夏の暑さも落ち着いたある日曜日
 俺は散歩に出掛けた。秋の匂いが鼻をかすめる「本格的に秋になったら紅葉も綺麗だろうな」
 独り言も言いたくなるような落ち着いた雰囲気だ。
 梨花ちゃんの家の神社にでも行ってみようと歩き出す


「はろろ~ん圭ちゃん
こんにちは」
「詩音どうした?一人なのか?」
「たまには、散歩も良いかなって思いまして」
「奇遇だな俺も散歩している途中でな梨花ちゃんの家の神社に行こうと思ったんだよ。一緒に行くか?」
「良いですね。お供しますよ」
 他愛もない話しをしていて神社の階段を登っていくと声が聞こえた。
「ダメだよ・・・あん」
 誰か居るのか気になって詩音と一緒にゆっくりと近付いたら・・・・・・
 あ・・・あ・・・あれは・・・レナ…一緒に居るのは、悟史なのか?
「さ・・・さ・・・悟史・・・・・・君・・・うそ…ウソダヨ…ナンデ・・・レナさんと?いや~~~~~~」
「おい!詩音?ま・・・待てよ!」
 まさかあいつらが…外でセックスしているとは思わなかった。
俺もショックだ
それ以上に詩音もショックだったんだよな…
詩音の奴悟史の事好きだったんだから
取り敢えず追いかけないと・・・・・・・・・・・・

 とにかく走り回った。詩音の事気になったから
しばらく走り回ったら、学校の校庭の樹の下にいた

「はぁはぁ・・・詩音はぁはぁはぁみつ・・・見つけた。ったくいきなり走るなよ」
「えぐっ…圭ちゃんほっといてください。1人になりたいんです。ぐしゃぐしゃの顔見せたくないんですよ」
「分かったよ。教室の中で待ってる落ち着いたら教室に来いよ…待ってる」
「はい。有り難うです」
 歩きながら色々考えたまさかレナと悟史が付き合っていたこと
そして外でセックスしていたこと

思ったよりショックは、大きくない。
寧ろ怒りがあった。
詩音を悲しませた事に
勿論勝手な怒りだ。
でも、好きな女が目の前で泣いていたんだ

 俺は詩音が好きだった何より女の子らしくて可愛くて、いつしか恋をしていた。
詩音は悟史が好きだと言うことも知っていた。
俺は気持ちを伝える事が出来なかった。
2人はお似合いだと思ったし、両思いだと思っていた。

それは違った。
悟史はレナを選んだ
だから詩音は、あれだけ驚いてショックで泣いたんだ

 夕暮れになりかけたときに詩音が来た
「圭ちゃん・・・さっきは有り難うございます。
追いかけてくれて嬉しかったです。
男の子の前では泣き顔見せたくなかったんです。…だから酷いこと言ってしまいました。ごめんなさい」

「別に謝らなくても良いよ…どうだ?落ち着いたか?いきなりあの場面はショック受けるよな」

「えぇ…いきなりだったんで驚きましたよ。でも、もう大丈夫ですよ。
思いっきり泣いたらスッキリしました」
「嘘だな!!詩音泣いているじゃないか!」
「泣いていませんよ!
 ほら涙も出ていませんよ。目は赤いかも知れませんけど…」
「心が泣いてる。ずっと泣いているじゃないか。そんな詩音を見てるのが辛いよ」
「…け、圭ちゃん。どうして優しくするんです。慰めるんですか?好きな男の子が違う女とセックスしている所を見て哀れに思っているんですか
どうなんですか」

「哀れに思ってない。
好きな女が目の前で泣かれたら、優しくするのは当たり前だろ。」

「え?圭ちゃん今何て言いましたか?私が・・・好き?」
「・・・本当は言うつもりは無かった。やっぱり、好きな気持ちは隠せない詩音が好きだ!ずっと好きだった。信用出来る状況じゃないのは分かってる
だけど本当に好きなんだよ詩音!」

 言ってしまった。悲しんでる詩音を心から救いたい好きだから側にいたい。段々溢れてくる・・・好きな気持ちが俺を満たす。
 詩音は喋らない。
外は夜になり、満月が見える。どれくらい時間がたったんだろう?
・・・月の光が詩音を照らす・・・・・・息をすることさえ許してくれない程神々しく詩音は綺麗だった。そしてーー

「圭ちゃんありがとう
私も好きです。
私も惹かれていました。悟史君の事は、好きだったけど…逢えない時期が長かったから。それは、好きだった気持ちを捨てたくなかっただけでした。
圭ちゃんと出逢えて話して安心できる
私の側を離れない男性だとさっき気づきました。
私のために追いかけて来てくれました。
本当に嬉しかった・・・
ありがとうございます
私で良ければ是非お付き合い下さい」

「詩音ありがとう嬉しいよ。俺は側にいる
必ずだ前原圭一が言うんだから絶対だ!」
「はい・・・側にいてください・・・うぐっふぇぇん圭ちゃあぁああん」

 髪を撫でながら抱きしめてキスをした・・・
詩音は満月の夜月の光を浴びながら笑った
その笑顔は美しかった
詩音の側を離れない決意をした夜だった。

END

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最終更新:2007年12月05日 22:47