「っしぁあああああっ。どんなもんだあああああああああっ!」
玩具屋に俺の雄叫びがこだまする。
魅音がバイトに行ったため延期になっていた部活の決勝。
それに俺が華麗なる逆転勝利を手にした瞬間だった。
激しい戦いだった。手に汗握る接戦だった。
ゲームはいわば多人数でやる軍人将棋だったのだが、部活メンバーすべてが策略、イカサマ、力業、そして運のすべてを駆使したまさに何でもありの混戦だった。これが賭博漫画だったら、一年はこのシナリオで連載できたに違いない。
「はぅ~。負けちゃったあ」
「いやはや、まさか圭ちゃんがあんな切り札を考えていたなんて……、おじさん読み切れなかったよ。素直に完敗を認めるしかないね」
「まったくですわ。よりにもよってあの局面で私のトラップを逆手に使うなんて、考えられないですわよ」
「ダークホースの名を返上なのです」
「まあ、あそこで沙都子がトラップを使ってくれなきゃ、どうしようもなかったんだけどな」
無論そのための策も色々と練ってきたが、それでも沙都子がトラップを発動させる可能性は五分五分だった。読みが外れていれば、まず間違いなく俺はじり貧だった。
ちなみに、順位は一位が俺、二位がレナ、三位が魅音、四位が梨花ちゃんで沙都子がビリである。
「それで、罰ゲームはどうするの?」
そうだった。あまりにも熱い戦いだったため忘れていたが、勝者には魅音が自腹を出した5万円とは別に、部活メンバーに対する罰ゲームの決定権が与えられているのだった。
5万円は元々は魅音の金だったわけだし、みんなと一緒にぱ~っと使うとして……。
「そうだな。とりあえず梨花ちゃんには猫耳をつけて岡村君と散歩してもらおう。沙都子、お前には首輪をつけて富田君の一日妹になってもらおうか」
「それ……富田や岡村にも聞いてみないことには難しいんじゃないですの?」
「そうかもな。……どうだろ? 富田君。岡村君」
俺はギャラリーへと振り返り、彼らに一応訊いてみた。無論、答えは分かっていたことだったが。
「ま、まあ。前原さんがそういうなら仕方ありませんねぇ」
「そ、そうだよね。仕方ないよね」
 平静な口調ながら、顔が真っ赤になるのを隠せない後輩二人。ふふふ、反応が初々しいぜ。俺には、男同士にしか通じ得ない彼らの熱い想いが痛いほど伝わっていた。
「じゃあ、レナと魅音には俺の一日着せ替え人形にでもなってもらおうか。メイド、ナース、チャイナ、浴衣や巫女さんもいいなぁ~、いやいや、ここは白ビキニでエプロンっていうのも……くうぅ。たまんねぇぜ」
俺は勝者の特権にうきうきと心弾ませていた。
「ふぅん。……そんなんでいいんだぁ」
くっくっくっ 圭ちゃんもまだまだ甘いねぇ。
そう言っている魅音の目。
「えっ? それどういうことだよ? 魅音」
ふふん。
魅音はにやりと笑みを浮かべた。
「よし。それじゃあそんな圭ちゃんをいいところに連れて行ってあげよう」
「いいところ?」
だが、魅音は俺の質問には答えない。つまりは黙ってついてこいっていうことか……。
「富田。岡村。……なんなら君たちも来ていいよ。沙都子と梨花ちゃんも来るからね」
「はあ……、分かりました」
「そうですね。お供させて頂きます」
後輩二人組もいまいち腑に落ちないまま頷いた。

部活の会場だった玩具屋を出て、既に三十分は経過していた。
ちなみに、自転車は玩具屋に置いてきたままだ。
「なあ、魅音。……いったいどこまで行くんだよ?」
「ん~? もうすぐ着くよ」
「……その台詞何回目だよ?」
「7回目なのですよ。にぱ~☆」
梨花ちゃんが律儀に答えてくる。
だが、どうにもさっきから人通りの少ない裏道ばかりをぐるぐると回っているような気がする。
おかげでここが興宮のどのあたりなのか、俺にはすっかり分からなくなっていた。
こんな狭い道をぞろぞろと連なって歩いているのも、もし周りに人がいたら少し首をかしげるかもしれない。
「本当にもうすぐだってば。……ほら、あのビルが目的地だから」
そう言って魅音が指さす建物は20mほど先にあった。
「ここが? ……どう見てもただのビルだぞ?」
そう、何の変哲もないただのビル。
そうこう言っている内に、そのビルに辿り着く。
「……なにしてるのさ。早く入りなよ」
「……いや、でもここ裏口だぞ?」
「別に気にしなくていいよ。ここも叔父さんの店だから」
そう言って魅音は扉を開け、俺や富田君、岡村君、そして部活メンバーを中に招き入れた。
ビルの中には絨毯が敷かれていて、外見からはそう思えないほど小綺麗な作りになっていた。天井には小さなシャンデリアが掛かっていたり、壁紙に薔薇の絵が描かれていたり、所々に観葉植物も置かれていた。
と、黒いスーツに身を包んだ男がやってくる。三十代後半ぐらいだろうか。うう、でも何だか顔が厳ついぜ
「叔父さん。部屋は空いてる?」
「ああ、言われたとおり空けておいたよ。でもあまり騒ぎすぎないでくれよ?」
「分かってるって。叔父さんに迷惑はかけないからさ」
「あと、くれぐれもお客さんとすれ違わないようにしてくれよ。一応こっちも気をつけているけどさ」
「ん。了~解」
魅音と叔父さんの会話に妙な引っかかりを覚えながらも、俺達は結局、魅音に促されるまま付いていくことにした。
「なあ、……ここってホテルか何かなのか?」
昔、家族旅行をしたときに泊まったビジネスホテルがこんな感じだったかもしれない。
ただ、宿泊客がいないのか誰ともすれ違わないのが気に掛かる。
もっとも、昼間のホテルならそういうこともあるのかもしれないが。
「ん~? まあ、似たようなもんだけどね」
そうこうしているうちに、4階の奥の部屋へと俺達は辿り着いた。
「じゃ、みんな中に入って」
そう言って魅音は部屋の扉を開けた。
その部屋の中はベッド、冷蔵庫、シャンデリア、テレビ、そしてふかふかした絨毯が敷き詰められていて――
でも、あれ……あれ? 変だぞ? これ……。
「ほら、何してるのさ圭ちゃん。後ろがつかえているんだからさっさと中に入った入った」
後ろから強引に押されて、俺は中に入った。
「……あら、本当に広いですわね~。ここならこの人数でも大丈夫ですわね」
いや、あの……そんなこと言ってる場合か? 沙都子。
いやいや、どうせこいつのことだから分かっていないに違いない。
「おい……。魅音」
「ん? なあに圭ちゃん?」
「なんでここ、一部屋なのに何の仕切りもなくシャワーがあるんだよっ!」
そう、ここはビジネスホテルなんかじゃない。
「そりゃ、ここはそういうお店のそういう部屋だからに決まってるじゃない」
園崎家はイメクラ屋さん、ソープランド屋さんもしているのですよ。にぱ~☆。
それは確かに梨花ちゃんもそんなことを言ってはいたが……。
「この部屋はVIP専用でね。ここを使える人ってあんまりいないんだよ。圭ちゃんラッキーだね」
でも、ここには湯船は無いから……。
「ヘルスかよっ!」
おもちゃ屋のときとはまったく違った意味の叫びが、部屋に響いた。
「……どういうつもりだよ。魅音」
「部活優勝者である圭ちゃんを天国に連れて行ってあげようって思ってね」
「いや、だからってそんな……」
俺は、いくらなんでもこんなことをみんなに……。
がしっ
不意に後ろから羽交い締めにされる。……レナだった。
そういえばレナも沙都子も梨花ちゃんも、何の疑問も無くここについて来ていた。ひょっとして……最初から分かっていた?
見ると富田君や岡村君も俺と同様に、沙都子と梨花ちゃんに羽交い締めにされている。
「な、何の真似だよっ?」
「罰ゲームなんだよ。だよ?」
レナが甘い声で、俺の耳元で囁いて……俺の頬に自分の頬を押しつける。
さらに、背中に柔らかくぽにゃっとした二つの感触が……レナの胸が押しつけられる。
「圭ちゃん、抵抗しちゃダメだよ~。会則第……何条でもいいや。勝者には敗者の罰ゲームを見届ける義務があるんだからさ~」
絶対嘘だ。今ここで作った会則に決まっている。
「大丈夫大丈夫。痛くないから痛くないから……。くっくっくっ、むしろ痛いのはこっちで、圭ちゃん達は気持ちいいだけなんだしね~」
「な……何をする気だよ? これはいったい何の真似だよ?」
「圭ちゃん、何言ってんだか。……分かってんでしょ?」
「いや……俺には何だか……」
「……知ってるくせに―。いまさらカマトトぶられてもなぁ」
にやり、と魅音は笑みを浮かべた。
「私たちとSEXしてもらう」
「え……?」
魅音が言ったのは、つまりそういうことで、つまりこれから俺は……みんなと……。
「……圭一君。とぼけてるね。薄々は気づいていたくせにぃ☆」
すりすりと、レナはそう言って頬擦りをしながら、俺の股間をまさぐった。
「ほら……圭一君のオットセイ☆もこんなになってるよ……」
そう、こんな状況の中で……いや、ある意味こんな状況なら当然か……俺のオットセイ☆は恥ずかしいほどに大きくなっていた。
「し、しかし……沙都子は、……沙都子は……」
本当に分かっているのか?
「圭一。……沙都子も分かっているのですよ?」
「で、でも、こないだは風呂場で……沈んで……ほら……借金のかたに……」
もう、自分でも何が言いたいのかよく分からない。
しかし、梨花ちゃんは分かったようだった。
「圭一。ブロッコリーとカリフラワーの違いが分からない沙都子に、ピンサロ屋さんとイメクラ屋さん、ヘルスとソープランド屋さんの違いが分かると思いますですか?」
なるほど……何となく納得してしまった。そういえば沙都子ってSEXっていう単語と意味は知ってたんだよな……。
「圭ちゃん……観念しなって……」
『前原さぁん……』
視界の片隅で、富田君と岡村君は俺に助けを求める視線を送っていた。
くそっ
魅音だぞ。レナだぞ。沙都子に梨花ちゃんだぞ? 俺の最高の友人達が、こんないかがわしい場所で、そういうエッチなことを……さらに言えばみんなそれぞれタイプの違う魅力的な女の子で……はぁはぁ。…………はぁはぁって?
な、なんだ……この、湧き上がってくる感情は。
「くっ……くっくっくっ」
自然と、俺の口から笑みがこぼれた。
「圭ちゃん?」
「……天国に連れて行ってくれるんだろうな?」
「へぇ、……覚悟を決めたようだね」
『ま……前原さんっ?』
そう、これは恐れることでも何でもない。考えてみれば最高のチャンス以外の何ものでもないじゃないか。
「富田君。岡村君。……俺達男の望みとは何だ? 可愛い女の子、綺麗な女の子、好きな女の子を守ることか? 優しくすることか? 大事にすることか? 想ってもらうことか?
ああ、確かにそれもその通りだ。しかしそれだけじゃない。認めろ……男の95%はエロスで出来ているんだ」
「そっそそそ……そんなこと言ったって……僕は……」
「変態じゃないとでも? 富田君、君は首輪をつけた沙都子を妄想して何もときめくものが無かったとでも言えるのか? 岡村君、君も猫耳梨花ちゃんには何も熱いものを感じなかったというのか?」
「それは……確かに、感じました……けど……」
「ならお前達も変態だ」
「でも……そんな、こんなのって……」
しかし、彼らはまだ自力では殻を破ることは出来ない。もう一歩だ。
「男が変態で何が悪い?」
『えっ?』
「男はすべからく変態だ。だがそれを認めるか否かで男の器は天と地の差を持つのだ。お前達は自分に素直だった。それを認めた。それをお前達は自慢していい。誇っていい。
……だが、いつまでもその場にとどまっていたいというのなら俺はもう何も言わない。一足先に行かせてもらおう。沙都子と梨花ちゃんも俺がいただく。……君達はそこで、いつまでも俺に奉仕する沙都子と梨花ちゃんを眺めてろ」
『くっ……』
だが、当然そんなことが彼らに許せるはずがない。
『僕達が……間違っていました』
富田。岡村。後輩二人組が男として一皮むけた瞬間だった。

「どうやら、話は決まったようだね」
「ああ、いつでも来い」
爽やかな笑顔で俺は言った。
『前原さん。僕達もどこまでもついてきます』
後輩二人組もきりっと引き締まったイイ表情で頷いた。
「じゃあ、とりあえず服を脱いで洗い場に行こうか。……話の様子からすると、富田には沙都子が、岡村は梨花ちゃんが相手をして、圭ちゃんには私とレナが相手をするっていうことでいいのかな?」
「ああ……それでいいぜ」
俺は頷いた。
「それじゃあ圭一君。レナの服……脱がせてくれないかな。かな」
レナが俺の前にまわって俺を見つめてくる。
「あ、ああ。分かった」
うあ……前々からそりゃレナは可愛らしいというか女の子らしいと思っていたけど、やっぱりこういうシチュエーションで見るとドキドキするというか。
ちらりと富田君と岡村君を見ると、彼らも同様だった。
ええい。覚悟は決まっているんだ。男の中では俺が一番の年長者じゃないか。いつまでもドギマギしていられない。一気に行くぞ。
しゅるり
俺はレナの服のリボンを外した。
止められていた胸元が開き、そこからレナの胸が覗ける。
慌てて目をそらしながら……いや、そんな必要はないんだと思いながら年少組を見ると、どうやら彼らも同じようだった。
レナの肩に手をやる。
「なあレナ。……この服って上に脱がすのか? それとも下に引っ張ればいいのか?」
「どっちでもいいよ。……圭一君の好きな方で」
「じゃあ、下に下ろすよ」
布一枚を隔てているのに、手に伝わってくるレナの温もり。
俺は襟首を大きく開いて、ゆっくりと下に下ろしていった。
するすると服を下ろしていくに従って、当然俺の視線もレナの体を下りていく。
真っ白のブラが……ヘソが通過していき、腰、そしてその更に下……。
パンティが現れてくる。ブラと同じく白色の……。そして、うっすらと透けて見える恥毛と緩やかなふくらみ。
頭の中が沸騰しそうな中で、俺はレナの服から手を離した。
何の音も立てず、ワンピースは床に落ちた。
次は……屈んだ状態から考えて、靴下だ。
俺はレナのハイソックスに手をかけた。
「はうっ。……圭一君。くすぐったいよ~☆」
「あうあっ。……ごご、ごめん。気を付ける」
くそっ 何やってるんだ前原圭一。落ち着け、クールになれ……。
でも、レナのすべすべした肌が……でもってむっちりと締まって柔らかい太股が……俺を悩ませる。
「圭一君、次は下着だよ? だよ?」
「ああ、分かってる。……って、レナ?」
何とか靴下を脱がせて立ち上がると、レナが抱きついてきた。
レナの柔らかな感触と、匂いが……。
「このまま、ブラジャー外してくれないかな?」
つまりは、抱きしめた格好で。
俺は言われるままに、レナを抱きしめた形で、ブラのホックを外した。
すると当然次はパンティで……、これでレナを覆うものはすべて無くなる。
ずっと抱きしめていたい衝動を抑え込んで、レナの体を離す。露わになったレナの上半身。
そしてその胸は……なんというか……ええと、その、あれだ、美乳。美乳だ。俺の頭にはそんな言葉しか思い浮かばなかった。
均整がとれたほどよい膨らみ。小さく、桜色をした乳首が白い肌に上品に映えていた。
「……ダメかな? やっぱり私、魅ぃちゃんほど大きくないし……」
とんでもない。俺は大慌てで首を横に振った。もう少し理性が残っていなかったら、きっと俺はレナの胸にむしゃぶりついていたに違いない。今だって、そうしたいのを必死に抑えている。
俺は無言でレナに近づいた。
「け……圭一君?」
びくりと震えるレナを無視して、強引にパンティを脱がす。
これでもう、本当にレナを隠すものは何もない。
まじまじとレナを見上げる。
くそっ いったい誰だよ。女の子のはグロいなんて言った奴。
そりゃ確かに、アワビだとか生肉の塊だとか、そんな風にも言える形だよ。でも……でもレナのは……それでも慎ましやかで……それこそ、俺がイメージしたのは、まだ開ききっていないチューリップの蕾だった。
「圭一君。……そんなに見つめないでくれないかな。恥ずかしいよ。はうぅ~」
その声で、我に返る。
「ああ、ごめん。……あまりにも、こう……」
綺麗だったから、とは続けられなかった。はっきりと言えない俺に、レナは少しむくれたが。
「じゃあ、次は圭一君の番だね。……レナが脱がせてあげるよ」
「ああ、よろしく頼む」
レナは頷くと、屈んでズボンのベルトに手をかけた。
裸のレナがかちゃかちゃと、金具をいじる。その顔は当然、大きくなっている俺のオットセイ☆の間近にある。それが何だか気恥ずかしい。
でも、ものの数秒もしない内にベルトは外れた。
「じゃあ、圭一君。腕挙げて。……シャツから脱がすから」
「んっ」
……みると、レナの顔も上気して、ほんのりと赤くなっていた。やっぱりレナも恥ずかしいらしい。恥ずかしいのが俺だけじゃないと分かって……それが何だか、少しほっとした。
「じゃあ、行くよ」
そう言って俺の服を持ち上げていくレナの顔は、俺の体から十㎝足らずしか離れていない。その息が俺の体を愛撫して……くすぐったくて気持ちいい。
「ん……しょっと」
レナが俺のシャツを完全に脱がした。
「て……、レナ。俺の服。どうかしたか?」
レナは俺のシャツを抱きしめていた。
「え……、うん。圭一君の匂いがするって思って……はうっ」
「? 俺? そんなに汗くさかったか?」
「あはははははははっ。……そんなんじゃないよ。何でもないから、気にしないで」
レナは笑いながら、俺の服をたたんで、どこか名残惜しそうに、備え付けの籠の中に入れた。
「じゃ、次は下だね」
「おうっ。頼むぞ、レナ」
「うんっ」
レナは満面の笑顔で――、
ずるっ
「……え?」
ズボンごとパンツも一緒に脱がされた。
当然、心の準備も何もないままに俺のオットセイ☆がむき出しに……。
「ちょっ……レナ。おま……」
ぱくぱくと口を開ける俺を尻目に、レナは俺のオットセイ☆を見つめていた。
「圭一君も、レナのを見たんだから、おあいこだよ」
「いや、でも俺のはそんな……」
ああっ レナの吐く息が当たる。
「はうぅ。……圭一君のぴくぴく震えている。なんだかかぁいい☆」
「かぁいいはないだろ。そりゃ、まだ成長途中だが、これからもっと……」
「ゴメンゴメン。……そういうのじゃないよ。もっとこう、男の子のって怖いかと思っていたけど、圭一君のはそうじゃないなって……」
ああ、そういうことか。正直、俺もレナにこんなものを見せて大丈夫なのかっていう不安はあったけど……そう言ってもらえて安心した。
「あ……レナのも……その……綺麗だった……ぜ……」
しどろもどろに、俺はさっき言えなかった感想を白状した。
瞬間。レナの頭から蒸気が噴き出す。
「はうっ。あ……ああ、ありがと」
俺達は二人して、真っ赤になりながら視線をそらした。
「……ちょっとお二人さん~? 何二人だけでいい世界をつくってるのさ? おじさんだけ除け者~?」
拗ねた魅音の声が俺達の間に割って入る。
「いや、別にそんなつもりは……。っていうが魅音。お前の方こそその格好は何だよ?」
そう、レナに夢中になっていたというのも本音だが、どうして魅音は着替えに参加しないのか疑問に思っていた。
魅音も服は脱いでいた。しかし全裸じゃなく、胸の下から腹にかけてサラシを巻いていた。
「魅ぃちゃんの背中には刺青があるから……」
「園崎家のしきたりでね。背中に鬼の刺青があるんだけど、人に見せちゃだめだから……ゴメン」
「いや、……そういうことなら仕方ないよな。別に俺は構わないぜ」
そう言うと、魅音は胸をなで下ろした。
「よかった。圭ちゃんがそう言ってくれて……。実はちょっぴり怖かったんだ。ひょっとしたら、興醒めしてしまうかなって……」
「興醒めなんかするものか。……魅音は、綺麗だ」
「ありがと……圭ちゃん」
魅音は静かに、笑顔を浮かべた。
「ちょっと魅音さん。レナさん。いつまでそうしているんでございますの? 着替えが終わったんなら早くシャワーを浴びに行きますですわよ~?」
「ああ、ごめんごめん。そうだったね。今行くよ」
見ると年少組も既に全員素っ裸になっていた。

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最終更新:2007年03月23日 19:15