前回 Miwotsukushi


レナと魅音は結局帰ってこなかった。
知恵先生には梨花ちゃんが適当に話を繕い、午後の授業が開始。
当然半ば自習状態の学習に身が入るはずもなく、俺は窓の外と教室の扉を交互に目を配らせた。
小一時間首が百八十度の運動をし続けたので、若干首の根本に違和感がある。

「圭一、今日は一人で帰るのです」
終業のベルが鳴ってしまい、どうしたものかとうろたえていると、梨花ちゃんの助け船がやってきた。
探すな、とレナに言われていることもあり、俺は大人しく家路に着くことにする。
沙都子は少しだけ悲しい顔をしながら俺の顔を見据えたが、俺が頭をぐしゃぐしゃに撫でてやると顔を和らげた。
俺がずっと押し黙って、レナも魅音も居ないわけだから、沙都子には今日はつまらない日だったのだろう。
最低限俺は大丈夫だ、と言うことを、俺は頭を撫でてやることで表現した。
「圭一さん、明日は魅音さんを泣かせてはいけませんことよ」
年下から説教を喰らってしまい俺は苦笑してしまったが、梨花ちゃんが真剣な眼差しで俺を直視していたので、敬礼の合図で応える。
それを良しとした所で、梨花ちゃんと沙都子は夏真っ盛りの太陽の方向へと走り出していった。
俺もそんな二人を視界に入れながら歩き出す。
校門……とは呼ばれてないが、道と敷地とを隔てる場所まで来て、一度校舎の方に体を返した。
緑色の髪をした委員長が、置いてきぼりを喰らったことに腹を立てながら走ってくるじゃないかと。
ちょっとした希望めいたものに体が反応して、俺は魅音の姿を一通り探してみた。
だが俺の視界には元気よく走り回る男の子たちの姿しか確認できない。
謝るのは明日になりそうだな、とぼやきつつ、俺は再度自宅へと足を踏み出した。


「やっぱり遭遇率が異常に高いと思うんだ、俺は」
「ふっふー、神様の赤い糸が圭ちゃんには見えませんかー?」
勘弁してくれ、とばかりに俺は両手で降参のポーズをする。
目の前には明らかに雛見沢では異端の黒塗り、しかも恐らくは外国製の高級車だ。
今日の問題の原因とも言うべき詩音が、俺が帰りだして約三分の所で会う羽目になったのは、もはや偶然とは言わないだろう。
「昼休み来なかっただろ……、沙都子心配してたぜ」
病気でわざわざこっちの診療所まで来たのか、と直感が走ったが、顔色を見る限りそうでもなさそうである。
体調を崩したわけでもないのに、しかも俺の前で元気そうな振る舞いをすることが、逆に不安を募らせる。

こいつはきっと……、また無理をしている。

根拠はないけど、その根拠のなさだからこそ信じれるものがある。
第六感だから見抜けるモノがある。
もちろんそれだけじゃ生きていけないんだけど、逆に理屈だけじゃ俺らは【進めなかったんだ】。
この初夏を最高の仲間で迎えられたのは、絶対に社会の大人の頭では出来ないこと。

全員の意志が結晶して打ち破った輪廻からの脱出。

梨花ちゃんの言っていた言葉が思い出される。
「今日うちの学校期末試験だったんです。さすがに留年はまずいんで、今日は行けませんでした」
苦笑しながら詩音が俺に応える。
不自然じゃない。筋が通る理由だ。魅音と違っていつもの表情と全く同じ顔である。
だからこそ、その不自然の無さが不安を駆り立てる。
「それで詩音、今日はどうしてこんな時間に来たんだ?」
思い当たる節はあるものの、俺はあえて詩音に理由をしゃべらせた。
こちらで勝手に選択肢を設けてしまっては、詩音の胸の内が読みにくくなると考えたからだ。
「診療所です」
一度俺の中で否定された可能性。それを詩音は口にした。
俺は詩音に、具合が悪いのかと問うたが、詩音は即答せずに俺の目を見続けた。
まるで何か値踏みしているような、疑り深い瞳で俺の顔をえぐる。

「圭ちゃんは……私をどう見ていますか?」
「へ?」
素っ頓狂な声を出してもおかしくない詩音の質問だ。
確かに数秒前までは、詩音が雛見沢が来た理由の会話だったはずなのだが。
ここで突然のボディーブローに、しばらくパニックになる。
「に……濁すなよ、詩音」
「濁してるのは圭ちゃんです。大事な質問なんです。応えてください」
更に鋭く切り返してきたことで、俺は完全に面食らった。
まさかこんな状況で告白タイムを作って、俺の恥を増やすわけでもあるまい。
何よりも詩音の表情が真剣で、今日幾重の起きたことが重なって、今が大きな分岐点であることを想起させる。
意図は読めない。考えたくはないが、本当に詩音が俺を茶化してるだけなのかもしれない。
しかし、もし【そうじゃなかったら】の比重を考えれば、俺は真面目に応えるしかないだろう。
俺は顎に手を置いて、自分が今考えているのを詩音にアピールした。
詩音も俺に追い打ちはかけず、俺が口を開くのを待つ。
「詩音は俺にとって最高の仲間だよ」
いつも俺が、部活のメンバーについて聞かれた時に言う定型句。
だがそれは同時にいつも思っていること。
いつも思っているから確信を込められる。
いつも実感しているから本人にも言える。
それが最善の言葉なのかは分からないが、唯一の自分に正直な答。
俺が口を閉じた後に、詩音が悲しそうな表情に変わったのは、気のせいではないように思えた。


やはり、が的中してしまった。
少しだけ希望をかけてしまった自分を悔やむ。
反対にただ本人の口から聞いて確定してしまっただけ。

私は圭ちゃんにとって仲間以上の存在ではないんだって。

テストの出来が悪いなー、と思って返ってきたテストが赤点だったのに似てる。
ただそのテストの内容が【私自身】なだけ。
それも圭ちゃんは私に赤点を与えたわけではない。
最高の仲間……。きっとテストでは、合格点どころか八十や九十を超えるベストの成績だ。
クラスや学年でも数人にしか与えられない、誇るべき数字。
でも私が欲しかったのは百点だった。
私はお姉たちのように常に生活を共にしているわけでもない。
贅沢な悩みであることが、今の比喩で分かるというのに。
それなのに私は圭ちゃんに言って欲しかったんだ。

お前は俺にとって一番大事な奴だ

呪われた私にはあまりにも高望みのその言葉。
自分で気付くことも出来ず、お姉の前で吐露して初めて気付いた感情だと言うのに。
私には資格と言えるものが一つも揃っていないのに。
何で私は求めてしまうんだろう。
人一倍賢い気でいた数年前の私はどこに行ったんだろう。
いつから一人すら愛する資格がないくせに、違う人を愛するまで欲張りとなったんだろう。

努力しなきゃ、百点なんて取れるはずがないのに。

「葛西、ごめん出して」
今圭ちゃんの前に居ることが耐えられなくなって、私は逃げようと葛西に告げた。
葛西は無言で私に頷き、ハンドルに手をかける。
このままここに居ては、必ず無様な姿を見せてしまうことになる。
それは会話を有耶無耶にして逃げることに比べれば、遙かに私にとって許し難いことだった。
「お……おい、詩音、待て!」
開いていた窓から縁を掴んで、圭ちゃんは静止を促した。
瞬間、止めようかと口を開きかけたが、ここで止めても自分の首を絞めるだけなので、私は口を結んだ。
速度はどんどん上がっていき、エンジンの轟音が車内に響くようになる。
「詩音さん、前原さんが……」
葛西が言うものだから後ろを振り向いたが、ぞっとした。
既にこの車は相当のスピードが出ているのにも関わらず、窓の所には未だ圭ちゃんの手がかかっていたのだ。
こちらを見つめながら、何かを告げるように口を開いている。
いくら対向から車が来ないとは言え、この道は舗装などされていない。
足を取られて転倒しては、これだけの速度だ。下手をすれば骨の保障だって出来ない。
今走っている最中でさえ、車輪に足を巻き込まれたらミンチになってしまうだろう。
「け……圭ちゃん! 葛西、止めて!」
半ば急ブレーキの停止に、圭ちゃんは勢いが余って地べたに転がり込んでしまった。
ブレーキがたてた砂埃に咳き込みながら、私はドアを開けて圭ちゃんに近づいた。
擦りむけた膝から、次第に朱色の血がにじみ出してくる。
「ザマぁねえな、こりゃ」
汚れてしまった短パンやTシャツを払いながら、圭ちゃんは私に笑ってみせる。
圭ちゃんにこうなった責任は欠片すらないのに、無垢な表情を私へと向ける。
あまりにも今の私には痛々しいはずの笑顔。自らの罪悪感が掻き立てられる天使の悪戯。
それなのに圭ちゃんの笑顔が温め、癒し、染み渡る。
無知の子供が浮かべるとは正反対のもの。すべてを背負い、抱き、許す女神に相応しいものじゃないか。
「け……けぃちゃぁん…………」
発音もままならなく圭ちゃんの胸に私は沈む。
圭ちゃんのことでもう泣くことはしないと決めた。だが一度堰を切った涙が止まるはずがない。
寄りかかるように圭ちゃんの胸に自分の身を預け、道のど真ん中で私は園崎として許されない姿をさらけ出した。
ただの詩音と言う少女が、一人の男の子の胸で涙を流す。
「お……おい、どうしちゃったんだよ……」
会話を中断させ、車を発進させ、あまつさえ泣き出した私に、圭ちゃんは戸惑っているようだ。

別に圭ちゃんは分かる必要はない。
居るだけで私を引っ張ってくれるヒト。
だから……もう少しだけワガママさせてください。

圭ちゃんの手が肩に置かれる。二三の言葉を掛けられたがよく聞こえない。
ここで一度私の記憶は分断された。

 


 

気付いたらそこは……、って幼稚な小説じゃあるまいし。と私は自虐した。

笑えないのが『幼稚な』と言う修飾が、雛見沢と言う『一人が聞いたら千人知る』村のど真ん中で泣きわめいた私に当てはまることだ。

畜生、二度とあんなことしてたまるもんか。

意味も分からずムカついたので圭ちゃんに鋭い視線を送る。

びくっと体を竦めた圭ちゃんが可愛らしい。

『この人を頼りにしてます!』って誰かに言ったら、絶対笑われる。

 

場所は私のマンション。どこかの医療機関ではない。

多分葛西に道を引き返してもらって、小一時間をかけ部屋に戻ったのだろう。

その葛西は「私はこれから所用がありますので部屋を三時間ほどは離れます。どうぞ、ごゆっくり」と、【三時間】を強調し消えてしまった。

これが頭に来たり、エロオヤジと株が暴落することはないのは、日頃の行動の賜物だろう。

どこぞの茜とか言う三十路まっさかりの鬼が言ったら、私自身何しでかすか分からない。

並んで座っているベッドが軋む。

私はかなり心の中で葛藤してるからよく気付かなかったが、圭ちゃんも黙っている為無機質な音ばかりが部屋に響く。

こうなると私は切り出すのが難しくなる。妙に苦手なのだ、こう言う空気が。

しかし誘ったのは私なのだし、用があるのも私だ。

いつまでも口を開かないわけにもいかないだろう。

「大丈夫ですか、膝……」

絆創膏が二枚貼られた圭ちゃんの膝。傷を洗った時に見た限り浅くはなかった。

消毒し終わったとは言え、痛むはずの私が傷つけた膝。

「んー? 男にはこんなの当たり前だぜ。勲章ってやつさ」

肌の白さ、華奢とも表現すべき線の細さから推測する辺り、こっちに来る前はかなりインドアだったと思うのだが。

たったの一、二ヶ月でこんなにも意識改革するのだから、本当に雛見沢は恐ろしい。

「んで、いつまで世間話すればいいんだ、俺は?」

胸が大きく鼓動した。

不意打ち反則と突っ込みたいぐらい、圭ちゃんは会話の中で核心に触れてきた。

そりゃあ、こんな不自然なシチュエーションもないか……と後悔する。

「敵いませんねぇ、圭ちゃんには」

茶化す私の更に奥を見る圭ちゃん。

じっと動かない視線は、どこか竜宮レナを連想させる。オンオフの激しい辺りも、共通項だろう。

「悟史くんことで、ちょっと話がありましてね」

「悟史……、あぁ詩音のカレシか?」

デリカシーねぇなおめえは、圭一。

せめて沙都子の兄と表現して欲しかった。

「入江診療所がただの医療機関じゃないことは、圭ちゃん分かりましたよね」

「ん……、あぁ。鷹野さんの……その……隠れ蓑みたいなもんだったんだろ」

一種のタヴーを私は犯している。先の一件に触れるのは、憐憫と後悔しか生まない。

結果だけ見ればまだ成功したのだろう。

だが確かにあの事件と関連して、人が既に死んでいたり、傷を負った人もいる。

身体的にも精神的にも蝕まれたのだ。

だから私たちは未来だけに目を向けることにした。

過去は既に自分の中で消化し、糧としてしたはずだった。

だから圭ちゃんの返答がおぼつかないのも納得が出来る。

「隠れ蓑……と言うのはちょっと違います。監督はあの病気に真剣に取り組んでましたから」

そう、隠れ蓑は正鵠を射てはいない。鷹野三四があくまでも利用しただけ。

監督の過去数年間は、確かに雛見沢症候群の治療に注がれていた。

その【治療】と言う単語が……、今重要なことだ。

「悟史くんは……、そこに居ます」

圭ちゃんの表情が凍った。きっとそれはカレシの悟史としてではなく、兄としての悟史、つまり沙都子を意識してのものだ。

今すぐにでも教えようと高ぶった気持ちに相反し、恐らく圭ちゃんは冷静に分析している。

私は沙都子の前で良き姉として振る舞い、事実私自身もそのつもりで生活している。

その私が沙都子に教えていないのなら……確かに理由が存在する。

レナほどではないにしても、圭ちゃんは意外と勘もさることながら推理力がある。

きっと私が再び口を開かない限り、圭ちゃんは稚拙な行動をとらないだろう。

「今、悟史くんは病気なんです。沙都子にも教えることができな」

「雛見沢症候群だな」

私が口を開いている途中で、圭ちゃんが介入するのは珍しいことだ。

それに【雛見沢症候群】と言う名称を知っていたことにも、幾ばくか驚かせざるをえない。

「……そうです。だから今は、沙都子に会わせてあげることは出来ません」

被害妄想が幾度も幾度も累乗されていく、精神疾患の特異型。

すべてが。自分も含めたすべてが信じられなくなる、無色無味無臭の敵を作り出す病気。

どんなに敵を追い払おうとしても、存在すらしてないモノをどう殺せるのだ。

結局矛先は身近な人に伸び、殺戮が発生する。

記憶ではなく記録が、そう私に忠告している。

「詩音はなんで知ってるんだ?」

「え?」

確かに、私が知っているべき理由などどこにも存在しない。

「それは本当偶然ですよ。葛西たちとドンパチした時に、監督から教えられただけです」

実際は、それこそ私が雛見沢症候群を発症したように監督に食い付いたのだが、あの場面は監督に完全に圧倒されて事なきを得た。

監督なら悟史くんを任せられる確信が持てた。だから今も私は監督との約束を守っている。

私自身触れたい欲求を抑え、沙都子に報告したい衝動も制していた。

「遠けりゃ救われる……ってのはこのことか……」

独り言のように呟いた圭ちゃんの顔を私は捉える。

覚えていた……。圭ちゃんにとっては、ただの日常の一こまでしかない会話を、圭ちゃんは覚えていてくれた。

否……、否。それこそ例の病気の逆だ。短絡に考えすぎている。

不自然なも会話ほど記憶はしやすいものだ。時間的に考えても充分記憶が残っていてもおかしくはない。

ただ……それが分かっていても、【私】が記憶されていたことが嬉しい。

 

「辛いだろうな……」

一転、私の心に不安が染み込んでくる。あくまでも私と悟史くんとの関係を意識しての憐れみ。

あぁ、その先はきっと聞いてはいけないこと。

それを耳にしては、私の再び芽吹いた感情が摘まれてしまう。

 

「……なぜですか?」

だけど私は応じる。

どんな結果、十の内八九は望まない終わりになるだろうけど、ケリはつけるって決めたんだから。

結末がないと納得できないし、終わらないと始めることも出来ないだろう?

 

「詩音、悟史のこと好きなんだろ?」

 

当然、八九が当たった。私自身がそう言ったのだ。

好きな人が居る。それは悟史。遠ければ救われるほど、すぐそこにいる想い人。

圭ちゃんには言わなかったものの、私が悟史くんのために払った代償は大きい。

自身が負った爪の痛み。葛西や叔父さんにも迷惑を掛けた責任。

園崎家としての意志に反し、存在を認めてもらえただけでも喜ぶべき隷属民のような私。

 

求めちゃいけない……、卑下されて当然のモノ。

 

 

 

ねぇ……、でもやっぱりね。

私じゃ駄目かな。人並みに愛を欲しいって思っちゃ、叱られるかな。

この歳でこんなことを言うのも、ちょっと大人ぶってるように見えるだけだけど。

 

私は……圭ちゃんのことが何よりも大好きです。

 

 


 

「違います」

小さくもはっきりとした発音は、俺の耳にしっかりと届いていた。

あれ、確か詩音は悟史のことが大好きで、ずっと帰りを待っている、と聞かされていたのだが。

恥ずかしくて誤魔化している状況でもない。

断定と強い意志を持ち、詩音は俺の質問を否定する。

 

詩音を見ると、まず手が震えているのが目に入った。

首筋には微かな汗が浮かび、唇を噛み締めているのが続いて確認できた。

明らかに正常ではない。体がはっきりと異常のサインを、外部へと表している。

 

「詩音……、お前大丈夫か。具合良くないんじゃないの?」

 

「私はっ…………!」

 

詩音の顔が、俺の方へと正対する。

目尻に浮かぶ恐らく涙が、唇を噛んでいる理由を示していた。

 

「圭ちゃんが……っ」

 

え?

 

「圭ちゃ……、圭ちゃんが好きなんです!」

 

時が止まった。ってあるわけないんだけど。

まるで俺と詩音を包む空間だけが停止したように、俺たちはフリーズした。

まず修復すべきは脳の回路だ。一度に大量の情報が行き交いすぎて、パンクしちまっている。

整理だ。まず落ち着いて整理するんだ、前原圭一。

詩音は、悟史が好きって言うことを否定して、かつ『圭ちゃんが好き』と加えた。

文脈を見てどうだ?

本当に悟史が好きってこと自体を否定したのか?

…………いや、確かにそうだ。それ以外は考えられない。

ならば、その俺のことが好きってのが、冗句と言うのはどうだ。

恥ずかしくて逸らしていた詩音の顔を再び視界に映す。

俺が顔を背けていても、詩音は俺の横顔をずっと見つめていたようだ。

俺に宣言した時と同じ顔。

真剣で、感情を抑え、なにか不安を抱えている、冗句など入り込める場所がないような顔。

いくら茶化すのが得意な詩音とは言え、この顔は嘘と言えるはずがなかった。

……じゃあ、やはり俺を好き……って言うのは本当なのか?

鈍感鈍感と冷やかされつつも、また俺は気付くことができなかったのか。

いや、さすがに今回は明らかに俺の鈍感さとは無関係だ。

考えてもみろ。よく遊んでいた友達の妹に告白される、なんてどこぞの妄想ストーリーだ。

一応妄想…………、御都合的自主作成脳内再生にはそれなりのこだわりがある俺でも、まだまだ未知の領域だ。

くそぅ、動揺してるなぁ。動揺している。

これが迫真の演技で騙しているとしたら、もう完全勝利だぜ、詩音。

 

そんな一縷の可能性さえ打ち消すかのように、か細い声で詩音が俺に語りかける。

「大好きです……」

詩音の躰が俺に向かってきた。

腰に腕が回り、胸に詩音の頭の感触。足は横に流し、俺の胸から腹の辺りにうずめる形で、俺と詩音は接触している。

反則だ。こんな温もりを直に感じて、ときめかない少年が居ないとでも言うのか。

手の平から自然に浮かんだ汗を、一度ズボンの側面で拭いてから、詩音の首に俺も手を回す。

髪の上から回した為、柔らかい質感が手の平中に伝わった。

詩音の後頭部に手を添える形で、再び静止してしまった俺。

なにゆえ未経験の為、この先どうすればいいか全く持って分からない。

 

詩音……なんで俺なんだ?

と、俺は聞こうとした。しかしすぐにそれを噛み締める。

こんな覚悟めいた表情で言う人に対して、かける台詞などではない。

詩音は俺の事が好き。

実際今でも信じられない。どう言う過程で俺の事を好いたのか、ジョセイではない俺には理解できない。

だが、それを理由に彼女の覚悟を卑下していいものか。

 

「詩音、顔を上げてくれるか」

俺は詩音から手を離し、話し合えるような状況を作る。

首だけ上げて、男性が好むであろう三大ポーズの一角を担うこの悩殺ポーズを、どうにか噛み殺す。

「俺はさ、詩音にとって、多分一番の答は……言えないと思う」

無言の応答が詩音から放たれる。

「この場でお前を好きって言えれば良いけど。やっぱり詩音は【仲間】なんだよ」

背けることのない詩音の視線。俺も決して詩音から目を離そうとはしない。

「詩音が俺をそう思ってくれる事は、素直に嬉しい。だけど、もう少し待ってくれないかな」

肩に一度手を置いてから、今度は抱きしめる格好で俺は腕を回す。

俺が決してその場逃れの為についた戯言ではない証拠。信頼ほしさに俺の胸に、詩音を寄らせた。

詩音は抵抗する事もなく、ただ俺にされるがままになっている。

 

数分そのままで俺たちは動くことはなかった。

カチコチと鳴る時計の音も気にならなかったし、興宮では珍しくない自動車の音も一種のBGMだ。

詩音が吐息する度に温くなる俺の胸から、柔らかな感触が消える。

再び無言で見つめ合う格好となって、何度も繰り返した重い空気がただただ沈滞する。

「お腹空きましたよね」

打破した言葉は、あまりにも軽い調子で放たれた。

まるでこの十数分が、空間の狭間に引きずり込まれた如く、詩音の表情は明るかった。

意図は読めない。詩音がこうも感情を押し殺し、俺に笑顔を見せる理由が。

分からないと言う事が分かっても、俺は何もするべき行動が見当たらない。

彼女の精神力は、俺の頭脳では到底理解まで達し得ない。

悔やむ。ただ俺の意志を突きつけ、更なる我慢を強いる俺の弱さが、ただただ憎たらしい。

包丁で指の皮を切るのも、横っ腹に刺し通すのも、どちらも傷を付ける事に変わりないのに。

俺は腹を自らの手で刺すのが嫌だから、長らく蓄積する疼きを選択したのだ。

自分の手を汚さない俺は良いかもしれない。だけど彼女が苦しむのは変わりないと言うのに……!

歯が軋む。強く握りすぎた手が痛い。頭へと血流が激しくなる。

 

こんなもの、こんなもの、こんなもの、こんなもの、こんなもの……!

 

全てを抱えてあげれない俺を呪う。潔癖を是が非でも獲得しようとする思念を、ただただ俺は圧殺しようとした。


流し台に数枚の皿が置かれ、詩音が水道水で軽く汚れを流す。

ある程度流すと水を止め、再びソファへと戻ってきた。

二人は食事中は全くの無言。お互いに話を切り出せる規格外の強さがあるはずもなく、ただただ箸を動かした。

食事が終わり再び数十分前の状態に戻っても、この空気が変わるはずがない。

圭一の心中では、今この場をどう切り抜けるか、について頭がいっぱいだった。

自然な感じで、本当にこの部屋を離れて良いのだろうか、と疑心する。

第三者的な目。感情をシャットアウトし、あくまでも状況のみで判断するならば、これ以上詩音のマンションに居る理由など無い。

だが席を立つことが、同時に詩音との二重の意味での別れを意味するように思え、足が竦む。

生き地獄とはまさにこの事だった。

 

「じゃあ、俺雛見沢に戻るな……」

意を決して切り出したのは、何分いや何十分後だったのだろう。

時間の感覚すら狂うほど、無言の密室は人間にとって害だ。

今まで吸った、濁った空気をすべて吐き出すように圭一は告げる。

隣に座る少女の顔は見ない。見たら、絶対また躊躇ってしまう。

「こんな暗いのにですか……?」

その声で窓に目をやると、確かに外は暗い。

いや、雛見沢に比べ電光の明るさを加算してのこの暗さであるから、相当な時刻となっているに違いない。

案の定、時計の針は口元の髭のように時を示している。

つまり七時二十分。雛見沢に戻れる交通手段は、夕方のバスのみなので帰宅手段は徒歩しかない。

「タクシーでこっからどれくらい?」

「圭ちゃんのお財布で無理なことは分かりますね」

詩音のシニカルな笑い声に、思わず圭一は苦笑してしまった。

油断と言うか、全くもって帰る時間を計画せずに食事を馳走になっていたのだ。

こう言う行き当たりばったりが、自分を罰ゲームの常連から抜けられない要因なんだろうな、と落胆する。

「どうしますか……本当に。圭ちゃんのご両親って、門限にはうるさい方でしたっけ」

「まぁこの歳だし、多少夜になっても大丈夫だけどよ」

そうは言いつつも、朝帰りが許されるほど圭一の両親は無責任ではない。

少なくとも今、電話の一本を寄こすのが礼儀だろうが、どう説明しようか見当が付かなかった。

 

「あ……」

詩音が何かに気付いたような素振りを見せたが慌てて隠す。

だがお互い発する言葉もない状況。その静寂で起きた声だったため、詩音の呟きは圭一の脳へとしっかり伝達されていた。

「あれ、詩音どーしたよ」

続きがなかなか出てこないのを見て、圭一のトドメの一言が入る。誤魔化すわけにもいかず、詩音は諦めて口を開く。

「このまま泊まっちゃったりー、とかどーなんでしょうね」

軽い笑い声のような口調。口元に人差し指を当てて、苦笑しながら喋る姿はよく詩音がとるモーションであった。

一方の圭一は、鼻腔から迫り来る何やら赤い液体を堪えつつ、苦笑を返すしかなかった。

友達の家に泊まる。本来学生にとっては当たり前のこと。

数人で各々が食料や娯楽物を持ち寄り、布団は敷くものの結局不眠で朝を迎える、そんな楽しい一時。

圭一自身は小学時代は親が許さない、中学時代はノートと参考書が友達なこともあり経験はなかったが、至極『お泊まり』が普通の行為であることは分かる。

まず一対一。ここにも突っ込みを入れたい所だがとりあえず自重。まぁ仲が余程良ければするのかもしれない。

続いて保護者の不在。これに関しても夜更かしを大っぴらに行える、など子供特有の期待感が増長される。この問題もとりあえずスルーだ。

最後に泊まる相手が異性であること。問題だ。問題すぎる。

いつぞやの芸人が出てた、中国語だったかの映画タイトルを使うわけにはいかない。

さすがに圭一でも、自分が中学生となり『性』を意識しているのを自覚している。

いつの間にか自分で欲を処理することも覚えた。固有の嗜好に関しても、ノート一冊が埋まるほど極めた。

そんな圭一に同世代の女子と、一夜を過ごすのは考えちゃいけない妄想の域ですらある。

気付けば、先刻スルーしていた問題が『相手が異性』と言う条件下で、絶大なる影響力を生んでいる。

「ま……まずいよ、そりゃ。……ん……まずいよ」

反復する辺りに自身の狼狽を感じつつ、圭一は顔を背けた。

まったくもって下がらない体温を気にしつつも、圭一は他の解決策を思考する。

「泊まるのはなぁ……、ぐぅ……」

唸ってみてもアイディアが突沸するはずもなく、着実な時の経過だけが部屋に流れた。

とりあえず電話だけはしよう、詩音の提案を圭一は飲み、ソファの横に設置されていた受話器を取る。

既に慣れた六桁の電話番号をプッシュし、無機質なコール音に耳を傾ける。

六回、七回、八回。出ない。父はアトリエに篭もりっぱなしなので当然だが、母親までもが出ないことに圭一は違和感を覚えた。

この時間の外出があるはずもない。もう一度かけ直しても、前原家の居間にただただ音が響くだけだろう。

「ビンゴーってやつなんだろうな」

自嘲通り越して呆れに達した独白が、虚しく詩音のマンションに響く。

偶然が重なったとしか言いようがない。多重事故も良い所だ。どの道圭一は前原家に入ることが出来なかったのだった。

圭一が電話機に向けてた体を、詩音の方へと戻す。自然目が合う形になり、視線での会話が展開された。

 

どうします?

 

どうするって……

 

真面目に困った感……じゃないですか

 

やっぱ……ここに泊まるしか……なぁ……

 

意識は当然してないだろうが、互いに詩音の提案を呑む他、圭一が暖かい部屋と布団で寝られる可能性は低そうであった。

八方も塞がったら、その場に居座る以外どうすればいいのだ。圭一は自棄になって、無人のソファへと寝転がった。

 

 


 

期待した言えば嘘になる。

あからさまに圭一は詩音の部屋の宿泊を拒んだとは言え、いざ二人っきりとなれば風呂の時などに下着姿でも拝ませてもらえるのでは、などと煩悩が働いた。

この助平衛が、と突っ込んだものの、実際詩音が風呂に入る時は、詩音の部屋へと軟禁されたのでイベントはなし。

加えて、部屋の物の位置がずれている箇所を発見されれば、手に穴が空くとの事だったので、圭一は数十分のフリーズを強制された。

別にくつろいでいる以上のことをしなければ結構なのだが『穴が空く』と言うのが妙にリアルで、圭一は萎縮していた。

何故リアルに感じたかは、生涯圭一は気付かないに違いない。世の中知らない方が仏を見る小話もある。

立ち替わるように圭一が風呂に入り、真っ白なバスタオルで体を拭く。

園崎家の管理するホテルから流れた物、と詩音は圭一に説明しており、とにかく生理用品を中心に事困ることはないらしい。

本家、魅音の住むあの豪邸を想像すれば、別に生理用品だけに限らず、資金で困ることはなさそうだが、と圭一は考える。

特別な事情を知らない圭一にとっては、当然の疑問であったが、詩音なりのプライドと片づけてドライヤーのスイッチを切った。

下着は多少不衛生だが風呂を浴びる前と同じ物。

圭一はTシャツなども同様に自分の物であるのを要求したが、土埃の汚い服で寝ることは許されないと却下された。

そして目の前に用意された桃色のTシャツと、チェックの入った同じく桃色のパジャマのアンダー。

これはしばらくはネタにされるな、とため息をついて、女物の服装でも袖を通せてしまう自分の貧弱な体にもう一度息を吐いた。

詩音からファンシーな姿と化した己を良いだけ笑われた圭一は、さっさと就寝することを提案した。

「カメラでも用意しておけば良かったですねぇ」と微笑む詩音を半ばスルーして、自分の寝る場所を見回す。

十数分レディーの寝る場所と美容との関係について熱く語られた圭一は、ソファで一夜を過ごすことを承諾した。

十一時を少し過ぎた辺り。興宮のマンションのとある一室から、光が消えた。

 

 


 

図太い神経を持っていれば、もう少し楽に寝れたと思う。

慣れない寝場所のことではなく、お気に入りの枕がないことでもなく、やはり先ほどの告白が引っかかっていた。

成り行きで泊まることにはなったが、正直ここから逃げ出してしまいたい気持ちがある。

俺が全く考えていなかったこと。知らぬ間に、また俺は人を勝手に不幸とさせていたのだろうか。

考えていなかった、と言うのは語弊が生じている。考えようとしなかった、が適切だろう。

友達だから、とすぐに俺は彼女の苦悩を思案することに、終止符を打っていた。

全く変化がなかったことは無いはずだ。俺への対応に詩音がいつも通りを振る舞えるほど、彼女は強くない。

硝子細工のように透き通った心を持ち、繊細な装飾がなされ、かつ割れてしまいやすい。

それを俺はなんて無下に扱ってしまったのだろう。やはり俺には、彼女の告白に肯定する資格は有していない。

逃げ出したい、と問題から逃避しようとする愚か者に、彼女の想いを背負えるものか。

 

 


圭ちゃんの笑顔が、妙に心へダメージを与えた。

私へ少しでも傷を付けないようとする、圭ちゃんの優しさに胸が痛んだ。

恋がこんなに人を酔わせるもので、愛がこんなに絶望を与えることを私は想像できたはずだ。

前例。一度経験した【終わり】を、私は何故また実感しようとしたのだろう。

圭ちゃんのことは少なからず私も理解していたはずだ。

園崎魅音のあれほど分かりやすい恋慕から来る仕草さえ見逃す彼に、幸福な結末を望むことは私の責任である。

友達でいることで充分喜びを提供する彼を占有するのは、あまりにも儘が過ぎるのか。

カチン、と音が鳴った気がする。

そこでお前は終止符を打つのか、と誰かが語りかけた気がする。

硝子細工のように純真な彼を、誰にも染色されない意志を持つ彼を、無鉄砲で危なっかしい彼を。

諦めるのか? 終わりにするのか? 逃げ出してしまうのか?

 

「嫌だ」

失うのは嫌だ。遠慮をしてしまうのは嫌だ。泣くのは嫌だ。独りは嫌だ。寒いのは嫌だ。眺めるのは嫌だ。離れるのは嫌だ。痛むのは嫌だ。放っておかれるのは嫌だ。壊れるのは嫌だ。

 

嫌いに なル の が 嫌ダ。

 

 

 

ザーッとノイズのような音が脳内に響いた。

頭の中で様々な何かが、現れ、消えて、創られ、爆ぜた。

 

 

 

…………………………

 

「こんなに好きなのになぁ」

頬を伝っていた涙をシーツでぬぐい、私は身を起こした。

ベッドから離れて冷めていく体。部屋の扉を開けて、カーテンから漏れる薄い光。ソファの上で横たわる一人の少年。

 

私は終止符を打つことはしなかった。

 

 


 

扉が無機質に立てた音で、圭一は微睡みから解放されて意識を戻した。

考える意味もなく、音の犯人は詩音であることを知覚。そして疑う間もなく再び瞳を閉じた。

そこで気付く。気配が自分の後ろにぴたりと止まった。そして膝をたたむ布きれのこすれる微かな音。

圭一の体にかかっていた毛布を詩音が静かにとり、居間の僅かな冷気が圭一の背中に伝わる。

すぐに詩音の手が横となっていた圭一の背を這い、シャツ越しから体温が伝播した。

「ストップ、ストップ、詩音!」

焦りがそのまま音声となって圭一の口から発せられる。だが詩音は応えずにそのまま抱擁した。

胸の前で組まれた詩音のか細い手を視認し、一層圭一の顔が紅潮した。

「まずいって……、ちょっと……」

詩音に直接言ったわけではない、独白のような圭一の声。

その声を合図にしたかは定かではないが、詩音の額が圭一の肩甲骨の辺りに触れた。

詩音は自分もソファの上に乗り、圭一の後ろに密着するように横になった。

確かに自覚できる上昇する体温。圭一はどうしようか困り果てた。果ててはいけないのだが、この先の行動の選択肢が現れない。

詩音の息づかいが聞こえることであったり、密着する体であったり、香る女子特有のにおいであったり、圭一にとってはひとつひとつが酷く官能的だった。

「圭ちゃん、人を好きになるって難しいんですかね」

詩音から出たのは、また恋文のような甘い言葉。

「もうそれはナシだよ」

諭すような圭一の声。それでも詩音は半ば無視を含んで、恋文を書き連ねた。

 

好きになったら、何が何だか分からなくなって難しいって言いますよね

 

まぁ……、俺はあまり経験ないけど。

 

凄いんですよ、小説とか見ると一人の子好くのに、何百ページも描写かかっているんですよ?

 

へぇ、見るんだな、詩音も。そーいうの。

 

それは偏見ですか? ふふ。お姉もですけど、結構好きですよ。そー、い、う、の、は。

 

魅音もか。あいつは絵が入ってないとてんで駄目って感じだと思ったけど。

 

偏見の塊ですね、圭ちゃんは。もうちょっと女の子を意識したらどうですか?

 

このジョーキョーは嫌が応にも……って場面じゃないか?

 

嬉しいですね。やっと私の偏見が取れましたか?

 

笑えないよ、それ……。

 

笑わないでください、真剣な話ですから。

さっきも言いましたけど私は圭ちゃんが好きです。

事実は小説よりー、って言いますけどあれ本当ですよ。色々悩まさせてもらいました。

 

……。

 

結果論ですけど、結局それは私の勝手ですよね。だって恋愛はイエスとノーしかないわけじゃないでしょう?

数学は長い証明の先に仮定が結果になりますけど、それを私と圭ちゃんに当て嵌めるのは誤答に決まってますから。

仮定が結果と違うからって証明に修正を施そうとする問題じゃない。

 

詩音……、お前なにをい

 

そもそもこれは問題ですらない。

 

……。

 

大好きです、圭ちゃん。

恥ずかしいと思いません。

こうやってくっつく時間をもっと欲しく思っています。

圭ちゃんの温かさを嬉しく思ってます。

あなたが……、欲しいです。


Miwotsukushi3へ続く

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最終更新:2020年09月17日 00:22