理性を糸に例える描写を圭一は知っていた。そして本当に切れたら音がするのだ、と実感した。
体勢を背を向けていた格好から、向き合う形へと移す。
暗闇の中で大きな瞳、端正な顔立ち、深緑に映る長髪が視界に入った。
詩音は未だ圭一を抱く状態。圭一も詩音の肩に手を置き、一層鼓動が大きくなる。
本当に良いんだな、など確認の言葉をかけるのも圭一は考えた。
だがすぐに本能が優先され、目の前にいる少女との行為が脳に上書きされる。
背に回した手で、詩音をより自分へと近づける。
正対しての密着。初体験の感覚に、圭一は血流の加速を悟った。
足を動かして圭一に絡むように詩音は動く。素足と素足が触れ合い、腿と腿が摩擦する。
上半身を少し起こし、再び圭一は視界に詩音を捉えた。
少し乱れた髪と息に喉を鳴らし、自ら唇を触れさせる。
上唇、下唇それぞれ味わうように吸い、顔を傾けて唇だけの接吻を行った。
最後に舌で唇全体を舐めてから、口を離した。
詩音は笑っていた。意中の男性とキスが出来たと言うのは、やはり彼女にとって悦びを感じる経験なのだろう。
お互いに無言のまま体を起こし、ソファ本来の使い方である着座の姿となった。
圭一から詩音の手に自分の手を添え、詩音も下から強く握り返してきた。
同時に立ち上がる二人。詩音の口から漏れた小さな笑い声に、圭一も少しだけ微笑ましい気持ちになる。
何となく当たりをつけた部屋が丁度詩音の寝室で、『ふいんき』を壊さずに済んだ。
「脱いだ方がいいのかな」
詩音の甘い囁き。最初から裸で行為をしている大人の本とは違う。
リアル。確かに今自分が、視覚、聴覚だけでなく、体との触覚も密着する時の嗅覚も接吻の際の味覚も体感している。
お都合で進む話じゃない。ステップを一回一回踏んでやる必要を圭一は再認識した。
「上だけ……脱ぐかな」
ピンキーでファンシーなパジャマに目を落として圭一は言う。
第二ボタンに手を掛けた所で詩音が呟いた。
「私がしますよ」
圭一の手を払って詩音の指がボタンに触れた。
意外と他人のボタンを外す、と言うのは慣れない行為で手こずるのだが、詩音は器用に片手で開ける。
男子としては些か頼りない胸板。皮の下から浮かぶ肋(あばら)。締まった腹筋。
ボタンを一つ外すことに、男としての前原圭一が露わになる。
「シャツ……渡しませんでした?」
「うぅ……、着れなかったんだよ」
どうだろう。と詩音は笑いながら考えた。
詩音は自分の体にある程度の自負があった。
姉の魅音同様太りにくい体質以上に、二人が常に入れ替わりを行うには体型も重要なポイントであった。
あの転婆姉貴が部活で体を動かして、勝手に不要物が落ちていくのに対し、詩音は自ら体をシェイプさせる必要がある。
数少ない生活資金を切りつめて、園崎情報網をフル活用し効果的な健康グッズも購入したものだ。
だからと言って、圭ちゃんの体も自分のものと大差はないように感じる。
骨格の違いから肩幅は当然違う。
抱きしめた時、どこか男子を感じたのは恐らくそのせいだ。
だが筋肉隆々の野球部よりも、裁縫をする女子の方がよっぽど圭ちゃんぽかった。
ならば何故嘘を付いてまで着ることを拒んだのか。
「くくく……」
「……なんだよ」
「ウブだなって」
ボンと効果音がするような圭一の反応。顔だけが見事に赤く染まり、詩音のウブという表現を改めて体現した。
「確かに女の子の鉛筆とか借りるのも恥ずかしがる人も居ますけどねぇ。圭ちゃんはそんな感じですか」
完全に優劣の立場が明確になってしまった二人。ベッドの上で話す甘い囁きでもなく、ごく普通の日常会話が繰り広げられる。
「……でも、今からそれ以上のことするんだろ?」
圭一が急に動く。
唇を重ね、自らの体重を完全に詩音に預けてそのまま押し倒した。
挨拶程度でも外国ではするようなキスではなく、自ら舌を押し込み詩音の中をかき回す。
詩音は抵抗もできないまま、混乱状態で圭一を受ける他なかった。
いつもは嘗められぱなっしであったものの、さすがにこの時ばかりは圭一がリードする。
胸のふくらみに手をかけ、手の平で覆うように力を入れる。
「っ」
詩音の呻きも唾液が絡まる音に消え、圭一は詩音の胸を堪能した。
左手だけで行っていた行為を、右手も加えて詩音をより追いつめる。
右手は依然詩音の胸に刺激を与えつつ、左手は次のステップを踏んだ。
手探りで詩音の着衣を繋ぐ部分に手を掛ける。
詩音の時とは違いスムーズに開けられない圭一は、若干強引にボタンを開け、いや剥いだ。
外気にあてられ詩音の躰が萎縮する。
右手を一度離し、パジャマの下ブラジャの上に手を添え、再び数秒前の行為を続けた。
ブラの生地はざらっとしていたが、より詩音の乳房を感じることが出来る。
半分忘れかけていたディープキスに意識を戻す。何分不慣れなため、息が上手く吸えず苦しさがあった。
舌を抜き、唇も遠ざける。詩音も息が乱れている。熱い官能的な吐息が、圭一の顔にかかる。
詩音が息を吸うのとは違う、なにか喋るために口を開ける。
圭一は反射的にそれを再び己の唇で塞ぎ、二人の唾液が絡み合った舌をまた差し入れた。
数分同じ行為を続けた所で、詩音にも変化が表れた。
圭一の腕を掴んでいた手を、圭一の後頭部に移動させ、より激しい接吻を求める。
顔を動かし、また違った角度の舌を味わう。
圭一もただ揉んでいただけの両手を、くびれや腰、背中を撫でることも追加する。
軽く汗ばんだ詩音の躰を圭一は舐めるように撫でた。
圭一の本能が、今度はブラを外すことを指示する。
どこかの知識で、ブラを外す時にはそれなりのテクがいるとかなんとか聞いていたが、ボタンとは違い簡単にブラは胸から落ちた。
未だキスのため圭一の視界は塞がれているので、生の乳房を見ることは出来ない。
見るよりも先に、右手の親指が桃色の突起にかかった。
びくん、と明らかに今までと違う反応が詩音に起こった。
それを面白く感じた圭一は、親指で何度も乳首を弾く。
詩音の躰がよじれ、何か逃げるように動き出す。
「はぁっはぁっ」
ここで圭一は完全に顔を詩音から離した。視界に飛び込んできた生の上半身。
月光だけの乏しい明かりに映る詩音の乳房。
鼓動がまた一つ大きく鳴る。血流がまた一つある箇所に集まる。
「なかなか……激しいですね」
息が絶え絶えになっているのを落ち着けつつ、詩音が呟いた。
乳を弄られたことより、大人のキスの方が詩音にとってはセックスを感じていた。
「ガマン出来そうにねぇな、俺」
酸素の欠乏とは違う理由で、圭一は激しい呼吸をしている。
既に圭一の一部分は剛直と化していた。
「ガマンしなくていいですよ。滅茶苦茶に私を愉しんでください」
すっと閉じる詩音の瞼。自分のモノと疑似する詩音の態度に、圭一は雄となった。
まず自分を邪魔する衣服を取り払う。悪魔が与えた恥辱を隠す布を外し、アダムとなった。
青い血管が浮き出、他の箇所の肌よりも少し黒ずんだ皮、そして赤々と膨らんだ亀頭。
思春期の中学生に、前戯は十分な勃起の栄養だったらしく、ぴくぴくと震えて準備万端となっていた。
乱暴に掴んだのは詩音の下のパジャマ。ヒップのラインに沿いはだけるズボンを、片手で足から引き抜いた。
純白のパンティを直視し、円形のシミが出来ていることを中指で確認した。
指でそのシミを弄る圭一。いよいよ声を抑えにくい箇所に刺激が起き、力を入れる詩音。
時折起こるぐちょ、と言う音がより大胆に圭一を動かす。
パンティ越しに溝をゆっくり下から上、上から下となぞる。詩音の手が声を漏らさないため口へと動いた。
それより早く圭一の指が詩音の口腔に入る。
これは知識として存在していた作業で、圭一自身どう意味をなすのかが分からなかった。
とりあえず中指に次いで人差し指も口へ入れ、舌をぐにぐにと弄った。
すると詩音は手首の当たりを両手で掴み、固定し、口腔内の圭一の指をしゃぶり始めた。
自分の意志ではない舌が、こんなに快感を生み出すのかと圭一は思う。
指先に性感帯など無いのだが、ぞくぞくとする小さな刺激に圭一はより鼻息を荒げる。
「んっ……ん……」
懸命に指をしゃぶる詩音を見ながら圭一はパンティにも手を掛けた。腿まで下げて圭一はパンティを下げるのを中断する。
もう邪魔するものなど何もない詩音の恥部。これ以上待つ理由など圭一にはなかったからだ。
左手の指が詩音の指に触れる。溝に沿って再び擦り始める。大陰唇を親指でこする。
途中クリトリスを発見し、乳首にしたように軽く弾いた。
「ああっ!」
一番大きな声が圭一の指の間から漏れた。
弾く。声が漏れる。弾く。声が漏れる。
指をしゃぶることなど忘れ、詩音はされるがままに声を押し殺す。
その必死に耐える表情をする顔に、圭一は数センチの所まで自らを近づけた。
「可愛いよ、詩音。ガマンすんなよ」
銃のジェスチャのような形の人差し指と中指を、圭一は詩音のナカに挿れた。
ぐっと詩音が硬直する。怯えるような表情に変わった顔。
紅潮した頬を一度舐めてから、圭一は三度目のディープキスをする。
今までで一番激しさのこもったキス。詩音は逃れるように、紛らわすように舌を貪る。
ナカにある人差し指と中指を交互に暴れさせる。
ぐちゅっ。びちゃ。淫らな音。キスで漏れる音と同様、圭一の一つのガマンが崩れかける。
早く挿れてしまいたい。果てたい。
だが思い留まり、二本の指に加え親指が陰核を遊ぶ。
後頭部に再び回っていた詩音の手に力が入る。キスの度合いがまた一つヒートアップする。
三本の指が疲労を感じ始めていた。手の筋肉など本当に些細なモノ。数分続ける慣れない運動にも限界が来る。
しかし圭一は詩音がイきそうなのを感じ取っていた。詩音から舌が動かなくなり、されるがままの状態になっているからだ。
もうちょい……、もうちょい。
「へひちゃ、……ひちゃ、ああ、ああ、ああああああっ!」
弓のように詩音がしなる。異常が起こり、圭一の後頭部をあらん限りの力で締める形となった。
イったのか……。妙な達成感と、詩音に対する征服感が起こり、圭一は唇を乳房へ移動させた。
「待って……圭ちゃん……っ。きゅーけぃ……」
「待ってられっかよ……」
乳首をくわえ、挿れたままの指を再び始動させる。
転がすように丹念に乳首を舐め回し、指はナカの横ではなく上の方に立てる。
小さなグラインドで擦り始めると、先ほどより大きな刺激が詩音に伝わった。
「はっ、はっ、いやぁ……圭ちゃん……」
圭一は第二関節までしか挿れていなかった指を、根本まで沈める。
詩音がまた一つ鳴き、圭一は指の出し入れする距離を一層長くした。
数分している内に、一部分を通過する時だけ、詩音が必ず声を漏らすことを圭一は知った。
Gスポットであったのだが、圭一はそんな知識を知ることもなく、ただ面白半分にそこを重点的に責める。
「うああっ、そこ……だめぇっ」
聞き入れるはずもなく、むしろ弄る指を更に激しくこすり上げる。
詩音の躰が左右に揺れ、圭一は右手を背に回して、詩音を固定した。
「よし……」
圭一はある程度見切りをつけ、口から指を離す。
詩音は荒い息を抑えるのに必死で、天井を見つめながら呼吸している。
圭一は視線を詩音から離し、自らの剛直へと向ける。
先走り液は既に亀頭全体を濡らし、今にもフライングしそうなほど万端のようであった。
「いいな……詩音」
詩音にまたがり、ペニスの先端を入り口にあてがいながら圭一は尋ねた。
ここで拒絶されても、圭一は抑制しきれないだろうが、彼の最低限のマナーであった。
無言で頷いた詩音をしっかり確認し、圭一は腰に力を入れた。
「ゆっくりだと逆に痛いって言うからさ」
「……はい」
緊張が走る。どのタイミングでやろうとも結果は同じだろうが、太股を持つ手が汗ばむのを感じた。
「力抜いてな……いくぞ」
亀頭がナカへと侵入する。そこで一度躊躇に似た停止があった後、宣言通り一気に挿し込んだ。
破瓜を迎えた詩音に初めて痛みが伝播する。自らの処女が失われた瞬間。さすがにこればかりは愛情でガマンできるものではない。
圭一は動かずに詩音の表情が緩むのを待った。
息を整えようとしているが、やはり痛みは相当らしく眉間の皺が走っている。
一方圭一は詩音へと入り、今までで一番の快楽を得ていた。
前戯は女性へのある意味での奉仕であり、直接圭一が快感を覚えるモノではない。
初めて圭一は自慰とは違う、女性の膣を感じ取っていた。
詩音が大きく息を吐く。表情も未だ口元が歪んでいたが、さっきよりは収まった。
半分ほどまで入ったペニスを更に奥へと挿れる。また詩音の息が漏れる。小さな悲鳴があがる。
ここで圭一の理性が完全に切れた。
「詩音っ!」
太股を持ち上げていた両手を、詩音の腰へ持ちかえる。しっかりと詩音を固定させ、一層ペニスを詩音の奥へと挿し入れた。
「いやああああぁぁっ、痛い……」
躊躇ってしまいそうな詩音の嘆きにも、圭一は腰を止めなかった。
亀頭の先端がなにかに当たる。詩音の子宮口へと到達したのだ。だがそれでも根本まで入ってはいない。
ぐっと更に圭一の持つ手に力が入る。あと数センチ。根本まで挿れることに、圭一は妙な執着心を抱いていた。
「無理……圭ちゃん、もう入らないよ……っ!」
「あと少し……後少しだからガマン……してっ!」
語尾を言い終えると同時に圭一は根本まで自らを沈めた。
詩音が嬌声をあげ、ベットのシーツを握りながら痛みに耐える。
根本まで入りきった所で、圭一はピストンを始めた。
狭い膣の壁を圭一のカリ首が引っ掻き、苦痛なのか悦楽なのか分からないモノが詩音を襲う。
「けいちゃ……、もうちょっとゆっくり……」
「ごめん、乱暴すぎたか?」
腰の動きをよりスローモーションに変える。それでも詩音の顔から苦悶の表情は剥がれない。
いきなり巨大な異物を飲み込んだ詩音の膣は悲鳴を上げ、両者が快感を覚えれるセックスとは一線を画していた。
経験の無さや、性器同士の相性もある。今は何とか圭一への愛情で保っている状態だ。
破瓜の際流れ出た血液が、より乏しい知識のセックスが危険であることを物語る。
尚、圭一はピストンを止めることはしなかった。
性欲に負け自我に支配されているわけではない。知識として痛みを和らげるには、ピストンを続けるしかない、と知っていたからだ。
堪える声が、痛みではなく悦びを抑えるものになるまで、この速度で続けることを決心していた。
やろうと思えば、犯してしまうこともできる。
詩音を道具が何かのように、性欲のはけ口として壊すことも出来る。
だが詩音の喘ぎが、僅かであるが圭一の理性を取り戻した。
自分を好いてくれ、躰を差し出したこの女性を、壊すことなど圭一には意識の片隅にもなかった。
「うっ……うぅん……」
表情が崩れないまま、また幾重の時を重ねた。だが確実に詩音の反応が、痛みから離脱しかけているのが分かる。
ぐちゅ、とピストンする度に鳴る音も大きくなってきた。愛液の量が増えている証拠だ。
シーツを握っていた力が段々入らなくなり、浮揚でもするような感覚が起き始める。
コンスタントで一定のリズムのピストンを、圭一は次第に変え始めた。
出すかと思えばまた少し突き、逆に奥深くまで突かず大きく出す。
ペニスが膣から抜けるのだけは注意しつつ、不定期の刺激を送り続ける。
漏れる声が内緒で観たビデオのものと似てくる。
だがどの女優よりも遙かに綺麗で、心地よく、嬉しい声が目の前で起こっている。
自分のペニスで悦びを感じてくれることに、圭一は病みつきになった。
詩音が異変を感じたのは、掴まれていた腰から感触が消えた時だった。
次いで太股から間接の裏あたりの触覚が反応し、足が圭一の脇の下で挟まれる感覚。
その一連の動作で膣の壁が大きくペニスを擦る。詩音の躰が横になり、俗の交差位の体位。
ただでさえ大きかった摩擦が、躰が横になったことで更なる刺激となる。
セックスを思い浮かべると正上位が一番に来る詩音には、まるで犯されているような感覚さえある。
だが繋がっている相手は圭一であり、彼が夢中になっているような錯覚がより詩音を酔わせる。
乳房に手がかかる。挟んである脚に負荷がかかり少し痛い。圭一の顔は到底可愛らしいものではなかった。
それでもどんな負の状況が出来ていても、詩音は起こっている快感で全てかき消すことが出来た。
実際しないと分からない感覚。睡魔に似た抑制の出来ない虜の世界。
そして確実に近づく終わり。オーガズムと言う名称の頂が、詩音の奥からこみ上げてくる。
圭一は気付いていない。必死にただ腰を動かしているだけのように見える。
果てそうなことを伝えたい。しかし響く悦楽が、発する快感が、伝う快感がそれを妨げる。
確実に終わりは近いのに、ただ漏れるのは喘ぐ鳴き声。
言葉にならない、平仮名でもアルファベットでも表現できない音だけが口をつく。
「ううっ……!?」
波。駆け上がるなにか、いや分かっている。
これが絶頂前の筋肉の弛緩。
恐怖感にも似た冷たさと快感の塊がこみ上げる。
来る来る来る来る……!
「っつああああああぁぁ!」
圭一は詩音の反応に目を丸くする。
頭の先から足の指まで伸びきって、口をだらしなく開け、数秒間硬直した。
同時にナカが急激に締まり、堪えていた射精感にまた刺激が加わる。
痙攣したように横たわる詩音を見て、やっと圭一は彼女がイったことを理解した。
「イったのか……? 詩音」
一応聞いてみるものの、大きく呼吸する詩音からは何も返ってこない。
かちん、と子供らしい感情を圭一は抱く。
幼稚園児なら親が勝手にデパートへ行き、自分は知らず友達の家に居たら怒りを覚えるだろう。
そんなガキくさい、セックスとは対象年齢の違う気持ちで、圭一は腰を大きく動かす。
「っ。圭ちゃん!?」
絶頂を迎えて間もない詩音には、余りにも慈悲のない刺激。
容赦なく擦りつけられる膣壁は、水音で悲鳴をあげていた。
声を出そうにもピストン運動が強すぎる。
グラインドする量も、速度も、方向も乱暴で耐え難い感覚だ。
肌と肌を打ち合う音が、またスピードアップする。
愉しむためではなく射精するための運動。ペニスは最高の環境で脳からの指令を待っている。
「ぐ……うっ」
「ぃちゃん、ナカはやばひっ……!」
圭一は耐えに耐えた液体を撃ち放つ。
一度情け程度の放出の後、二度目三度目の大きな流出。
自慰ではなかなか起きない四度目五度目六度目。雄の象徴が詩音のナカで大きく爆ぜた。
射精で起こった寂寥感に包まれながらペニスを抜く。
生殖としての役目を終えた圭一の陰茎は、だらしなく垂れ限界をアピールしていた。
疲労がどっと全身に押し寄せ、詩音の横に倒れ込む。
目の前には緑色の髪をした少女。
「めっちゃ良かった……」
「……最後のなければ、私は最高だったんですけどね」
こうやって一々毒づくのが好きな、だけど暖かい女の子。
どうしよう。俺はこの娘(こ)が好きなのだろうか。
それよりも今は眠い。大変なことは……明日……考えよう。
圭一は瞳を閉じて眠りに入った。
その様子を詩音は微笑みながら見つめる。
腹の中にある温かい液体の感触。圭一の象徴。
今日は一応安全日だから大丈夫だろうか。
いやいや明日学校に私が登校する確率よりは高いはずだ。
まぁ、その時はその時だ。
その時が来るまで……、今は私も眠らせて貰おう。
瞼が支えを失って落ちる。全身から力が抜ける。脱力と言う妙な心地よさ。
圭一の額に口づけをし、詩音も深い闇の中へと巻かれ始めた。