「ああああぁぁぁぁ~~~~っ!? ななっ!? なんて事するにゃりか~っ!? meのおズボンがyouの粗相のせいでべたべたになってしまったにゃりよ~っ!!」
「ああっ!? その……申し訳ございません。ですが、お客様が急に私の脚を――」
「んん~っ!? 何にゃりかっ!? 僕が悪いというにゃりかっ!?」
「いえそんな……つもりは……その…………」
エンジェルモートの一角で、怒声が響く。
そこではデブで汗をだらだら流した、いかにもステレオタイプ然としたヲタクが気弱そうなウェイトレスに険を向けていた。
「まったく、なんというサービスのレベルが低い店にゃりかっ!! これはもう、きちんと誠心誠意、心を込めてフキフキしてもらわないと許せないにゃりっ!!」
「ええっ!? そ……そんなぁ……」
客の無茶な要求にウェイトレスは涙目になる。
それもそうだろう。何しろ汚れている箇所というのが股間なのである。しかもそこは、まるで何かを期待しているかのように……いや、期待しているのだろう、大きくテントを張っていた。
それがつまりどういうことか分からないほど、彼女も幼くはない。
思わず羞恥で耳まで真っ赤になる。
「んん~っ!? どうしたにゃりか? 早くフキフキして僕のおズボンをきれいにするにゃり。ぐひひひひひひひ」
男の顔が欲望に醜く歪む。
その頭の中は卑猥な感情にまみれていた。
そもそもが、脚を引っかけて彼女を転ばせ、デザートを台無しにしたのは男の方である。それが分かっていても、立場が弱い故に強く反論できないのが、彼女には悔しかった。
「ああ、これは失礼致しました。今すぐ担当の者と代わりますので、申し訳ございませんがしばらくお待ち下さい」
「せっ……先輩?」
と、不意に彼らの横から別のウェイトレスが入ってくる。
助け船の存在に、彼女はふっと緊張が弛むのを感じた。
「ほら、いいから後はまかせて」
強引に彼女の手を引き、店の奥へと連れて行く。
「あの……でもそれじゃ先輩が……」
しかしそれでは自分の代わりの人間が生け贄になるだけではないのか? そんな不安が彼女を包む。
「私? ううん、私なら大丈夫よ? ああそっか……新人のあなたは初めてね。ここにはあの手の輩が多いから、そういうのに対処するためのスペシャリストがいるのよ」
「え? スペシャリスト……ですか?」
疑問符を浮かべる新人の目の前で、先輩ウェイトレスは大きく頷く。
「クララ☆さ~ん、13番テーブルにフキフキをお願いしま~す」
そして、先輩ウェイトレスは彼女の名を呼んだ。
「クララ☆さ~ん、13番テーブルにフキフキをお願いしま~す」
エンジェルモートの奥からそんな声が聞こえてくるのを、彼は確かに聞いた。
あまりにも素早くターゲットが店の奥へと消えていったため、止めることも出来なかったが……確か担当の者と代わると言っていたはず。
ひょっとしてさっき聞こえてきたクララ☆というのがその担当者のことなのだろうか?
担当の者だということだから、もしかすると……丁寧なサービス満点のご奉仕が展開される可能性も……??
お目当てはあの新人の娘だったが、それはそれで楽しめるかも知れない。
彼の胸の中で、期待が膨らんでいく。
そうだ。クララ☆という名前もなんとも可憐で甘美な響きではないか。ならばきっと相手をしてくれるのも、美人でむっちむちでボインボインで萌え萌えキュートなお姉様に違いないっ!!
と、不意に彼の周囲にカーテンが降りてきた。別に光を通さないということはないしその中でも十分明るいのだが、周囲の様子が何も見えなくなる。
「ななっ!? 何にゃりかこれは??」
急な展開に、彼はあわてふためいた。
だが、すかさずカーテンの外からウェイトレスの声が聞こえてくる。
「はい。驚かせてしまって申し訳ございません。こちらはその……周囲のお客様に配慮してのことでございます。お客様によっては、ちょっと目の毒になることもありますので」
ウェイトレスの説明を聞いて、ひとまず彼はそこで納得することにした。
「む……むむぅ、そうにゃりか。分かったにゃり」
場合によっては目の毒になるサービス?
それはつまりどのようなサービスなのだろう?
様々な書籍から入手したあらん限りのエロ知識を振り絞り、彼は妄想を膨らませていく。嗚呼ひょっとしたら今日、自分はこれまでの自分とは違う自分になってしまうのかも知れない。……そう、性的な意味で。
思わず、ごくりと喉が上下した。
「お待たせしました。クララ☆さん、入りま~す♪」
来たっ!!
その瞬間、彼の心臓は生まれてから最高の心拍数を記録し――
「どうもどうも☆ クララ☆です。初めまして。んっふっふ~☆ 今日はよろしくね☆」
次の瞬間には凍り付いた。
一気に、顔から血の気も引いていく。
「あ、あ……あ、ああああああああ…………」
彼の目の前には、まるで定年前のビール樽なお腹をしたオヤジにそのまま乳房が取り付けられたような物体が現れた。
「おやおや、これは大変ですねえ☆ お客様のおズボンにこぉんなにもクリームがべっとりと……」
「ひっ……ひぃっ!?」
笑顔を浮かべて、彼女(?)――クララ☆が彼に迫ってくる。
彼はその光景に、悲鳴を上げることしかできない。
そして、心の底から己の行いを後悔した。
「では、心を込めてご奉仕させて頂きますねえ~☆ んっふっふ~☆」
「いいっ!! もういいにゃりん。自分でふくにゃりっ!!」
「いえいえ、そんなわけにはいきません。当店としても誠意を見せないことにはねえ☆」
怯える男の制止に止まることなく、クララ☆は彼の隣に座り、そして布巾を彼の股間にあてがった。
「おやおやぁ? お客さんなかなかどうして、立派なものをお持ちじゃないですかあ。んっふっふ~☆」
笑顔を浮かべながら、クララ☆が男の男性器を包み込むように……しごくように布巾を股間の上で上下する。
その動きは執拗に、巧みに彼の性感を責め立てていく……。
「う……くぅ」
「おやおや、お客さん。元気ですねえ☆」
「ちが……違う。これは違うにゃりんよ……」
勃てちゃだめだ、勃てちゃだめだ、勃てちゃだめだ……。
どれだけ必死に気を紛らわせようと、そんな台詞を心の中で繰り返すが、若さ故の悲しい性か、頭では分かってはいても彼のオットセイ☆がクララ☆の奉仕に反応していく。
「んっふっふ~☆ 仕方ないですねえ☆ 責任を取ってご奉仕をさせて頂きますよおぉぉ~~っ!?」
ぶちゅぅっ!!
彼の唇に、クララ☆の唇が重なる。
その瞬間、彼の意識は遠のいた。
小声で「ひ、非道いにゃり。初めてだったのに……」とか泣いている。
のっそりと、クララ☆は彼の上にのし掛かっていく。彼はもう、それに抗う力は無い。気力も残ってはいないっ!! キスのダメージはそれ一発でとてつもない傷を彼の心に負わせた。
クララ☆は彼のズボンのファスナーを下ろし、オットセイ☆をその中から取り出す。
「にゃ、にゃりいぃぃ~~~っ!?」
そして、クララ☆はおもむろに彼のオットセイ☆を口に含んだ。
あまつさえ、たっぷりとした唾液を彼のオットセイ☆に絡め、そして強いバキュームで啜っていく。
「だめぇ……。もう、やめて欲しいにゃりぃん。ああぁっ!? そんなっ!? こんなの初めてええぇぇっ!! ダメにゃり、ダメにゃりいいぃぃ~~っ!?」
未知の感覚に、彼の背筋が凍る。
目の前の光景には怖気以外の何も感じないというのに、体からは例えようもないほどの快楽が伝えられてくるのだ。
「んっふっふ☆ 更にこんなのはどうですかああぁぁ~~っ!?」
「にゃりいいぃぃんっ!?」
クララ☆はエンジェルモートの制服から、その豊かな乳房を取り出し、そして彼のオットセイ☆を優しく包み込んだ。
あまつさえ、ゆっさゆっさと彼のオットセイ☆を間に挟んだまま擦り上げていく。
クララ☆の胸の中で、彼のオットセイ☆は爆発寸前なまでに高まっていた。
だがしかし、まさかここで射精するわけにもいくまい。彼は苦悶の表情を浮かべながら、それだけは避けようと股間に力を入れる。
「おっほぅっ☆ 凄いですねえ☆ 益々固く、大きくなってきましたよおおぉぉぉ~~っ!?」
「はぁっ…………はあぁあっ……くぅっ……」
歯を食いしばって快楽に耐える男を見上げながら、クララ☆はにんまりと笑みを浮かべる。
「…………では、いよいよクライマックスといきましょうかねぇ? あんまりお待たせしても辛そうですし。私ももう、我慢出来なくなってきましたからねえ」
「にゃ…………にゃりっ!?」
不意にクララはオットセイ☆から胸を離し、彼の上にのし掛かっていった。
重みもそうだが、なるべく触れたくないという恐怖感から、男は思うように彼女を押し退けることが出来ない。
「や…………止めるにゃり。一体何をするつもりか分からないけど、お願いだからどいて欲しいにゃりんっ!!」
「んっふっふ~☆」
しかし、クララ☆は答えない。
おもむろに彼のオットセイ☆を鷲掴みにし、自分の秘所へとあてがう。
これから行われる行為に、男の顔が蒼白になる。…………やっぱり悲しいほどにオットセイ☆はギンギンぎらぎらパラダイス☆なのだが。
「にゃっ!? にゃりいいいいぃぃぃ~~~~~んんんっ!!」
オットセイ☆が生暖かく粘っこい感覚で包まれる。つまりこれは――
「んっふっふ~☆ どうですか? 私の中は?」
「あ…………あ…………ああぁ…………」
男は信じたくない現実に、涙を流すことしか出来なかった。言葉にならない声を漏らすことしか出来なかった。
「さぁっ!! それでは一気にいきますよおおおぉぉぉ~~っ☆」
ぶちゅうううぅぅぅ~~~っ!! と濃厚なキスが彼の顔中に降り注ぎ、そしてクララ☆の舌が彼の口腔を侵していく。
男の上でクララ☆の体が踊り、裸の胸が大きく揺れた。
結合部からぐちゅぐちゅと淫猥な音が響いてくる。
男は白い意識の中、されるがままにクララ☆の責めを受け続けた。
柔らかく潤った肉に抗う術も、もはや無かった。
「はぁっ……んははぁぁぁっ☆ はあああああぁぁぁ~~っ☆ いいですよお客さんっ!! 凄くいいですよおおおぉぉぉ~~っ☆」
とっくに限界を越えていた彼のオットセイ☆が達するのは時間の問題だった。
「はぁ……あ、ああああ……」
呆然とした表情を浮かべながら、彼はクララ☆の中へと射精した。
―数時間後―
「ありがとうございました~っ! またのご来店をお待ちしておりま~す☆」
会計を済ませ、彼はよろよろとふらつきながらエンジェルモートを出た。……結局あれから絞りに搾り取られ、彼は身も心もぼろぼろだった。
「…………やっぱり……悪い事しちゃ……ダメにゃりんね……」
それは単純にして不変なこの世の鉄則。誰もが子供の頃から教えられる絶対的なルール。
だが、それを破った代償を彼は今日、痛いほどに学んだ。
思わず空を見上げる。
そこには一番星が輝いていて……。
目からほろりと涙が零れ、彼は大人になった。
―END―
最終更新:2008年01月14日 19:39