それはまさに地獄と呼ぶのにふさわしい光景だった。


「やめろ、やめてくれ…お願いだ…!」
目の前の惨たらしい光景に圭一は懇願した。
レナが、魅音が、詩音が…まだ幼い沙都子までもが、山狗たちの欲望の餌食にされている。
それを嘲笑いながら見つめる鷹野。…何も出来ない自分。
悔しくて悔しくて、涙がポロポロと溢れた。

「…やだ、男の子でしょう?泣いちゃダメじゃない…」
「………よくもぬけぬけと…、この野郎、この…ッ!!」
だんだんと地面を蹴りつける。その振動に撃たれた肩が悲鳴をあげるが、それでもかまわずに怒りをぶつけた。
ああ、魅音が俺の名前を叫んでる。詩音はぐったりとしながらも激しく突かれて、レナは小さな身体をガクガクとゆさぶられて。沙都子もどろりと濁ったな瞳で、まだあんなにも幼いのに…
張り裂けそうなほど胸が痛んでたまらない。
「ね、前原君、苦しい…?」
「ああ苦しいさ…!これで満足か?!いっそ殺してくれよ!!畜生、畜生、畜生…ッ!!」

―――――もはやこれは拷問だった。こんな思いをするぐらいならば、間違いなく本物の拷問を選ぶだろう。
たとえ指に釘を打ち付けられても、爪を剥がされても。遥かにそちらの方がマシだ。……それぐらい悔しくて苦しくて、辛い。
「…そういう意味じゃないわ。苦しいって聞いたのは、………“コッチ”」
「………な…ッ!?」

鷹野が圭一のソコにそっと触れる。いきなりの行為に圭一はびくりと震え、身強ばらせた。
白くて細長い鷹野の指が、つつ、と円を描くように自身の形をなぞる。…そして、ゆっくりとチャックを下ろした。
「……ぅ、……!」
「…どれだけ罵倒したってココは正直ね。ちゃんと勃ってるじゃない、くすくす…!」
その一言に圭一は顔を真っ赤にさせる。くすくすと鷹野が嘲笑とも取れる笑いを浮かべると、悔しそうに顔を歪めた。

…確かに圭一のソコは意思に反し、勃起していた。だけどそれは男として生まれた以上仕方のない事。自然現象だ。
と言えども、状況が状況ゆえに圭一はとてつもない情けなさと罪悪感に苛まれていた。さらに鷹野が追い討ちをかける。
「あなたたち、最高の仲間なんじゃなかった…?知らなかったわ、前原君はそんな大切な仲間たちが陵辱されて勃起するような男の子だったのねぇ…!」
「…ちが……、あ…ぅ…」
「何を言い訳するの?正直に言ってごらんなさい、レナちゃんや魅音ちゃん達のいやらしい姿を見て興奮したんでしょう?
こんなにおちんちん硬くさせて、まさか違う……なんて、言わないわよねぇ…?」
「うぐっ、…く……!」
鷹野の容赦ない言葉に圭一はさらに涙を零す。…そうだ、鷹野さんの言うとおりだ。
仲間が辱められているというのに、その傍らで勃起しているなんて―――――最低としか言いようが無かった。
「ふふ、泣かないで…。私で良ければ慰めてあげるわよ…?」
鷹野さんはそう言うと、取り出された俺の先端を軽く擦った。突然の快感に、女の子のような情けない声をあげて小さくはねる。
「な、何を……やめ……」
何を、だと?何をカマトトぶってるんだ前原圭一。分かってるじゃないか、これから何をされるかなんて決まってるだろう?
「知ってるくせに。上辺だけ抵抗してるふりをして、ずるい人ね…」
「ち、違…」
―――その通りだった。いくら縛られてると言えども鷹野さんは女性だ。レナ達のように複数の男たちに押さえつけられているわけでもなし―――抵抗しようと思えばいくらでも出来た。
だが、俺はそれをしなかった。…なぜかって?理由は分からない、分かりたくない。でも、この目を背けたくなるような現実から逃げだしたかったのかもしれない。…なんて卑怯なんだろうな。

「く…ッ!」
鷹野さんが俺のモノを完全に露出させ、ぱくりと銜えた。
暖かく湿った感触。初めて味わう感覚に、俺は目を見開く。
鷹野さんは裏筋に舌を這わせ、ゆっくりとねぶるように俺のソレを弄った。むくむくと欲望が大きくなっていく。
色っぽい唇の端から唾液が滴り落ちるのを見て、ごくりと息を呑んだ。
「ん、む、ちゅ……ぷは、……………さんにも……、よく……………たの。
彼ったら…………て、『………よ』―――――って。…ふふ、可愛かったなあ…
………ん、はむ……」
「……っう、……?」
鷹野さんが遠い目をして何かを呟いた。尚も手は休めず俺のモノを弄くっている。
本当に小さく呟かれた声だったから、何を言ったのかはよく分からなかったけれど――――なんだか寂し気に見えた。

「ん、く……ふ、ぅ…」
「うっ、…っあ…!」
口をすぼめて、軽く吸われる。長い髪をかきあげて俺のモノをしゃぶるその姿は、たまらなく妖艶で、扇情的で。鷹野さんの巧みな舌技に、俺はもう我慢の限界だった。
「…っ、はあっ、…で、出る……出っ…!!」
「いいわよ、濃くて臭くて苦ぁい精子………いっぱい出しなさい…?うふふふふ!」
「う、くっ……っああ!!」
とぴゅっ―――――――
白い液体が元気よく弾ける。
俺は泣き叫ぶ魅音たちの声を後ろにして…………果てた。
「…うふふ、たくさん出たわねぇ…。よっぽど溜まってたのかしら?くすくすくす!」
鷹野さんは満足気に微笑み、顔や髪についた白い液体を指ですくって舐める。ねっとりと舐め回すその姿がまた色っぽくて、俺の欲望が再び熱を帯びていくのを感じた。


「……………」

しばらくしてから、イったあとの脱力感や虚無感が一気に俺を襲う。股間はまだじんじんと余韻が残ったまま熱い。俺はしばらくの間、悲鳴と嬌声と嘲笑がざわめくこの空間でぼんやりと放心していた。
そんな中、鷹野さんが呟く。
「………あら恥ずかしい、見られてたみたい」

………見られてた?
――――――――誰に?

そう思い俺はゆっくりと鷹野さんから視線を反らす。その視線の先にいた人物は、最初こそよく見えなかったものの……、…徐々に輪郭を帯び、鷹野さんがその名を呼ぶ頃には…
その人物が誰なのか………完全に気付いていた…。

「梨、花…ちゃ………」
「……………」

…梨花ちゃんは、ひどく失望したような眼で、………俺を責めるような、…でも
…どこか寂しげな瞳で………俺を、見つめていた…。

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最終更新:2007年06月25日 22:57