男はすべからく 変 態 である。

私達はこの言葉の意味を知っていた。 理解していた。
……いや、これはしていなかったということか? そういうことになるのだろうか?
少なくとも、理解しているつもりはあったのだ。 おおむね、まあこういうことだろうな…と。
なぜならそれは彼を知っていたから。 彼を通して、それを知っているつもりだったから。
だからこの言葉の意味。 変化の『変』に擬態の『態』。 別にむずかしくもなんともない。
性的な意味で著しく逸脱しているニンゲン。 そういうふうに解釈していた。

けれどその解釈が甘かった。  その認識も甘かった。 ……甘すぎたのだ。

というかそもそも、私達はわかった気になっていただけなのだ。ほんとは何も知らなかった。
本当の変態とは一体どんなものなのか。 どんな行為を言うのか。……どんな人間なのか。
実際のところはまるでわかってなどいない、ただの子羊。 彼を見てそう思っていただけ。
それもただの勘違い。 自意識過剰もいいところ。 たかが小娘が何を言っているのかと。

この時の私達は、それを痛感させられていた。 この一人の『変態』男によって……。

「はぁはぁはぁはぁ、おうおう、た、たまらねぇ! 最高だぜみんなああぁぁぁぁぁ!!!」

きもち悪い声。 ニンゲンの声。 男の声。 それが私達のすぐ目の前で発せられている。
……というより、獣が鳴いていると言った方が正しいか。 だってこんなものもうヒトじゃない。
ハァハァハァ。 オウオウオウ。 こんなのまともなニンゲンのものじゃない。 有り得ない。
……なぜこの獣が、こんな声を出してるかって? なるほど、もっともな質問ね……。
知りたい? ほんとに知りたいの? ほんっとに知りたいのね? 聞きたいんだ……そう。
答えてもいい。 けど後悔しても知らないわよ。 不快になっても責任は取らない。 
……まあそれほどのことでもないのだけど、ね。 男の人にとってはふ~んくらいの出来事。
でも女の子にとってはちょっとショックかも。 というか、きもちわるくなるかもね。

圭一がオナニーしてるの。 私達の前で。 とってもきもちよさそ~に、ね。 これはその声。

オレンジ色の夕日。 夕暮れ時の雛見沢。 放課後の教室。 部活終わりの私達……。
時と舞台はそこ。 演者は一名、見学者は五人。 メンバーは後で紹介するとして……。

「ああ最高だ! み、みんなの前でするオナニーがこんなにイイなんて! さ、さいこー!」

とりあえず演者はこの男、前原圭一。 部活の勝利者でもあり、だからこその演者ね。
そして……。

「も、もっと見て!見てくれみんな! 魅音レナ沙都子梨花ちゃん羽入もっともっとぉ!!」

…………そう。 わざわざ紹介してくれてありがとう。 手間が省けたわ。
今彼が言った人間達が今日の部活の敗者。 二位も六位も関係ない。 みな等しい敗者。
だからこその見学者、ね。 つまり私達はみな圭一に絶対服従なわけ。 逆らえないの。

だから見させられてるの。 彼の自慰行為を。 俺のオナニーを見てくれ!だってさ。 

「あああずっとずっとこれがやりたかった! この雛見沢に来てからずっとずっと思ってた!お前達に俺のオナニーを見てもらいたかったんだよおおおぉぉぉぉぉ!!!」

「「「「「………………………」」」」」

静まり返る教室。 横に並んだ五つのイス。 それに座る五人の少女達……。
誰も喋ろうとしない。 誰も話そうとしない。 できない。 獣の声だけが教室に響いていく。
それはそうね。 この状況で口を開けるものなどいはしない。 私もそうだし……。
他の子もこんな状況に直面したことがないだろう。 生まれて初めての経験よね。
仲間である圭一のオナニー。 男の自慰を……『見る』。 
こんなもの普通の女の子は経験する機会などない。 恋人がいる子ですら、どうだか……。
まあ罰ゲームだし、しかたないんだけどね。 全ては負けた私達に責任がある。
だから耐えないとね? いくら圭一が……この男が獣になろうとも……。

「うおお、こ、これはたまらん! 魅音レナ沙都子梨花ちゃん羽入のおいしそうでかぁいい身体が俺の目の前にうおおおぉぉぉぉすっげえ興奮するたまんねええぇぇぇぇぇ!!!」

「……………う、く……ちょ……ちょっと……」

ああでも……さすがにきっついみたい。 みんな今にも泣き出しそう。 ……わかる。
恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないのよね。 ただでさえ圭一はなんか色々唸ってるし。
自慰を見るのも初めて。 こんな圭一も初めて。 こんな男も……初めて。
おまけにこれは……私達を『オカズ』にしているってことよね? そういうことよね?
さっきからチラチラチラチラ、いやらしい目で見ているもの。 私達の身体を……。
魅ぃの胸とか。 レナのふとももとか。 沙都子の唇とか。 私の髪とか。 この子の服とか。
それらをもう舐めるように。 ねぶるように。 いやらしく視姦していた。
……それはダメだ。 あーそれはダメだわ圭一。 さすがの私もそれは救えない。
そんなことしてたら、この部長さんだって黙っていないわよ? 当然、口を挟んでいく。

「えーとぉ……あ、あのさ圭ちゃ」

「くおおうたまらんたまらん!こんなきもちいいオナニーは初めてだ! おまえらほんとに最高だ最高の仲間達だ!!! ほんと雛見沢に来てよかったぜえええぇぇぇぇぇ!!!」

「い、いやちょっと聞いて……そのね」

「ああほんとに最高マジで最高だぜお前達!どいつもこいつもかぁいくて綺麗でいやらしくてさすが雛見沢を代表する美少女だ!これは最高のオカズだぜうおおおおお!!!」

「えーと…………ん~!!!」

……さすが部長の魅ぃ。 止めようとしたのね? なんとか声をかけられたみたい。
でも残念、途中でやめちゃうの。 だって圭一、聞いてないものね。 まったく。
それにやっぱり引け目もあるみたい。 そう、部長であるがゆえ止められないの。
だって罰ゲームは絶対だもの。 それは全員が身にしみてわかっていることだものね。
それを部長自らやぶるわけにはいかない。 だから強くは言えないの。 かわいそうな魅ぃ。
でもよくがんばったと思う。 この状況で、よく自慰中の男に声なんてかけられたものだわ。
オヤシロ様も褒めてるわ。 あうあうよく頑張ったのですよ~、パチパチパチ♪ 
みんなの緊張も少し解けたみたい。 いままでずっと黙っていた子も次々口を開いていく。

「はぅ……す、すご……い……圭一くん……オットセイがおっきい……はぅぅぅ……♪」

顔を赤くするレナ。 恥ずかしいのかしら? まあ無理もないわ。 ショックよね……。
顔を覆いたくなるのもわかる。 目を塞ぎたくなるのもわかるわ。 とってもウブな反応。 
……でもしっかり見てるのよね、この子。 指の隙間からちゃっかり圭一のを覗いてる。
言葉も何かいやらしい。 すごいだとかおっきいだとか……それ、誰かと比べてるの?
エッチな子ね。 清純そうにみえて、実は結構『知ってそう』な子。 いやらしいレナ……。

「うぅ……さ、最低……さいてぇ、ですわ……圭一さん……こ、こんな人だったなんて……」

身震いする沙都子。 きもちわるいのかしら? まあ、この年でこれはキツすぎるか……。
そもそもこれが何かもわかってないんじゃないかしら。 悟史はこんなことしないだろうし。
でも本能的に汚らしいものだとは感じるのね。 礼儀正しい?沙都子ならなおさらのこと。
……おのれ圭一。 よくも私の可愛い沙都子を! 私の天使を! 私の女神をッ!!!
いくら罰ゲームとはいえ許せない。 沙都子の無垢な瞳によくもあんなものを……。
後でどんなお仕置きをしてやろうかしら。 おぼえときなさい。 たっぷりイジメてあげるわ。

「みーみー♪ 圭一がオオカミさんになったのですよ~♪ うーうーうー!」

そして余裕な私。 もう超余裕な梨花ちゃま。 さすがオヤシロ様の巫女。
むしろ見たいくらい。 見てやりたいくらいだわ! だって『女』として興味あるもの!
……なんてね。 ほんとは結構恥ずかしいの。 ちょっと強がってみせただけ……。
私だって百年も生きたんだもの、一応知識としては知っている。 これがどんなものか。
けど見るのはこれが初めてだし、ましてやあの圭一のなんて……もう生々しすぎる。
実際すごい光景だし。 あんな激しくシテいいものなんだ……い、痛くないの?  
ま、まあそれはいいとして、最後の一人ね。 まあこの子は……。

「あぅ……圭一の……あぅあぅ、圭一、圭一の……すごいのです……圭一、圭一の……」

……もう一人いるのだけど、まあこの子はいいでしょう。 だって絶対『知ってる』もの。
レナの反応に近いものがあるけれど、この子は別格。 もっとすごいことも経験してるはず。
なにやらモノ欲しそうだしね……。 もうヨダレだらだら垂れまくり。 何かブツブツ言ってる。
さすが元人妻ね。 千年振りに『欲しく』なっちゃったのかしら? いやらしい……。
しかもあんたは圭一にベタ惚れだものね。 なおさら咥えたいわけだ。 くすくすくす♪

まあ、見学者はだいたいこんなところね。 人間三人と魔女が一人。 神様が一人。
制そうとしたり、恥ずかしがったり。 嫌がったり、澄まそうとしたり、欲情したり……。
みんなそれぞれ反応はちがうのだけど、共通していることが一つあるの。 気がついた?

『ひいてる』ってこと。 もうねドン引きよ。 この前原圭一という男に。 勘弁してよって。

「はぁはぁはぁ、ああそうだもっと見てくれ! そして俺にひいてくれみんな! こんな最低で最悪な男をもっと軽蔑してくれみんなああぁぁぁぁぁ!!!」

「……………………」

だめだこの男……なんとかしないと! そんな言葉がみんなの頭をよぎったでしょうね。
このどうしようもないスケベ。 救いようのないド変態野郎。 こんなのを仲間だなんて……。
私達に見られてるっていうのに、ひかれてるっていうのに、それに喜んでるって、どうなの?
普通こういうのは、どっちかというと罰ゲームよりじゃない? なんで勝者のごほうびなのよ。
どうりで今日の部活、やたら気合が入ってると思ったわ。 これを企んでいたからなのね。
ねぇ圭一、あんたそれほどまでにこれがシタかったわけ? 他にもっと色々なかったの?

魅音に胸を揉ませてくれとか。 レナにスカートを覗かせてくれとか。
私に股間をナデナデして欲しいとか。 この子に巫女服を脱いで欲しい……とか。
この子、結構いい身体つきしてるわよ? おっぱいも無駄にでかいし、お尻もムッチムチ。
元人妻だからテクニックもすごいだろうし、男のツボも心得てるでしょうね。 くすくすくす♪
あんたがどうしてもって言うなら、抱かせてやってもよかったのに。このおいしそうな神様を。
飼い主の私が許可す……ああうるさいわねあぅあぅ言うなあぅあぅ! 嘘よ嘘、じょーだん!
…………え? 一人忘れてるって? 大切な親友を?
何言ってんのよ馬鹿! 沙都子は私の天使なの! 選択肢にいれるわけないじゃない!
圭一みたいなスケベに指一本触れさせないわ! だからかわりにあんたをって話でしょ! 
綺麗な金色の髪も! クリっとした瞳も! こんもり膨らんだ胸も! プリっと可愛い尻も!
沙都子の身体は私のものなの! 昨夜だってこの未成熟な身体に私のをさんざん……。

…………話が逸れたわね。 まあそれは置いといて、今は圭一の話ね。

「あああ最高! 最高のオナニーだ! 部活最高! 部活メンバーさいこおおお!!!」

……圭一はもう大興奮だわ。 息が荒いし顔も赤い……オットセイも元気いっぱい。
よっぽど私達に視られるのがイイのね。 ピクピクしながらどんどん膨れ上がってるわ。
さすがにこれは私も恥ずかしい。 魅ぃもレナも沙都子もこの子も、もう顔が真っ赤。
当然止めさせようとする。 だってもう見てられないもの。 罰ゲームでもこれは無理!

「あ、あのさ圭ちゃん……もうやめない? おじさんさすがにこれはキッツイわ、あははは」

「はぅ、レナも恥ずかしいよぅ……す、すごいとは思うけど、ね? け、圭一くんもうやめよ?」

「い、いますぐやめるべきですわ! に、に~に~が、わたくしのに~に~像がぁぁぁ!!」

彼女達の羞恥の表情。 もう見てられないとばかりに目がウロウロしている。 三人ともね。
魅ぃはちょっと無理してる? ほんとは部長でいるのもつらいはずなのに、頑張ってる。
レナはわりとノリノリ? 恥ずかしいとか言いつつ、じつはもっと見たいんじゃないかしら。
沙都子はもう大ショック! 悔しいけど愛しのに~に~だものね。 そりゃあ止めさせたい。

「何言ってんだよおまえら!こんな最高のオナニーやめられっかよおおおおああその目イイその目もっともっともっとその微妙な目線ちょうだいちょうだいうおおおたまらんっ!」

……でも圭一はやめない。 やめるわけがない。 むしろそれを快感にかえていく始末。
魅ぃもレナも沙都子ももうドン引き。 それがはからずも彼の言う微妙な目線とやらを作り上げていくの。

「ああそれそれそれ! もっとその目で俺を見てもっと軽蔑してえぇぇ! さあ梨花ちゃんもほらほら! もっと三人みたいに俺を見てくれほらほらほら巫女様ああぁぁぁぁぁ!!!」

「み……みー♪ 圭一はとっても変態さんなのですね。 もう付き合ってられないのです、とっとと失せやがれなのですよこの豚野郎♪ にぱー♪」

「ああああそれそれ最高最高ぉぉぉ!? 幼女巫女さんに罵られたたまらぁぁん!!!」

…………焦った。 いきなり振らないでよ、びっくりするじゃない。
それに言われなくても内心はドン引きなの! もうあんたの顔を見るのも恥ずかしいの!
よくも魔女の私をここまで引かせられたものだわ……。 

でも……う~ん、見たいような見たくないような。 恥ずかしいけど少し興味もある。
百年も生きてきたけれど、こんな光景一度も見たことないし。 退屈は嫌いだから。
私だって女だし、そ、そりゃあそれなりに……ね。 性的なことに興味がないでもない。
何もそれは私だけでもないと思う。 魅ぃやレナや沙都子だって、少なからずあるだろう。
みんな女の子だしね。 男の子の自慰なんて見る機会無い。 見たいとも……思ってる?
まあそれが良いことか悪いことかは別にして、いろんな意味で勉強にはなる。
ほら、あれよあれ……お化け屋敷に似てる。 嫌なことは嫌なんだけど、入ってみたい。
ようは『怖いもの見たさ』ってわけね。 みんなそんな微妙な感じ。 仕草も、表情も……。 
そしてそれをこの男はオカズにしていくのよね。 私達を見る目もだんだん露骨になってきたわ……。

「うおお、み、魅音のおっぱいすげえでっけえ……レナのふともももムッチリでうまそうだ……沙都子のその無垢な瞳が、た、たまらん! はぁはぁはぁはぁ!!!」

「ちょ、ちょっと圭ちゃん、おじさんの胸そんなに見ないでよ……マ、マジに怒るよ!」

「け、圭一くん、最低だよぅ……さっきからレナの脚ばっかり見てる……へ、変態」

「ケ、ケダモノですわ! あああに~に~助けてに~に~! に~に~に~に~!!!」

「あああ、そ、それでいいんだ! みんな俺を軽蔑して! もっとこの前原圭一を嫌いになってくれ! そ、その汚物を見るような目がたまらなくイイんだよおおおぉぉぉぉ!!!」

……これだから始末が悪い。 あんたどれだけ変態なのよ。 ここまでくると尊敬するわ。
もう魅ぃもレナも沙都子も、本気で圭一を軽蔑しそうな勢い。 仲間意識はどこへやら。
特に魅ぃとレナはあんたにベタ惚れだったはず。 それも今はどうなのか……怪しい。
沙都子にしたってそう。 もう愛しのに~に~ではなくなってるかもしれない……。
私ももうこの男をまともに見れないかもしれない。 せっかく結構意識してたのに。
私達の恋愛フラグ、バッキバキにしていくわね……まあ今に始まったことでもないけれど。

ただ見ているだけもつまらないから、これを分析してみることにしようかしら。 彼の性格を。
性格というより、性癖か。 ただスケベとかそういうものではなくて、もっと深く考えてみよう。

まずは私達、『女の子にオナニーを見てもらいたい』という点。 これで一つでてくるわね。
そう、つまりは露出癖。 露出狂? まあどっちでもいいか。 そんな感じの性癖。
ズボンのチャックを開けて、オットセイを見せつけていく。 私達部活メンバー全員に。
それだけでも恥ずかしいことなのに、更にそれをシゴいていく。 自慰をしているのよね…。
普通、そんなことニンゲンにはできないわ。 だから圭一は獣かも。 ケダモノ。
それがたまらんとか言ってるのだから、彼は露出狂。 これは間違いない。 一つ決定。

次にさっき圭一が言った言葉。 『みんな俺を軽蔑してくれ』ってやつ。 これでまた一つ。
これは、被虐性癖。 ちょっと難しいか。 マゾヒズム、マゾヒスト。 もうマゾでいいか。
Mなのよ。 圭一はM。 それも真性のドMね。 だって嫌われたいんだもの、私達に。
普通は好かれたいわよね、人には。 ましてや圭一はこれだけの美少女に囲まれている。
魅ぃやレナとはまだただの友人だけれど、いつか恋人同士になりたいと思ってるだろうし。
でもそんなものすっ飛ばして、逆に女の子に嫌われることを望んでいく男。 軽蔑してって。
これで決まりね。 圭一はドM。 あんたはドMなのよこの豚野郎! 二つ目の性癖決定。

う~ん……あとは何があるだろう。 自慰行為自体は男なら誰でもするらしいし……。
…………え?女の子もするだろうって? し、しないわよそんなこと! 馬鹿じゃないの!
ひゃ、百年生きた私だって、こ、こんなのしたこと……ないこともない……けど。
沙都子の寝顔を見ながら、ちょっとだけ下を弄ってみたことはあるけど……あんまりだった。
やっぱり身体は未成熟、それほどきもちよくなかったわね。 ちょっと熱くなったくらい?
あ、あんたみたいなエロ神様と一緒にするな! それはあんたがエロエロだから!
普通の女の子は自慰なんてしない! オナニーなんてしないの! 私もしな……。
…………また話が逸れる! なんで私の自慰の話なの! 今は圭一の性癖の話でしょ!

あーもうじゃああれはどうあれあれ、マゾのぎゃくぎゃく! サド! サドヒスト!
SよS、ドS! は?僕に対するいつもの梨花の態度のことなのですねってやかましいわ!
ん……あ、これ結構いいんじゃない? 適当に言っただけだったけど、当たってるわよね?
だって圭一は私達に『オナニーを見せつけている』んだもの。 罰ゲームと称して。
魅ぃは内心は恥ずかしがってるだろうし。 レナもたぶん同じ。 沙都子は今にも泣きそう。
一見マゾ的なこの行為にも、女の子を精神的にはずかしめたいという、加虐性癖……。
それも含まれたってわけね、まったくやばい罰ゲームだわ。
つまり圭一はサドヒストでもあった。 マゾヒストでサドヒストの圭一。 ん……矛盾してる?
サドマゾって言うのかしら? ……危なすぎるわねこの男。 よく今までみんな無事で……。
いや無事ではないのか? 現に今もこうして被害にあってるし、みんなドン引きだしね…。

それでも、これだけならまだマシだった。 こうしてただ私達の前で自慰をするだけなら。
でも圭一のスケベっぷり。 というか変態っぷりはこれだけに留まらなかったの……。

「はぁはぁはぁ……あぁもうガマンできねぇ! 魅音!レナあぁぁぁっ!!!」

突然奇声を発する圭一。 そしてこちらに近づいてくる。 もちろん自慰を続けたまま、ね?
そして言葉どおり、彼は隣合わせに座っているあの二人へと向かっていくの……。

「へ……ちょ、ちょ、ちょ、ちょっ!!! け、圭ちゃんタンマタンマぁぁぁ!!!」

「ふ、ふええぇぇぇ!? 圭一くんストップストップ!ちょ、ちょっと待ってえぇぇぇ!!!」

悲鳴をあげる魅ぃとレナ。 おもわずイスから立ち上がるわ。 そして逃げようとするの。
当然よね。 ペニスをシゴきながら男が近づいてきたんだから、誰だってそうする。
お、犯されるッ!!! きっとそう思ったのね。 女の本能として逃げるはずだわ。
でも圭一はそんな二人を止めるの。 しっかりと自慰は続けたまま、頼みこんでいくの。

「う、動くな! 動かないでくれ魅音レナ! べ、べつに何もしないから! 絶対お前達の身体には触らない! 断言する! だからどうかそのままイスに座っててくれぇぇぇ!!!」 

「う……け、圭ちゃん……ちょっと……」

「はぅ……そ、そんなこと言われても、レナ達困っちゃうよぉ……」

その変態的な行動とは裏腹に、意外と紳士にお願いしていく圭一。 困惑する魅ぃとレナ。
……なんておかしな光景。 ペニスをシゴきながらの男が、女にペコペコと頭を下げてる。
魅ぃとレナは微妙な表情をしていく。 そして二人で顔を見合わせていくの。
ど、どうしよう魅ぃちゃん? ど、どうするって言ったって……。 といった感じかしら。
そしてしばらくそうすると、しかたなく二人はイスに座りなおしていくの。 まあ罰ゲームだし。
それに自分達が何かされるわけでもないと思ったみたい。 少なくとも『身体は』無事!
だから魅ぃとレナは、耐えていくことを選んだの。 なんて健気なのかしら……。
自分の前で……自分の顔のすぐそばでの『それ』に、グっと耐えていく……。

「はぁはぁはぁ、ああ魅音とレナすっげえかぁいい……これはたまんねぇぜぇ……」

「ちょ、圭ちゃんあんまり近づけないでって! お、おじさんの顔に、つ、付く付く!」

「圭一くんの……あぁすごい、すごいよぉ……レナのお顔のすぐそばで……はぅぅぅ……」

興奮していく圭一。 手の動きもますます速まっていくわ。 もう遠慮なくシゴいていくの。
それに魅ぃとレナは悲鳴をあげていく。 鳴いていくの。 だってこんなの異常だものね。
二人の顔のすぐそば。 すぐそこにあるんだから。 圭一のビキビキのオットセイが。
ちょっと腰を突き出されれば、もう顔に接してしまう。 それくらいほんと目の前に、ある。 
女の子の顔のすぐそばで、自慰をしていく圭一。 これは彼にはたまらないのでしょうね。
もっとも二人にはとんだ災難だけど、ね。 これには部長の魅ぃもうろたえざるをえない。

「ほらほらほらどうだ魅音! おまえの顔のすぐそばに俺のオットセイがあるぜ! あー付いちまう付いちまう、魅音の顔に先っぽが付いちまいそうだたまらんぜー!!!」

「ちょ、ちょっと圭ちゃ……こ、これはさすがにあたしも……や、やめてって……」

「何言ってんだ!これは罰ゲームなんだぞ! ほらもっと見ろみろ俺のをほらあぁぁ!!」

「ひ!? や、やめてって……やめてよ圭ちゃん……う……」

どんどん腰を突き出していく圭一。 もうやりたい放題だ。 セクハラどころじゃない……。 
魅ぃはそれをなんとか見ないようにとあちらこちらに視線を反らす。 けど圭一は逃さない。
魅ぃが左を見ればそっちに。 右に逃げればそちらに。 オットセイを移動させていくの。
あ……あ~付いちゃう付いちゃう。 火照った顔にいまにも圭一のが付いちゃうそう……。
なんてかわいそうな魅ぃ。 同じ雛見沢御三家の人間として同情する。 助けはしないけど。
一人称もあたしになって、すっかり乙女モードで弱っている。 根は純情だものね。 
でもね魅ぃ、それじゃあ余計に圭一を興奮させるだけよ? こういうのは大好物だものね。
ああほらほら、言わんこっちゃない。 圭一は更にオットセイをヒクつかせていく……。

「はぁはぁ!あああ最高だ!!! 魅音の目の前で!そのかぁいい顔の目の前でペニスをシゴけるなんて! 俺は生まれてきてよかったぜえええぇぇぇぇぇ!!!」

「!? な、なに、かぁいいだなんて言ったって何もでないよ……け、圭ちゃんのバカ!」

……いや魅ぃ、嬉しいのバレバレだから。 フラグまた立った? さすが圭一……。
計算でやってるなら大したものだけど、たぶんちがうわね。 夢中でつい口に出た感じか。
そして圭一はまだ止まらない。 今度は魅ぃの隣に座っているレナにまで毒牙を向ける。
オットセイをクククっと横に移動させていき、もう一人のかぁいい女の子。 鉈女ね。
レナの顔の目の前でまたそれをシゴいていく。 もう遠慮なんて微塵もしないのね……。

「ああほらほらレナも! 魅音みたいに俺のをもっとしっかり見るんだほらほらほら!!!」

「や、ちょ、ちょっと圭一くん、レナ恥ずかしいよぅ……そ、そんなに近づけないで……」

「何言ってんだ!レナはかぁいいもの大好きだろうが! 俺のオットセイはどうだかぁいいだろう? ほらほらこんにちわ♪って言ってる、レナちゃんこんにちわ♪ってかぁいくお辞儀してる!」

「い、いや、さすがのレナもそれはちょっと……はぅぅ、そんなピクピクさせないでよぉ……」

レナの顔のすぐ横で、ピョコンピョコンとお辞儀していくオットセイ。 ピョコ、ピョコ、ピョコン。
……やりすぎ。 それはやりすぎでしょう圭一。 俺のオットセイはかぁいいだろうって。
しかもお辞儀と称して、オットセイを上下に動かすとか……そ、そんなこと、できるんだ?
たしかに、た、たしかに『こんにちわ』って言ってるように見えないこともない……け、けど。
や、やめて、なんかおなか痛くなってきた。 笑っちゃダメ笑っちゃダメ、こ、堪えろ私……。
レナは本気で嫌がってるのよ。 ここで笑ったりしたら不謹慎。 私まで変態扱いになる。
…………あんたはなにゲラゲラ笑ってるのよ。 そんなにおかしい? が、我慢しなさい。
圭一のオットセイが!オットセイがかぁいくこんにちは!こんにちは!なのです梨花!
じゃないわよ、ば、ばーか。 そんなの見ればわかるから、ゆ、指とか差すな……。
だ、だからやめてって言って……う、うつるから、うつるからやめっ、てぇ……。

「ほーらほらレナ、羽入も梨花ちゃんもあんなに喜んでるぜ! だからおまえももっと喜べ喜べ!どうだ俺のオットセイはかぁいいだろうほ~らほらほら!!!」

「圭一く……み、魅ぃちゃん助けてよぉぉぉ圭一くんを止めてぇぇぇ!?」

「ん……ちょ、ちょっと圭ちゃ……レナ嫌がってる……や、やめな、よ……く、くくく!」

「け、圭一さ……それってどうなってるんですの? な、なんで動いて……ん、んふ!」

……よく見ると魅ぃと沙都子まで笑いを堪えていた。 魅ぃはともかく、あの沙都子まで!?
さっきまであんなに圭一のを嫌悪していたというのに、今はちょっとかぁいい小動物扱い!
私でさえ彼女の笑ったとこなんて滅多に見たことがないのに……なにそれ、ずるい!
この男は簡単にそれを引き出した。 あっさりと。 あの海綿体の動きだけで!?
というかさっきまであんなドン引きの空気だったのに、なにこの和やかほんわかムード。
有り得ない。 フラグがまた立った。 それも全員いっぺんに。 ビンビンに。
前原圭一……なんて恐ろしい子! さっきまであれだけ軽蔑されていたのに……。
……さすがね。 さすがだわ圭一。 魅ぃとレナと羽入が惚れるだけのことはある。わかる。
私と沙都子もあぶない。 もう少し大人になったら惚れてしまうかもしれない。 この変態に。

まずい……まずいまずいまずい。 まずいフラグが立ってる。 このままじゃ全員……。



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最終更新:2008年02月24日 11:19