男の武骨な指がインターフォンを鳴らすと、部屋の内側でパタパタと駆け寄ってくる足音が聞こえ、続いて元気良く扉が開かれた。
「お帰りなさいです、葛西。頼んでた限定のケーキは買えましたっ!?」
「えぇ…まぁ…それよりもその格好は?」
なぜか玄関で出迎えた詩音の体は大きなバスタオル一枚にくるまれた裸同然の姿で、詩音とは親子ほども歳の違う葛西は眩しい目を細める。
「えへへ。甘いものを食べる前にちょっと汗をかいておこうかなーと。無駄な足掻きってやつです」
「詩音さんはそんな事きにする必要なんかありませんよ」
「あらあら、葛西も口が巧くなりましたね☆とにかく早くお茶にしましょう。この日の為にお昼ご飯も控えめにしたんですからね」
そう言って詩音はトコトコと着替えるために、バスルームに消えていった。
後ろ手にドアを閉めながら葛西は小さくため息をつく。
最近、詩音は必要以上に容姿に気を使うようになっていた……おそらく恋をしているのだろう。
相手は件の「悟史くん」らしい。
……いつまでも…自分の膝に無邪気によじ登ってきた子供のままではいてくれないのだろうな…と、一抹の淋しさを覚えた。
「さすがは一年の内に一日しか発売されない幻のケーキですっ!んーっ、このクリームが濃厚で…なのにしつこくなくっ!!買っおいた紅茶と良く合いそー」
「…そう思ったら、その紅茶をいれるまで待ってたらどうです?」
「だってー、去年お姉に自慢されてからずっと食べたかったんですよ!?私としたことが、お湯を沸かしてなかったなんてオチャメな失敗をしちゃいましたねー」
はいはい…と、葛西は苦笑しながら沸騰したヤカンをとりに台所へ向かった。
詩音はいつもの部屋着姿で、それはそれは満足気にケーキにぱくついている。
「そろそろお茶が欲しいです」
「今、行きますよ」
「葛西は頼りになります☆」
こういう特別なケーキだからこそ、恋人(まではいかないのだろうが)と食べたいのではないかと思うのだが…
秘密の楽しみは葛西と共有するのが、昔からの詩音の習慣だった。
そして今日も特別なケーキの楽しみを共有するべく呼ばれた事を、葛西は自分が詩音の中で今だに大きな比重をしめているのだと確認できたようで嬉しく思っていた。

葛西はソファに腰掛け、斜め後ろから床に座ってケーキを食べる詩音を眺めていた。
手を伸ばせばそこにある、かけがえのない宝物。
甘い菓子が少女の口に運ばれるたび、サラサラと長い髪が白い首筋の上で流れて………そこに感じた違和感。
「………詩音さん。首…どうかしましたか?」
「ふぁい?」
フォークをくわえたまま、詩音は後ろを振り返る。
「痣が出来ているようですが…」
「―…!?」
瞬間、フォークを口から取り落とし、真っ赤になって首筋を手で隠した。
詩音の反応は過剰すぎるもので……葛西じゃなくてもそれがどのようにして付けられたのか、察しがついただろう。
ただ、信じられはしなかったのだが。
「な…なんでもないです。ちょっと…ははは、ぶつけたのかな?」
普段はしれっとした顔でいくらでも嘘をつく詩音が…こんなに動揺している……
キス…マーク……か?
ザワリ…と背筋の辺りで発生した「何か」は、チリチリと背中を焼きながら葛西の首・後頭部へと移動して脳裏を焦がす。
「何か」はおそらく嫉妬なのだろう…
葛西がそう理解した時には、ソファの上に引きずり上げられた詩音が視界に映る。
自分でも意識しないうちに、詩音を組み敷いていたのだ。
「か、葛西…?」
何が起きたのか、唖然とする詩音。
今なら…まだ…「すいませんでした」の一言ですむだろう……しかし…
(馬鹿馬鹿しい……ガキ相手にヤキモチか…)
「詩音さん?…他にも痣がないか見てみましょう。…詩音さんがおいたをしていないかどうか調べるのも私の仕事ですから」
「やっ…葛西!?」
詩音の細い両手は、葛西の片手でも易々捕まえる事ができた。
それを詩音の頭上で固定したまま、葛西は残った方の手で詩音のシャツを捲り上げる。
「葛西っ…嫌ですってばぁ!!」
訴えは聞かず、そのままブラジャーも乱暴にはぎ取る。
年の割りには大きめな乳房が重力に逆らってツンと上を向いている。
ピンク色の果肉のすぐ下…微かな…それでいて鮮やかな赤い痣。
「………ひぁっ!?」
その赤を塗り潰す様に、上から唇を這わせ強く吸い、新たな印を刻み付ける。
「あぅっ…やぁぁっ」
フルフル震える柔から乳房に軽く噛み付いた後、頂きにある尖りを口に含んだ。
ぐにぐにと歯で優しく愛撫するとソレは硬さを増していく…時折、舌で先端を突いてやると、詩音の口から甘やかな吐息が漏れる。

「んっ…ああっ…くぅっ…か、葛西ぃ…うぅ…どうしてこんな事…」
「……随分、感度が良いんですね?ほら、見えるでしょう…こんなにいやらしく尖ってますよ」
「やっ…!そんな…」
いつも自分にだけは優しくしてくれていた葛西の突然の豹変に、詩音は目尻に今にも零れそうな程の涙を溜めていた。
それを見てた葛西の心が急激に冷静さを取り戻していく。
「…少し…悪乗りがすぎましたね」
「葛西…?」
「詩音さんが誰かに身も心も捧げてしまったと知って…ふふ…ちょっと意地悪したくなったんですよ」
「…………」
葛西が詩音の上からどいても詩音はソファに横たわったままだった。
人差し指を軽く口に含み、じっと葛西を見つめている。
「……葛西は…私の事が…好き?…なのですか?」
「…とても大切に思っていますよ」
「………私も…葛西はとても大切です。…だけど、悟史くんへの気持ちとは違うんです……………って事は…浮気じゃないですよね?」
「…え?」
さっきまで半泣きだった詩音が不敵に笑うのを見て、加害者だったはずの葛西の思考が停まった。
「あくまでも私は悟史くん一筋です!!だけど…葛西なら…してもいいです……ってか、したい…かも」
「私が言えた義理じゃありませんが…なんでそういう考えになったんですか?」
「ふふふ…だって…葛西と私はずーっと共犯者でしたよね?秘密の楽しみはいっつも二人で共有してきたじゃないですか…だから…この秘密も共有したいの……ダメ?」
返事の代わりに詩音を乱暴に引き寄せ、唇を重ねる。
「ふっ…んっんん」
微かに開いた隙間から熱い舌をねじ込み、詩音のそれとからめ合う。
「ふぁ…」
飲み込めない唾液が詩音の細い顎を濡らす頃、ようやく唇を離した。
「…大人のキスってすごいです…。えへへ、だから葛西は大好きなんですよ」
今度は詩音からチュッ…と軽い口付け。
「私のずるいトコも狂暴なトコも…全部受けとめて一緒に来てくれるから…」
そう言って、詩音は自分からシャツを脱ぎ捨てた。
「来て…」
先程までは明るかった部屋の中が、今では夕焼けの赤に染まっている。
その赤の中で、獣が二匹…溺れていく。

ジジジ…とチャックを下ろす音の後、微かに衣服の擦れあう音…次いで詩音が感心した様な声をあげた。
「こっ……これは…なんか色とか違いますねぇ…」
誰と比べてだ……との心の声を押し殺し、葛西は詩音が自分のペニスを恐々いじるのを苦笑して眺めている。
詩音は薄ピンクの年相応に可愛らしい下着姿だが、葛西はまだいつもの背広の上着を脱いだだけだ。
いつもの姿でいつもとは違う詩音が自分の股間に蹲っている…だからなのか、この状況がどこかボンヤリした白昼夢の様で現実味がない。
隠していた欲望、汚らしい妄想がジワジワと現実を浸食していく……
フッ…と、葛西がとりとめのない思考から我にかえったのは……股間に感じた違和感のせいだった。
「詩…音さん?なにしてらっしゃるんですか…?」
「あは☆こうしたら凶悪な葛西のご子息もかわいくなるかなー?って」
いつのまにか葛西のペニスは、先刻まで詩音が喜んで食べていた限定ケーキの特濃クリームが乗せられていた。
まだ完全には勃起しきっていないソレを愛撫するように、詩音はクリームを塗りたくっていき…すっかり真っ白にコーティングし終わるとニヤリと不敵に笑う。
「美味しそうな匂いがします…食べていいですか?」
「詩音さん……っぅ…」
葛西の返事を聞く前に、詩音は男性器に唇をよせ、チロリと舌でクリームを舐めとる。
「ん…甘くて…美味しいですよ?葛西…」
挑発的な言葉をはきながらも詩音のペニスに添えている指は微かに震え、舌の動きにもためらいが見える。
(慣れていないんだな…)
こんな行為をさせながらも、葛西は少し安堵した。
ピチャピチャと懸命に舌を踊らせる詩音の口の周りはクリームまみれになる。
「んもう…葛西の…どんどん熱くなるから、クリームが溶けちゃいます…はふ」
「ふ…溶ける前に綺麗に召し上がってくださいよ」
詩音の仕掛けた悪戯の後始末をさせるため、いきり立ったモノで彼女の唇をツンツン突いて催促してやった。
「…うん…入るかなぁ…」
あむ…はむはむ……小さな口を精一杯開けて、詩音は葛西のすっかりパンパンに膨れ上がった欲望を口に含む。
「はぅ…んっ…んむっ」
唇を窄めて頭全体を上下させ、性器についたクリームを削ぎ落とそうと頑張る詩音の頭を「良い子良い子」するみたいに撫でてやる。
「んっ…ぷは…なんかクリームの味が変わってきてるんですけど…やだぁ、我慢汁ですか?」

「やせ我慢しないで、とっとと出してください」
「…別に我慢しているわけではないんですがね…」
葛西は自分のペニスに触れていた詩音の手を自分の手で包み込む。
「わっ…なになにっ!?」
「詩音さんの力加減では温いというか…これ位強く擦った方がいいですね」
そう言って詩音の手ごと大きく反り返った己のモノを扱き上げる。
「や…熱い…うぅ…ビクビクしてます…きゃっ…!」
突然、先端から吐き出された精液を避けることが出来ず、詩音の顔に白濁した液体が降り掛かる。
「…ぁ…もう…ベトベトです…出すなら出すって言って下さい」
「はは…すいません」
謝りながらも葛西は詩音の顔から精液とケーキのクリームをすくいとり、詩音の口に含ませた。
「ん…ふ……変な味ですねぇ…溜まってたんじゃないですか?…っていうか、葛西だんだん意地悪くなってません?」
「日頃の恨みを晴らすチャンスですからね」
「……う…あんまり痛くしないでください…」
「痛くなんかしませんよ……詩音さん、もっとケーキを食べましょうか?」
「ふぇ…?」
詩音は葛西の手で下半身を高くあげられ、頭を下にして体を折りたたたむ様な格好にさせられる。
「ちょっと…苦しいンですけどっ…て、あ…!!」
「下の口にも美味しいケーキを食べさせてあげましょう」
「下の口って…親父くさすぎですー!待って…パンティはまだ…恥ずかし…」
抗議は無視して下着を一気にずり下げる。
パンティの下から表れた薄い陰毛は、詩音の秘肉の狭間から溢れた愛液でテラテラと濡れて光っていた。
「ほら、涎を垂らして欲しがってるじゃないですか」
「だから…そういう事を…言わないでくださいってば!」
詩音が真っ赤になって大声で反論する。
「まぁまぁ…そう言わずに召し上がってみて下さい」
葛西は皿に残されたケーキを摘みあげ、詩音の割れ目の中に押しこんだ。
「きゃぅ…やあん…あっ…ああっ」
「…痛いですか?」
クリームと共に葛西の太い指も潜り込む。
ニチャニチャと音がするたび詩音の腰はビクンと大きく跳ね、内側の肉壁は葛西の指を締め付けた。
「あ…大丈…夫…ああぁっ!!だけど…んっ…ケーキ…っ…奥に入れすぎたら取れなくなっちゃうっ…はぅっ!」
「ですが、詩音さんのここは喜んで召し上がってるみたいですよ?」
一本から二本へと指の本数を増やして抉るように回転させ、クリームを肉壁に塗りこめる。

「やぁ…もう…もう…あっあぁあ…」
「もうお腹がいっぱいですか?…では、残りは私が食べましょう」
そう言って、葛西は詩音のトロトロにほぐれた蜜口に口を付け、強く中の愛液を吸い上げた。
「ひっ…!?あぅぅ…!あ…あああ!駄目…汚いです…あぁっ…!!」
ジュルジュルと自分のソコがたてる卑猥な音に耐えられず、詩音は腰を捻って逃れようとする。
が、葛西の手でがっちりと固定されているのでそれはかなわない。
「汚くないですよ?甘いですね」
「…ばかっ…!!あ…っ…くぅぅ」
熱い舌が侵入してきてクリームを塗られた肉壁を味わう様に舐め上げると、詩音は高い嬌声を上げて体を宙に踊らせた。
「ああっああぁー…っ…!!は…あ…ああぅ…」
絶叫の後、ぐったりした詩音の体をソファの上に優しく横たえ葛西は耳元で囁いた。
「これ位でへばってたら後が持ちませんよ?」
「う…うぅ…やっぱり葛西が意地悪です…」
啜り泣く詩音のおでこにそっとキスを落とし、葛西は詩音の股間へと手を滑らせる。
ソコからはまだコンコンと愛液が溢れだしているようで、すぐに葛西の指は熱い粘液に包まれる。
その指で肉芽をキュッと摘むと、詩音は息も絶え絶えに反応をしめす。
「あっ…あ…ああ…」
「詩音さん…止めるんなら…今のうちですよ?」
「葛西ぃ…」
「ここからは…嫌だって言っても止められませんから」
「………嫌……なわけ…ないじゃないですか。もっと…葛西が欲しいです…」
「…もっとですか?」
「ふふ…沢山です」
クチュ…と音を立てて二人の唇が触れ合う。
舌を絡め合ったまま、葛西は体を移動させ、詩音の足の間に体を割り込ませた。
再び硬度を持ち始めた己のモノを割れ目の部分にそっとあてがう。
上下に撫で上げると蜜口はキュッと収縮して葛西のモノをくわえこもうと怪しく蠢いた。
「…いきますよ」
「う…ん…あっ…いっあっああぁあああっ!!」
ズブスブと無遠慮に潜り込む葛西の欲望を少しだけ堅くなって拒んだのは最初の入り口だけ…一気に奥まで突き入れると、全身を震わせて快楽の叫びをあげる。
「ひっ…ひぅあぁっ!葛西…凄い…奥まで…こんなにぃ来てるますぅぅっ!!」
「詩音さん…!」
詩音の腰を引き寄せ、乱暴にひたすら突き上げる。
詩音の下半身はその度に宙に跳ね、快感に丸まった爪先は揺さ振られるままに力なく揺れた。

熱い…溶けそうだ…
詩音の肉壁に自身を絞り上げられながらも、葛西の頭はどこか冷静だった。

…詩音の「好き」と自分の「好き」は違う。
今まで葛西は詩音を独占したい・誰にも触れさせたくないという気持ちが強かった。
しかし、詩音は「悟史」を「好き」だという。
悟史に蹂躙されたであろう詩音の秘所を犯しながら思う。詩音が自分に求めている「好き」は誰でも与えられるものではないんだ。
なにがあっても詩音が帰ってくる場所…無条件に詩音に安らぎを与えるのが当たり前の存在……秘密を共有する共犯者。
……………普通の愛情など、「悟史」にくれてやる。
自分は影になろう。つねに詩音に寄り添い、嫌われても忘れさられても…決して切り離す事の出来ない影に。

「あぁぁっ…いくっ…またぁぁ!いっちゃいますぅぅあはぁ ぁ あ!!」
グチャグチャに溶けきった秘所からは蜜が溢れ、尻にまで伝い落ちる。
「いいんっ…あぁうぅっ!!あぁ…だめぇっ」
限界まで大きくなった葛西の性器に圧迫され、詩音の狭いソコは苦痛にも似た快楽を絶えず持ち主に与え続ける。
「ひゃあぁ…はああぁああぁ…っ!!」
「…詩音さん…っ」
葛西は逃げようとする詩音の尻たぶを掴みあげ、その狭間に熱い欲望をぶちまけたのだった。
奥深くまで…一滴残らず。

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最終更新:2007年06月22日 01:19