「魅……魅音?」
「うふふふふふふふふ。圭ちゃん…………」
眠っていたら人の気配がして……。目を開けると魅音が俺の上で……優しく、それでいて今まで見たことの無いような妖艶な笑みを浮かべていた。
「何だよ? 俺を……どうする気なんだよ?」
魅音は答えない。
けれどその代わり、飢えた獣がご馳走を目の前にしたときのように、その真っ赤な唇を舌なめずりする。
それを見て俺は確信する。そう…………今の俺は、魅音にとってはご馳走に過ぎない。
俺の背中に寒気がはしる
「うっ……くそっ! くそっ! 何でだよ。何で体が動かないんだよ?」
逃げようと身をよじるけど、上手く力が入らない。俺はただベッドの上で……魅音の下で藻掻くことしか出来ない。
「無駄だよ。圭ちゃんは私から逃げることは出来ないよ」
まるでその言葉が力を持っていたかのように、俺から逃げようとする気力が抜けていく。
無駄なんだ……駄目なんだ……俺はもう……何も出来ないんだ……。
まな板の鯉という言葉の意味を俺は頭の芯まで理解した。
俺にはただ、喘ぐことしかできない。
そんな俺の頬に、魅音の手が添えられて、彼女の顔が近付いてくる。
「魅……音…………うくっ」
俺の唇に魅音の唇が押し当てられる。
俺の唇と舌を舐め回し、乱暴に唇を擦り、そしてしゃぶる。互いに楽しむためじゃない……俺を汚すことを目的にしたキス。
俺の口の中から、ぐちゅぐちゅと粘っこい音と、生温い肉の感触が伝わってくる。
呆然として閉じることも出来ない俺の目から、涙がこぼれた。
「うふふふふっ☆ 圭ちゃんの口、おいしいよ」
にんまりと笑みを浮かべ、魅音は俺の口から舌を抜いた。
そして、口だけじゃない……俺の頬を……そして耳へと舌を這わせていく。
魅音の唾液で汚れる俺の顔。
体勢が低くなるにつれ……俺の胸に押し付けられていく魅音の乳房。
魅音が、俺の耳たぶに吸い付く。
「あっ……はあっ……」
びくりと、俺の体が痙攣する。
「ふふっ。圭ちゃん、ここが弱いの? なら……重点的に責めてあげるね」
そう言って、魅音はさっきよりも強く、激しく俺の耳を吸い……そして舌で掻き回す。
「あうっ! ううううぅぅっ!!」
未知の感覚に、俺の頭は混乱して……気持ちいいのかどうなのかもよく分からない。ただ意識が白くなっていって……。
俺の意思に反して、びくびくと体が痙攣する。
「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふっ」
この上なく楽しそうに嗤いながら、魅音は俺の耳から口を離し、体を起こした。
はぁはぁと、俺は荒い息を吐く。
「さてと……、それじゃ次は……」
え? 次? 次って何だよっ!?
俺は慌てて魅音に視線を向ける。
「や……やめろっ! やめてくれっ!!」
けれども魅音は俺の言うことを聞かず、俺のパジャマのボタンへと手を伸ばして……。
プツプツと魅音は俺のパジャマのボタンを外し、俺は為す術も無く胸を露わにする。
魅音は嗤いながら、俺の胸を愛撫する。
指先で落書きをするように俺の胸をなぞり、そして乳首をつまむ。
「ああっ……うぅ」
「ふふっ。可愛い声出すんだね圭ちゃん。……女の子みたいだよ?」
「ああああっ」
俺の乳首に神経が集まっていく。ピンと……妙に乳首が敏感になっている気がする、
「ねぇ……こういうのはどう?」
「あうっ……あっ」
魅音は俺の胸に舌を這わせてきた。俺の乳首を舌で弾き、そして甘噛みする。
舐められているのと反対側の胸が、荒く撫で回される。
それだけじゃない。魅音の胸が、今度は俺の……その……あそこの上に乗っかっていて……。柔らかく、温かい感触を伝えてくる。
「あははははは。何? 圭ちゃん。感じてるんだ?」
「か…………感じてなんか……ない」
「ふぅん? まさかそれ本気で誤魔化せるなんて思ってないよね?」
分かってる。自分で言っていて、これほどバレバレな嘘も無いもんだと思った。
何しろ俺のものは既に固く、大きく膨れあがり、魅音の胸を押し返していたのだから。
魅音は体を起こし、パジャマのズボンに手を掛け……俺のパンツと一緒にずり下ろしていった。
覆うものが無くなり、びんっ と俺の男性器がそそり立つ。
「ああうっ!」
露出した俺のものに魅音の息が吹きかけられ、俺は呻いた。
くすぐったいというか何というか……そんな感覚が俺の背中を駆け上り、俺は喘ぎ声を漏らした。
びくんびくんと俺のものが震える。
「くっくっくっ。……ホント、圭ちゃんの体は正直だねぇ」
にたにたといやらしく嗤いながら、魅音は服を脱ぎ始めた。
上着を……ジーンズを……そして、ああ……とうとうパンティまで……。
見たいと思ってる訳じゃないのに、悲しいぐらいに俺の本能は魅音のボリュームある裸体から目を離そうとしない。
「ひうっ!」
猫のように俺の脇で寝そべりながら、魅音は俺のものを掴んだ。
もみゅもみゅと袋を揉みしだきながら、手のひらで竿を包み込んで擦る。
「どう圭ちゃん? 気持ちいいでしょ? ほら、自分でも見なくちゃ……、こんなに固く大きくなってビクビク脈打って、だらだら先から汁が溢れてるよ?」
「あっ……ああっ。やめてくれ……やめてくれよ魅音。そんなところ触らないでくれ」
「あはははは。圭ちゃん。さっきからずうっとカチカチなんだよ? 私の手で擦るたびに根本にきゅっと力が込もって……」
「やめろよ。……言わないでくれよ。そんなこと……」
「凄い。またびくんってした……。ふうん。こんなこと言われて興奮するなんて、やっぱり圭ちゃんは変態だね☆」
「ち……違う。俺は……俺は…………ああううぅっ!」
突然、弄ぶような刺激を止め、魅音はぎゅっと俺のものを握った。
それでもなお魅音の手の中で、俺のものは脈打つのを止めようとしない。
「ふぅん。……どうやら、もう一息ってとこみたいだねぇ。なら、こうしてあげるよ」
「はあっ……ああああっ!」
俺の下半身に魅音が覆い被さってくる。
魅音の大きな胸で俺のものを挟み、そして先端を口に含んだ。竿から伝わる温かく柔らかい感触と、亀頭から伝わる粘っこい感触が、俺の意識をより虚ろにしていく。
「やめ……やぁ……だめぇ……やめ……みお……んっ!」
力の入らない手を魅音の頭に当て、押し返そうとするも……それも出来ない。それどころか、見ているとまるで俺が悦んで魅音に首を振らせているような気さえしてくる。
がくがくと腰が痙攣してくる。
むっちりとした魅音の胸は余すところ無く俺の竿を包み込み、そして舌は相変わらず容赦なく俺の亀頭をしゃぶり続ける。
「もうだめだ……もうだめ、だめ、だめぇ……あうっ……ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ごぷっ ごぷっ ごぷっ
俺は喘ぎながら、魅音の口の中へと射精した。
「はぁっ……あっ、あああああああっ」
ビクンビクンとのたうつ俺の男性器から、魅音は強い吸引力で精液を啜った。
「…………んっ☆」
そして、魅音は美味しそうに俺の精液を飲み込んだ。
恥辱感で俺は魅音から目を背けることしか出来なかった。目から再び涙がこぼれる。
「くっくっくっ。……それじゃ、二本目に行こうか」
「うっ…………うううっ」
俺の精液と魅音の唾液でベタベタになった俺のものの上に、魅音の秘部が当たる。射精したばかりでまだ萎えていない……敏感なその上で、魅音は腰を振った。
「あっ……ああああっ」
俺の口からまた呻き声が漏れる。
ぬちゃぬちゃとした音と一緒に、魅音の秘部が俺のものを擦りあげていく。柔らかい割れ目で俺のものをくわえ込むように挟み、そしてくにくにと押し付ける。
萎えるどころか、俺のものはまた固くなってきて……。
そっ と魅音は俺のものに指を絡めてきた。
そんな刺激でさえ、俺のそこはぴくんと反応した。
「どうやら圭ちゃんの方も準備オッケーみたいだね。それじゃ、そろそろいくよ?」
「うあっ……あっ……はあああっ」
ずぶずぶと俺のものが魅音の中へと飲み込まれていく。
そこは生温く、ぬるぬるとした粘液でまみれていて、それでいてザラザラとした壁がねっとりと俺のものに絡み付いてきて……心の底からおぞましく不愉快なほどに………………気持ちよかった。
「あははははははははっ! どう? 圭ちゃん。気持ちいいでしょ? 気持ちよくて堪んないって顔してるよ」
「うはあっ……あっ……ああっ」
その通りだった。
魅音のそこはきゅうきゅうと俺のものを締め上げ、しごき、強引に俺のものを絞り上げてくる。
「ほらほら、圭ちゃんの腰も動いてるよ? 私の奥を小突いてる。出したくて仕方ないんだよね? いいよ? 出していいよ? ほらっ!」
「ああっ、ああああああっ!!」
俺の意思とは無関係に、俺は腰を振っていた。その上、魅音もどんどん激しく俺の上で腰を振っていて……。
さっき大量に出したばかりだというのに、再び精液が俺のものを駆け上ってくる。
「はあっ あっ あっ あうはああっ!」
「イクの? イクの? いいよ? 出しなよっ! あはははははははははっ!!」
俺の上で、この上なく愉快そうに魅音が嗤う。
こんなのは嫌だというのに……でも、俺には抗う術が無くて……。
「うあああああああああああっ!」
「ああっ☆」
俺はまた……今度は魅音の中に射精した。
まだこんなにも残っていたのかと驚くほど、魅音の中へと俺の精が注がれていく。
そして、やがてその射精も止まり……俺は荒い息を吐いた。
でもその息をすることすら辛い。まるで体力や生命力を根こそぎ吸い取られたような疲労感に包まれる。
ぺろっ
「…………っ!?」
突然頬を舐められ、俺は身震いした。
「圭ちゃん。眠っちゃ駄目だよ? ふふっ……まだまだこれからなんだから……」
俺の顔から一気に血の気が引いていく。
魅音は俺の上にのしかかり、再び腰を動かして……まるで悪夢のように、またも俺のものが固くなっていく……。
結合部から、容赦なくぐちゃぐちゃとした音が聞こえてくる。
そこが俺の理性の限界だった。
「いやだーっ! 誰かっ! 誰か助けてくれーっ! レナっ! 母さんっ! 親父っ! うあああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
理性のたがが外れ、俺は泣き叫ぶ。
「うふふふふふふ。あははははははははははははっ!! あのとき一つ叶えてあげたでしょ? 今度はダメぇ~っ! あははははははははははははははははははっ!!」
恐慌状態になって藻掻く俺の腕を押さえ込み、魅音は俺の上で嗤いながら腰を振っていて……。
それが……俺の…………最後の……記憶……………………。


ピィ―――――――――――ッ
無情なまでに平坦に、部屋に電子音が鳴り響く。
「……ご臨終です」
沈痛な面持ちで、医者は前原圭一の死を宣告した。
「ああああああぁぁぁぁっ!!」
あまりにも突然すぎる息子の死に、藍子は夫の胸に顔を埋め、号泣した。伊知郎もまた涙を流しながら、妻を抱き締めている。
原因は心不全。間接的な理由は不明だが、雛見沢で起こった連続殺人事件で本人も気付かない内にトラウマを抱え、何らかの切っ掛けでそれが爆発したのかもしれない。
苦悶の表情で、圭一は冷たくなっていく。
彼の両親の泣き声が、延々と病室に響いていた。
そう、悲しい事件は終わりではなかった。まだまだ続いていた。そして、これからも続いていく……。
この悲劇に終わりが来るのか……来るとすればいつの話なのか……。
それは、ひぐらしだけが知っている。

―END―

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最終更新:2007年04月01日 11:27