 辛いと。
何かに怯える様に悟史は何度かオヤシロ様 オヤシロ様とつぶやいていた。
「枕元まで…来るんだ。きっと僕…」
私は何かにとり憑かれたようにブツブツと言う悟史を抱きしめた
悟史は少し驚いて、それから唇を重ねてきた。
私は悟史の事を好きだったし、
詩音や婆っちゃに対して凄く罪悪感があったけど
悟史が楽になれるなら・・・と抗わずにいた。
少しすると悟史の舌が入って来る。
ぎこちなく私も舌を歯の間を割って入れる。
がち、とたまに歯と歯がぶつかる。
舌と舌が絡み合う。
ねちゃ、ずちゅ と水音が響く。
どちらからでもなくそれを止めると二人の間に銀の糸が引く。
悟史はじっと私を見つめて なんだか照れて目をそらすと悟史に押し倒された。
少しだけ戸惑ったが若い男女が二人きりでやることなんて決まっているし、それに悟史のことは好きだし…。

「さと…し、一応此処 外だから…さ」
押し倒された格好だとどうも悟史が陰になってよく見えない。
表情は分からなかったけど、少し困っていたのだろうか?
「むぅ…だって 魅音の家も僕の家も駄目だろ?」
「家と言えば 沙都子は?おいてきた…の?」
「……ごめん」



「ななななななななっななんで私謝られるの!?」
しまった。さっきまでのムードが台無しだ
「いや…うん…えっとまあ…むぅ…」
「とととととりあえずね!うん!場所変えようよ 人目のつかないとこ、にさ ね?」
「むぅ…仕方ないな…」

と悟史は短く言ってから屈みこみ、
私の胸のあたりと足をつかんでぐいっと持ちあげた
えええええええ何何何何これお姫様だっ・・・
「さ……とっ悟史!?自分で歩くから!降ろして!」
「いいよ 僕がやりたいだけだから」
にこ、と微笑んでこっちを見る。
「う、うぅぅ…で でも私重いって!」
「そんなことないって 全然重くない」
「うぅ…そんなこといったって…」
「あはは、どこまで運ぼうか?」
さっきのとり憑かれたような悟史ではなく普段の明るい悟史だった。
「ど、どこまでって…。なるべく目立たない……とこ」
「よし じゃあそこの木のかげでいいかな」
「ちょちょちょちょっとそこは十分目立つ!」
「むぅ…魅音はちょっと文句が多いな」
悟史はそこで一度言葉を止め、私の胸に手を当てた。
少し探るように揉んでから乳首を捻った。
「うぁ・・ふぁ・・・」
下着を着けていない、ぶっちゃけノーブラな私はもろにそれを感じて声をあげた。
悟史は相変わらずにこにこと笑いながら乳首転がすようにを弄んでいる。
「あはは 可愛いな、魅音は」
「ちょっと悟史 悪ふざけは…」
と 言いかけたところで乳首をつねられる。
「ひゃ!」
「ね、この木のかげでいいよね」
「うぅぅ…」
なんだか有無を言わさぬ悟史の言葉に私は呻くことしか出来なかった。
悟史は私を木のそばまで運ぶと木の前に立たせた。
少しだけ見上げる位置に悟史がいて、悟史も男の子だもんなーと実感した。

「魅音」
「ん?」
名前を呼ばれたので答えるとその口を塞がれた。
「ん…」
さっきよりは優しい触れるだけのキス。
キスを続けながらも悟史は私のTシャツに手をもぐりこませ脇腹から少しずつ上を触っていく。
悟史の手はとても冷たく、ひんやりとしているのに触られた箇所は凄く熱い。
手が胸まで辿り着くと悟史は優しく揉みだす。
「んむ…ぅ…ぁ」
いつの間にか唇同士も離れ、声が出るようになった
「魅音はいやらしいな」
あはは、と悟史が笑う 
じろりと少し睨むとごめんごめんと肩をすくめてみせた。
いつの間にか普通に揉まれているだけでは物足りなくなってきて、なんとかTシャツを脱ぎたいと思った
「悟史・・・これ脱いじゃだめ?」
悟史はいいよ、と言うかわりに私のTシャツに手をかけた。
ぐぃっと持ち上げて頭が抜けたところで脱がすのを止められた。
「? 全部脱げてない…よ」
言ってみて気がついたが丁度向こうには丸見えじゃないか。
「さとっ…さとし!ちょっと…」
「あはは 脱いじゃだめだよ」
片手で私の両手を上の方で掴む。動けない。
ふふふ、と悟史は不気味な声をあげ
私の胸を空いている片手で揉み始める。
乳首を弾いたり転がしたりする。
指の腹で円を描くように撫でてみたり、と
…なんでこんなに手馴れているのかきになるところだけど気持ちいいので…と思ってしまう。
「む…ふぁ…さとし・・」
私の声とは思えないほど甘い声が出る。
それを見計らっていたように悟史が私のジーンズに手をかける
「あ…」
と小さく漏らすと嫌?という風に私を見てくる。
「嫌じゃない・・・けど」
それを聞いて悟史はにこりと笑い、
空いている片方の手で私のジーンズをカチャカチャと外しだす。
する、とジーンズが落ちてひんやりとした空気が足に触れる。
ショーツは普通の白地のもので、こうなるならもう少し真面目に選んでおけばよかった と思った。
悟史は人差し指の腹を使ってぐい、とショーツの上から私のソコを強く押す
「っぁ…!」
自分以外触れた事がないそこは先ほどの胸を揉まれている時からかなり湿っていた
「脱がすよ」
悟史は短く言って、ショーツをずりさげる。
私のそこはテカテカと恥ずかしいぐらいに湿っていて、むわ、と凄いにおいがする
そしてやっと悟史は中途半端に脱がされたTシャツをちゃんと脱がしてくれた。
悟史は私のそこに顔を近づけ、ぬめぬめとした愛液を舌で舐める
ぞくぞく、と体が疼く。
悟史は私のそこを指で開くようにして舌を中にいれた
「っぁぅ…ん…ふぁ…」
少しずつ息が荒くなっていくのが自分でも分かった
木にももたれかかるようにならないと立っていられない。
「魅音?大丈夫?」
私を覗き込むように見ているのは悟史だ。
ぱちぱち、と何回か瞬きをしてから「大丈夫、」と頷いた。
「よしよし じゃあいれるよー」
何を?と言う前にそれは私のそこへあてがわれた。
それは想像していたよりもずっと大きくグロ…かった。
私の許容量より大きいんじゃないかと思いつつそんなことはいれられた瞬間吹っ飛んだ。
みし となんだか嫌な音がした後途轍もない痛みがそこを襲う
「痛・・・ぅぁ・・・」
ぽた、と地面に赤い血の染みが広がる。
「魅音…大丈夫?」
「お…おじさん死に…そう」
「力抜いてね?動かすからな」

悟史が腰を振りはじめる。
痛みもあったが少しずつ気持ちよくなってきた。

「いやらしいね、魅音」
二回目だぞ、とも言おうと思ったがまたムードをぶち壊してもいけないので黙っておく
「なっ…なんで…!」
「魅音、僕に合わせて腰振ってるんだよ?」
「うううううるさい!」
腰の振りは徐々に速くなって行って
「ごめん…魅音出る」
「う…うん」
「っぅ…魅音…!」
「…悟史!!っぁ・…」

二人同時に果てると悟史から勢いの良い精液が私の膣内に注がれる
ずる、と悟史は私からそれを抜く。
「あはは…赤ちゃん出来たら責任とってよね…」
「むぅ……そのときはそのとき・・・」

凄い倦怠感があり、ぺたんと座る。悟史も私の隣に座る。
ふう・・・と大きく息をつくと詩音の顔が浮かんだ。

ほんとにごめん 詩音
「魅音?」
顔を覗き込まれ驚く。
「悟史…もしも、だよ?」
「何?」
「もしも…私にそっくりの 誰かが私のふりをしていたとしたら・・・悟史はそれに気づける?」
「むぅ……どうだろうなあ…。実際に気づけるかは分からないけど…頑張る」
「あはは、頑張れ!うにゃ…頑張って。そんで更にもしも…」

一瞬言おうかどうか戸惑う

「その私のふりをしている人が悟史の事を好きになったらどうする?私とその人 どっちを選ぶ?」

「魅音?…なんか変じゃない? 僕が好きなのは魅音、だよ」

「そっかぁ………あはは うん…なんでもない ごめんね」

こつん、と隣に座る悟史の肩に頭を預ける。
「何かは分からないけど…うん」

わしゃわしゃと頭を撫でられる。
「ちょっとーぐしゃぐしゃになるでしょ」
「あはは いいだろー」
「よくない ……よし、そろそろ私帰るね。」
立ち上がり、背中は見られないようにしながらTシャツを着る。
「むぅ… 早いなあ 余韻ってものがないよ魅音」
「おじさんは忙しいの それじゃね」
ジーンズをばばっと穿き立ち上がる。
「魅音」
「ん?」
「魅音は?」
「私?」
「僕が他人と入れ替わってたら。気づける?」


「…あははっ おじさんも気づけるように頑張るよ それじゃね~」
ひらひらと手を振りながら立ち去る。





「悟史は…気づけてないんだけどなあ…」
なんだか酷く胸が痛く、締め付けられるようだった。

悟史は詩音と魅音と どっちを選ぶんだろう…か




この時4年目の綿流しの夜に誰か犠牲になるのかも私は知らなかったし 知ろうともしなかった。
そして5年目の犠牲のことも…。
それを知っていたのは 
あの夜煩く泣いていたひぐらしだけだったのかもしれない。






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最終更新:2007年02月26日 01:51