めおと


「ねーねー!食器洗いまだ終わりませんのー?」
「ちょっと待ってくださいね。あと流すだけですから」
水切りの上を整頓しながら食器を一つずつ片していく。
今夜は巫女コンビも交えたディナーだったため食器は五人分。
沙都子は待ちきれずに私の分のお風呂セットも周到に用意してきたらしい。
「はいはい。終わりましたよ。ふー、流石に五人分は骨が折れますね」
手を振ってタオルに手を掛けるのを確かめると沙都子は跳ねるように風呂場へ駆けて行った。
沙都子が風呂好きになるなんて、イレギュラーな家族を迎えるこのお泊まり会ぐらいのものだ。
「じゃぁ、お先に失礼しますね悟史くん」
「うん、お疲れ様。ゆっくりはいってきてよ」
カボチャクッキーをもぐもぐさせながら悟史くんはにこっと笑いかけた。
沙都子のために作り方を研究したカボチャクッキーなのに、
いつの間にか悟史くんの好物に化けてしまい、
気づけば北条家のリビングにはこのクッキーを備えておくのが当たり前になっている。



「ちょっとあんた、今の顔村の年寄り連中に見せてみなさい。この神社即潰れるわよ」
「はうあうあぅ~ん♪詩音から貰ったエンジェルモートの残り物じゃ仕方ないのです~あぅあぅあぅ~♪」
恐ろしいことに、羽入はすっかり詩音に飼いならされてしまった。
詩音からすれば私達は大好きな妹もどきの大事な友人s程度の認識だが、
エンジェルモートの店長の愛すべき親戚であり本人もそこそこの甘い物好き…等
オヤシロ様的にはなかなか申し分ない人材だと判定されたらしい。
「詩音も流石に気の毒だわ。こんなのにぺたぺたつけまわされるなんて」
「ばれてないのです。余裕余裕なのですよ。あうあうおなか一杯なのです」
私は凄い胸やけがするわよ。後でキムチで口直ししてやるわ…。
「それじゃぁ僕はもう一仕事してくるのです」
「はぁ?何処に行く気?」
「お年頃の男と女が一つ屋根の下…となれば縁の神の僕がすることはたったひとぉ~つ!なのですよ!!」
覗きかい。
「…まぁ別にいいけどねぇ…。多分また無駄足よ」
北条家に詩音が泊まることは珍しくないどころか割と日常的なイベントだ。
今や沙都子にとって北条の家は嫌な思い出のある家じゃない。
私や羽入や詩音、時々レナだって呼んでわいわい騒げる自慢のおうち。
中でも詩音は格別で、沙都子にとっては詩音が北条家に泊まるときこそが家族の団欒なのだ。
ただし、これは凄く微笑ましい反面、詩音個人にとっては若干の障害へとなりつつもある。
羽入の言うように視点を変えれば、本来ならば男と女の重要イベントなのがお泊まりだ。
仮に悟史のポジションを圭一へと置き換えてシミュレートしてみよう。
間違いなく今頃詩音は凡人には分からん様な変態プレイにつき合わされている所だろう。
しかし悟史は決定的に圭一とは違う。
ある意味凡人では理解できないほどの鈍感天然男なのだ。
詩音の視点では大好きな悟史くんちにお泊まり☆だろうが
悟史の視点になると大好きな妹の親友がお泊まり、なのだ。
現実では"沙都子のねーねー詩音"と"沙都子のにーにー悟史"の関係ばかりが構築されているのである。
「最初の方は私だって面白がってたけど、流石にあれじゃ男女の関係なんて100年先ね」
ん~甘い物の後のお酒って言うのもなかなか悪くはないわね。
「梨花ぁ~無駄とかなんとか言ってはいけないのですよ。奇跡は信じないと起きないのですっ」
…奇跡ってあんた…あんたの方がよっぽど酷い物言いよ。
「僕は決めたのです。今日こそは二人を急接近させてオヤシロパワーを見せ付けてやるのです!」
「はいはい頑張ってね。…そんなに今日の晩御飯美味しかったのねぇ…」
食い物の恩っていうのもなかなか恐ろしいわ。



「こら沙都子。お風呂上りのアイスは一個だけですよ」
冷凍庫を二度探る沙都子のパジャマを詩音の腕が引っ張る。
沙都子は口を尖らせて反抗する。すっかり詩音の癖がうつってしまったらしい。
「そんな顔してたらお姉ぇみたいにタコみたいな顔になっちゃいますよ」
当の詩音すら自覚がなかったんだろうか。ちょっと意外だ。
「ちょっと!?何でそこで笑うんですか!?今の笑う所じゃありません!!」
「ご、ごめん、てっきりそれ、わざとなんだと思ってたよ」
正しくタコみたいな顔をする詩音に沙都子も笑いを堪えられないらしい。
「そうですわね。そんなタコみたいな顔になるなんて冗談じゃ御座いませんわ」
一頻り笑うと沙都子は二個目のアイスのことは忘れてしまったらしい。
詩音の指示を騒がしく受け入れながら歯を磨いて自分の部屋へ行ってしまった。
「お疲れ様。」
わざと疲れた顔をする詩音に労いの笑顔を向ける。
頭を撫でるといつものようにあわあわ言いながら目を回し始めた。
「ごめんね。折角のお休みなのにわざわざうちに泊まってもらって」
学校に、バイトに、加えて詩音は看護婦の勉強といって診療所によくお手伝いに行っている。
普通の女の子なら多分もっと遊ぶ時間が欲しいはずだ。
沙都子みたいな子供のする遊びじゃなくて、友達と買い物をしたりっていう、女の子の遊び。
あの魅音でさえ今や東京暮らしをしてるのに、詩音は興宮からわざわざ雛見沢へやって来る。
「え!?い、いえいえ!!えっと、ほら!ねーねーですもん!これぐらい全然へっちゃらです!!」
詩音は例え相手が沙都子でも一切妥協したりしない。
怒る時は真剣に怒る。遊ぶ時は真剣に遊ぶ。どっちも、僕にはずっと出来なかったことだ。
僕を看病する時だって、あれはしたかこれはしたかと指折りで一生懸命だった。
監督がそんな詩音にメイド服を着せようと奮闘したり、
鷹野さんがそれをからかって、そんな鷹野さんを見に富竹さんまで来たりして大騒ぎ。
「さ、悟史くん…私のこと馬鹿にしてませんか?」
いつの間にかまた詩音の頭に手を乗せてたらしい。
詩音は顔を真っ赤にして抗議の目を向けてきている。
「詩音は偉いなぁーって…思っただけだよ」
やっぱり馬鹿にされてるんだと解釈したらしい、詩音はもっと顔を真っ赤にして口を尖らす。



あうあう~♪1000年神様やってもやっぱりこういうのをみると頬が上がってしまうのですよ。
僕は縁の神なのです。
これは覗きなんていう悪趣味ではなく、立派なお仕事なのです。あうあう。
…それにしても本当になかなか上手く進展しない奴らなのですよぅ…。
ここはいっちょ思いっきり気合を入れてやるのです。
僕が雛見沢に君臨し続ける限り少子化なんて起こり得ないときっちり証明してやるのです。
ふんっむむむむむむむむむむむむううぅう~~~~~!!!!



あーぁ…今日も悟史くんは相変わらず悟史くんだ。
圭ちゃんあたりの下心をほんのすこおぉッしだけ見習ってくれないだろうか。
お風呂上りの女の子を目の前にしておいて涼しい顔でクッキーつまんでるなんて信じられない…。
もしかして…私って…女としての魅力がなかったりする…?
私はお姉ぇと全く同じ顔をしてる。
お姉ぇは頭の中は変だがまさか顔を潰れたあんぱんだとか思ったことは一度もない。
私はお姉ぇと違って肌の手入れだって欠かさないんだから、
少なくともあれより酷いことはないはずだ。
体つきに関してはむしろ自信を持ったって問題ないレベルだろう。
これでコンプレックスなんて持ってたら逆に梨花ちゃまあたりにでも闇討ちされかねない。
……何が駄目なんだろう…。やっぱり私じゃ悟史くんの好みには合わないんだろうか。
男の子なんて着飾って胸の一つでも押し付けてれば簡単にころっといくと思ってたのに…。
「し、詩音!?どうしたの!?」
気づかないうちに目に涙が溜まってたらしい。
悟史くんが慌てて私のご機嫌をとろうとあたふたする。
「さっきの気にしちゃったかな?ご、ごめんね、大丈夫?」
相変わらず無意味な方に謝ろうとする悟史くんに私は軽くイラッとしてしまった。
「…もしかして私…迷惑ですか?」「し…詩音?」
「わ、私じゃ駄目ですか?遊びに来たり、お世話したり、泊まったり…私じゃ…」
あたふたしてるだけじゃとれないぐらい機嫌の悪いことが分かったらしい。
少しでも私の気を紛らわそうと私の頭を撫でだした。
卑怯かも知れない。でも、もうここまできたらきっと最後の手段で足掻くしかない。
……ええいッ女は度胸だ!!
悟史くんが逃げられないぐらい腕に力を入れて、目の前の胸に飛び込んだ。
「しっ、しおん!!?……ど、どうしたの…?」
「わ、私…好きなんですッ…悟史くんのこと…!」
ど、どうしよう…悟史くんすっかり固まっちゃってる…。
「ずっと、ずっと…本当にずっと前から…」
腕の力を強めてみる。
「悟史くんのことが好きなんです…」
うっ…どうしよう…悟史くん何の反応もしてくれない…。
くそぉ…。何が涙は女の武器だ。泣き落としだって通じないじゃないか。
すっと体を引く。私にできることは、今までで全部やれた。
それで駄目って言う答えが出るんなら、もう仕方ない。
「…むぅ」
「ふぇ!?」
背中に凄い力が掛かって私の体が引き戻された。
「あ…ぅ…さ、悟史くん…」
「えっと、…僕も、詩音のこと…好きだよ」



やったぁ~!流石僕なのです!!
オヤシロ様に掛かればカップルのひとつやふたつ楽勝なのです~。
あぅ~!ちゅーまでしだしたのです~!
これで詩音は僕に感謝感激飴あられ!!
「ありがとうオヤシロ様!お供え物のシュークリームをお納め下さい!葛西オススメの超一流店から取り寄せ…」
あひゅ~!?辛いのです!!このシュークリーム辛いのです!!
はっ…!違う違う!これは梨花がこっそりキムチを食べているのです…。
僕が真面目に働いているのに邪魔をするなんて罰当たりなのですよ!あひゃ!!
あうあうあう~!二人のことは後回しなのです!!
こぅら梨花ああぁ~~~ッ!!!!



顔が焼けそうなぐらい熱い。
唇と唇を合わせるだけでもこんなに恥かしいもんなんだとは思わなかった。
詩音は顔を真っ赤にしながら目をきょろきょろさせている。
こ、こういうときって、どうしたらいいのかな?えっと、…えっと…。
「いつから…かな?看病してくれてる時…もしかして…もっと前かな…?」
詩音はゆっくり二回頷く。…っていうことは…。
「ありがとう。…あはは、悪いことしちゃったかな…ごめんね」
詩音は必死に首を振って否定してくれる。
少しは機嫌、なおしてくれたんだろうか。
「…もう一回…いいかな…?」
「ひゃ…あぃ…お、お願いします」
林檎みたいに真っ赤な顔に近づく。
「ぁ、あの…!できれば…ぃあじゃなかったら…その…もっと…」
むぅ。詩音はどうしたいんだろ…。…もっと…か…。
「テレビとかで見るような、やつ…かな?」
詩音は目をぎゅっと瞑る。多分、間違えてないらしい。
「はぅ…ん……」
詩音の舌の柔らかさに吃驚して腕に力が入ってしまう。
それに気づいたらしい。
絨毯の上を摺りながら詩音の体重の半分以上が僕の体に掛かった。
「へへっ、悟史くんの口の中、とってもやらかいです」
「むぅ。詩音、あんまり…その…近づかれると…」
シャンプーの匂いで目が回りそうなんだけど…。
「悟史くんが嫌じゃなかったら…。私、ずっと…待ってたんですから」
むぅ。意地悪な言い方するなぁ…。
「あ、あのっでもでもでもっ私、…は、はぢめてなので…できれば、ゆっくり…!」
「詩音…まだなんだ。あはは、ちょっと意外だな」
「ま、まだって言い方しないでくださいッ!」
あぁ、そっか…。僕のせいなのか。
「ごめんね。てっきり詩音ってモテるんだろうなぁとか、思ってたから」
「ぶー。嫌味ですかそれ。まぁもうちょっと都会までいったらナンパされ放題ですけどね!」
「あはは。それなら、僕も笑われないですむのかな?」
詩音の体を全部腕の中に納める。
意味をよく分かってくれたのか何も言わずにパジャマのボタンを外し始めた。
「あの、悟史くんは胸とか大きいの大丈夫ですか?」
「む!?むぅ…」
「答えてくださ~い」
「い、良いんじゃない…かな?」
そういえば何時ぞや沙都子が言ってたっけ…。
『ねーねーの胸はメロンですわメロン!あれを人体の一部という事こそが怪奇ですわ!!』
そ、そんなに凄いんだろうか…。
「これって全部脱いだ方が…って!何で人の胸見て笑ってるんですか!?ちょっと!!」
「ごめんごめん!あはははは!!」
「ぅー…。悟史くんのばかぁ…」
「あはは、ごめんごめん。えっと、触っても…良いかな?」
言われると澄ました顔で詩音はそれを待つ。
でもこれってどうやって触ったら良いんだろうか…。
そっと手のひらを添えてみると詩音の顔がまた真っ赤になった。
「暖かいね。頬っぺたみたいだ」
「そ、そりゃぁど~せお肉の塊みたいなもんですからっ」
真っ赤な顔で必死に憎まれ口なんて叩いても説得力ないのに。
「もう少し力入れてみても、大丈夫?」
「…はい。痛かったら、ちゃんと言います。」
指先に少し力を込めて手を動かすとメロンというよりも
ホームセンターで展示してる高いクッションみたいな感触がした。
「えへへ。お気に召していただけました~?」「むぅ」
たしかにこれは…圭一が羨ましがる理由も少し分かった気がするよ。
「ん…へへ、悟史くん。顔が真っ赤です」
「詩音だって、息荒くなってるよ」
「うぅっ…さ、悟史くんばっか…ずるいです」
笑え返されたのがちょっと悔しかったらしい。口を尖らせて僕の服に手を掛けようとする。
その反応が面白くてついついいじめたい衝動を感じる。
「駄目だよ詩音。ずっと待ってたのは詩音なんだから」
「へ?」



ふぉ~~~~!!!!僕が席を外してる隙にとんでもないことになってるのです!?
お、恐るべしオヤシロパワーっ!!悟史が詩音を押し倒すなんて僕も吃驚なのです!
僕はオヤシロ様なのです。神様としてしっかり見届けるという大役があるのです。
さっさと合体しやがれなのですあうあうあう~!



「ぶぅー…。悟史くんのばか」
「あはは、ごめん頭打ってない?」
そんなに強い力で押し倒されたわけじゃないから頭は全然痛くない。
でもあまりに吃驚して抵抗する気はあっさり消えてしまった。
「お、おわったら絶対次私がしますからっ」「うん、わかった」
その顔は絶対右から左の顔だ。もう絶対先に脱いだりしてやるもんか。
悟史くんは私を押し倒して相当機嫌が良くなったらしい。
「下…良いかな?」
「どうせ今の悟史くんじゃ嫌がっても勝手にするんじゃないですか~?」
「…むぅ」
口答えも虚しく悟史くんはあっさり私のパジャマを剥ぎ取ってしまう。
自分の体温で皮膚が焦げるとしたら私の顔は今惨劇の真っ最中だ。
「…あんまり見ないで下さい…」
「ん。ごめん。…足広げるのは…流石に恥かしいかな?」
分かってるならそんな可愛い顔で聞くなぁ~ッ!
悟史くんもはじめてなら確かにちゃんと開かないとそんなの分かるはずない。
でも、…少し足を開いてみたけどやっぱり顔から火が出そうなぐらい熱くなった。
「ありがとう。無理しなくていいよ。…でも顔はあんまり隠して欲しくないかな」
「もう悟史くんなんてきらいで~す!ひゃぅ!?」
悟史くんの指が割れ目の中をなぞる感覚が全身に走る。
「えっと…どうしたら、良いのかな?」
「あ…ぅ……そ、も少しっ奥の方を…あっふ」
華奢な指なのに少し動くだけで物凄い存在感。
他人に触れられるのがこんなにもどかしくて、じれったくて…。
「…この辺、濡れてる。…ここかな?」
入れるべき場所が探り当てられたらしい。悟史くんの指先の存在が分かる。
「えへへ…ご名答です。もう私にっ言わせるひつよぅないで…すよね」
「で、でもこれ本当に入るのかな…。大丈夫?」
「えっと…た…ぶん…?」
…少なくとも指はすぐ入るはず。うん。
「痛かったらちゃんと言いますから、気にしないでやっちゃってくらさい」
「…わかった。痛いときはすぐ言うんだよ」
悟史くんの指に力が入って少し無理やりねじ入れられるのが分かる。
大丈夫。少し異物感があるけど全然痛くない。
「んっひぅ…は、はいって…ますぅ…はっぅ」
中に入ってくるのがよく分かる。こんな細い指なのに、私の中は満たされていく。
「詩音…。半分入ったよ」
「んっ…よっ余裕ぅしゃくしゃくです」
でも、正直これ以上はちょっと怖いですよ。なんかいっぱいいっぱいだし…。
「指、もっと動かしてみていいかな」
「もういちいち聞かないで下さいっ」
悟史くんは私の顔色を窺いながら中を刺激し始める。
そんなに激しい動きじゃないのに体内に小動物でも入れられたみたいだ。
気持ち悪いのか気持ち良いのか、痛いのか痒いのか。
「ん…ふぇぁ~…あ、あぅ…そこ…んひぅっ!」
「この辺…気持ち良い?」
「んっはいっぅ、えうぅ…もっとはやくっあぁっ…んん」
私のリクエストのままに敏感な場所を刺激してくれる。
ここまで来るともう私に理性なんて保てるわけがない。
「あぁっん!!さとしくん!んんっぁふっい、いっちゃいまっ…うぅう」
「うん。良いよ詩音」
「ひあぁッ!!!あぁぅうぅっ…ぐぅうッ」
頭がふわふわしてどっかへ飛んでいった。
なのに私の体はまだ悟史くんの指が恋しいらしい。
ひくついてその度にその存在感に安堵する。
「さとしくん……うぅ…さとしく…ん」
「どうしたの、詩音」
目の前に悟史くんがいる。私は今、本当に幸せなんだな。
「ぅ…や、約束です。次は私の番ですよ」
「…むぅ…。詩音眠そうだよ?」
こ、こやつしらばっくれるつもりですかい!?いくら悟史くんでも許さないんだから…!
「駄目です!絶対します!悟史くんを気持ちよくさせないと私の腹の虫が…」
「…お二人ともこんな夜中に一体何を騒いでるんですの?」
ヒィーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
突然の声にさっきの余韻まで地球の果てに吹っ飛んでいった。
「さ、沙都子…ごめん…起きちゃった?」
「お手洗いですわ」
寝ぼけて場の空気は理解する気もないらしい。
能天気にあくびをひとつしてそのままとぼとぼトイレの方へ向かって歩いていった。
「む、むぅ…僕はお風呂に入ってこようかな…あはは…」
「うぅー…悟史くんなんて嫌いです…ひゃっ」
悟史くんの手が私の頭をいつものように撫でる。
「続きは、また今度。約束するから」
うぅぅ…悟史くん…大好きです…。



「へぇ、あの二人がそんなに進展したの。あんたも頑張ったわねぇ…ストーカー的な意味で」
「梨花がキムチで僕を邪魔するから最後で躓いたのです」
何でそうなるのよ。あんたのせいで口の中から今でもクリームの風味が取れないってのに。
「まぁ、いいわ。あとは沙都子っていう壁だけだったんでしょ」
二人っきりになる環境さえ作ればいいならあとは簡単ね。
「あうあうあう~梨花が協力的なのです?」
「当たり前でしょ。沙都子の大事なにーにーとねーねーですもの」
特にここ最近の沙都子はねーねーねーねーばッかり…!
さっさと二人でくっ付いて沙都子には自立してもらわないと。
それに…。
沙都子に負けず劣らずの性格を持つ詩音に、沙都子と血の繋がった悟史…。
子供でも出来たらきっと沙都子ほどではないにしてもなかなか可愛い子になるに違いないわ!
今まで何度ループしても見れなかった赤沙都子を見られるチャンスッ!!
早いうちに産んでくれれば男の子の場合私の将来も安泰だし…。
「うっふふふふふ…」
「…あうあうあう…僕はきっと梨花の教育を間違えたのです…最初からやり直したいのです…あうあうあう…」

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最終更新:2008年01月10日 20:04