「……はぁ……」

空に満点の星空が浮かぶ真夜中。 梨花は窓のふちに腰をかけながら、そう深くため息をついた。
その手には愛用のグラスが握り締められており、中には彼女の大好きな紫色の液体がなみなみと注がれている。
そのグラスの中の氷をカランと鳴らしながら、梨花は憂鬱そうな表情でふたたび美しい夜空を見上げていく。

「…………ふぅ……」

一口、そして二口……手元のグラスを口に運ぶと、梨花は今夜もう何度目かというため息をついた。
どこか色っぽい雰囲気を漂わせながら、ワインを片手にため息をつく少女……。
はたから見たらまるでどこぞの熟女がするような仕草にも見えるだろうが、そこに腰をかけている梨花の身体はまだとても小さく、幼い。 だがだからこそ余計に、それを見てるものにとってはとても物悲しく感じられた。

「あぅ……あの、り、梨花……?」

ついに我慢できず、といった感じにその少女が声をかける。
すぐ傍の布団ですでに寝息を立てている沙都子を尻目に、彼女は窓際で物思いにふける梨花をずっと見守っていた。
本来、梨花がこんなふうにしている時は声をかけないほうがいい……。 彼女は長年の経験でそれを知っていたのだが、梨花のあまりの落ち込みを見るに耐えず……というよりこの重苦しい雰囲気に耐えられなかったのだろう。
特徴的な頭の角をフルフルと震わせながら、羽入はおもいきって梨花に声をかけていった。

「あぅ……梨花、一体なにがあったのですか? そんなに悲しそうな顔をして……」

梨花だけでなく、羽入の方も心配と不安が入り混じったような表情でそう質問する。
するとそれが伝染していくように、梨花の表情もまずます曇っていってしまう。

「…………………」

「あぅ……あぅあぅ、り、梨花ぁ、答えてなのです……」

聞こえていないのか、それとも無視しているのか。 羽入の心配する声をよそに、梨花はただ黙って口元にグラスを運び続けるだけだった。
そんな重い雰囲気を感じ取った羽入はますます梨花の心中が想像できなくなり、いつもどおりただあぅあぅと鳴くことしかできなくなる……。 どうやらこれはかなりの重症らしい。

もう百年近く一緒にいる羽入でも、梨花のここまで落ち込んだ様子はめったに見たことが無かった。
終わりの無い、死の螺旋。 それからずっと抜け出すことのできなかった特異な少女……。
悲痛な運命に巻き込まれていた古手梨花は、今のようにこうして深く落ち込むことがままあった。
そういう時は唯一の理解者である自分が慰めてあげたり、またはあえて声をかけずにそっとしてやることもあったものだ。
なのでこういう状況自体は特別めずらしいことでもない。 他の少女ならいざ知らず、古手梨花という少女ならばこういう重い表情を作り出すこともおかしくはなかったのだ。

……だが、今はもうちがうはず。 おかしくなかった、という過去形にできるのだ。

なぜなら、もうあの悪夢は終わったから。 古手梨花は救われたのだ。
百年以上も終わらなかった六月の迷路を抜け去り、彼女はようやく人として普通の幸せを取り戻した。
もう人生が巻き戻ることもない。 羽入が梨花にふたたび人生をやり直させることはないだろう。 これからの梨花は最高の仲間達と共に、最高の時間を過ごしていけるのだ。
今までの百年分を取り戻すように……。

「あう……あ、あの、梨花。 どうしてそんな顔をするのですか? そんなに寂しそうな……」

だからこそ羽入には余計に理解できなかった。 今の梨花の心が。
自分がこうしていくら語りかけても、何も答えてくれない。 それどころか反応すらしてくれず、ただ夜空を見上げるだけの彼女のことが見えない……まるでわからなかった。
それは羽入が神様だということもあるが、何よりも百年近く一緒にいる友達……。 親友がなぜここまで落ち込んでいるのか、という意味でもあった。
本当だったら今は何も聞かないほうがいいのかもしれない。 それでも……どうしてもほっとけない、と羽入はまた口を開く。

「り、梨花、おねがい……おねがいなのです。 何か悩み事があるのなら、僕が相談にのりますから、そんな顔しないでなのです……あぅあぅ」

羽入はついには梨花の傍までちょこちょこと駆け寄り、彼女の服のソデをクイクイと引っ張りながら懇願するように泣きついた。
慰めなければいけないのは自分の方なのに、これではまるで羽入の方が慰めて欲しいといっているようだ。
その羽入の想いが通じたのかどうかわからないが、ようやく梨花は手元のグラスをカランと傾け口を開いていった。

「最近ね……圭一が冷たいの……」

ようやく……ようやくそれだけを呟くと、梨花はまた手元のグラスを口元に寄せた。 ゴクリゴクリと音を鳴らしていき、そのままふぅっとため息をついていく。 
梨花の口から流れる甘く芳醇な香りを嗅ぎながら、羽入はようやく彼女が会話をしてくれたことへの安堵と、チクリと胸に刺さる不安感を感じながら更に梨花に聞き返していく。

「け、圭一……? 梨花がこんなに落ち込んでるのは、圭一が原因……なのですか?」

「……そう。 最近、圭一が私にかまってくれないの。 ぜんぜん、ね……」

梨花は今にも泣きそうなほど悲壮な表情を作りながら、羽入の問いに答えていく。
内容も合わせて、それはまるで恋人に振られた直後の少女の告白のようでもある。

「今まですごく可愛がってくれたのに……急につれなくなった気がするの。 まるで私に興味がなくなったみたいにね……」

「あぅ……り、梨花、興味がないなんてそんなこと……」

「ねぇ羽入、私じゃやっぱりダメなのかしら? やっぱり圭一はレナみたいに家庭的な女の子のほうが……魅ぃみたいに魅力的な子がいいのかしら。 だってあいつスケベだし……」

「そんなこと……り、梨花だって充分可愛いのです! 魅力的なのですよ!あぅあぅあぅー!」

「でもでも、私レナと魅ぃに比べたら胸だって全然無いじゃない? っていうか、同い年の沙都子と比べてもアレじゃない……こんなツルペタじゃ……」

「む、胸なんて関係ないのですよ! 梨花みたいに『無い』ほうが好きな人もいるのです。 圭一はきっとそっちが大好きな男なのですよ? ま、まちがいないのですー!」

「そう……そう、かな。 そうだといいんだけど……」

「あ、あぅあぅ。 そ、そう、きっとそうなのですよ梨花……」

一度口を開くとわりとスラスラ話し出す梨花に、羽入は少し複雑な気持ちになりながらフォローしていった。
なんてことはない、結局はただの恋わずらいだったようだ。 まるでこの世の終わりとばかりにまで落ち込んでいたのに……と羽入は拍子抜けだった。 もっとも本人にとっては大問題なのだろうが……。
少し元気を取り戻してきたように見える梨花の様子に、羽入は更に慰めの言葉をかけていくことにする。

「そ、そうなのです! き、きっと圭一は梨花を意識しだしたのですよ。 それで急に話づらくなったとか……き、きっとそうにちがいないのです!」

「え……い、意識って、私を? そ、それって……」

「もちろん、女の子としてなのです! 今まで妹みたいに見ていた梨花を、何かの拍子に急に『女』として見てしまうようになったってことなのです! あぅあぅあぅ~これは梨花大チャンスなのですよー♪ キャーキャー♪」

「そ、そんな……女って言われても……。 圭一が私を、女の子として……?」

羽入のわりと適当な慰めを聞くと、梨花はさっきまでの落ち込みようが嘘のように顔を赤くしだした。 どうやらわりと単純な悩みだったらしく、羽入が……というより誰かしらに気休めでも言葉をかけてもらいたかっただけらしい。
そして口には出せないが、羽入は梨花の様子を見ながら内心ホっとしていた。
ヘタをすればあの六月の惨劇並の悩みでも抱えているのかと思っていたし、なによりも『圭一』という言葉が個人的にものすごくドキリとした。
しかし実際に梨花が口にしたのはこの年の女の子ならば誰もがするだろう、恋の悩み。 おまけに自分のペッタンコな胸を気にするという他愛もないものだった。
羽入はとにかくこの場はうまく丸め込もう、どうせわかるわけないと梨花の心を更に持ち上げていく。

「だ、だいたい梨花は大げさなのです! 僕はてっきり、またあの百年の苦しみに匹敵する悩みでも持ってるのかと思ったのですよ……」

「……ふふ、そうね。 こんなことで悩んでたら、あの百年分はなんだったのって話だしね?」

「そ、そうなのです! このくらいのこと、僕達にとってはぜ~んぜんなんの問題にもならないことなのですよ? あぅあぅあぅ~♪」

「ふふ、ふふふふふ……♪」

「あぅ、あぅあぅあぅ~♪」

ようやく梨花がクスクスといつもどおりの笑みを浮かべるのを見て、羽入は安堵した。
最初に圭一の名前が出てきた時はどうしようかと思ったが、どうやら梨花はなんとか立ち直ってくれたようだ。
それだけで羽入にとってはとても嬉しいことであったし、何よりも自身が思っていた不安が的中せずによかった……。
これでまた明日から『普段の生活』が続けられることを嬉しく思いながら、羽入はすでに布団の中で寝息を立てている沙都子の元へといそいそと駆け寄っていった。

「ほらほら梨花、もうこんな時間なのですよ? あんまり遅いと明日遅刻してしまうのです。 沙都子と一緒に三人で寝ましょうなのですよ~ほらほらほら~♪」

満面の笑みでニコニコとしながら、羽入は沙都子の寝ている隣の布団をポンポンと叩く。  ずっと梨花のやさぐれモードに付き合っていたため彼女もいいかげん眠いのだろう、早く暖かい布団で眠りにつきたいといった感じだ。

「あ……ごめん、ちょっと待って……」

「?…………り、梨花?」

しかし梨花は羽入の期待通りの反応を示さなかった。
それどころか羽入が布団に誘うのも無視して、何やらすぐそばのテーブルの上に乗っていた物に手を付けたのだ。

「……あぅ? り、梨花、何をしているのですか? どうしてテレビのリモコンなんか……」

「ん……まぁちょっと、ね……」

何か意味ありげに呟きながらリモコンを操作しだす梨花を見て、羽入は怪訝そうな表情を浮かべる。
もう日付が変わっているほどの深夜だというのに、これから呑気にテレビでも見ようというのか。
どうせこんな時間ではどこもやってないだろうにと羽入は思ったが、梨花はかまわずリモコンのスイッチをポチっと押しテレビの電源を付けていく。
思ったとおり、ザーっとした砂嵐だけがブラウン管に映し出される。 それを確認しながら梨花はテレビにまで駆け寄っていくと、今度は下にあったビデオデッキにまで手をかけていく。

「えっと、たしかまだ入ってるはずだから……」

「あの、り、梨花……? どうしてこんな時間にテレビ……ビ、ビデオなんか見るのですか?」

「……………………」

羽入が当然ともいえる質問をしても、梨花は無言でビデオデッキを操作していく。
どうやらすでに中にはビデオテープがセットされているようで、梨花が『再生』と書かれているボタンを押すだけでデッキがウィィィンっと起動音を鳴らしていく。
背後ではわけもわからず羽入があぅあぅ鳴くのを聞きながら、梨花はただ黙ってそのテレビに映し出されていく映像を見つめていく……。

そして……『それ』が映し出された。

『んああああ、い、いい、きもちいい! おちんぽ奥まで届いてるのですぅぅひああああ!!』

「…………っ!? ……え……」

映像が映し出された瞬間、テレビのスピーカーからとてつもなく卑猥な声が漏れ出した。
そしてそれとほぼ同時。 沙都子の傍の布団にちょこんとお座りしていた少女の顔色が……真っ青に染まっていった。

『あはぁ、あん、あん、い、いひぃ♪ おちんぽ奥まで届いてるぅ僕のおまんこにひぃぃ!! あああきもちいい! きもちいいのですぅあぅあぅあぅぅぅおまんこおぉぉぉぉ♪♪』

沙都子が起きてしまうんじゃないか……というほどの大音量。 その人とも獣とも似つかない声が、テレビのスピーカーからとめどなく流されていた。
それはおそらく、誰が聞いても異常だと思えるほどの悲鳴……。 人のあえぎ声だった。

「あ、あぅ……ど、どうして……そんな……」

その異常ともいえる声を聞いた瞬間、羽入はただ呆然とした表情を作り出す。 
そしてそれとは対照的に、梨花の方はどこか冷めたような表情でジっと映し出されていく映像を見つめていった……。

『あひぃん♪ ああああきもちいい! おまんこすっごくイイのですぅぅぅあああああ♪♪♪』

その映像には梨花と同い年くらいの少女の姿が映し出されていた。
その少女は何やらはしたない声をあげながら、一心不乱に腰を振っている。 ……全裸で。
画面は少女の主に上半身を捉えていて、おそらくこれを撮影しているのは男の方であろうことがわかる。 目の前には少女の裸体がガクンガクンと上下に揺れていた。
そしてよく見ると梨花と同じくらいというのはあくまで顔だけで、その体つきはおおよそ子供とはいえないほどにいやらしいといえるものだった。
愛くるしい瞳。 どこか幼さを残している口元……。 そのロリっぽい顔つきとは裏腹に、少女の乳房は不釣合いなほどに大きく実っていた。 魅音にも勝るとも劣らないといえるほどに。
大きな乳房の真ん中ではツンと尖った乳首が伸びており、彼女が腰を上下する度にその乳首ごとブルンブルンと豊乳が揺れてしまっている。

『あ、あ、あぁぁん入るぅ! 奥までズッポリなのですぅ! 僕のおまんこの中にズンズンきてるのですぅぅぅぅ! 僕この格好でするの大好きぃ、まんこの奥の奥まで届いてんああぁぁぁいひいいぃぃぃぃぃぃ♪♪♪』

しばらくするとやや画面が下に向かって降りていく。
少女の下半身ははしたなく大股に開かれており、両脚にはムチムチとした肉が付いたおいしそうなふとももが淫らに揺り動かされていた。
そしてそのムッチリとしたふとももの付け根……股の間には男のペニスが根元まで突き刺さっていた。
一層ピンク色なその少女の膣の入り口に、卑猥にもズッポリとペニスが咥え込まれていたのである。
おまけに少女が腰を上下する度、そこからはジュプリジュプリといやらしい音が漏れ出してしまっている。 テレビのスピーカーからは、おもわず耳を塞ぎたくなるほどの大音量でそれが漏れ出してくるのだ。
おまけに少女のペニスを咥えこんでいる膣からは、透明な液体がビュッビュッと激しく噴き出しており、この映像を映しているであろう、ビデオカメラのレンジまでをも汚しそうな勢いに噴き出していた……。

『はひぃ、はひぃん! んああ最高ぉきもちいひのですぅ! おまんこおくぅおくまでぇぇ!! もっと突いてぇ突いてなのですぅ! 圭一ぃ、けいいちいひいいぃぃぃぃぃぃ♪♪♪』

もはや説明の必要もないだろうが、どうやらこの映像はこの少女とセックスしている男が撮影しているものらしい。
ちょうど騎乗位で繋がっている状態のまま、少女はどこぞの安いアダルトビデオのようなセリフを吐きながら腰を振りまくっている。
いくらなんでもこんな有り得ないセリフばかりでは、見ている方も演技過剰と興冷めするのではないか……と思えるほどだ。
しかしそれはどうも演技で言っているのではないことが、少女の異常なほどの乱れようとペニスを飲み込んでいる膣の濡れ具合から察することができなくもない。
画面の中の少女はその頭の角をガクンガクンと揺らしながら、男の上でますますアヘ狂っていくのだった……。

「あ、ああ……そ、そんな……ど、どうして……」

卑猥すぎるその映像を見ながら、いまだ羽入は真っ青な顔のまま布団の上で硬直していた。
色々な考えが彼女の頭の中を次々と駆け巡っていったが、まず最初に頭に浮かんだ言葉はこれだった。

圭一……誰にも見せないって……言ったのに……。

そんな言葉が絶望感漂う羽入の頭の中で浮かび上がっていた。 そしておなじくこの映像を見つめている少女。 梨花が口を開いていく。
彼女はさきほど落ち込んでいた時の顔ともちがう、どこか達観したような表情でポツリポツリと呟いていった。

「このビデオね? 今日学校で渡してくれたの。 圭一が……」

誰に言うわけでもなくそう呟くと、梨花はテレビの映像をそのままにしたままトコトコと羽入の元へと寄っていく。
そしてまだ布団の上で呆然としている彼女のそばまでくると、ちょこんとその隣に座りこんだ。
映像の内容を考えなければ、これから二人で仲良く鑑賞会といった感じにも見える光景だろう。
だがおそらくこれから始まるのはそんな仲睦まじいものではない。 むしろドロドロとしたむごたらしいものであることは容易に想像できた。
状況のわりには冷静な梨花は、隣でいまだ呆然とする羽入にゆっくりと語りかけていく……。

「おもしろいものが映ってるから……見てみろって言われてね? 今日、家に帰ってからすぐに見てみたの……」

「あ、あぅ……り、梨、花……あ……ぅ」

「だいたい、三十分くらいは見たかしらね。 そりゃあ最初はすごく驚いたけど、まあたしかに『おもしろい』わよね、このビデオ……」

「あ、あの……り、梨花……こ、これは……」

「こういうエッチなビデオ、初めて見たんだけど……すごくいやらしいのね。 ほら見て見て、繋がってるところも丸見えよ。 特にこの 女 優 が すごいわよね?」

「!? あ、あああ、ぼ、ぼぼぼ、僕は……その……あの、あ、あああああ……」

ついにガクガクと震え始める羽入を尻目に、梨花はあくまで冷静に……クールに言葉を繋いでいく。
ただ静かに声を出しているだけなのに、今の羽入にはそれが何よりも苦しい拷問を受けているかのように感じられるだろう。
そしてその羽入の怯えと比例していくように、画面の中の少女は更にいやらしい言葉をあげていく。

『あひぃん、圭一ぃ今度は後ろからシテなのですぅ♪ バックからおもいっきりおまんこハメハメしてぇ! 僕のおまんこに突き刺さってるこのデカチンポ、今度は後ろから根元までブチ込んでぇぇぇ♪ 梨花の大好きな圭一のちんぽ、僕の子宮にまでおもいきり突き刺してぇぇ!!!』

「……………っ!? ぐ………」

もはや汚らしいとまでいえるほどの淫語を映像の少女が叫ぶと、ずっと冷静だった梨花の顔にわずかに曇りが見られた。
一瞬だけ眉がピクンっと動き、それが更にヒクヒクと釣りあがっていく。
それを隣で怯えている羽入にはすぐ気がつけたが、今の彼女はただビクビクと怯えることしかできない。
今にもビンタが飛んできそうな左側を横目でチラチラと確認しながら、羽入は映像の中の少女がこれ以上痴態を晒さないようにと願うことしかできなかった。
それが絶対に有り得ないことだと……わかりつつも……。

『ん……ああ、は、はやくぅ、はやくブチ込んでぇ圭一ぃ♪ もうガマンできないのですぅぅぅ♪ この僕のいやらしいお尻に。 ワンワンみたいに後ろからハメまくってなのですぅぅぅ♪』

さっきまでの馬乗りの格好から変わり、映像の少女は今度は立ち上がっていた。
そして壁に両手を付きながら、カメラに向かっておもいきり自らの尻を突き出していた。
羞恥や気恥ずかしさなどは感じないのだろうか……。 体つきの割りに大きめの尻をフリフリと振りながら、カメラを持つ男に向かって更にいやらしくペニスをねだっていく……。
これ以上痴態を晒さないで、という羽入の願いをこの少女はいともあっさりと砕いていった。

「あ、あぅ……や、やめて……もうやめてなのです、僕……ああそんなお尻を振って……」

「あははは♪ ほんと、すごいわよね? 恥ずかしくないのかしらこの女。 こんないやらしくでかい尻を振って、あさましく男をねだってるわ……」

「や、やめてぇ……り、梨花、もうビデオを止めてぇ……」

「どうしてよ羽入、いいじゃないべつに。 二人でこの女……このメスブタのスケベっぷりを存分に見てやりましょうよ。 どこのビッチ女か知らないけど…… ね ぇ ?」

そう冷たく言い放つと、梨花は寝ている沙都子のことも気にせず更にテレビの音量をポチポチと上げていった。
今の梨花が羽入の言葉など聞くわけがない。 それどころか遠まわしに罵倒するようにしながら、更に羽入の羞恥心を高めていくのだ。

『は、はひぃん!!! はやくぅ、はやくはやくぅ圭一ぃ♪ 僕のおまんこもう待ちきれないのですよぉ、生でいいからこのままズッポリおちんぽ根元まで突き刺してぇぇぇぇぇ!!!』

さきほどまでそこにはペニスが突き刺さっていたというのに、少女には体位を変えているこの時間すら惜しいらしい。
立ちバックの格好の少女は、しまいには指で自らの膣口をクチュリと割り開いていった。
膣の中のヌラヌラと光る内壁をいやらしく晒しながら、男のペニスの挿入を少しでも手伝いたいといった感じのスケベっぷりをアピールしていくのだ。
もはや女とすらいえないあさましい痴態を、視聴者である梨花と羽入に惜しげもなく見せ付けていく。

「ああ、や、止めて……そんなことしちゃダメなのですよ、僕……ああああ……」

「くすくす……ほんっと、最低よね。 同じ女として軽蔑するわ。 こんなスケベなことまでするなんて、この女どっか頭おかしいんじゃないかしら?」

「あ、あぅ……あぅあぅ……こ、これは、ち、ちが」

「ほら、見てよ羽入。 自分であんなおまんこ開いちゃって……まがりなりにも子供を作る場所も、このメスにとってはただきもちよくなるだけの穴みたいよ? あーあ、あんなにグチョグチョにして……人として終わってるわね」

「あぅあぅぅ……梨、梨花、もう……もう許してぇ……」

「あー、でもこんなメスブタでもやっぱり友達とか……大切な 親 友 とかっているのかしらね? ねぇ、 ど う 思 う 羽 入 ?」

「!? ひ、ひぃ……」

梨花の鷹の目のようなするどい眼光が、怯えている羽入にギラリと突きつけられた。
突然向けられた悪意に思わず羽入は悲鳴をあげるが、映像の中にその答えがあったことがすぐに自分でもたしかめられた。
映像の中の少女が手を付いた、その壁。 そこには見覚えのあるカレンダーが吊り下げられていたのだ。
それが梨花の心の琴線を大きく波立たせたことが、羽入にもすぐに見て取れた。

『あ、あひぃん! り、梨花の、梨花と沙都子の匂いがするここで……このお部屋で圭一とすると僕とっても興奮しちゃうのです♪ ああ見てみてぇ、こんなに僕のおまんこヒクヒクしちゃって……あぅあぅぅもうガマンできないひぃぃぃ圭一はやくハメハメしてぇぇぇぇぇ♪』

映像の少女が言った言葉……それが答えだった。
あろうことかこの痴態が撮影されている場所は、紛れもなく今梨花達がいるこの部屋だったのだ。
同居している二人の友人がいない隙に、この少女はしれっとこの男、前原圭一を部屋に連れ込んだらしい。
おまけにその友人の片方が圭一に想いを寄せてることを知りながら、あえてこの部屋でプレイすることを望んだようだ。
その証拠に映像の中の少女はしきりに梨花や沙都子の名前を口にし、今もカメラに向かっていやらしく尻を振っていた。 これを撮影している圭一にペニスをおねだりしているのだ。

『は、はやくぅ、圭一はやくぅ♪ 梨花と沙都子がもうすぐ帰ってきちゃうのです。 僕達がセックスしてるとこ、ふ、二人に……あああ、り、梨花に見られちゃったらぁ、見られちゃったらぁぁぁぁあふぅぅぅ♪』

映像の少女は親友の想い人と性関係に及んでいる、という事実をも興奮のスパイスにしている。
背徳感、羞恥心……そして優越感。 そういったものを性感を高めるために使っているらしく、それを表すセリフを口にするだけでまたもや膣口からはビュルビュルとはしたない液体をふとももに垂れ流している。
それに圭一の方もたまらなくなったのか、もうビンビンになったペニスを羽入のパクパクと口を開ける膣にグチュリと押し付ける。

『はぁぁぁん! ああ、お、おっきい♪ とってもおっきいのです圭一のぉ……僕の大好きな圭一のでかちんぽ、ああそのまま中に、お、おまんこにブチ込んでぇ! 僕のお尻に突き刺してなのですぅぅぅ♪ 梨花より先に僕のオヤシロまんこがいただくのですぅぅぅ♪』

立ちバックの格好のまま、羽入は自分から尻を下げ圭一のペニスを膣の中へズブズブと挿入していく。
画面には羽入と圭一の繋がる部分がめいいっぱい大きく映し出され、それがジュブジュブと入り込んでいく様子がありありと映りだされていくのだった……。



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最終更新:2008年06月08日 01:00