前回のあらすじ
「求婚! 求婚!」
「断婚! 断婚!」
「えぇっ!? そんなぁ梨花ちゃんっ!」
「あ、男根の間違いだったわ」
「愛してるっ!」
「ああんっ」



「くぅっ……」
 ペニスを左手で撫で回す。濡れた私の性器で何度か擦っていたので、すべりはいい。早すぎず遅すぎず。
緩急、強弱を入れ替えながら、圭一がそのたびに全く違う快感に支配されるように。
 じれったいのか気持ちいいのかよく分からない声を上げる圭一。改めて、その裸を見つめた。
 当たり前といえば当たり前だけど、私より広い肩幅に無駄のない肉の付き方。どんな運動でも軽々とこな
せるのではないだろうか。色も健康的。そして……。
「……っ」
 こうやって触ってはいるけれど、実はまだ、ペニスを直に見ることができないでいた。大きさを触覚で
確認しながら、こんな大きいのが私の中に入ったのか、とじんじんする股を見る。いじられて、入れられて、
狂ったように喘いでいた自分を思い出して赤面した。
 圭一がそんな私に気づいて何か言おうとしたので、一際強くペニスを握った。
「いだっ!」
「あら、ごめんあそばせ」
「いや、それ沙都子だから……」
「私としている最中だっていうのに沙都子のことを考えるのね圭一は」
「梨花ちゃんのせいじゃん……つあっ、ごめんなさい俺が悪うござんした……」
 そう言ってまた苦悶の表情を浮かべて喘ぐ。
 その顔に、幼さはもうない。それはつまり、百年以上見続けた中学生の頃の圭一はもういないということ。
時間は確実に経過しているのだから、顔が大人びるのも当然だった。そんな圭一に私が託すのは、私の全て。
いや、もう託したといってもいい。ついさきほど、私の処女は捧げたのだから。
「……んぁ…んん…んむん……ん」
 今度は私が上になり唇を交し合う。経験してわかったことだが、下のほうがディープキスはきつい。おまけに
圭一があまりに激しすぎたし。喉に流れてくる唾液が絶え間なくて、何度しゃくりあげただろうか。首を伝って
胸にまで流れて、乳首が刺激されたせいで熱くもなった。
 眠たくなりそうなほど単調なリズムで粘膜を弾く音が響く。時々顔を放しては、まっすぐに見つめてくる瞳に
私が映っているのを確認する。
「ん…ふふ……あむ…んぅ」
 頭が真っ白になって、そのときの記憶すらうろ覚えになるくらいに激しいのもいいけれど、やっぱり私には、
こうして圭一のことだけを考えながら自分のペースで事を進めていくのが合っているのかもしれない。だから焦れる圭一には悪いと思う。
 頭でっかちな思考。百年続けたそれはこれからも変わらないだろう。
 そして、私にはない行動力。それを備えているのが圭一。きっと私が惹かれた理由の一つ。
「…ぷはっ…っ梨花ちゃんキス魔だな……」
「…………」
「んんっ!?」
 何も返さずキスに戻る。圭一から口を離したときの物足りなさ、名残惜しさに引かれて唾液の橋が形状を失う前に。
子どもみたいだと思った。いや、子どもなのだろう。どこまでも自分が自分でいられるような気がして、それはきっと私の考えるとおり。
 ――愛してるからな。
 ありがとう。私も愛してる。
 だから。ずっとあなたの傍にいさせてください。
「……んんんっ!」
 圭一が声、というか漏らした息を荒げる。知らぬ間にキス自体が荒くなっていたのだ。
 舌先、頬の内側、それは頭がくらくらするほどに全部圭一の匂いだった。唾液交換をすると
かすかに私の匂いも紛れ込む。それを残さず飲み込んでくれる圭一がただただ愛しい。
 長い間、自覚がなかったのだろう。私は愛情を求めていた。お母さんとお父さんがいなくて、
動き出した時の中で日々広がりゆく縁の見えない空白。包み込むでも、ぶつけるでも、
その裏返しでもいい。私を愛してくれる存在が欲しかった。そんな人を私は愛せると思っていた。
 今まさに、圭一と契りを交わしている。
「……はっ、はぁっ」
 身体を起こす。圭一が息切れしながら私を下から見つめて、
「梨花ちゃん…エロい顔してるなぁ……」
 なんて勝ち誇ったように言うもんだから。
 夏休みが終わり、また暫く圭一と会えなくなることを考えて泣きそうになっていた私は、
別れを惜しむよりいついかなるときでも忘れられないような私との思い出を圭一に植えつけてやろうと思い立ったのだった。
 圭一のペニスを見る。
 掌で感じた雄雄しさなんて、こうして見てみればなんてことない。大きさや太さのことを言っているのではない。
それはひとえに、今の私の百八十度変わった視点による。天を突く、なんて大仰な表現がひどく滑稽に思えた。
ひくひくと空中を掻く様は、そこに何もないことに慌てふためいている一人では何もできない幼子そのものではないか。
 でもその行き場をいやらしく濡れた私のあそこに求めているのなら、それも悪くないわね。
 私は圭一に問う。ペニスを指でさすりながら。
「ふふ…他のところも舐めてほしい?」
「えっ、あ……。あ、ああそう……だな。梨花ちゃんの、したいように…してくれよ…」 
 明らかに下半身を意識した反応。そうさせるのが悪いと思っている気持ちと本能には逆らえない気持ちが混じり合った
複雑な表情を見せる。プラスそれを押し隠そうとしている意図ね。そうして、選択権を私に委ねたのだ。圭一は。
 詰ってやろうかとも思ったけれど、まぁいいか。そういう認識、つまり圭一へのアドバンテージさえあればいつだって、
私は余裕綽々の顔でいられるのだから。
 ただ、圭一の希望通りにペニスに顔を埋めるのは面白くないので、ふと思いついた別の行為をしてみることにする。
「まったく。何を期待しているのかしら。圭一のここは」
 私は股を開いて右脚を圭一の顔に突き出すと、そっと顎に指先を下ろし、正中線をなぞってそのままペニスへと導いていく。
そして、裏筋を指の間で挟み込むようにして擦った。
「私に舐めてほしかったのかしら? 私の舌で。禍々しく浮き出た血管を圧迫して、カリを包んで頬の肉と挟んで、
私の思うように動かせる今だけの性器の中で、慰めてほしかったのかしら? そうして最後には喉奥を精子の行き所として……。
ねぇ、圭一? でも、だめ。そんなの文字通り足蹴にしてあげるから」
「うぁあっ、梨花ちゃん全開っ……」
「ほら、また大きくなった。私の小さい指の隙間ではもう十分にしてあげられないわ」
 両足で挟み込んだ。そのまま上下運動を繰り返す。俗に言う足コキ。
「くっ、あっあぁあ……」
 圭一が気持ちよさそうに喘ぐ。手とは違って不器用にしか動かせない足。こうすれば気持ちいいだろうと思って、
ただの上下運動に加えた別の力では望みどおりの反応を得られず、逆に探るようにして加えた動きでは至高の反応を得られる。
こうして、自分の一番大切なところを手中(厳密に言えば足中)に収められていて、なおも逆らおうとするのか。圭一のここは。
私は興奮する。
 そして私の圭一への嗜虐心は強まっていく。
 やがて、快感に対する認識のずれが正されてくると、私は言うのだ。
「ほらっ、こ、ここが気持ちいいんでしょっ……っ」
 ずっと股関節に力を込めたままだから、こっちも少し疲れる。そのために投げかける言葉も焦ってとげとげしさを余計に含んでいく。
「びくびくって…、震えてるわよっ……! イっ、イきたいのっ? そうなんでしょうっ?」
「そ、それやばいっ! あ、あぁっ! もう、で、射精るかもっ……!」
 圭一がそう言ったのを確認すると、私は足を止めた。
「なっ……」
 非難の眼差しを向けてくる。虚ろな瞳の奥にドス黒い感情を読み取ることができた。男の本能といえばいいだろう。
精子のように粘っこい視線が私を絡めとろうとする。圭一の意識上では、すでにもう私に欲望を放っているはずなのだった。
背筋がぞくぞくと奮える。
「はぁぁ……」
 その奮えはお尻を伝って私の中心にたどり着く。そしていやらしく涎を垂らした。
 ぬちゃ…。触るまでもなく理解していたことだけれど、とうに準備はできていた。
 圭一の上に跨る。
「一人でイクなんてだめよ、圭一。ちゃんと、こうして……ん…」
 膣口にペニスの先を宛がうと、触れてはいけないものに触れてしまったかのように腰が跳ねた。そこまで敏感な膣を
これから、奥の奥まで圭一のもので埋めていくのだ。
「ん…ふ、ふぁ…あ…あああぁ…」
 時間をかけて腰を下ろしていく。圭一の呻き声が聞こえたが気にする余裕はなかった。
「あっ! あっ、ひぅっ!」
 膣壁を押し広げて圭一が昇ってくる。昇り詰めてくるに従って快感が二乗三乗になっていった。圭一の熱さが触れている場所が、
まだ触れていない場所への快感を期待させて、もう止まれない。そうして、一番奥にまで達した。
「あぁあああっ」
 同時に、快感も軽く達した。身体が痙攣して膝が圭一のわき腹を何度かつついた。
「はっ、あっ……かはっ…」
「……梨花ちゃん、もしかしてイった?」
「…………」
 息切れしながら申し訳なく頷いた。ちらりと圭一の表情を窺うと、今にも私を犯そう襲おうとしていたさっきまでの雰囲気はなかった。
目の前でイってしまったのだからそれも当然かもしれなかった。何となく、負けたような気分。
 だから。
「イっ、イってないわよ……っ」
 と鋭い視線を飛ばした。
「今痛いほど締め付けられたんですが……」 
「けっ、圭一のが大きくなったのよ! ほ、本当に節操のないおちんちんねっ。圭一は遺伝子レベルで、
え、Mに違いないから、い、苛められて悦んだんでしょ」
 息をつかず捲し立てた。
「えーと、反論していい?」
「だめよ。そんなことしたらもうしてあげない」
「ぐっ……それは卑怯だぞ」
「そう思うなら黙って私のされたいようにされてなさい」
 ゆっくりと腰を動かし始める。ああ、気持ちいい。
 ぬちゃり、と艶かしい音を聞きながら私は考える。
 どうも、セックスをしているとき私は情緒不安定になりがちなのかもしれない。自分のことで恥ずかしいの
だけれど、身体がかなり感じやすいようだ。圭一を苛めようと気を張っても、挿入された瞬間から全てが飛んでしまう。
快感が全ての感覚を支配してどうにもならなくなる。私が私でなくなるような感じなんだけれど、きっとそれも私に違いないのだろう。
 ……こういった行為を重ねるうち、圭一が私より優位に立つ場面が増えてくるのかもしれない。
覚悟しておかなければならない、が、それは悔しいことだった。
「うぁぁあ……気持ちいい」
 その言葉に私は嬉しくなってさらに腰を振るスピードを早くする。
「はぁっあっはん、ぅあんっ、やぁっ、あぁっ」
 圭一が子宮口を突いているのがわかる。一際感じる場所だった。膣壁をえぐられる快感がペニス状の波になって子宮口へと集約される。
そうして体中を駆けていく。胸が疼き始めたので圭一の手をとって握らせる。
「ひぅっ!」
 待ちわびたとでもいわんばかりに反応する乳首。圭一の手で圧迫されたせいか、自分の鼓動がより響いて感じられる。
もう、全てが敏感になって何もかも感じずにはいられない。私という生の息吹はたった一人の愛する人との交わりにおいて、
最も激しくなる。女に生まれてよかった、という感情の発露。
 そして、もし、このまま中出しされたら、という考えが頭を過ぎった。
「ね、ねぇ、け、あっ、けいいちっ」
「な、なんだ…梨花ちゃん…くぅ」
「このまま、ひゃあっ、膣に出して、ひっ、みない……っ?」
「うぁっ、し、締まるっ! って、え? な、中出しっ?」
「そ、そう、よっ、あんっ、また圭一が大きくなった」
「な、中出しは……って俺じゃなくて梨花ちゃんのが締まってるんだよっ、…ほらまたっ」
 腰を止める。何か聞き逃せない言葉があったからだ。
「り、梨花ちゃんっ? う、動いてくれよっ」
「圭一の言い分だと、私が中出しって言葉のたびに反応するいやらしい女みたいじゃないっ」
「えっ? ってまた締まるっ!」
「ち、違うわよっ。圭一のが大きくなってるのよっ」
「いや、そうは言っても……。こればっかりは…、なぁ……、俺が正しいように、思う……のですが……いかがでしょう……?」
 喋っている途中から睨みつけたので、圭一の言葉は尻すぼみ&敬語になる。
 それにしても、腑に落ちないことを言う。淫語に反応するなんてまるっきり変態じゃない。
そういうのはいつだって圭一の役目であるはずでしょ。これは試してみるしかないわね。
「な、中出しっ」
「へっ?」
「妊娠っ」
「なっ!? って、くっ……、あの、締まってます……」
「っ!? ち、膣内射精っ」
「それ中出しと同じ意味だからっ、あぁっ、でも気持ちいいっ」
「…………」
 圭一の反応は嘘には見えない。それだけに、納得できないものがある。このまま淫らな女という烙印を押されてしまうのだろうか。
 私は腕を組んで考えるポーズをとる。胸が火照っているのが両腕で感じられた。
「うおっ、ボリュームアップ?」
 という圭一の馬鹿みたいな声が聞こえたが無視した。
 目を閉じる。思い描くのは、圭一のペニスから飛び出た精液が私の子宮を隙間なく埋めている光景……。
奥にいけばいくほど気持ちいいのだから、最奥への中出しということになれば……。
「ひゃぁっ!?」
「わっ」
 急に頭が痺れるような感覚がきて私は嬌声を上げてしまった。
「けっ圭一っ! い、いきなり何するのよっ」
 見ると、圭一の指がクリトリスを摘んでいた。
「いや、ひくひく動いて触ってほしそうだったから、つい」
「なっ……! かっ勝手にそういうことしないでよっ」
「ははは。気持ちよかったか?」
「うぐ……んぶ?」
 挿入したままの状態で上半身だけを起こした圭一は、私の頭を撫でるようにして引き寄せた後、耳元で優しく囁いた。
「中出しのことなんだけどな、それはやめとこうな?」
 そう告げられて、不安になった。今になって拒まれることなんか何もないだろうと思っていたからだ。
「ど、どうして?」
 圭一は、そう聞き返す私の心もとない表情を読み取ったようで、軽いキスをしてくる。
 顔を離して木漏れ日のような優しい色を携えながら、
「梨花ちゃんとの子どもは欲しいんだけどな。俺たちはまだ学生だ」
 と言った。それだけで、圭一が私のことをよく考えてくれているのだということは分かった。けれど、
そんな圭一に私は何が返せるのだろうと考えて、ふと思いついたことを口にしてみる。
「子どもができたら高校を……いたっ」
「そう言うだろうと思ったけど。ちゃんと学校は卒業しないとだめだぞ」
 小突かれた額をさする。馬鹿なことを言うなと圭一の目が語っていた。
「友達たくさんいるんだろ。めいっぱい楽しい学校生活を送れよ。九月には文化祭もあるって言ってたよな。
その日は大学サボってでも帰ってくるからさ。一緒に回ろうぜ」
「……うん」
 高校は、楽しい。人も出来事も新しいことだらけで。沙都子とも同じクラスだから、二人で楽しいことばかりやってる。
「その代わり、卒業したら否応なしにもらっていくからな。まぁ梨花ちゃんが大学に進みたいっていうなら話は別だけどな」
「ううん。大学はいかない」
「そっか? でももしもやりたいことがあるなら遠慮せず言ってくれよ」
「ありがと。でも圭一と一緒にいたいのよ」
「そうか。……まぁそういうわけで、中出しはまだ早いと思うんだ」
「分かったわ。正式に夫婦になってからってことね」
 思わず言ってしまった単語に気後れして恥ずかしくなったが、圭一はそんなことはないようで、先を見据えた目をして満足そうに頷く。
「そうだな。でも、そんなこと言うならゴム持ってこいよって話なんだけどなーはは……」
 準備不足……。圭一はそう呟きながら再び倒れる。
「ゴム? そんなの嫌よ。圭一のことが直に感じられなくなるもの」
「……そうか」
「あんっ。……今のは、圭一のが大きくなったのよね……?」
「……間違いないです……」
 二人で笑い合った。
「ふぅ、それにしても。圭一ってばまだ余裕ありそうね」
「いやぁ、そうでもないぞ?」
「嬉しいことも言ってもらえたし、サービスしてあげるわ」
 そう言うと、足元に放り投げてあったワンピースを手にとった。そしてそれを上から被る。ブラジャーがないので、
胸の先端が分かりやすく浮き出た。なんともいえず、恥ずかしい気分になった。さらに、喉を鳴らし声色調整。
男ほどではないにしろ、女だって声変わりをするのだから、なるべく昔の声へと近づけていくようにする。ん……これだ。
百年間の幼女経験は伊達じゃないわよ。本当に。
「ど、どうなのですか? 圭一?」
 少し照れつつ、口をあんぐり開けて呆けたままの圭一に言う。
「ぐはぁっ!」
 悶絶して後頭部を叩きつける圭一。効果は覿面のようだった。これで何の反応もないようだったら困ったのは私だけれど、
さすがにそんなことはないようだった。
「どうしたのですか? 圭一」
 分かっていながら聞く。また意地悪な気持ちになってきた。
 圭一の胸板に擦り合わせるようにして、身体を預ける。自然と、圭一を見るためには上目遣いにならねばならなかった。
さらに、ブラジャーを着けていない胸は、ワンピースの隙間から先端が見えるか見えないかといったところまで露になっているはずだった。
「――っ! りりり梨花ちゃんっ! た、タンマタンマ! やばいってっ! 可愛すぎるっ!」
「照れてしまうのですよ。に、にぱー☆」 
「でもその年でにぱー☆はないかもしれない!」
 もう何でもかんでも遠慮なく言う圭一だった。ちょっと恥ずかしかった。でもやっぱり、にぱー☆はないわよね。
 どれだけの間挿入したままだったのだろう。私は上半身を起こして、再び動き始める。
心なしか圭一のものがさっきより興奮しているように感じられた。
「はぁっ、はっ、はんぅっ」
「うううっ!」
 ワンピースの裾を持ち上げて、結合部が圭一に見えるようにする。
「ほら、圭一……。ボクたち繋がっているのですよ……」
「あああっ! エロすぎるっ梨花ちゃんっ。どこでそんな技を!」
 ワンピースの端を口に加えて腰の動きをより荒々しく激しいものに変えていく。
「んふ……ふっ、ふぅっ、ふぅんっ!」
 快感が頂点に達し始めていた。
「んむっ! んふっ! ふひぃっ!」
 子宮を突く刺激の波がだんだんと長いものになっていき、次の突進の刺激と重なり合っていく。悦楽が増幅されていく。じん、じぃん、じーんと
感じていく。慢性的に頭が痺れてしまったような感覚はオーガズムが近いことを教えてくれた。
「っくっ! そ、そろそろやばいっ! で、射精そうだっ!」
「んくっ、んぅううんっ! んぃいいっっくぅううっ!!」
「り、梨花ちゃんっ!」
「んぁぁああっ!」 
 最後の一突きで達した。圭一のものが抜かれて、ワンピースに精液が飛ばされる。
「ぐぁっ、あぁあっ!」
「はっ、はっ、はぁっ……」
 白濁液を全身に浴びせられながら、私はイキ続けていた。顔にも数滴飛んでくる。胸にも大量にかかっていて、乳首の形はもちろん、その色までもが
緑の布越しにはっきりと見えていた。やがて射精が終わると、そこで緊張の糸が切れてしまったかのように私の重心は後ろに倒れていった。
圭一の顔がぼんやりと目の前に映った。
 抱きとめられていた。
「はぁっ、梨花ちゃん……大丈夫か……」
 ほとんど無意識のうちに、震える顎を下に動かした。キスをしたいと思った。
 私の考えていることがわかったのか、圭一は唇を寄せてきた。
「ん……」
 短いキスが心地いい。顔を離して私は呟いた。
「気持ちよかった……」
「ああ、俺も気持ちよかった」
「また……しよ……」
「えっ、あ、ああ。梨花ちゃんがいいなら、な」
 照れながら笑う圭一。
「ねぇ圭一……。お風呂一緒に入らない……?」
 収まってきた絶頂の余韻の中で、気が付けば私はそんなことを口に出していた。
 圭一の丸く開かれた目は何だか笑えた。


<続く>


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最終更新:2007年11月05日 21:19