ここのところ、詩音は不機嫌であった。原因は彼女の双子の姉魅音。 
魅音は念願叶って想い人の圭一と結ばれ、愛し合うに至っていた。
仲のいい姉妹はお互いの近況報告をかかさずしており、つまり詩音は魅音の惚気話に毎度付き合わされることとなったのだ。愛し合うという事は当然身体の関係もあるのだが、その内容に至ってまで魅音は詩音に逐一報告をしていた。 
一方の詩音は想い人の悟史が目を覚まし順調に回復してるにもかかわらず、二人の関係に友人以上の進展はなかった。自分より幼かったはずの姉に先を越されたことや、自分だけが身体の悦びを感じられないことに焦燥感は募り、もはや欲求は爆発寸前であった。
一人では得られない快楽を味わいたい、しかし入院中の悟史に突然そんな我侭は言えるはずもない。
そんな彼女が目に付けたのはいつも無条件に自分の我侭を聞いてくれ、誰よりも信頼の置ける忠臣、葛西であった。
恋人でもない男性に性的な要求をするなんて、他の女の子同様詩音にも、おいそれとできることではない。
普通の相手なら確実にできない。しかし葛西なら・・・
いまさら恥ずかしがるような間柄ではないのではないか?別にいつもの我侭の延長に他ならないのではないか?
そうだこれはあくまでも、いつもの我侭と同様のもの。ごく自然に頼んでみればよいのだ。
そう解釈した詩音は行動に踏み切ることを決心した。
葛西に用意してもらった夕食に舌鼓を打った後、葛西が食器の後片付けを終わらせた頃を見計らって詩音はそれを申し入れる。
「葛西ぃ、暇?ちょっとマッサージしてくれません?」
「マッサージですか、構いませんよ」
「じゃあお願いです。道具なんかも用意してあるんで私の部屋でよろしく」
マッサージ、そう、マッサージなのだ。ただほぐしてもらう部位がちょっと特殊なだけなのだ。
多少の後ろめたさが残るのか、そうやって何度も自分に問題ないと言い聞かせながら、詩音は自室へと向かった。


「えー、葛西。今日はこんな道具とか使ってもらおうと思ってるんですよ」
「・・・」
お察しの通り、詩音が取り出した道具とは俗に言う、大人のおもちゃと言うやつだ。
知り合いの伝で入手したものや、いやがらせで葛西自身に買いに行かせたものなどの数点でほとんどが未使用のままであった。
「詩音さん、悪ふざけはやめていただけますか」
「あっはは、いやー冗談で言ってるわけじゃないんだけどな。ちょっと、ホントにそっちのマッサージをしてもらいたい気分で」
はぁー、と葛西は深くため息をついた。
「詩音さん、冗談でも男性に対して言うような発言ではありませんよ。年頃の女性なんですからそろそろ発言には気をつけていただかないと・・・」
「だから冗談じゃないんだってば。葛西、最近お姉と圭ちゃんが付き合いだしたのは知ってますよね?」
「ええ、伺っていますよ」
「そこなんです、お姉はもう女になりました。圭ちゃんに悦ばせてもらって幸せいっぱいなんです。そんな話ばかり毎度聞かさる私の身にもなってよ。つまり私だって溜まってるんです」
「しかし詩音さんには悟史さんがいるじゃありませんか、そうゆうことは彼に頼むのが道理ではありませんか?」
「さ、悟史君とは・・・まだそうゆう関係じゃないし・・・そ、それにまだ体調的に当分無理だって。悟史君にはしてほしいけど私そんなに待てません。私だって気持ちよくなりたいんです。ねぇ葛西、お願いします」
「し、しかし」
「なにも葛西とセックスしようって言ってるわけじゃないんですよ。
ちょっとソコをマッサージして欲しいだけだから。ねっ?いいでしょ葛西」
葛西としては幼少の頃から娘のように思ってきた詩音に性的接触を行うなど、到底考えられることではなかった。
しかし詩音にこのように頼まれては断れないのも事実であった。

「・・・分かりました、あくまでマッサージなんですね」
「わぁ、やっぱり葛西は話の分かる男です」
詩音は満面の笑みを浮かべると、いそいそとベッドに横になった。
「どういった感じがよろしいでしょうか?」
「んー、まぁおまかせするけど・・・道具だけじゃなく手とかも使ってもらえるとうれしいかな」
やれやれ、このお姫様には敵わない。
葛西は苦笑しながら詩音の短いスカートに手をかけた。タイトなものだったので捲り上げずに脱がすことにした。
中学生にしては少々大人びたレースの付いた下着が露わになる。
「あ、あはは。葛西になんて昔はお風呂に入れてもらってたくらいなのに、やっぱりちょっと恥ずかしいですね」
先刻までの威勢のよさはどこへやら、下着姿を見られただけで詩音の顔は真っ赤に染まっていた。
身体もこわばり、緊張していることが見て取れた。
「止めますか?」
「う、ううん、大丈夫。続けてください」
葛西の手が下着の上からその部分にそっと添えられる。触れられるのも初めてなのだろう、それだけで詩音はピクリと反応する。そこから柔らかいふくらみをそっと包みこむと、ゆっくりと上下に動かしてゆく。
詩音はまっすぐ天井を見つめながら大きく深呼吸をするように呼吸をしていた。

次に葛西は指を立て、くすぐるように恥丘に這わせた。
「んんっ、ん。や、やっぱり自分で触るのとは全然違う感覚」
「初めて触れられた感想はどうです?」
「ありゃ、そうゆうこと聞きますか。まぁその、こそばゆいけど気持ちいいです」
「そうですか、ではこれは?」
そう言って、恥丘の割れ目に眠る蕾を指の腹でそっと弾く。
「ひゃぅっ!・・・へ、へへ変な声出しちゃったじゃない!もう」
「ははは、かわいい声でしたよ」
詩音は恥丘を撫でられているときとはまるで違う感触を感じた。頭まで突き抜けるような快楽の波。
もっとそこに触れて欲しい、そう思ったところで次の刺激が訪れた。
「あっ、ん、んぅ・・・」
ぐりぐりと蕾を攻め続けるとそれはすぐに硬く主張をし始めた。
女の子の中でも割と大きい方なのだろう。十分に快感を感じとったソレは下着の上からでも突起が分かるほどであった。さらにその突起より下の方ではじんわりと染みが広がりだしていた。
「これ以上は下着が汚れてしまいます。外しても構いませんか?まぁすでに手遅れではありますが・・・」
暗に濡れていることを指摘され、詩音は再び顔を赤く染めた。
葛西が詩音の返事を待たずに下着を取り外すと、そこには葛西がかつて目にした幼少の頃の姿とはまるで違う、大人の女の艶めかしい、それでいて清らかな景色が広がっていた。葛西もつい、そこに見入ってしまっていた。
「か、葛西?ひょっとして見とれちゃってたりする?あはは、私も成長したでしょ?ずいぶん女らしくなったと思うんだけどねぇ」
恥ずかしさを隠したくて軽口を叩いたのだろうが、立てられた足が所在無くゆらゆらと動き回っていて、恥じらいを感じさせた。  
「ええ、とてもきれいですよ。悟史さんにもきっと喜んでもらえるでしょう」
「う、あ、ありがとです」


「さて、ではちょっとコレでも使ってみましょうか?」
そういって葛西が取り出したのは電池式のバイブレーター。
楕円形の小さなものではあるが、スイッチを入れると大きな音で震えだし、振動強度はかなり強いように見える。
振動させたソレを、次の快楽を待ちわびているかのようにヒク付いている秘芯にあてがう。
「わっ、あっ、ああああぁぁっ。あっ、ちょっ、ダメっ!それ、強すぎっ!」
ソレが秘芯を揺らした瞬間、詩音は身体をバタつかせて激しく抵抗した。
予想以上の強い反応を示したので、すぐにそこから離し、スイッチを切る。
「いつも使われているのではないのですか?」
「はぁっ・・・、使ったりもするけど、いつもはその、服の上からだし」
さほど強い刺激を与える自慰行為は行わないのだろう。
普段さんざ生意気を言って、こんな年不相応なアダルトグッズまでそろえて、男に性的な要求までしてきた詩音が服の上から微かに擦るだけの自慰で満足していたことを知り、葛西は思わず笑みをこぼした。
「な、なに笑ってるんですか。葛西、馬鹿にしてる?」
「いえ、いえ、安心しただけですよ。強い刺激は慣れてないようですし、こちらの方がいいですかね?」
「え?何、かさ・・ぃんっ」
葛西は詩音の両の腿を抱き、間に顔を埋めると、そっと秘芯に舌を這わせた。
「ふぁ、ちょっ、葛西そんなことまでするの?んぅ・・・はぁっ、き、汚いですよそんな、ところっ」
秘芯全体を舌で包み込んだり、先端をつついたり、小刻みに揺らしたり、お気に入りのキャンディを味わうようにして詩音のソコをゆったりと愛撫した。
ねっとりした舌の感触、熱い吐息、いまだかつてない快感に詩音は身体を震えさせ、また他人の、それもよく見知った男性の顔が自分の股ぐらに埋もれているという事実がよりいっそう感覚を高ぶらせた。
「んっ、感じてくれてますか詩音さん?」
「きょ、今日の葛西は意地悪です、ぅんっ、あっ、でもっ、なんだかすごくイイです・・・
感じます。さすがっ、上手ですね葛西」
「お褒めに預かり光栄です。そろそろイキますか?詩音さん」
葛西は舌の動きを早め、さらに根元の方は指を使って、先ほどまでより強く攻めたてた。
「ふっぅ、んっ、んっ、んんんっーー!!!」
ビクンと秘芯が跳ね、愛液を零しながら詩音は果てた。



「はぁっ、はぁー。イっちゃったってやつですね。なんだかすごい脱力感」
「そのままお眠りになられても結構ですよ、処理はちゃんとしますから」
そういいながら詩音から零れる液体を指ですくって見せる。
「あぁ、拭いてくれるんですか?昔トイレの後・・・はさすがに拭いてもらったことないですよねぇ」
「こうゆうのは舐めとるって方法もあるんですよ」
「え?あっ・・・」
葛西は再びソコに顔を近づけ、先ほど攻めていたより下の濡れ傍る部位を舐めあげた。
いまだ溢れ続ける液を吸い取り、痕跡を消してゆく。
「キレイになりました。下着は新しいのを出しますね」
「あ、ありがとう」
葛西は下着を取り出すべく立ちあがろうとしたが、服のすそをつかまれ阻まれる。
「で、でもそんなことをされたら、そっちの奥の方も触れて欲しくなっちゃいます・・・。」
名残惜しそうな表情で俯きがちにつぶやいたその台詞は通常男にとってとても魅力的な申し出である。
しかしこの場合においては葛西に、詩音をなだめなければならないと言うやっかいな仕事が増えたことを意味していた。
「奥って・・・、中ですか?」
「そうです」
「・・・詩音さん、ここまでのことでもすでに限度の越えたことをしています。それは分かりますよね?」
「・・・」

「もちろんこれは結局断らなかった私に責任がありますが。今までのことは詩音さんが望めばなかったことにもできます。ですが中はそうは行きません。貴女も子供ではないんですから分かってると思いますが女性の初めてってのは一回しかないんです。元には戻らないし、目に見てわかるんです。それは好きな方のために取っておくのが道理ってもんです」
「それは、分かってるって。ちょっと前までは私もそう思ってたし、初めては絶対悟史君にもらって欲しいって。でも、最近私気づいたんです。おそらく悟史君には性の知識は皆無です。処女とそうじゃない人の違いなんか分からないだろうし、セックスのやり方を知ってるのかも怪しいです」
「そんなことはないでしょう。彼も年頃の男性ですし、詩音さんの前でそういった態度を見せないだけでは?」
「いえ、それがですね、私最近診療所で悟史君の洗濯くらいは手伝うんですよ。下着なんかも洗って畳んだりしてあげるんだけど・・・その下着にですね結構よく付いてるんですよ、その、精液ってやつが」
「・・・つまり、夢精をしていると」
「そうゆうことなんでしょうね、ティッシュは傍にあるんですから起きている時じゃないでしょうそれも結構べっとりですよ?頻繁に、あんな量夢精で出しちゃうなんて・・・」
「自慰をしていない」
「多分知らないんじゃないかな、オナニーなんて」
「そうでしたか」
「そんな悟史君とですよ、仮に告白が成功して、いずれそうゆうことをしようってことになっても私がリードしてあげなきゃだめなんですよ?」
「それで、慣れておきたいと思ったわけですか?」
「うん、それもあります。私も知らなきゃ教えてあげられないし・・・でもそれだけじゃなくて、私悟史君のことは大好きだし信頼はしてるけど、そんな訳だからそっちの方では全然頼れないんですよ。・・・私だって始めては怖いんです、不安なんです。だから初めては頼れる人にして欲しいんですよ」 


葛西は考えた。女性には最初はひどい痛みが伴うものだし、不安を感じるのも当然だ。
だからこそ好きな人と、と思うのであるが、確かに若いうちは男性の知識不足や経験不足で必要以上の痛みを与えられたり望まぬ行為を強いられたりと、大好きな相手との初体験が最悪な思い出になるケースも少なくない。
詩音の言うことももっともである。
「私葛西のことは一番信頼してるから、葛西なら安心なんです」
今ここで自分が貫通式をすれば、若造がするより全然痛みも少なくしてあげれるだろう。
今度詩音が大好きな相手とする初めての経験を痛みもなく気持ちいいだけの幸せの時間にしてあげられるだろう。
そんな風に詩音の言い分を肯定的に考えてしまっている自分に気付き、葛西は苦笑した。もう完全に詩音のペースだ。ひとたびコレにはまってしまったらもう逃れられないのだ。
「後悔しませんか?」
「大丈夫」
「痛みが伴いますよ?」
「葛西なら他の人がやるより痛くしないと信じてます」
それ以上聞くことはしなかった。
視線を詩音の秘所に戻し、そっと触れてみると先ほどキレイにしたはずのそこはもう湿り気を帯びていた。
準備はもう十分である。硬く閉じられる秘裂を探り当て、そっと小指を挿し込む。
「ぅ、ん・・・」
小指一本の圧力でも、何物の進入も許したことのないソコはかすかな悲鳴をあげる。
指は負担をかけないようゆっくりと進入しまた後退し、痛がる子を慰めるように甘い快楽を与える。
詩音は持続的な鈍い痛みを感じながらも、徐々にそれが快楽のパルスにかき消されていくのを感じていた。
しかしこれではまだ足りない。最終的には悟史の肉棒をやすやすと咥えられるほどにしなければならないのだ。葛西は小指の動きに幅を持たせ、入り口をほぐすようにして拡げていった。
「いっ、ぅう」
痛みも増すのだろう、詩音の顔が苦痛に歪む。痛みを紛らわせようと葛西は空いている左手で陰核への刺激を加えた。
「痛みが酷いようでしたらおっしゃってください。無理することはありません」
「ふっ、ぅ、が、我慢できる痛みですっ。痛気持ちいいってゆうか・・・ぁ、
気持ちイほうが勝ってるかな。もっと・・・もっと触れて」
「承知しました」

指の動きを早める、一度抜き出し、間髪いれずに人指し指に差し替える、内壁を引っかくような動作を加える。
葛西の指が自分の中で暴れ、掻き回されるのを感じ、詩音は身体を火照らせた。
指の動きが激しくなるにつれ快い感覚も増してゆく。
「んぅ、はぁ、イイっ、これ、イイ・・・って、はれ?」
これから絶頂に上り詰めようというところで突然指が引き抜かれる。
「や、やめちゃうの?」
「せっかくよくなったところですみません、ですが今が一番いいタイミングかと思いまして」
葛西は詩音の用意した道具類の中から、男性器を模したシリコン製の性具――いわゆるディルドを取り出した。
何本かあったが、一番柔らかいものを選んだ。
「あぁ、ついに入っちゃうのか」
横目でちらりとそれを見た。
その太さで大事なところをこじ開けられることに詩音は若干の恐怖を覚えたが、彼女の中はそれを欲してひどく疼いていた。堅く目を瞑り、痛みに備える。
「力を抜いてください、詩音さん」
入り口にあてがわれる。小さな口が押し広げられる、詩音は痛みに襲われ声を漏らす。
内壁の抵抗に逆らいそれは奥へ進む。深いところまで到達し、進攻は止められる。
血は出なかった。
「うくぅ・・・は、入った?」
「ええ、根元までしっかりと咥えられてますよ。見てみますか?」
そう言って葛西は詩音の両足を持ち上げ腰を浮かせる。
「わ、わ、ホントに入っちゃってる。なんだかめちゃめちゃ恥ずかしいデス・・・」
「痛みは大丈夫ですか?」
「ええ、入る瞬間は痛かったけど、入ってしまえば全然」
「馴染むまでちょっとそのままにしておきましょう。お茶を入れてきますね」
「え?ちょっ、女の子この状態で放置?ちょっと、かさいー!」
詩音の抗議の声を聞き流し葛西は台所へと消えた。



「お待たせしました、詩音さん」
カップを載せた盆を手に葛西は寝室へ戻った。
「遅い!ってゆうか行っちゃうとかありえないし。ひょっとして葛西っていつもエッチの最中に女の子ほったらかしたりするの!?」
「ははは、そういうわけでは」
小さなテーブルに盆を置き、ティーカップを自分の手元へ、蓋付きでストローの挿さったマグカップを詩音に手渡す。
「ぬるめに淹れました」
「あ、どうもです。まぁ確かに喉は乾いていたところだけど」
寝たままの状態でストローに口をのばす。葛西もカップを傾け、二人はほっと一息ついた。
「お茶請けのクッキーもどうぞ。破片をベッドにこぼさぬよう注意してください」
「一口でほうっちゃうから。ん、おいしいですねコレ」
「穀倉の駅前の店のものです」
「あーあの喫茶店、一度入ったことありますよねー・・・って、なんでこんなくつろいでるんですか私たち。おかしくないですか?この状況。私下半身丸出しですよ?こんなぶっといのアソコに突っ込まれたままだし。比べて葛西は一切乱れのないスーツ姿だし。なに優雅にお茶してるのさ!ってゆうか口に出したらかえって恥ずかしくなったし!」
くくく、と葛西はこらえきれずにふきだす。
「な!また笑って!」
「い、いえすみません、くく。確かにこの状況でお茶を楽しむ男女はあまりいないかもしれませんが、詩音さんも初めて犯された娘の態度じゃありませんよ。あまりに普段と変わらないので、くくく、可笑しくて・・・」
「も、もう。葛西だからですよ。されてるのが葛西にだから、なんか緊張しないんです。
痛くなくしてくれましたし、恐怖もほとんど感じませんでした」
「それでは私はお役に立てましたか?」
「ええ、ま、そりゃ。感謝してます」
「ふふ、ではそろそろ最後の仕上げに入りましょうか」

仕上げとは当然、その詩音に挿さったままの情欲棒で詩音を絶頂へと導くことである。
先ほどから詩音のソコは中途半端な刺激により疼いたままであった。葛西はカップを置き、腰を上げる。
「あ、あれ?ちょっと葛西!」
突然、詩音が驚きの声を上げる。
「どうかしましたか?」
「か、葛西のそ、そこ。なんかすごく張ってるみたいなんですけど・・・」
葛西は視線を下に落とし、自らの身体に起きた変化を目の当たりにする。
言われるまで気付かなかった。詩音のわがままに付き合いしぶしぶやっているものだと、特に色欲はないと、そう思い込んでいた。いつごろからだろうか?いやもしかしたら最初からかもしれない。
目の前の少女の裸身に、痴態に、自分は欲情していたのだと、葛西はこのとき初めて気付いた。
「あっ、も、申し訳ありません。見苦しいものを」
葛西は慌てていた。歴戦の極道人ともあろう葛西にもこの事態はあまりに不測であった。
「詩音さんに対しこのような情を抱くなどあってはならないことです。お望みとあらば後日ケジメを取らせて頂きます」
「えっ、い、いや別に気にしてないから私。その、葛西も男だったってだけですよ。さっきからあんまり涼しい顔してるもんだから私の身体なんかまるっきし興味もないのかと思ってました。ずっとそのままだったら私自信なくしたかもよ?そんなに魅力のない身体なのかって、ははは」
「そんな訳ありません。これは自身の言い訳に聞こえるでしょうが、詩音さんのこの身体を前にして欲情しない男などいませんよ」
「あ、はは。それ今の葛西が言うとすごい説得力あります。・・・あの、私の方こそごめんなさい、私ばかり気持ちよくしてもらっちゃって。葛西のこと全く考えてませんでした。
こんなに、我慢させちゃってたんですね」
そっと、葛西の隆起した部分に触れる。いとおしむようにそれを撫でた。
「い、いけません触れたりしては・・・詩音さんが気に病むことではありません。これは私の精神力不足ゆえですから」
「でもいつも我侭ばかり言って葛西には迷惑かけてますよね、私」
「自覚があるのでしたら今後は慎んで頂きたいのですが・・・」
「うーん、多分慎まないけどね」
即答に落胆の色を見せつつも詩音らしいと葛西は思う。


うやうやしい会話に気を取られている間に詩音の指はジッパーを引き下ろし、硬く反り立ったものを取り出していた。
「ねぇ葛西。これ、私に挿入れてもいいですよ?」
「し、詩音さん!それはなりませんよ!」
冗談とは取れなかった。現に今葛西のものは詩音に握られ、手淫とまではいかないものの惚けそうになるような快楽を与えられているのだから。
あと30も若い青二才であったならすでに詩音に覆いかぶさっていることだろう。
「だって、治まらないじゃないコレ。私のせいだし・・・」
「あとでトイレにでもいって何とかできますから」
「私はシてもらって葛西にだけ一人でさせるなんて、ヒドい女みたいじゃないですか。そんなの申し訳なさすぎですよ」
いつもは自分の迷惑だの、身の危険だのをまるで考えやしないのに、なぜこんなときばかり自分を気遣うのだろうか、優しさを見せるタイミングが悪すぎる。
葛西は心の中で悪態をつく。
「それに私もどうせならこんな無機質な棒じゃなくて、葛西のあったかいやつでシてもらう方がうれしいです。どうせ二人とも気持ちよくならなくちゃ治まらないなら一緒にやっちゃった方が効率いいって。だから葛西の・・・ください」
ああぁ、そんな男殺しな台詞をはかないで欲しい。もっともらしい理由をつけて心を揺さぶらないで欲しい。自身の中の眠っていた欲望が目を覚ましてしまう!
葛西本日3度目の心の葛藤が始まった。
葛西とて男だ。若くて可愛い女の子を目の前にしヤリたいかヤリたくないかと聞かれればヤリたいに決まっている。
ましてや目の前の少女は、葛西が生涯想いを寄せ続ける女性に生き写しである。想い人とは結局なすことのできなかった交わりの夢を、この少女にその面影をのせて果たしたい。そんな想いが頭をよぎる。
しかし、駄目だ。自分は彼女に忠誠を誓った。彼女の娘を信頼によって任されているのだ。彼女だけでない彼、父親にだってそうだ。お前ならと、絶対の信頼を受けているのだ。それを踏みにじるような真似はできない。葛西は首を横に振る。
「お母さんたちに義理立てしてます?気にすることないですよ。私とシたからって裏切ったことになんかならないです。だって私葛西に傷つけられてなんかいませんし、私の我侭聞いて良くしてくれてるだけじゃないですか。葛西は私にとって体の一部みたいなもんなんです。だから私、葛西にだったら何されても平気なんです」
天真爛漫な微笑みに魅せられ、葛西は眩暈をしそうになるのを感じた。
そうか、誰かの面影を重ねてのことではない、自分は目の前のこの少女それ自身を欲しているのだ。そう気付いた。

「ね?葛西、私葛西とシたいです」
わが子のように思ってきた。立場上厳しく叱ることはできなかったが我侭を聞くのは苦ではなかった。
親にも言えないようなことも打ち明けられた、親子より多くの時間を共に過ごした、親子よりも強い絆を感じていた。
それでもどうしても手に入らない血の繋がり、その溝を埋めるために身体を求め合うのはもしかしたら至極当然のことなのかもしれない。 
「詩音さん・・・」
もう心は決まっていた。葛西は横たわる詩音の足元に跪き、彼女を侵す禍々しい性具を抜き取る。
それは詩音の蜜を絡めとって妖しい光を放っていた。葛西は自身の肉棒に儀棒を擦りつけ、蜜を奪い取った。にちゃにちゃと卑猥な音を立てながら葛西の大事なものが自身の体液によって汚されていく、詩音にはその光景がひどく官能的に思えた。 
用済みになった玩具を投げ捨て、葛西は詩音に跨った。
至近距離で互いの荒い吐息が感じられる。詩音の額に軽いキスを落とすと、葛西は詩音の中へ侵入した。  
「ふっ・・・、ぅん」
まだ若干の痛みは感じるものの、詩音の秘所は快く葛西のソレを受け入れた。
肉壁に包めれた葛西はさらに膨張し、肉棒に押し広げられた詩音はさらにキツク締め付ける。
詩音はその中を熱いもので満たされる感覚に酔いしれた。
「か、葛西が私の中に入ってます。私今、葛西と一つになってるんですね」
「詩音さん、実況するおつもりですか?」
「あ、はは。ちょっと言ってみたかったんです。誰かと一つになれるっていうのが、なんだかうれしくて」
顔を紅潮させ、はにかんだ笑顔で詩音はそう言った。

「動いていいですよ」
言葉を受けて葛西は動き出した。ゆっくりと、葛西のその男性自身の存在を詩音の身体に伝えるように。初めてでまだ狭いそこだが、愛液に助けられ葛西のものは滑らかに行き来することができた。
「詩音さんの中、とても心地いいですよ」
「んぅ、葛西のもっ、熱くてすごくいい気持ちです」
数え切れないほど行ってきた行為なはずなのに葛西の男根は痛いぐらいに張り詰め、強い刺激を与えられていた。
このままでは長く持たない、そう感じた。
このまま刺激を強めて上り詰めたくなるのをぐっとこらえ、葛西は気を紛らわすことを考える。
ちょうど自分の目線の下にはいつのまにか大きく成長した詩音の乳房。
服を脱がそうと捲り上げると詩音は自ら腕を上げて背中を浮かせた。一気に抜き取り下着もすばやく取り外す。
たわわに実った二つの果実が目下に晒される。腰の動きに合わせ揺れ動くそれを葛西は両の手で鷲掴みにした。
キメ細かい肌の感触はとても滑らかで、強く握ればつぶれてしまいそうに柔らかだった。加減した強さ短いスパンでそれを揉む、揉む、揉む。優しく激しく揉みしだかれ、詩音はその甘美な感覚に酔いしれた。
「はぁ、ん。葛西、葛西も・・・脱いでよ」
思えば葛西は着衣のままイチモツだけが外に出されている状態であった。特に自分が脱ぐ必要はないかと思っていてたが、詩音の要望とあらば葛西はそれに従う。詩音への愛撫を途切れさせないように、片手で器用に脱いでいった。
葛西がすべてを脱ぎ終わり、互いに一糸纏わぬ姿となると詩音は葛西の背中に手を回し、彼を強く引き寄せた。
互いの肌が触れ合う、互いの鼓動が伝わる。あれほど身近にいたが、こんなに互いの存在を感じられることは初めてだった。
「ん、か、さい。葛西ぃぃ・・・」
「詩音さん」
胸の鼓動が高まる、それと同時に下半身に感じる感覚も強まっていく。葛西は腰の動きを早めた、熱いその中をさらに熱く、激しく突き上げる。絶頂は間近だ。
詩音もまた中を激しくかき回され、快感に頭を支配されていた。肉棒が行き来するたびに上り詰めてゆく。
肉棒の往来が一段と激しくなる。
「詩音さんっ、詩音さん・・・っ」
「あうっ、なんか、なんか来ます!あっ、あっ、あっ、あぁっぁぁあぁぁぁ!!!」
詩音の絶頂を見届けると、葛西は勢いよく肉棒を抜き出す。
その瞬間葛西も最高潮に到達し、激しく白濁液を飛び散らした。



初めて中での絶頂を迎え、恍惚とした表情のまま横たわる詩音。
葛西は詩音の身体の自分の体液によって汚してしまった部分と、詩音自らの体液に塗れた部位をきれいにふき取り、
寝巻きに着替えさせようと、新しい下着を足にかけた。
「あ、待って。今日は私このままで寝たいです」
「風邪をひかれてしまいますよ。まだ夏とはいえ夜は冷え込みます」
「ぇと、葛西があっためてくれれば・・・今日はその、一緒に寝てくれませんか?一人でねるの、イヤです・・・」
今日はいつになく甘えん坊だ、葛西は思った。わがままなのはいつものことだが、そうやって素直に甘えてくる詩音を見るのは珍しく愛おしく感じられる。こうゆう態度を取られては、つい甘やかさずにはいられなくなるのだ。
親バカ・・・みたいなものだろう。
「詩音さん、子供に戻ってしまいましたか?」
「だって、葛西が今日は優しいから」
仕方がないですね、そう言ってため息を漏らしながら布団に潜り込む葛西の顔は見事に綻んでいた。ぬいぐるみに抱きつくように葛西に寄り添う。
「葛西、今日はいっぱい我侭聞いてもらってありがとうです」
「礼には及びません、最後は結局私の自己満足を兼ねてしまいましたし」
「あはは、じゃあおあいこってことでいいか」
詩音は満足げに微笑む。
「葛西・・・また、たまにはしましょうね」
“今回のは互いの過失です。こんなことはこれっきりにしなくてはなりません。”
そう、言おうと思った。
しかし無意識に葛西の口をついて出てきた言葉は・・・
「・・・詩音さんが望むなら、いつでもお引き受けしますよ」


FIN

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最終更新:2009年02月12日 22:55