「おお……オイッス~。オラ圭一……。さっそくだけどオラ、逝き…………イキそうだぞコレ……」
「……圭一さん? なにをブツブツ言っていますの?」
 むにゅう……。
「ぬお……っ!」
 俺の苦し紛れのギャグに訝しがって、自転車の後ろに座る沙都子が無神経に胸を押し付けてくる。
「あっ! さては熱中症ですわね?! ……んもう。ですから外出するときは帽子を被れと言いましたのに……。ああ、そうですわ」
 ぐむにゅ! むにゅ……ぐにゅうぅ……。
「ぐあっ! ぁ……っ」
 梨花ちゃん、もしくは羽入。それとも、詩音の入れ知恵か。日射病や熱射病とは言わず、熱中症という聞き慣れない症状を口にした沙都子が体を揺すり出す。
 ……くっ、くそぉ……。普段はなにかと俺のことを、デリカシー無しとか言うくせに……。
「ちょっと、圭一さん。そんな、揺らさないで……」
 ぐにゅっ!!
「ぬぐぉあ……っ!!」
 俺の体に腕を回し、ママチャリに恋人座りで座って、その発育のいい脇乳で肉弾戦を仕掛けてくるお前はどうなんだよ! ええっ?! このエロリ沙都子さんよおおおおーッ!!
 という青い叫びを胸中(正確には、背中のちょい下あたり)で上げていると、後ろからぱんと乾いた音がした。
「ふう……。どうですかしら圭一さん? これで、日差しだけは防げましてよ」
「……お、おう。日傘か……」
 さっきまで頭の上に広がっていた夏の空の青。それよりも深い藍色、純粋な青い膜が俺の頭上に張られた。
「……藍より青しか。使い方は違うが……。……あ、いや。それだと、傘の青の方が青加減で、空の青よりも上ってことになって……いい、のか? あれ……? 言っててわかんなくなった」
「をほほ! あの圭一さんが慣れない愛を口にしたから、知恵熱ですかしらー? またブツブツと独り言をおっしゃって、本格的に熱中症が疑われますわあー」
 思わず出た俺の謎の呟きに、沙都子がすかさずでかい声で茶々を入れてくる。
「くく……。そうかそうか。その口振りからすると、エロリ沙都子はあいつらから、ことわざを教わっていないのか。しかもアイ間違いだしw。策士策に溺れる沙都子らしい自爆おtうぽっ?! い゙ででででっ!!」
 ここっ……?! コイツ、いきなり俺の股間を握ってきやがった!!
「ちょ……い沙都子、やめ…………イァ……」
 しごかれているわけではないが……これが女の手で、しかも今も絶えず、胸の柔肉を背中に押し付けられてのコトとなると……。
「……こんな硬くして…………。圭一さんも、とんだえろり圭一さんですわ」
「……お、おおっ?!」
 その『エロリ』というのは、「エロ」と「ロリ」を合体させた造語で……半分だけその単語の意味を理解した沙都子は俺までエロリ呼ばわりして、傘を俺の首元から服の内側に入れて、背中に突き立てる。
「……まだ先は長いですから…………興宮までは静かに、この姿勢のままで行きましょう」
「うう……くっ……。くぅ…………」
 傘の胴、軸を背中に刺しただけでは座りが悪いので、沙都子はぎゅうと俺に抱き付いて傘を、その身体、脇乳で俺の背中に固定させた。しかも、俺の急所を掴む手にも力が込められ、これにはさすがに痛みが走る。
「あっ?! 今のは、痛かったですのね……?」
「ンッ?! だっ……だからって揉む、な……」
「…………えっ? そう、なんですの……?」
 なんでそんな意外そうな声で訊くんだよ。
「……それで……手は」
 まだ、そのままなのか? というセリフは、また意外そうな声色で返されそうだから言わない。ってか、正直言って、離してもらいたくない。
「動かさなければ……そのままでいてくれ」
 だからといって、勃起して膨らんだ股間を、クラスメイトの女の子(それも年下)にガッチリと両手で鷲掴みされながら俺は……我ながら、なんと恥ずかしいことを…………。
「……ふふ。解りましたわ」
 返事といっしょに沙都子が、今度は手加減して“俺”を抱き締めた。

 興宮への道すがら、ここまですれ違った対向車は二台。うち一台はつい先ほどすれ違い、知った顔の運転手に俺と沙都子は軽く頭を下げた。沙都子はその間も、俺の股間を熱く握り締めたままだった。
 周りには緑もまばらな、荒野にも似た殺風景な景色が続く場所に差し掛かろうとしていた。
「沙都子は……」
 この状況を崩さないよう、俺なりに言葉を選びながら、後ろに問い掛ける。
「俺にこういうことをするくらい、なんだから好き、なんだよな……?」
 口先の魔術師らしからぬ口振りで、たどたどしく質問を組み立てる。
 もしかしたら、そのへんを突っ込まれて笑われるかも……。それとも、こんなことを訊く無神経さをデリカシー無しと言われるか……。

 雛見沢を出発して早々に、沙都子の乗る自転車がパンクした。その近く、今は使われなくなったバス停に沙都子の自転車を置いて、今日の俺の足であるママチャリ(俺の自転車も、実はつい昨日にパンクした)の後部席に沙都子を乗せて興宮へ向かうことに。それからというもの、道中では――沙都子と、かつてない肉体的接触――脇乳わっしょい――ちんちんにぎにぎ……。
 質問するは我に大有りだろう、これは。
 未だ俺の股間にある沙都子の、左手首の腕時計になんとはなしに目を落としながら、自分を正当化する言い訳を滔滔と並べること七秒……。
「……圭一さんは、競争率が高いんですのよ」
「……ん? 俺がきょう、そうりつ…………」
 もしかして「競争率」と言ったのか? と言うか……この「俺が」か…………。
「んもうっ! 圭一さんが今日創立ってなんですのっ? そうじゃなくて『競・争・率』ですわ!」
「いだだだっ?! はみ出るはみ出る! アクセントに合わせて、手に力を込めるなっ!!」
 まったく! はみ出ていいのは脇乳と、ブルマからの尻肉(もちろんスク水も。色はどちらも問わず)。それと、巨乳を鷲掴みしたときに指と指の間から覗く乳肉に、射精したちんちんを握り締めた手から滲み零れる精液くらいだというのに……。
 だから俺は、いたずらに股間をぎゅむぎゅむしてくる手癖の悪い手を引っ叩いた。するとはみ出るどころか、お稲荷さんを握り潰されかけた。
「それで、圭一さん。お話の続きをしたいのですけど……よろしいですかしら?」
「はひっ! ど……どうぞっ、よ……よろしくお願いします!」
 お嬢様というか自称レディのエロ〇学生にお稲荷さんを掴まれて、いいなりにされる俺って一体……。
「にーにーがいれば……ライバルが減って、その分楽でしたのに……」
 早とちりで自爆を回避するため、ついボケてワンクッション置いてみたのだが……無用だったらしい。

 ――はぁ……。明日にでも悟史が帰ってくれば、沙都子の移り気な眼は兄だけを映し、そんな兄妹を救った私に沙都子は禁断の感情を、そのむかつくほどに育った胸に懐いてしまい……ああ。あの犬っ娘メイドのことだから入江にも、これまで以上に感謝の念を持ってしまうかもしれないわね……。じゃあ、あのメイド狂の顔面に沙都子の黒タイツを巻かせた姿を晒して幻滅させ……られるかは自信ないわねぇ。沙都子って、眼鏡の変質者が白衣を着ているような存在でも、自分を気に掛けてくれる者を無下にしたりはしない質だし。……ええ。それなら沙都子が圭一に惹かれる確率も減るでしょうけれど、これは例え話よ、羽入。……悟史はまだ…………でも必ずあの兄妹を、私と入江で逢わせてやる……。だから羽入……。あんたは魅音とレナの前であうあう媚びて、百合洗脳しなさい! そしてふたりから圭一を遠ざけるの。そして私が圭一をモノにするのよ……くすくす。……なに? 赤坂はどうしたのかですって? ……ふん、だからよ。
 ……あの温泉饅頭。夏休みに遊びに来るとか言っておきながら、私よりも仕事を取って約束を反故にして……。向こうがそう来るのならこっちは圭一とくっついて見せ付けてやるのって言うか。人が真面目に話しているのに、ツンデレダ〇アン乙とか…………くすくす、いい度胸なのです。イエス。あんぽんたんなお前の望み通り、このシュークリームと揚げパンには砂糖ではなく、唐辛子をたっぷりとぶっかけて食べることにするのです。ざまぁみやがれなのです!

 ――くすくす……。前原くんの周りにはいつも、女の子たちで溢れて華やかねぇ……。でも、ここにもう一人、同じ年頃の男の子が居たらどうなるかしらねぇ……? くすくすくす…………。

 梨花ちゃんと鷹野さんを始め、富竹さんと大石さんからも同じような話を聞いた覚えがある。
 やっぱり……だよなー。
 沙都子の兄貴だという悟史ってヤツが今も居たら……。もしくは戻って来たら…………俺なんて、なぁ……。
「……向こうじゃ没個性、その他大勢……ってか、頭がいいだけの嫌な野郎な「都会には都会の圭一さんがいて、ここにはここの圭一さんなのですわっ!!」
 早口で、俺の言葉を断ち切ってくれた沙都子のそれは……自分を卑下し、露悪を零す俺を否定するものか。
 縦横無尽に、四方八方から吹き付けてくる熱い風が耳元で渦を巻いていても、沙都子のその声、想いは俺に届いた。
「それは過去の……。以前に住んでいた街の、あの頃の俺は関係なく、今の……雛見沢の俺だけがすべてだって……。そういう意味なのか?」
「…………合っているようでなにか……ちょっと都合がいい、いいとこ取りしているみたいで、う……ん。少し、嫌ですわ……」
「う……。そ、そうなのか……」
 沙都子の話を踏まえて俺の……触れられたくない過去の触りを話したつもりだったのだが……。いいとこ取りしているみたいで嫌か……。じゃあ全部か……? あの過去を全部話せば……こんな俺を好きになってくれたこいつらに……沙都子に、報いることができるのか…………?
 グリップ……でなく、自転車のハンドルを握る手に、ぬるつく汗が滲んでくる。
「んーとですわねぇ…………」
 話すべきか俺が考えあぐねていると、沙都子がまた助け舟で割り込んできた。
 圭一さんはおつとめ……償い? をしたから、許された罪はもう打ち明ける必要はないのですよ……? あら? なぜか口調が梨花みたいになりましたわ。うーん……?」
 沙都子にしては難しいことを……などと考えたら顔色を読まれ、噛み付く代わりに握り潰されかねないから自重する。……って。
「な、なあ沙都子……。俺、そういう話をみんなの前でしたっけ……?」
「い、いえ……。それが私にもよく解らなくて……。ただ、圭一さんの哀しげなお顔を見ていたら止めたくて……。そうしたら映像が頭に浮かんできましたの……」
「白昼夢、ってヤツか……。それとも、お前も熱中症じゃないのか? 頭は大丈夫か?」
「……その言い方ですと、まるで私の頭がおかしいみたいじゃな、あふぅ?!」
「……んぅ……っ。もっと俺に抱き付いて……沙都子も傘の中に入れ」
 ぐにゅぎゅにゅむうぅー!!
「ふァ……アっ! アはぁ…………」
 なんて声で溜め息を吐きやがるんだこいつは!!
 後ろにねじった腕をいっぱいに伸ばして、沙都子を……沙都子の胸を鷲掴みにして抱き寄せると、てのひらと背中で肉房が大きく形を変え、乳圧という抵抗で対抗してくる。そかも……沙都子の身体伝いに、その熱い白昼夢が俺の頭の中にも展開し始めてきた。

 ――『圭ちゃんさぁ。ちょいとここで質問なんだけどさ。……仲間に隠し事ってしたら、いけないワケ?』
  ……ありがとな、魅音。お前のそういう大らかなところが、そのデカい胸と同じくらい、俺は好きだぜ!
 ――『大丈夫だよ圭一くん。私を信じて』
  あのときは本当に……本当に……っ。ああ! 俺はレナ……お前を絶対に疑わない。そして絶対にお互いを信じ合う仲になる。そして普通に遊んで、普通に笑い合って、……普通に恋をしようぜ。
 ――『ひゃああああああああッ!!! 一撃で叩き割ってあげるよおおおおおおおおッッ!!!!』
 うひょおおおーっ!! このレナとは命がけの恋になりそうだぜえええッッ!! ビバッ、オヤシロモードッ!! ってか、この場面って俺。梨花ちゃんに場を譲って、居なかったんじゃなかったっけ……?
 ――『…この古手梨花の体は幼くて非力だけれど……生憎ね、一分も稼げれば十分なの。遊んであげるわ、おいで鉈女…!』
 ってか、んな細けぇことはどうでもいいんだよッ!! 黒梨花様は正義ッ!! ジーク・フレデリカ!! それと、口先の魔術師とも遊んでください!!
「『――もし過去の過ちを一生取り戻せなかったら、……私達は何のために生き続けますの』
 くう――っ!! 沙都子もいいこと言ってくれるじゃんかよー」
「けっ?! 圭一さん! なぜそれをっ?」
「おっと。離れるなって」
 ぐにゅううーっ!!
「んンッ! あはアあーっ!!」「くう……アッぐウっ!!」
 痛いもとい、恥ずかしいところを突かれたとでも取ったのか。背中から乳圧が失せかけたので、俺は巨乳ごと、再び沙都子の身体を引き寄せた。だから俺達はお互いの性感帯を抱き締め合って、若い声を上げた。
「……そ、そう……だ。『きょうのしなちく』みたいによ、家に帰ったら梨花ちゃんと羽入が馬鹿やったときに、さっきのを言ってみろよ。受けるぜ~。超受けるぜ~!」
「うけ……受けて、どうしますのよっ! ほんっと…………圭一さんの頭にはウジでも湧いてるんじゃありません?!」
「おうっ! 雪圧キタコレ!」
「むがっ! あんな女装癖のある男とレディの私をいっしょにするなんて許せませんわあー!! したがって、圭一さんなんて、ぼっしゅーとぼっしゅーとぼっしゅーとー!! の刑ですわーっ!!」
「い゙だだだだーっ! ちょッ?! ソレぼっしゅーとされるとマジでやばいんですけど! ハへっ! い、イぐ……あ、あへっ! ららっ、らぁめぇえええ~!!」
 ひいひいデレつつも、沙都子は力いっぱい俺の冗談に乗ってくる。その分手コキには、艶とか愛とかが致命的に欠けていた。
「圭一さんのー最近はぁ~。気持ちイイことばっかー、で・す・わ!」
「うぎゃ――っ!!」
 そうして、いつものおてんば姫に戻った沙都子に俺は、興宮に着くまで天国と地獄を味わされるのだった。



「……沙都子のヤツ、一体どこまでジュースを買いに行ってんだ……」
 街中にある地下通路の階段に腰掛けて、俺はひと休みしていた。地下だけに、地上の暑さはここまでは届かず、なかなかの快適空間だった。
 この時間のコンクリートはまだ冷たく、でも当然硬い。俺は立ち上がり、痛くなった尻を擦りながら、改めて周りを見渡す。

 ――冬は寒いですけど……ここは人が滅多に来なくて、落ち着けますのよ。

 そう沙都子に言われて待つこと十分弱。すぐ近くに横断歩道があるから、俺がこうしてくつろいでいても、誰もこの地下通路を使う者はいなかった。
 左右の壁には手すりが斜めに伸び、人が来ないことをいいことに、洗った服をその手すりに掛けて乾かしてある。
 地面の下の通路は向こう側の、こっちと同じ作りの地下通路へと繋がっている。その途中には、界隈の店の看板がいくつも壁に貼り付けられている。その中には、ついさっきお世話になった『自転車の園崎』もあった。
 店名に『園崎』とあるところからわかる通り、ここも園崎系列の店舗だ。こっちの地理にはまだ疎い俺は、沙都子の道案内で連れられてきた。
 この店のすぐ近くのバス停から、これから向かう大型デパートのバスが出ているらしい。バスなんて使わずにこのまま自転車で行こうとする俺に、沙都子が「街中を二人乗りするのは危険でダメですわーっ!」 と、真面目なこいつらしいことを言うので、だから俺はとくに異論を挟まずに沙都子に従った。それに魅音の知り合いとなれば色々とおまけをしてくれるのだと、以前にこの自転車屋のことを、その魅音から教えられていたことを思い出し、というのも、店を切り盛りする美女と野獣夫婦の話が記憶の引き金となった。
 美女というより幼女と言った方が相応しい幼妻さんが、俺と沙都子の来店を迎えてくれた。まだ開店して間もない時刻のはずだが、油汚れの目立たない黒のエプロンがもうすでに染みが見て取れた。そのエプロンは胸のところで内側から大きく隆起していて、さぞ男性客の目を惹きつけていることだろう。そしてその身長が、沙都子と梨花ちゃんより少し高い羽入と同じくらいの背丈で、大人の女性に失礼だろうが、彼女の印象を「愛くるしい女性<ひと>」のひと言に尽きさせる。しかも、胸を二の腕で挟むのが癖なのか……。低い身長も手伝い、どうしても「谷間寄せ」を見ることになり、俺はその慰舞<いぶ>さんにたじたじになってしまった。しかも微妙にエッチくさいから、沙都子に睨まれていなかったら、一体どうなっていたことか……。鹿骨市の女性とは、身長と胸の大きさが反比例して、ときにエロくなるのだろうか?
 魅音の友人だと証明すべく俺が生徒手帳を取り出す際には、慰舞さんはわが子をそうするように沙都子をその豊満な谷間に抱き容れ、北条兄妹とは知己の間柄だと教えられた。
 野獣役の店主はというと、一時間ほど前に雛見沢に出たのだという。もしかして、バス停の手前ですれ違った、あの一台目の軽トラックか? まるで熊か虎が運転しているように見えたからなー、と思っていたら慰舞さんに相づちを打たれ、しかものろけられた。その話の内容の何割かが、慰舞さんに手を出した男性が、夫の渾武<あだむ>さんに幾人も血祭りにされたもので、俺はさらに恐縮した。

「あ~、俺も慰舞さんの谷間で逝きて、ぇ……」
 俺と慰舞さんが話している間も、沙都子が肉の谷間でモガモガしていたのを思い出し、また股間に硬さが戻ってくる。でもすぐに渾武さんの姿も頭に浮かぶので、しおしおのしゅんになるのを繰り返す。
 座っているのにも飽きたので、俺は噛んだガムもタバコのポイ捨ても見当たらないコンクリートの階段に寝転がっていた。
 暑くなる前に行きますわよと、いきなり沙都子に電話で呼び出され、八時半には雛見沢を出たこともあり、次第に眠気で朦朧としてくる……。
 早くこねぇと……お前をおかずに使っちまうぜ、沙都子。
 沙都子が慰舞さんにされていたように、俺が沙都子の胸に顔を埋めている姿を想像する……。やや犯罪臭がすると言うか、特殊な性癖持ちを思わせるが気にしない。


『そっ、それでは…………いきますわよ……?』
『おっ、おう……』
 椅子に座る俺の目の前に沙都子が立ち、すると顔の前にふくらみが……沙都子の胸が突き出された。

 放課後の教室。
 いつものように部活を、ゲームごとに勝者と敗者を決めて罰ゲームを行っていく。
 ときどき、みんなで書いた罰ゲームを箱に入れて、勝者がそのクジを引いて決めることがある。
「負けた者は、勝った者にぱふぱふをするのです。あう♪」
 そうして俺が引いたのがコレだった。

『……でも、もう少し前の方にお座りになって……ええ。それで、背筋を伸ばしていただけるとちょうど……』
『おっ、おう……』
「ぱふぱふ」というものを知らない沙都子の為に羽入が、なぜか梨花ちゃんにスリーパーホールドを極められながらあうあうと、ジェスチャーと俺を交えて説明する。
 始めこそ、その罰ゲームの内容に真っ赤になってオロオロしていた沙都子だが……魅音とレナの悔しさを滲ませた奇行(遊びに来た詩音に泣き言を呟く魅音と、梨花ちゃんと羽入をお持ち帰りするレナ)を目にし、恐らくだが「優越感」を感じ取ったのか。それとも、敗者としての義務感が彼女を動かしたのか……。そうこう考えている間に、俺の視界が沙都子の胸で占められて……。
『……んっ……。ふぅ……』
『……うっ……。……すぅ……ぁ……ァ……』
『ぅ、あッ?! やっ……やぁ……っ!』
 ぐにゅりという柔らかさが、とにもかくにも……得も言われぬ……絵にも描けない……天にも昇る気持ち良さ……それだ!
 ナニコレ! ぱふぱふってすげぇ気持ちイイ!! それとこの張り! 柔らかいのに硬いってナニコレ?! ……これは、思うにアレだアレ。

 ――本来はまだ「蕾」の状態の身体に、生まれながらに備わっている最高級の、ゆえに劇薬じみた「第二性徴」という肥料。そして時が来れば、奇跡と必然の元に『ろり☆ばく』(例として「ろりで爆乳」の略語。「☆」は、各自の好みで有無を決められたし)少女が爆誕する――。

 で、本題の「柔らかいのに硬いおっぱいってナニ?」の答えだが、それはもう先述の論文の中にある。つまり、まだ〇学生の硬さの残る身体で胸が大きくなれば、本来の柔らさとの“上”に硬さが残る……。別に不思議がることじゃなかった。
 沙都子の胸の中で俺は、頭に浮かんだ天啓から沙都子の胸の秘密に至り。
「…………すううー……。ふしゅー……るる……すぅ……」
『あっ、ああ……。臭いを、なんて……っ。お嗅ぎになるなんてルールい、はぁんですわ……』
 今の俺は、奇跡と必然の世界で息ていた。
 何度か遊びに訪れたことのある、梨花ちゃんと沙都子。新たに羽入を加えた少女たちの、慎ましい倉庫小屋の生活臭……。それと沙都子自身の香り……。…………もうヘンタイ(『変態』は嫌)って呼んでもいいです。
 女の子とはなぜこうも……まだ化粧なんてしていないはずの年頃の沙都子なのに、なぜこうも花のいい香りがするのだろう……。さらには、この腰だ。
『あ……っ? け…………圭一、さん……?』
 沙都子は椅子に座る俺にぴったりとくっついて、そして少し大胆に、俺の両膝を跨ぐ格好で俺の頭を抱き締めているわけだが、俺の両手はどうにも退屈していた。それに俺がこうしたイイ状況になると、れなぱんで邪魔をしてくるレナがいないこともあり……。だから俺は沙都子の、発育のいい胸同様、早くも女らしいラインを描いている腰を掴んで膝の上に座らせた。
『あの……け、圭一さん……。なにか硬いものが、その……当たってきて……んうっ!』
 テレビで観るアイドルよりも可愛らしい小顔に困惑を浮かべ、沙都子が未知なる感覚を八重歯と共に口から零しかける。
「ココもぷにぷにしていて……俺のお稲荷さんが、沙都子のナカに入りたがってるぜ……っ!」
 沙都子が俺の膝の上で大きく股を広げて座り、お互いの股間がもどかしく触れ合う。
『……っ? だ、ダメですわ……っ! 今日は危険日でナカ、はァ……ふぁアーッ!!』
「……もうそういう知識を、沙都子は知っているのか……。でもそれ聞いて、かえってすげぇ興奮してきた……ッ」
『ひアあっ!! あっ……ああっ! ダ…………ダメぇ……ッ! くうっ……ア、あ……カタ、くていンンうーっッ!!』
 こうして顔だけを見ていれば、まだまだ幼い子供としか思えない沙都子が、その口から女のセリフを囁き…………俺は椅子の上で寝そべる形になって、揺れる腰を掴んで下へと、股間と股間とがより擦れ合うように沙都子の……ショーツと黒タイツ越しのソコを、俺の股間に押し付けた。
『アっ?! ああッ! こんな……お洋服を着たままするなんて…………。それに圭一さんの……カタくておっきくなったおちんちんが私のおま……』
「……私のおま……? 続きを言えよ、沙都子」
 俺は目の前の愛らしい童顔が羞恥に……女の顔に染まり切ったさまを見つめながら、桜色に色付いた首筋にキスをする。
『私のお、お……。おま……』
「うんうん。私のおま「たせシマリスですわー! 圭一さんんんーッッ!!」「んごごごごいででーっ?!」
 なな?! レナの襲来かっ?!
 俺はセリフもろともレナ……? に蹴飛ばされて、コンクリートの階段を転げ落ちた。……いや。レナと言えばれなぱんだ。あまり人に蹴りを放つ印象はない。それに、先のヘンな口調とおこさまギャグから察するに、相手は夢の中で俺の股間の上でよがっていた沙都子だと、俺は覚醒中の思考で認識を改めた。
「くっ……。あの状態から俺に蹴りを浴びせるとは……。これが黒タイツの……引いては、ツンデレのチカラか…………」
「…………まったく、このひとは……。どうやらまだ寝ぼけていらっしゃるみたいですわね……」
 見上げて呟いた俺の感嘆に沙都子は肩を竦めて答え、片足をぷらぷら。どうやらその足で俺を蹴落としてくれたらしい。
「まったく……。いくら人がこないからって、こんな所でごろ寝して……。それもなにかえっちな……っ。……いかがわしいことを言いながらなんて! ……ほんと圭一さんって、エッチスケッチワンタッチが服を着ているようなひとですわ!」
 どうやら、夢の中のシチュが寝言として外に駄々漏れしていたらしい。あぁ……あぶねぇ。授業中だったら埋葬ものだぜ……。
 涼しむなら下の方がいいですわよ、と軽い足音を響かせながら沙都子が下りてくる。
「……おいおい、どうしたよ沙都子。お前、全身……びしょ濡れじゃねえか。まさか、今までひとりで、水浴びを楽しんでたんじゃねーだろうなあ?!」
 両手にジュースを掲げた沙都子からは、水滴が髪といわず、顎の先や肘からも垂れていた。それに下着が……コイツときたら、シャツの下からブラが透けてるじゃねーか!
「いいえ。ひとりではなく、そこの噴水で遊んでいた子供たちとですわ」
「しかも、公開視姦だとーっ?!」
「……? こうかい、しかん……?」
「あ……いや」
 その羨ましい光景に、思わず出た心の叫びを、俺は沙都子に背を向けて誤魔化す。
「とにかく頭を拭け。それと、俺の分を寄こせ」
 首に掛けていたタオルを後ろ手に差し出して、ぶっきらぼうに言う。
「……圭一さんにはこちらを。そ……それでは、失礼しますわ……」
 ん? 俺にはチヲビタなのか?
 てっきりそっちのポッカリスウェットを渡されると思った俺は、後ろに座ろうとする沙都子に軽く抗議をしようとするも、瑞々しい巨房が背中で弾ける感触に二の句が継げなくなる。
「沙都子……っ。今日のお前は実に、積極的……だな」
 階段の一段分が俺と沙都子の座高の差を埋め、背中のやや上に押し付けられた双房が両肩にまで達し、肉の熱が背中全体で感じられた。
「まっ……。……まさかイヤだなんて、おっしゃりません……ですわよねぇ…………?」
 そして沙都子の細い腕が胴ではなく俺の胸に巻き付き、不安とわずかに艶めきだした声が耳朶をくすぐる。
「……へっ。誰にものを言っていやがる。で? レディの沙都子は、これからナニをシテくれるんだ?」
 なにか、またこんな展開になるだろうなと踏んでいたから、沙都子をレディ扱いするも、顔はにやにや。いやらしい物言いになってしまう。
「私のか……っ、身体は、その…………噴水の涼しさを感じてもらいたくて……。ど……っ、どうですかしら……っ?」
 恥じらいつつも、沙都子は慣れた脚捌きでするりと、俺のあぐらの下へと両足を滑り込ませてくる。
「……もっと『背もたれ』に寄りかかって。手も、この『肘掛け』を使ってくださいまし……」
「くう、ウッ……!」
 沙都子は上体を揺すって、ときに円を描く動きで、その圧倒的なボリュームで俺の背中を愛撫しだす。そして折り曲げた膝を立てて、自分の身体を椅子代わりにしろと、沙都子が耳元で魅惑を囁く。
「……じゃあ、沙都子。時間は「バスが来るまで、まだ十五分ありますわ……」うぁ、アッ?!」
 俺の質問を、沙都子は左手を見せることで遮る。そしてまた、俺の股間に手を這わせてくる。
「この『背もたれ』はでこぼこというか、ぐにゅぐにゅして座りが悪い、が……『肘掛け』はいいな。手触りといい……見た目が半端なく、エロくてよ」
 背もたれに付いた二つの“スプリング”で弾みを付け、俺はペースを取り戻そうと反撃に出る。
「ぁあッ、ぁ……あアっ! そ……そんなはしゃい、で…………肘掛けをいや……いやらしい手つきで撫でまわして……うふふ」
 今日の沙都子は私服なのに、脚は黒のパンスト(正確には『ガーターストッキング』という物で、その名の通り『ガーターベルト』と『ニーソックス』を合体させた物らしい)に包まれ、ふとももに走る黒のベルト部分が絶対領域を左右に二分し、とても新鮮な見栄えだった。そしてなにより、非常にエロい。なにしろ、普段はスカートの中にあるガーターベルトが、ベルト部分とはいえ、こうして外に出て、見えてしまっているのだから!
「……生地はパンストと同じか……」
「くん、ンっ! アぁ……ぁふう…………。く、ふ……ァ……アっ? あ、あぁ…………」
 擦って揉んで伸ばして、生地の特徴を脚と共にてのひらで味わう。そして、さらさらでつるつるのナイロンとポリウレタンの滑らかな手触りから、薄くて破れやすいあのパンストの危うさを感じ取る。
 これはやっぱ……激しくはできねぇよな。
 今日の沙都子を見たときから。そして今みたく手で触らなくても、膝を立てた状態だとそれがよく解る。パンストの黒色が薄まって、その下の膝小僧の肌色が透けて見えるくらいに生地が薄いということが。破りでもしたら、むがむが小言を言われるか、トラップの実験台にされるのがオチだ。
「あぁ……っ? 靴を脱がせてどう……あッ?」
 この脚をもっと愉しみたくて……俺は沙都子の穿いている靴を両方とも脱がしていた。
「ふあっ? あっアアーっ! ンあッ! あふう……っ! うっ……ウうんっ!!」
「ぐ……ぅ? ぁ……ッぁ……!」
 爪先の、その小さな指を愛撫しだすと、沙都子はそれまでの控えめな声から一転させ、しかも俺を両脚で挟むや、強引に締め付けてきた。
「お……おい、さっ……沙都ぉッ……ぉ……ぉぁ……っ?!」
 その形、姿はそう……小さい子が大人に抱えられて用を足す、いわゆる『しーしーポーズ』を強要されていた。しかも万力じみた力は肺まで締め上げ、さながら陸上げされた魚の如く。俺はまともに息ができなくなっていた。
 さらに沙都子は腰を揺すっては押し付けて、それを俺の背中でも行い、胸と女性器の二点攻めで己を慰め、手も前後に動かしていて…………もう限界だった。
「くうぅ……ああっ!! さっ、沙都子ぉ……たっ……たのっ「はあぁ……んむぅ「んむウっ?!」
 息も絶え絶えで、それでも懇願をするべく後ろを向くと沙都子にくちびるを奪われ、開かれたチャックから引きずり出される際にペニスの先端がトランクスに擦られ……。
 びゅるぐぷうっ!! ぶぴゅるびゅびゅっるるう――っ!!
「――ッ?!!」
 絶頂が白く、頭の中と股間で弾け、射出口がてのひらで塞ぐように掴まれた。
「ぷあ゙っ! あ゙あ゙っ!!」びゅびゅるびゅぶぴゅ!! びゅびゅぶぶゅるびゅ――っ!!「あぐアががーっ!!」
 口と口とが滑ってズレて、俺の口からケダモノじみた声が上がる。興奮で粘度を増したよだれの橋が俺の口元と沙都子の口元に架かり、臭いのきつくなった沙都子の口臭に酔い痴れ、八重歯が覗くそのくちびるにむしゃぶりついたり…………その間も、俺の射精は続いていた。
 未だ俺はしーしーポーズで拘束されている。だからその様子は、自分の両膝の向こう側の光景なので直接には見えない。それでも、その激しさゆえに“飛び散っている様子”で、まるで蛇口の壊れた水道を手でなんとかしようとする沙都子のてのひらに止め処なく、スライムみたいな黄ばんだ精液を吐き出している光景が垣間見えていた。
「……ほんと、すごい…………。まだ射精<で>ていますわよ、圭一さん……」「あッ! うあっはっ、アあっ!!」
 暑さで数日前からご無沙汰していて、それから県立大島商業の快進撃を見て、ならば負けるまで自慰を絶ってやるぜと、軽い気持ちで願掛けをした。それが……今日まで溜め続けたモノが沙都子の手淫によって、一度目の射精が終えるのを待つことなく、立て続けにイカされているのだ。それがこの、超・超時間射精の理由。
 およそ三週間ぶりということもあり、それも自慰とは比べようもない快感の元に射精<だ>したソレは大量かつ特濃で、自分のモノにもかかわらず鼻の曲がる臭いだった。
「これが圭一さんの……。すごい匂い…………はぁむ……ん……っ、ん……んっ? ……ん……っ……ぅぅ、んく……」「くぅ……。うぁ……ぁぁ……っ」
 なのに沙都子は、そんな男の欲望そのものとも言えるゲル状の物体を、小さなてのひらいっぱいに乗せて、そして躊躇することなく飲み込んでいく……。その余りにも刺激的な光景に俺は魅入られ、白痴にも似た精神状態になっていく。
「うあ……っ! ああッ!!」
「あは……。圭一さんのも濃くて、全部は……このままでは飲み切れ、ませんわぁ……」
 無限に続くと思わせる俺の射精を受け終えた沙都子は、空になった片手で管の中のモノをしごいて啜り、それも終えると精液でぬめる手でスポーツドリンクの缶をペキリと音を立て、滑らないよう掴む。そして、もう片方のてのひらと共に口元へ傾ける。
「ん、ンふぅ……んぐん……。ふ、ぅ……はあん……うぷ…………ふふ……」
 男の精で首筋まで濡れた喉が淫らな音を立て、沙都子は薄められた精液を勢い悦く飲み干していく。
「ん……ん…………ふはぁ……。
 …………圭一さんのココ……まだ硬いままですけど……。満足シテ、いませんですのね……」
 沙都子はようやく俺を締め付ける脚の力を緩め、今度はその脚をくねらせて“次”をほのめかしてくる。
「…………あと、六分弱か……」「その半分……三分ですわ」「く……っ。大した自信、だな……」
 そんなやり取りの間、沙都子は地下通路の天井を向いた俺の男根に両の足の裏を添えて、しごきにかかる。
「圭一さんは……足でされるのは、お嫌いですかしら?」「くうっ……ッ!」「ほほ……。野暮な質問だったみたいですわね…………」
 あまり肉厚の感じられない、それでも柔らかな足の裏が達して間もない、鈍感なはずの肉棒を痺れさせる。

 繊手然り、胸然り、足然り。
 子供とはいえ……女の身体とは、どこもかしこも柔らかく…………。
 沙都子と本気でふざけ合うことで、幾度となく知識以上のものを得。それは今この瞬間も「実体験」として、俺の眼前に展開し、与え続けてくる。

 パンスト越しという、素足とはまた違うだろうアクセントが加味し、それにこの「女の子に足コキをされる」現状が目も愉しませ、俺は三度、沙都子の胸の中で溺れることとなり……その結果。
「ヲホホ! 圭一さんったら、一分も持ちませんでしたわねぇ~」
「早過ぎだろう、俺ーっ!!」
 行間を挟んで、なんか難しいことを宣ってカッコつけたのに秒殺され、沙都子の脚に勢い良くカッ飛ビングさせた圭一汁を見せられ、俺は半泣きで吠えた。
「……沙都子と言えば足コキです」
「圭一さんと言えば早漏ですわ♪」
『サファリと言えば〇馬です』のフレーズをパクって、俺は悔し紛れに足コキ上手な秒殺姫を褒殺してみた。でも即座に、半哂いで切り返された。……くう、さすがは萌殺し編のヒロイン。
「でも……相変わらずの濃さと量で……んぅ……っ。いつもこう、なんですの……?」
 だるさを訴え出した身体に、肉体疲労時の栄養と精力補給にチヲビタを飲む俺を尻目に、沙都子が脚に飛び散った精液を口で処理し始めた。
 身体柔らけーなと、頭の片隅で思いながらチヲビタをごくごく。今日は特別だと答えかけると気管に入ったチヲビタでむせ、むにゅぐにゅと背中を擦られる。あの……エロリ沙都子さん。こういうときは背中をばしばし叩いてください。と言うか。
「……どうでふ、かひら…………圭一さんもお、良ければごいっしょに……ぃ、ゃアっ、あふうッ?!」
 脚に付いた精液を口で綺麗に舐め取るという、とびきりはしたなく……それゆえに艶かし過ぎる沙都子の濃艶に、俺は見蕩れ直した。
「ああ……圭一さんまでそんな……。冗談で言ったのに、おくちでなんて……ンンうんッ!! あっ……! アあっあ――ッッ!!」
 頭でどうこう考える前に、俺は沙都子の爪先に噛り付いていた。途端、濃厚な生臭さに吐き気を催すも脚の美味さと相殺され、より深く口の中に黒い美脚を招き入れた。そして吸って飲み込む。自分の出したモノと、無粋な反射がもたらす嘔吐感を。
 どうやら沙都子は、足を攻められるのが好みらしく……味を占めた俺は黒の脚線美を、その膝から爪先に向けて、丹念に舌を滑らせた。そして、これまで密やかに快楽の波に震えてきた沙都子の身体が大きく震え出し……それに比例して、歳のわりには若干低く聴こえる不思議な嬌声がトンネル状の地下通路に木霊し、零距離同然の肉声とで俺の耳を犯し、それは理性も崩しに掛かり……。

「おふたりさーん。そろそろイイかなー?」

 その声に、俺と沙都子の顔がそろって真後ろに上がった。
「圭一クンは上着を着て、急いで急いでー。バスが行っちゃうー」
 地下通路の入口には、エプロン姿の幼女もとい慰舞さんがしゃがんでいた。膝の上に肘を立て、てのひらの上にはニヤニヤした童顔を載せて、俺と沙都子を見下ろしていた。
「『続き』は、バスのナカでヤっちゃいなYO!」
 そして慰舞さんは、あっけに取られる俺と沙都子に向けてバンバン。指で作った二丁拳銃を打ち放ち、俺と沙都子を回避不可の視えない銃弾で射抜く。だから俺たちはそそくさと、真っ赤になりながら身支度を整えるのだった。




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最終更新:2011年08月13日 21:36