「んっ……」
ぴくん、と不意に吹いた一陣の風に体が一瞬跳ねる。
すぐさま辺りを見回すが、どうやら不審がられてはいないらしい。
私、園崎魅音は現在、慣れないミニスカートに……その……し、下着を穿かないで街を闊歩している。

事の発端は数時間前。
「お姉に足りないのは度胸なんですよ! そんなだからいつまで経っても圭ちゃんと進展しないんです!」
「あ、ぅ……うるさいなあ、そんなの……言われなくたってわかってるもん……」
「いーえ、わかってません!お姉はミニスカノーパンで街を歩くくらいの覚悟を身につけないと、圭ちゃんは振り向いてなんかくれませんよ?」
「ノ……ノーパ…って、何で話がそんな飛躍してんのさああああ!?」
「例えばの話です」
「じゃあ、そんなこと言う詩音はどうなの!? 出来るの!?」
「えー、ヘタレなお姉と違って出来ますよ。園崎詩音はやりますよ」
「む、言ったね……詩音に出来るんだったら私だって出来るもん。なら、負けた方がノーパンミニスカで街を歩く! どう?」


……今に至る。
もー、詩音嫌い詩音嫌い詩音嫌いー!
普段慣れないミニスカートは、ロングスカートやジーンズでいつも隠して来た脚を冷やす。
道行く人が私に時々振り向くのがわかった。
常にスカートを押さえながら歩いているのに、気付かれているのかな?
恥ずかしさでその場にへたれこもうとするも、逆に見せ付けるようなものだ。
私に逃げ場はなかった。
と、後ろから肩を掴まれた。
「……魅音?」
「け、圭ちゃん?」
よく見知った顔。
ああ、彼にだけは絶対気付かれたくない……
圭ちゃんは私が普段とは違った服装を物珍しそうに見ている。
当然、普段露出していない脚に視線が集まる。
何だか、陰部を圭ちゃんに凝視されているかのような錯覚に陥ってしまう。
脚ががくがくと震える。
見ないで、そんなに見ないで……
「……ゃ…」
とろり、と蜜が一滴震える太股を伝うのがわかった。
何とかして圭ちゃんと早く別れなきゃ、おかしくなっゃう……
「け、圭ちゃんどうしたの?」
「いや、たまたま通り掛かって魅音を見つけたからさ」
圭ちゃんの視線はようやく私の顔に合った。
「そ、そうなんだ? あはは、奇遇だねえ」
ぽたり、ぽたり、と背徳感からか愛液の雫は降り止まない。
「あ、あのさ」
口を開いたのは圭ちゃんだった。
「な、何?」
気付かれた? 嫌われた?
聞き返す私の声は若干消え入りそうなものだった。
なのにさらに愛液が脚を伝う速度は増していく……
「魅、魅音って……その、そ、そういう格好も似合うんだな……」
「ぇ、ぁ……ぅ……ゃ、っ…」
彼から発せられた意外な言葉に、体の奥が痺れる。
前よりどろりとした粘りのある愛液が太股さえも伝う事なく地面に糸を引いて落ちた。
「た……たまにはお、お前も女の子なんだから……」「……け、けい、ちゃっ……」
う、嬉しい、けどっ!駄目、駄目っ!
あたし、いま、おかしくなっ……
「女の子」という言葉に体がびくん! と大きく跳ねた。
圭ちゃんは頭を掻きながら照れ臭そうに、私から目を逸らしているので気付いていない。
「な、なんつーか、その……きょ、今日の魅音、可愛いなって思って…」
「~~~~~~~~~っ!!」
「可愛い」と言われた時には、頭の中が真っ白になって、愛液を止める事も考えられなくなっていた。
「お、俺、何言ってんだろうな! その、ま……またな!」
圭ちゃんは私に目を合わす事なく走り去って行った。
私は彼の走る後ろ姿を見送りながら、地面に膝をついた。
ぴちゃ、と膝が私の脚から滴って出来た蜜の水溜まりで濡れた。
「っく、ひっく……う、うぇぇぇっ……」
涙が止まらなかった。
圭ちゃんが私を褒めてくれたのに。
女の子だって認めてくれたのに。
可愛いって言ってくれたのに。
それを私はこの膝を濡らすいやらしい体液で汚したんだ。
でも、すごく気持ち良かったと思ってしまう自分も居て。
気付かれるか気付かれないかの背徳感が、これまで圭ちゃんを想ってする行為とは比べものにならないくらいの快楽を生み出した。
……圭ちゃんは、こんなえっちな女の子……嫌い、だよね?
涙は、とまりそうになかった。
涙が滴り、愛液の水溜まりに落ちていく。
涙と蜜が混ざり合ったプールが、沈む夕暮れを映していた。

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最終更新:2008年05月04日 23:45