バスを降りるとぶわっとした熱気が、その次に心地の良い風が爽やかに吹いた。バスは排気をあげて走り抜け、自分だけがその場に取り残される。
 ・・・大昔の話じゃあるまいし、緊張なんてないさ。
 むしろ清々しい気分である。
「雛見沢・・・5年ぶりだな・・・」
 後ろで手を組み、伸ばして体をほぐす。
 さて、此処には計画性ゼロでやって来た。無鉄砲に歩いても仕方がないと思い、宇喜田水道前停留所のベンチにでも腰掛けてルートを練ろうかと足を一歩踏み入れた。

 ・・・出逢いがあった。それはまるで神様が悪戯でもしたのではないかというほどに。

 ボロボロの小屋の中、涼やかな風に身を委ねて、・・・・・・少女は眠っていた。

 勿論その全身がベンチに乗るわけでもなく、座った姿勢から崩したように横になっていた。すうすうと天使のような寝息を立てて、閉じられた瞼の輪郭といい、睫毛の流れといい、その透き通るように白い肌といい、・・・幻想的な雰囲気を醸し出していた。
 ・・・起こしてはならないと判っていながらも、私はその場にしゃがみ込んで、彼女の寝顔を覗きこんだ。
 一気に釘付けになる。長く美しい髪が、寂れた板から彼女の顔を包み守り、微風にさらさらと揺れている。
「・・・・・・ん・・・」
 軽く唸って、ピクリと瞼が動く。私は慌てて立ち上がり、一歩下がった場所から様子を窺った。
「ふ、ふぁぁぁ・・・ん~・・・」
 目覚めた天使は大あくびをして目をごしごしと擦る。半身を起こし、虚ろな視線でやっと私の事を認識したようだ。
「あ、・・・あかさか?」
「覚えていてくれたみたいだね。久しぶり、梨花ちゃん。・・・5年ぶりかな?」
 声を掛けると、少女はハッと我に返り、頬を染めてわたわたと乱れた髪を整える。
 ・・・少々以外だった。自分の中では、また「み~」と言ってからかわれるものだとばかり思っていたからだ。
 そしてポツリと、
「赤坂・・・ボクの寝顔、勝手に見ましたね?」
「あ、べ、別にそんなつもりじゃ・・・、ただ、昔を思い出して・・・ついね。」
「・・・・・・みー」
 頬を膨らませて、不満げに私を見上げた。本人は睨んだつもりなのだろうが、その無垢な瞳では怒気が宿らず、逆にコッチから見れば上目づかいをしているようだった。
 ・・・か、可愛い・・・。・・・・・・って、落ち着け自分。

 なんだか本当に、10年前の繰り返しのような気がした。もしかすると自分は若造で、目の前の麗しい少女も愛くるしい幼女であるように思えてくる。
 ・・・でも違う。自分はと言えば三十代も終盤を迎える男であり、目の前の少女はしなやかな手足が水色のワンピースからすらりと伸びる、立派なレディ。背もすっかり伸びて、凛と透き通った声が耳に響いた。
 それが良いのか悪いのか。薄着の彼女の、あらぬ所に目が行ってしまいそうになる。
「くすくす・・・赤坂はいつまでも赤坂ね。私が怖い?」
「あはは・・・ちょっと見ない間に、見違えるようだから。奇麗になったよ、梨花ちゃん」
「・・・!!」
 ん? ここで私の知っている彼女なら、「にぱ~☆」と大満足に頬笑む筈だが・・・。

「・・・・・・あぅ・・・。」
 目を逸らされてしまった。・・・はて、自分は何かおかしな事を言ったのだろうか。
「どうかしたのかい?」
「・・・・・・な、何でもないの。ちょっと、五月蠅い虫がいただけ。」
──(あうあう☆)

 大人びた口調は、愛らしい彼女が本来秘めていた女性の姿を引き出しているように思えた。もう年相応なのだ。
 かつて、私はそんな彼女に怯えていた。突然「帰れ」と言い出したり、「怖がり」と罵られたときのものと良く似ていたが・・・
「赤坂を迎えに来たの。ちょっと待っている間にうたた寝して、・・・遅い。」
 そっか。・・・女の子は常に階段を上るんだ。
 今はまだ上の階を目指して足を踏み込んでいる段階。今まで隠していた魅力がそれと共に引き出されていて、少女と大人の女性の境界線を踏んでいるような危うい感がある。・・・・・・懐かしいような、新鮮なような印象を受けた。
 ・・・梨花という少女は、永遠の純粋無垢。恐いなんて感情はとうの昔に吹っ飛んでいるのだった。
「夜のお祭りまで、まだまだ時間があるわ。雛見沢のお散歩に行きましょう、赤坂。」
「あぁ、うん! よろしくね、梨花ちゃん」
 彼女は私の袖引っ張って先導し、軽やかに足を運ぶ。

 やって来た・・・というより、どうやら還ってきたという表現の方が正しいらしい。
 梨花ちゃんのはじける笑顔で、胸が躍るような・・・不思議な感覚がした。

 雄大な自然の中をフラフラし、やがて古手神社へと足を運ぶことになった。
 境内では綿流しの祭の準備がほぼ最終段階にまで出来上がっていた。材料さえ運べば屋台もフル稼働するだろう。こうして呑気に散歩をしている自分が邪魔にならないかと心配になるが、住民達は明るく歓迎してくれる。みんないい人達なんだなぁと心に染みいった。
 梨花ちゃんがまた景色のよい場所に案内してくれると言い、テントの脇を通って歩くと、彼女の友達らしき女の子が威勢良く声を掛けてきた。
「梨花ちゃ~ん!! ・・・あるぇ~? 何だか見たことある男の人を連れていると思ったら、くっくっく・・・」
 え~と、確か梨花ちゃんと同じ学校だった子だ。次期頭首の貫禄充分で、堂々と缶ビール片手にパイプ椅子に座っている。
「魅ぃ。未成年が昼間からお酒はだめですよ。ここに警察の人がいるのに。」
「わわっ、参ったなぁ・・・。でも今はオフですよね、赤坂さん?」
「・・・はは、見なかったことにしてあげるよ。えーと、魅音ちゃんだっけ?」
「おっ!覚えててくれたんですかぁ~。おじさん嬉しいねぇ。
 で? お二人は逢い引きってわけですか。村一番のアイドルを独り占めとは、憎いね~コノコノぉ。色男!」
「いや、彼女には、村を案内して貰ってるだけで、別にそういうわけじゃ・・・」
「・・・・・・み~。赤坂は私とのデートが嫌なのね。」
「そんなことはないさ。すごく楽しいよ!」
「にぱ~☆」
「あーハイハイ。何だか熱いねぇ~、とくにここら辺が。うっひっひ」

 女の子二人にしばらくからかわれた後、魅音ちゃんは打ち合わせに呼ばれて席を立った。そしてまた二人で歩き出す。

「赤坂、どうかしたの?」
「梨花ちゃんの話し方が大人びているの、てっきり私の前だけかと思っていたから。でも、まだ可愛い方、抜けきってはいないみたいだね」
「もう話べき人が話してるから、私は引退。・・・でも、『みー』と『にぱ~☆』は私のオリジナルなの。止めるつもりは無いわよ。」
「・・・ん、よく分からないけど、『みー』は初めて話した言葉だから・・・止めないでくれるのは嬉しいな。」
 素直な言葉の後、ふと彼女に顔を向けると、もじもじと何かを恥じらっているようだった。勿論要因は知る由もない。
「・・・赤坂は、やっぱり赤坂ね。」
「・・・?」
「特別ってことよ。」
 その台詞の真意を尋ねる前に、彼女は巫女衣装の着替えに呼ばれ、疑問が残ったまま一旦お別れになった。

 祭囃子が耳に届く。

 境内の賑わいの中に入ると、早速知った顔を見つける。
「赤坂さあぁん! ご無沙汰してますよぉ!! なっはっは、5年ぶりですかねぇ!」
「大石さん、こちらこそ! まさか此処で会うとは思いもしませんでしたよ。」
「そりゃコッチのセリフですよ。んっふっふ・・・此処で会ったのも天の采配。今夜は興宮のお店でポンチーといきませんか?」
「ははは。残念ですが、疲れてそれどころじゃないでしょう。今日の所はお祭だけを楽しませて頂きますよ」
「まぁまぁ、ジョークですよ。赤坂さんと打ったら、そりゃあ年金が吹っ飛んじゃいますからねぇ。」
 大石氏とは年賀状や暑中見舞い程度のやり取りをしている。現在は北海道で社交ダンスに興じていると聞いていた。この歳での元気な様子は羨ましい限りである。

「赤坂さん、こんな縁起の良いとき水を差すようですが・・・大変でしたね。5年前のこの日、奥さんと娘さんも笑顔でお祭りを楽しんでいたというのにねぇ・・・」
「・・・・・・ええ、まぁ、2年も経てば一応落ち着きはします。・・・日々の忙しさが忘れさせてくれるんで。」

 2年前の冬。娘の高校合格祝いの旅行で・・・雪絵と娘、そして雪絵の両親は命を落とした。
 前々から計画していたアメリカ旅行に、突如仕事が舞い込んだ私はやむなく欠席したのだった。
 ・・・本当に事故だった。エンジンの故障で飛行機は墜落し、乗客乗員の殆どが死亡した。

 そう。これは自分の失敗でも、誰かの差し金でもなく・・・本当に事故だったのだ。
 私は夢を見たことがある。雪絵の死を知り得ていながらも、何も出来ずに後悔だけで生きている無様な自分を。
 そして梨花ちゃんの助言とその夢を照らし合わせると・・・。本来、雪絵は死ぬ運命であり、たった一人の少女の言葉が死を回避してくれたのだと考えると・・・。

「・・・赤坂さん。古手梨花の言葉は、無駄になんてなっていません。確かに人の寿命に比べれば、8年という歳月はあっという間でしょう。ですがね、・・・その8年は、あなたにとって無かった方が良かったのですか?」
 大石氏の、私の心中を見透かすような言葉に、気持ちが沈むようなことは無かった。
 むしろ穏やかな笑みが顔に宿る。
「・・・・・・まさか。暖かい家族に恵まれ、あの頃の私は本当に果報者でしたよ。梨花ちゃんには・・・本当に感謝しています。」
 大石氏はそれ以上何も言わなかった。下手な慰めをしなかったというよりも、もうその事故を過去のものに・・・そして幸せだった日々を想い出としていることに、安堵したのだろう。
 けれど、家族の死をこれ程心穏やかに話せるのも・・・雛見沢のお陰だろう。
 この町に踏み入れてからずっと感じていたもの。
 それは母の愛に包まれるような悠揚。総てを許してくれるかの慈愛。・・・そして、長閑な空気が、私をいう人間を癒してくれたのだ。 

 今年の綿流しも大賑わいだった。
 避暑地として段々と住人が増えていることと、忌まわしい祟りが無くなったことが影響しているのだろう。聞くところによると、祭は回を増す事に盛大になってきているという。
 その後大石氏と雑談していると、威勢の良い若者集団が私達を取り囲んだ。・・・勿論、あの8人である。

「「「綿流祭八凶爆闘ぉぉぉぉぉ!!!」」」

「ダンディーな叔父様方。そんな所に立ってないで、お祭りを楽しんだらいかがです? ねぇ、悟史君?」
「そうですよ。折角来たんですから、楽しんでいって下さい。」
「大石さん!赤坂さん! 俺、遂にツバメ返しを体得しましたよ!!!」
「くっくっく・・・圭ちゃ~ん、今日こそ可愛いいオットセイを拝ませて貰うよ~ん。覚悟!」
「ほら梨花っ、何を隠れてるんでございますの。赤坂さんを待たせていたんでしょう?」
「そうだよ梨花ちゃん。早くしないと、レナ、お持ち帰りしちゃうよ~」
「あぅあぅ。平気ですよ梨花。似合ってますですから、今更恥ずかしがることないのです。」
「・・・羽入!! 明日から激辛料理の練習を始めるわよっ!」
「あうあうあう~~~、ボクが何をしたと言うのですかぁ~~~!!!!」

 友人の後ろからおずおずと出てきた梨花ちゃんは巫女に変身を遂げていた。
「きゃー!! 今年はいつにも増してキマってるねぇー!! 梨花ちゃんがあんまりにも美少女に育つもんだから、婆っちゃも衣装作りに舌を巻いてるよ~ん。」
「かぁいい・・・かぁいいんだよ・・・!」
 深い髪の色と、白と赤。その美しいなコントラストは、彼女の気品と清楚さを一層引き立てていた。身のこなしもスッキリしており、今時のバイト巫女と、格の違いを示している。
 時代が時代なら卑弥呼様といったところか。姿だけではなく、漂う雰囲気も清閑としている。
 いけない、・・・また目を奪われてしまった。
「・・・赤坂。私、何か変かしら。」
「い、いやっ! ・・・凄く、・・・よく、似合ってるよ。うん・・・」
「・・・あ、ありがとう。・・・な、なのです。」
 二人の世界から抜け出した後には、野次馬の含み笑いが待っている。
「・・・わたしゃ知りませんよ? 赤坂さんの幼妻の現地妻が誰かなんて。えぇえぇ、知りませんよ~~!!」
「お、大石さん、だから・・・、そういうのじゃ・・・!」
「あは☆ 赤坂さん。現地妻さんのところは、5年に一度しか来てくれないのかな? かな?」
──パシャリ!
 突然のフラッシュの先に居るのは、勿論富竹氏だ。
「梨花ちゃんの素敵な彼氏、その名も赤坂衛! うん。いいツーショットだね!」
 ・・・野次馬がまた増えた。


──「赤坂、途中で何処かに行ってしまったら駄目よ。最後まで見守っていて。」
 念を押されなくても、もともとそのつもりだ。一番の特等席は何故か自分が譲られ、梨花ちゃんの神事を見守る。
 手を摺り合わる老人達が見上げる先には、厳かな空気の中で、残像が残る程に整った動きで鍬を操る巫女がいる。

 誰一人として乱さないその静寂は、何百年も前から同じ姿で受け継がれてきたのだ。

 儀式は進む。
 ひぐらしの声に応援されながら、重い鍬は布団の綿を掻き出していった。

「赤坂さん、やり方は判りますか?」
「・・・多分、覚えています。間違っていたらご指摘お願いします。」
 川を流れる白い綿。
 ・・・私は、自らの底に沈んでいた悲しみと濁流をひとつかみの綿に込め、・・・・・・そっと手を離した。

「赤坂ー!」
 綿流しを終えると、引き続き巫女姿の梨花ちゃんが私の方へ駈け寄って来る。
 足袋でそんなに急いでは危ないんじゃないかと思ったその時・・・
「・・・・・・っと。足場が悪いんだから、気を付けるんだよ。」
「・・・みぃ。」


「躓く巫女! 抱き留める男! 今、運命のフラグが立ち上がった!!!
 指先だけを出して肩に置かれるその手は、不思議清楚系美少女イベントCGの最大の見せ場!! 鈴虫の声のBGMから、ちゃらら~んとしたオルゴール系のBGMに交代し、居るはずの人々はいつの間にか気を利かせている!
 巫女!清楚!指!みぃ! この萌えの4テンポは、漢なら一度は夢見る絶頂のシュチュエーションだぁぁぁぁぁ!」
「うひ~。圭ちゃんの理論、赤坂さんみたいな真面目な人にまで伝道しちゃ駄目だからね・・・・・・!」
「あうあう☆ では圭一の理論通り、ボク達は気を利かせるのですよ。梨花、ボクは沙都子の家にお邪魔させてもらいますからね~~」


「・・・・・・」
 彼らが凄まじかったからという訳ではないが、何となく正面から抱き留めた形のまま、お互い動けずにいた。
「赤坂、どうにかして。」
 ふわふわとした彼女の髪が頬をくすぐり、胸に暖かい吐息を感じる。
 ・・・そうか。不安定な状態だから、私の方から支えて起こしてあげないとならないんだ。
「ごめん、今離すよ。」
 梨花ちゃんの軽い体を持ち上げ、ストンと地に足を付けさせる。けれど、上着の裾を彼女は掴んだままだ。
 くいくいと引っ張って、何処かに連れて行くらしい。
「赤坂・・・こっち。」
 裾び手は、いつの間にか私の手に移動している。その白魚の指でサイズ違いの男の手を握りしめ、境内の奥へと誘われた。

 松の木の林を抜けると、ぶわっと涼しくも強い風に前髪が散らされる。
 私達がやって来たのは、以前彼女が案内してくれた見晴らしの良い高台だった。
「・・・私の一番お気に入りの場所よ。」
 梨花ちゃんはそう言いながらゆっくりと振り返る。
「お祭りの後はね、みんな家に帰って、それから直ぐに寝てしまうの。だからキラキラ輝いているように見えるのよ。」
 言葉通り、村一番の絶景は消付する家々の明かりで雛見沢の夜景が彩られ、・・・その一時の美しさに儚いものを感じた。そしてその細かな明かりに照らされた少女も、同じく消えてしまいそうな位に儚く、尊い。・・・なんて、詩人的になる程なのだ。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 お互いしばらく顔を合わせず、消えゆく眺めを虚ろな目で見ていた。彼女の後ろ姿は風にそよぐ髪が一番に美しく、・・・華奢な肩が教えてくれる。
 ──“ここで赤坂に言うことは、もう何もありません”と。

 ここへ来るたび、様々謎めいたことを口走ったことは、既に過去。
 その様子だけで、古手梨花という少女は力も持たない普通の女の子だと、・・・示しているのだろうか。

「・・・・・・私は、赤坂が悲しんで、苦しむ姿を見たくなかった。」
「・・・・・・」
「でも、もう私は赤坂に教えてあげる力を持っていないの。・・・ごめんなさい。」
 暗くて判りにくいけれど、見逃さなかった。
 ・・・彼女の肩が、微かに震えていた。

「・・・・・・だったら、今度は私の番だ。」
 彼女を追い越して、今度は私が背中を向けた。そこに視線がしっかり刺さっていることを感じた後、振り返って、瞳を覗き込んだ。

「一緒に東京に来てくれ。」

 私は目を丸くして、ただ赤坂を目で追うことしかしなかった。
 吹いた風が、私の長い髪をふわりと舞い上げた。彼の短い髪もパラパラと散らされ、それが無ければ時が進まなかっただろう。
「・・・梨花ちゃん」
 名を呼ばれて、やっと私の出方を待っていることに気付いた。

 ・・・どうしよう。
 私に、一緒に東京に来いですって? ・・・正直、赤坂の何を言っているのか、上手く認識が出来ていなかった。

 私は逃げるように身を翻して、彼に背中を向ける。戸惑い隠しもいいとこだ。
 ・・・そのまま落ち着かない様子で突っ立って、居ない誰かの助言を待っている。・・・そんな自分が酷く惨め。

「・・・・・・」
「ぁ・・・」
 後ろから抱きすくめられる。
 彼が触れた瞬間、無意識に身を竦めてしまったが、そっと腕に包み込まれて肩が安らいでいく。肩に置かれた手と、胸の下に回された手は漢らしく筋張っていて力強く、・・・なのに私を暖かく包んでくれる。
 囲った腕に、除けるでもなく握るでもなく手を添えた。

「雪絵も娘もいなくなって、最初の1年は信じられなかった。
 信じられなくて、もしかして雪絵が私をからかっている様な、いつか還ってくると思っていた。・・・現実から目を背けていた。」
「赤坂・・・」
 彼の顔と私の後ろ頭が寄った。髪の匂いを嗅がれ、軽く口づけされる感触がした。

 ・・・・・・嫌じゃない。
 包まれて安心して、顔を寄せられて抵抗しない。このままじゃ変な誤解を与えてしまうと理解していながらも、何にも抵抗しない自分自身がもどかしい。

「次の2年は、精神がおかしくなった。いつまで経っても還ってこない家族に、ようやく死を感じ始めたんだ。
 ・・・歩いていて、急に涙が込み上げて来たこともある。たった独りで家にいて、突然笑い出したこともある。そんな捻れていく感情を誤魔化してくれたのは、刑事という多忙な仕事だ。
 皮肉だよ。応援してくれる人がいるから頑張って来られたのに、誰もいなくなったら逆に打ち込んでしまうんだ。」

 どうして私に話すの?
 私はもう、貴方の未来を何も知らないのに。・・・何を望んでいるのだろうか。

「そしたら急に・・・君に、会いたくなった。」
 そもそも、何故縁もゆかりもない筈の彼と、夜の静寂に紛れて身を寄せ合っているのだろうか。
「自分でも吃驚だったよ。心の中で燻っていた感情が・・・・・・君といるだけでこんなにも癒されている。
 どうしても、側に居て欲しいんだ。家族を失って、ぽっかり空いた隙間を埋めて欲しいんだ。」
「・・・・・・赤坂・・・でも、私には古手家が・・・雛見沢が・・・」

『・・・・・・梨花。』
 羽入の訪れは突然だった。頭の中がゴチャゴチャなのに、更に羽入が何か揶揄するのではないかと焦った。
 ・・・けど、違った。
 羽入は、ただ真剣な瞳で私を覗き込み、・・・・・・頬笑んだ。諭してくれると期待をしたが、そうでもなかった。
『梨花の人生は、梨花が決める。』
「・・・・・・」
 背中の赤坂の存在で、私は羽入に対して声を掛けられない。

『梨花の一生はこれだけなのです。もう次はありません。・・・古手家を、雛見沢を捨てたくないという気持ちは察します。
 だけれど!いいんですか!?梨花の大好きな赤坂が・・・繰り返される運命の中で、藁を掴んで、やっと気持ちが届いた赤坂が、今度は梨花に助けを求めています。
 ・・・ボクに、どっちを選べと言う資格は無いです。古手家のことを心配しているのなら、後のことはボクに任せて下さい。綿流しの巫女を放棄できないなら、1年に一度戻ってくればいいだけです。入江の努力で、雛見沢症候群もほぼ完治しています。
 もう一度言います。・・・梨花、自分の人生は自分で決めなさい。絶対、後悔しないで下さい。』

「・・・・・・は、はにゅ・・・」
『どうか幸せになって下さい、梨花。・・・ボクは沙都子の家に戻りますですよ。』
 そして、・・・彼女は消えた。

 神様、あなたはなんて意地悪なの・・・!

 百年以上を生きた。
 普通の人間なら絶対有り得ないような長い時間を生きた。

 それでも、運命の選択は・・・・・・・・・戸惑ってしまうのね。
 けれど、普通の人間になったからこそ、私は悩んで・・・葛藤して・・・この道を選ぼう。

「・・・赤坂。」
 彼女の肩に顔を埋めていると、か細く私を呼ぶ声が耳に届いた。
 顔を上げると、様々な想いに心を揺らがせた表情で、こちらに首を向けている。
「赤坂は、私に貴方を支えて欲しいと願った。・・・ならその代償に、赤坂は何をしてくれるの?」
 【雪絵の命 ⇔ 梨花を助ける】
「・・・私は、ただ幸せに行きたいと願った。でも、もう幸せの妥協をしないって誓ったわ。」
「梨花ちゃ・・・いや、梨花。」
 彼女の瞳は、とても頑固な決意を持っているように見えた。
 ・・・応えなければ。彼女は、再び私に期待をかけてくれている。
「君を、生涯懸けて守るという代償では、駄目かい?」
「・・・・・・・・・その言葉が、欲しかった。」
 【生涯赤坂を支える ⇔ 生涯梨花を守る】
 私は拘束していた腕を解き、背伸びをする彼女の体を支えた。梨花の踵がぐっと浮き、ヨタヨタと危なっかしい爪先立ち。
 ・・・しかし頑張っても、その身長差は簡単に埋まらない。合わせて私は頭を落として、彼女に高さを合わせた。

 逢わされた唇を、どちらも引こうとしない。舌も入れずに、その互いの柔らかさだけを感じ合う。
 ・・・梨花の若くて弾むように艶やかな唇は、自分が独り占めしている。かかりあう吐息と、声にならない甘い囁き。肩に置かれる白い手はしなやかに。抱き上げる腕は力強く。
 永遠にこのままでいてくれと祈った。

『・・・おめでとうなのです、梨花。』

 嗚呼、この祝福の声は・・・きっと天からの、神様からのささやかな贈り物だ。



 女の子独りで帰らせる訳もない。・・・その女の子が、最愛の女性なら尚更だ。
 梨花は照れながらも、本当に直ぐそこにある住まいまで、手を繋いでくれた。

「「・・・・・・」」
 キスから別れ際まで、私達は無言のまま過ごしてしまった。
 何かを切り出したいのはお互い同じ思いだろうけれど、妙に恥ずかしくて相手任せになった結果だろう。素直さは大事だ。
 建物の前で言葉を失い、立ちつくしている。
 ──不意に、虫の声に紛れるくらい小さな声で、
「・・・・・・赤坂、」
 ──目を伏せて、
「・・・折角だから、上がって、お茶でも飲んでいって。」
 断る道理はない。
 むしろ、その誘いの裏に秘められたものを見抜き、甘んじてお邪魔させて貰う。
「うん、判ったよ。」
 彼女もまた返事の裏に秘められたものを察知したらしく、顔を伏せて顔の赤さを誤魔化していた。
「・・・・・・・・・みぃ。」
 その姿は心臓に悪すぎる。
 頭を撫でて、それから何をしてあげよう。
 手を重ねて、そのまま何と囁いてあげよう。
 ・・・なんて、また馬鹿が出そうだ。

 胸に渦巻く感情を押しとどめ、狭い階段を上った。


「赤坂はそこに座って待ってて。今、お茶を煎れてくるわ。」
「ん・・・、あぁ。」
 巫女服を着替えぬまま、梨花は台所に姿を消した。
 畳の部屋にトンと置かれたテーブル。用意された座布団に尻をつき、さり気なく部屋の中を眺める。

 可愛らしいレースのカーテンや、小さな動物の縫いぐるみ。コルクボードに貼られた写真。
 高校の教科書や資料集が詰め込まれた本棚。その棚の上に置かれた卓上カレンダーには印が沢山付いている。
 いつぞや、私が泊まっていた頃と比べると、格段に女の子らしい部屋になっていた。室内自体も小綺麗に片づけられて実にスッキリして、そこに添えられた愛らしい装飾品は多くもなく少なくもない。
 ・・・けれど妙な違和感があった。

「お待たせ、赤坂。」
 いつの間にかお茶と軽い茶菓子をお盆に乗せ、梨花がやって来た。
 私が部屋の中を眺めていたことに気が付くと、何やら言いたげに「・・・みー」と鳴いて不満を知らせられる。
「ごめん。そんなにじっくり見てる訳じゃないからさ、怒らないでくれよ。」
「・・・羽入に言われて、一応お掃除しているけど・・・汚い、ですか?」
 お茶と茶菓子をテーブルに置きつつ、彼女も座布団に腰掛ける。正面ではなく、右側。
「そんなことないよ。女の子らしい部屋に入る経験なんて、そうないからね。気分を害したなら謝るよ。」
 折角だからと湯飲みを傾ける。
「・・・そ、そう? 赤坂から女の子らしいって聞けるなんて、思ってもみなかったわ。」
「はは。あ・・・でも、梨花ちゃんは・・・ここに独りで?」
 暮らしているのか、と言うまでもなく、寂しげにコクンと肯いた。
 やっぱり。家具が総て一人分だったから、想像がついてしまった。
「沙都子は、お兄さんが帰ってきて・・・元の家で暮らし始めました。羽入は一緒に済んでいるようなものだけれど・・・厳密には、違うから。」
 無理に作った笑顔に、少しだけ痛みがあった。
 雰囲気が暗くならないようにと一生懸命に一人暮らしを頑張っていることや、友達がしょっちゅう訪ねてくることを話してくれたが、・・・・・・私には無理をしているようにしか見えなかった。
「それに・・・・・・」
「?」
 言いかけてごもごもと恥ずかしそうに口篭もる。私は焦らずに、彼女の言葉の末を聞き届ける。
「今・・・、こうして・・・、赤坂が側にいてくれるから。私の中に、寂しさなんて微塵も無いわ。」
 ──嬉しい事を。


「梨花、ありがとう・・・!」
 彼女の後ろに回り、再度その柔らかい身を抱きすくめた。
「きゃっ・・・赤坂っ!? あか・・・さっ・・・!」
 襟首に手を差し込み、出来た隙間から唇を付けて行く。ビクンと初々しい反応をして、いやいやをしてみせていた。
 本当に嫌なら、こんな動きはしないだろう。・・・むしろ、こういう事が初めてなら戸惑うのが一般的な反応だ。
 耳に、軽く息を吹きかける。
「・・・・・・ぁ・・・は、あぁ・・・」
「・・・弱いな。」
 彼女の匂いがする所と、次々と貪っていった。まだ屈さずに俯いて逃れようとするので、顎を持ち上げて鎖骨を露出させた。
 ズルズルと上衣がずり下がって、白い肩も空気に触れる。・・・肩から落ちれば、背中は丸見えも同然だ。
 目の前に広がる白い肌は、未踏の雪のと同じ美しさがある。なら、足跡も付けてみたい衝動に駆られるのは当然だ。俺は唇を強く吸い付け、激しいキスで次々と痕を残す。
 流石に、此処まで来ると抵抗は無くなっていた。否、むしろ・・・、
「はぁ・・・・・・っ、ぁはあ・・・、・・・・・・ふぁ・・・。」
 心地よさそうな溜め息が漏れているではないか。
 息ひとつにも艶がかかり、肩から落ちた和服とストレート髪の散らばり加減が‘乱れた女性’をリアルに作り上げている。
「・・・ひゃ・・・ん、赤坂ぁ・・・」
 触れば触る程。またさぐれば、探る程。色気を帯びてくる腕中の少女が、俺の性欲の中で満たされなかった部分をパズルのピースの如くどんどん埋めて行く。

 様子が気になるのか、梨花が顔をちらちらと後ろに向けている。
 何だって・・・彼女の良いようにしてあげよう。首に顔を埋めて触れ合う程度の頬擦りをしてやった。
「・・・ん。み~・・・」
 お気に召して頂けたようだ。スリスリと猫のように、今度は彼女が積極的に俺の首元にすり寄って、満足げに体もくっつけて来る。
 後ろ向きじゃ不服らしく、俺に向かい合って抱きついてきた。

 愛おしさで、胸がいっぱいになる。
 鎖骨の辺りに顔をくっつけてきて、崩れまくった上衣もお構いなしに俺の懐へ。甘い息が俺の素肌をくすぐる。
 ちょっと下を向けば、谷間とも何とも言い難い胸の膨らみの狭間が覗けた。・・・警戒を解いたようだ。試しに片手で頭を撫でても、身を任せて髪の毛でするすると遊ぶ俺の指を拒まない。
「赤坂。私達、・・・まだ大切なことをしていない。」
「・・・ああ、そうだね。」
 頭を後ろから支え、口を塞いだ。
 さっきが唇なら今度は舌だ。僅かに割れていた彼女の唇を通って、口内に舌を侵入させる。
「・・・・・・はむっ・・・んん! ひゃぁ・・・ぁん・・・ちゅ、」
 俺ははくねくねと梨花の口の中に舌をねじ込み、彼女の中をかき回した。
「あかさかぁ・・・、んん、ちゅぱっ・・・んちゅ・・・はぁっ・・・あむ・・・」
  ファーストキス(仮)を終えたばかりだというのに、彼女は絡めていた舌に驚くことなく・・・たどたどしく俺の動きに合わせる。
 舌や歯や肉壁を愛撫する。経験が全く備わってない梨花は、ただがむしゃらに俺を貪る。・・・それをお手伝いするように、暖かい舌で応えてやった。
「むぁ・・・ちゃ、ちゅ、・・・れはぁ・・・っ」
 唾液が絡まって滑りが良くなる。舌先が丁度出会えば、痺れるような感覚が奔り、俺の腕を掴む細い指に力が入る。
 なんだか苦しそうにキスするんだなぁ・・・と彼女の口内を執拗に責めていたら、本当に溺れるような声が漏れていた。恥や冗談とは違うと気付き、名残惜しくも唇を離した。
「────ぷはぁ! ・・・はっ・・・、ハアハア・・・っ」
「ん、大丈夫か?」
 気を休めようと背中をさするが、梨花は頬を紅潮させながらも、恨めしそうに俺の方を見上げた。
「・・・・・・赤坂の馬鹿。いきなりキスして、息をする暇もなく・・・ぃれて来るんだもの。」
「あぁ、ゴメン。でも大切なことをして欲しいって言ったじゃないか。」
「・・・・・・ディープキスよりも、大切なことなのっ。耳、貸して。」
「??」
 身を乗り出して、彼女の口が俺の耳元に近づく。・・・ちょっとドキドキだ。
「・・・・・・・・・・・・赤坂、・・・大好き。」


「わ・・・ッ!?」
 あー駄目だ。俺ってばこういう類のものに弱いらしい。
 理性という糸のうちの一つが切れ、ぐいぐいとその華奢な体を抱きしめた。梨花も首に腕を回してぎゅうっと抱きつき、離れたくないと力を加えている。
「・・・次は赤坂の番よ。」
 蚊の鳴くような声で、初めてのおねだりらしいおねだり。
 俺は耳にキスをするくらい口を寄せて、ボソリと愛を囁く。梨花はポンッと顔から湯気を出し、恥ずかしさのあまり首をそっぽへと向けた。
「梨花・・・ほら、俺の方を見て。」
「・・・・・・・・・」
 髪の間からでもハッキリ判るくらい、梨花は真っ赤になっていた。うわごとのようにあぅあぅと呟いて、ゆっくりと顔を上げた。
 瞳がトロンと潤んで、頬を染めて。何かをして欲しいようだ。
「赤坂、ちゅー・・・もう一回して。」
「一回でいいのかい?」
「・・・・・・いっぱい、いっぱいして。」
 梨花の熱い舌が、俺が口を開くように唇をペロペロと舐めて待つ。
 合わせて、俺もその上に舌を乗せる。宙でざらざらと、舌だけを触れ合わせて相手を貪った。次に唇も触れ合わせ、互いに自分の唾液をったぷりと滑らせた。
「・・・んぐ・・・こくん。」
 高さの関係で、梨花の方に液が流れ込んでいるらしい。じゅるりと吸いばんでは、喉が動いていた。俺も負けじと梨花を啜って、喉に下して行く。

 少女の方はキス夢中で頭がボーっとしているが、男の方は頃合いを見計らって崩れた上衣を引っ張り、更に脱がせる。
 小ぶりの膨らみが・・・そしてその先端がむき出しに。それでも梨花は気付かず、必死なくらいキスを楽しんでいる。
 ・・・そっと包むように胸に手を置いた。
「・・・みぃ、いつの間に・・・!」
 急に口を離すと、細い糸が俺から彼女へと繋がった。
 けれど、それどころじゃない。ふんわりと柔らかい少女の胸は、指を動かすたびにくすぐったそうに揺れた。
 クニクニと指を動かし、手の平でゆっくりと上下させた。
「んふぁ・・・あぁ、ぁふ・・・ん・・・んん・・・」
 熱い溜め息を吐く様子は、歳よりもより色っぽい印象を受けた。初めての割には頑なにならず、素直に愛撫を感じるているようだ。
「梨花・・・・・・」
 このまま押し倒して、その小さな突起に口づけをしたい。
 一度色欲に駆られてしまえば戻ることも出来ない。そっと横に寝かせようと背中に手を回してみるものの、畳の上では下にいる彼女に痕が残ってしまうだろう。
 しばし考えた後、彼女の両腕を掴んで、自分から仰向けに倒れることにした。


「・・・・・・軽い、な。」
「わ、何っ?・・・赤坂ぁ!」
 後ろに倒れて体を引き寄せ、梨花の胸と俺の顔が重なる。どういう風な体勢なのかは説明し辛いが、蛙のように手を突いて腹這いになっている彼女の下に、自分が潜り込んでいるという描写が正しいだろうか。
 胸に口づけを始めると、今までになく激しい抵抗をされる。
「赤坂っ、だめっ! 汗臭いし、お風呂入ってないから汚いしみっともない。顔近づけないで赤坂ぁ・・・だめだめだめだめ!!! ・・・ああんっ!」
 お構いなしに、可愛いピンクの乳輪を舐める。少しずつ硬くなっていたその乳首は、俺の息や愛撫をこれまた敏感に感じ取り、血を溜めてプツンと尖った。
 摘んでみると先端までぷるんと弾力があり、より一層卑猥な気分にさせられた。
「いやぁ、ぁぁぁあん!! だめ・・・やだやだ、赤坂ぁ~~~!!!」
 ・・・やたら恥じらうんだなぁ。
 ずっと優しく余裕を見せてきたが、遊び心が沸いてくる。
「・・・・・・そんなに嫌がられると、本当に止めるよ?」
 脇の下に手を入れ、ぐっと赤ん坊みたいに持ち上げた。梨花は切なそうに俺を見詰めて、うりゅ~と涙を溜めていた。
「・・・・・・・・・。いじわるしないで、赤坂・・・。」
 変に取り乱たことを恥ずかしく思っているのか。
 それとも、こんなちっちゃなからかいに本気で涙しているのか。
 ・・・どちらにせよ、自分が悪いような気がしてくる。
「~~~~っわかったわかった。続きをしてあげるよ。・・・ほら。」
 抱き上げたまま胸を突き出すように肩を反らせる。最初は無理矢理そんな体勢にさせていたが、手を突いて、協力的に体重を乗せてくれた。
 先端を口に含んでコロコロと転がす。手は塞がっているので、舌と唇で何処まで出来るかが勝負所だ。
「やああ・・・ああっ、んやっ・・・赤坂・・・赤坂ぁ・・・」
「梨花の心臓が凄くドキドキいってる。・・・可愛いね。」
 トクトクと早鐘を打つ心臓までは、緊張を隠しきれないようだ。
「赤坂は・・・ちっちゃい胸・・・好き?」
 ・・・あぁ、やっぱり大きさ気にしてるんだな。
 そんな聞かれ方をされたら、まるで微乳専門みたいじゃないかと心の中で照れる。
「でも・・・梨花、・・・昔よりはずっと大きくなっているよ。ちゃんと揺れてるしね。好きだよ。」
「みぃ。・・・どうせ私はぺったんこだったわよ。」

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最終更新:2008年11月11日 20:05