「おうおうおうっ! やってくれんじゃないのっ! ブチ撒けられてぇかぁぁぁぁっ!!」
だんっ! と床に叩きつけられて、梨花は、こほ、と咳き込んだ。思いつく限りの罵声を口の中で吐きながらも、涙で滲んだ視界の向こうで狂った笑いを浮かべている、園崎魅音――いや、この場合は園崎詩音と言うべきか――を睨みつける。
右手の注射器の頼りない感触に身震いしながらも、梨花は詩音からじりじりと間合いをとった。
手詰まりだった。奇襲が通用しない今となっては、古手梨花と園崎詩音とではスピードもパワーも差がありすぎる。催涙スプレーは突き飛ばされた時にどこかに飛んでいってしまった。
(くそ、こうなったら……)
誰があんたなんかに殺されてやるもんか。
そう胸中で吐き捨てて、梨花は背中に隠した包丁を手に取り、自分の喉元に突きつける。
そうしている間に、すでに詩音は梨花の目の前まで来ていた。
そして詩音は哄笑しながらバチバチと放電するスタンガンを振りかぶり――。
「……あれ?」
そのまま床に転がっていた催涙スプレー缶を踏みつけて、ごっちーん、とひっくり返った。
「……………………」
包丁の切っ先を自らの喉に当てて硬直したまま、梨花は目の前で目を回している詩音を眺めていた。
やがてそろそろと包丁を下ろすと、包丁の背でつんつんと詩音の頬をつついてみる。
……反応なし。どうやら完全に気絶しているらしい。
とりあえず、梨花は注射器の針を詩音の腕に刺すと、ちゅう、と中の薬剤を注入する。これで、とりあえず詩音の発症の危険は去った。
ほっと肩を脱力しかけて、梨花は慌てて首を振った。自分は園崎家の地下に監禁されている魅音と沙都子を助けなければならないのだ。
園崎魅音として雛見沢をあちこち駆け巡っていたことから、祭具殿の鍵はおそらく常に身に着けているはずだ。そう考えて、梨花は詩音の身を確認しようとした。
だがまだだ、と首を振る。雛見沢症候群の危険はないとはいえ、さっきの状況から考えると目を覚ました詩音が襲い掛かってくる可能性は十分に高い。
梨花は周囲をきょろきょろと見回すと、物干し用のロープで目を止めた。そのままいそいそとロープを持ち出すと、詩音の両手と両足をしっかりと縛る。ロープを結び終えると、梨花はうつ伏せに倒れた詩音の腹に跨ると、ぺたぺたと詩音の上半身を調べ始める。
上着のポケットを裏返し、ジーンズの尻ポケットにごそごそと手を突っ込んでみるが、
(……ないわね)
芳しくない結果に、ふむと梨花は腕組みした。後ろにないとなると、
(やっぱり、前にあるのね)
頷いて、梨花は詩音の身体を仰向けにひっくり返し、再び馬乗りになる。
ふと、梨花はきょろきょろと辺りを見回した。周囲には誰もいない。
無論、そんなことなどわかりきっているが、そこはそれ、儀礼的なものに理由などないのだ。
そのまま、モデルガンのホルスター、ジーンズなども確認してみるが、やはりそれらしきものは見当たらない。
(……おかしいわね)
苛立ちに、梨花は眉根を寄せる。何処だ、何処にある?
まだ魅音と沙都子をいたぶる必要があった以上、飲み込んでいるなどということはないはずだ。ならば何処に――。
苛立ちは焦燥へと変わり、せわしなく視線が動き回った。
と。
そこで、梨花は二つの場所で視線を止めた。
即ち――詩音の、胸と、股間に。
たしか、尻の中に針金を隠して脱獄した脱獄犯というのを以前にTVでやっていた。ならば、詩音がそんな場所に隠しているということは十二分にあり得る。
なにせ穴は二つあるから可能性は単純計算で二倍だ。
梨花は詩音の奇抜な発想に驚愕し、そしてそれを見破った自分の閃きに感謝する。
(待っていて、沙都子、魅音。すぐにこの拷問狂の手から救い出してあげるから)
新たに決心しながら魅音の服に手をかける。上か下かどちらからやるか迷ったが、ライブ感を出すために上から剥いていくことにした。
ふと、梨花は自分の状況を確認してみる。両手両足を縛られて気絶した女に跨って、それにぺたぺた触れながらひん剥こうとしている幼女。
(どう見ても、身体に隠したものを探っているようにしか見えないわね)
力強く頷いて、梨花は、ぱん、と自分の頬を張って気合を入れた。
続いて、自分の目前で静かにいただきますと合掌すると――。
がばちょ、と詩音のTシャツをまくり上げた。
「おおっ」
始めに見えたのは黒い花。
鎖骨の辺りまでまくり上げると、黒いブラに半分包まれた詩音の豊かな乳房が顔を出した。
さて、と梨花は再び腕を組んで考えた。
やあスカリー。詩音ちゃんの胸に隠すとなると、どこら辺が一番怪しいと思うかな?
やっぱり胸に隠すとなると基本は胸の谷間だと思うわ、モルダー。
脳内会議で出した結論に、完璧ね、と梨花は会心の笑みを浮かべる。なくても下を探せばいいだけだし。
そうと決まれば、と詩音の胸にシフトするために跨りながら体を前にずらす梨花。
しかし、そこではて、と首を傾げる。
(……これ、どうやって外すのかしら)
ぼんやりと母がつけ外ししているのを見た記憶はあっても、具体的にどうやっていたのかまでは思い出せない。
がくり、と梨花は膝をついた。またもや自分は間に合わず、沙都子も魅音も救えず、そして再び六月は回り続けるというのか。
(ごめんなさい、沙都子。ごめんなさい、魅音。……そしてごめんなさい、お母さん)
こんなことなら穴の開くほどじっくりきっちりむっちり確認しとくんだったよ畜生くそう、と続けて、梨花は意気消沈した視線を下に落とし――。
その目が、驚愕に見開かれた。
そこにあったのは、さっきの包丁。
梨花は包丁を掲げながら、この素晴らしき偶然を神に感謝した。
しかし、あぅあぅと威張るナマモノを連想したらなんだか腹が立ってきたので、懐にしまっているおしおき用銀紙をがむがむと噛んでおく。
ぎゃああ、という悲鳴が何処かから聞こえてきたが気にしない。
閑話休題。
包丁を構えると、梨花は詩音の胸の間にその切っ先を当てた。傷をつけてしまうといろいろと商品価値とか落ちるので、ブラを切るのには慎重の上に慎重を期することにする。
キコキコと包丁を前後にスライドさせるのに呼応して、ぷちぷちと繊維が切れる小気味よい音に、ふふふ、と梨花は思わず含み笑いを漏らした。
いやあくまで音にだってば。
そんなこんなの内に最後の一本までナイロンがぷつりと切れ、梨花はわきわきとした手つきで双丘のてっぺんの黒帽子をつまみ取る。
「おおー!」
ぽよぽよと重たげに揺れる乳房に梨花は思わず歓声をあげた。
ブラを外すという、たったそれだけのことでこんなにも揺れるものなのか、おっぱいは。
感心しながらも、梨花は当初の目的のである胸の谷間を確認しようと、がっちりと乳房を両手で握った。
掌からは、弾力と柔らかさがブレンドされた心地よい感覚を返ってくる。指の間からは、乳肉が窮屈そうにはみ出ていた。
そのまま指で先端をつまむと、ぐい、と左右に開く。
「……え?」
梨花は呆然と声を上げる。ない。鍵どころか、はさんだ痕さえ残っていなかった。
(くっ、ならばやはり下の方だというの?)
まさかそんなところに隠すなんて。
戦々恐々としながらも、梨花はズボンの方に手をかけようとした。
だが、と思い留まる。そして一つの考えが浮かんだ。
(……この胸が、偽者である可能性)
いえ、まさか。とその考えを切り捨てたくなる。つーかそろそろ詩音ファンに刺されそうだし。
しかし、可能性のある以上はそれを一笑に付して却下するわけにはいかない。コマンド総当りはAVGの基本なのだ。
梨花は上半身の方に重心を移し、再び乳房をぎゅむ、と握る。やわらかい感触。対して自分の胸を見下ろしてみる。
すとーん。
まさに断崖絶壁。マロリーも「そこに崖があったから」とか言って登頂をあきらめそうなくらいの絶壁ぶりだ。さすがに大石のような三段オリーブ園ほどではないにしても。
なんだか、無性に腹が立ってきた。
もみゅもみゅもみゅ。
一心不乱に詩音の胸を揉み倒す梨花。親の敵でも見るかのように目尻を吊り上げて、こやつめっ、こやつめっ、と強く握っては緩める。
くそう、こやつのおっぱいは何が入っているというのだ。やはり夢か? 夢が詰まってるのか?
と、何かに気づいたように梨花はぴたりと手を止めた。
ぱ、と手を離すと、乳房の先端部がぴんと自己主張しているのが見える。それに梨花はニヤリと邪悪な笑みを漏らすと、ちゅうう、と乳首に吸い付いた。
「……くぅ、ふぁぁ……」
瞳を閉じたままの詩音が、梨花の愛撫に反応して悩ましげな吐息を漏らす。だが、梨花がちゅぽんと乳首を口内から引き抜くとまたすぐに鳴きやんでしまう。その反応が面白く、詩音の乳首がピンク色に上気するまで、くすくすと笑いながら梨花は詩音の胸をいじり回していた。
「よし、次ね! 下よ下、とにかく下!」
さすがに自ら隠語をべらべらと垂れる度胸はない。兎にも角にも、詩音が股の穴に以下略という無視できない可能性を検証するためだ。
梨花はずるずると詩音のジーンズをパンツごと膝まで下げると、うっすらと若葉色の茂みが生えている泉に指を這わせる。
「んぅっ!」
「ふふふ、やっぱり啼いたわね。となるとやはりここに隠していたわけね」
くっくっく、と悪の女幹部のような口調でつぶやくと、梨花はぴっちりと閉じている詩音の秘部を観察する。穴としては尿道、ヴァギナ、アナルの三つだが、さすがに尿道に鍵を隠すのは無理だろうということで外すことにした。
とまれ、穴の中に隠してあるなら直接手で確かめるべきだろう。何のかんのと回りくどく調べるより、そうした方が遥かに手っ取り早い。そういうことだ、じゃあ入れようか。
決断は早かった。
梨花は、右手の人差し指と中指をぴんと立たせると、ぺろり、と丹念に舐めあげて唾液で湿らせてから、
「……私は鬼を食う者だから(性的な意味で」
勢いよく、詩音の下の穴に二本の指を突っ込んだ。
「うぐぅぅ! んふ、はぅ……」
下半身への衝撃はやはり凄まじいものがあったのか、詩音は大きく声をあげる。
しかし、そんなことはお構いなしに梨花の指は詩音の秘所をぐにぐにと犯す。
指をグラインドさせるたびにぬちゃぬちゃと奏でられる卑猥な音が、詩音の声を余計に妖艶にしていた。
「んぅ、は、ふ、あっ、ああっ、あっ」
「むう、おかしいわね。ここかー? それともあそこなのかー?」
指を挿入し、さらに詩音の恥丘を揉みしだきながら、梨花はノリノリで詩音に言葉責めをする。聞いていないであろうことはわかってはいるが、これもまた気分の問題だ。
しかし、ここにもないとなると後はひとつしかない。
ぬちゃぬちゃと挿入した指を止めることはせず、梨花は詩音の足を前に倒す。すると、自然と詩音の股が全開で見えた。
ビバ消去法。
うふふふふふ、とアヤしい笑みを漏らしながら、もう一方の指をアナルに、そして口をぷっくりとした陰核に近づける。
「シンメトリカルドッキングー!」
下ネタ解禁。
じゅぷ、かりっ。
「くぅ――あぁぁッ……! いぃ、くぁ……!」
新たな方向から突如爆発した快感に、詩音は意識を真っ白にし、びくびくと身を仰け反らして絶頂に震えた。
つーか起きてんじゃねーのかこいつ、という指摘をする者は、幸か不幸か梨花を含めてこの場には存在しない。
そんな事は露知らず、梨花はしばらく詩音の膣にくちゅくちゅと指を出し入れして思う存分楽しんだ後、ふう、と身を起こした。
ごちそうさまでした、と詩音に向かって手を合わせると、ふむう、と腕を組む。
(しかし詩音が身に着けているわけじゃないとなると、どこなのかしら)
絞りこむにしても、精々園崎家の中ということくらいしかわからない。
これはちょっと探すのに時間がかかりそうね、と梨花はため息をつくと、とりあえず手近な居間から取り掛かろうと立ち上がった。
そしてずるべたーん!とすっ転ぶ。
受身すらとれずに顔面を強打し、痛そうに鼻を押さえながら、何なのよもう、と梨花は険のある目で足元を見やり……
そしてそのまま、さあっ、と顔色を蒼白にする――
自分の足が、ぴんと伸ばしたまま投げ出されている。そこまではいいのだが、足先に、なにか、白い、ものが。
それは、こちらの足をがっちりとホールドしていた。
また、それは詩音の肩先から伸びていた。
とどのつまりは。
梨花の足を、詩音が握っていた。
「お、おおおおお起きていたのですか、詩ぃ」
「ええ。きっちりくっきりきっかりはっきり起きてましたよ、梨花ちゃま」
冷や汗を滝のように流しながらも、詩音に口を開く梨花。とりあえず敵意はなさそうなのでほっと息をつく。
が、それもすぐに打ち破られた。
「ねえ梨花ちゃま」
「みぃ?」
「さっき、いろいろと私の身体を弄繰り回してくれたみたいですねぇ」
ぎくり、と身を震わせる。加えて情欲に濡れた詩音の瞳が、梨花の不安を現在進行形で膨らませていた。
「え、えーと」
「ですから」
一息。
「私もお返しに弄繰り回しちゃっても、構いませんよね……?」
思わず呼吸が停止しそうな台詞に、梨花は硬直した。しかし、同時にずるずると引っ張られていく己の足に身も凍るほどの戦慄が走る。
「み、みぃぃぃぃーー!」
叫びながら、慌てて手近な柱につかまる。梨花と詩音の膂力差を考えると捕まることすらできなくてもおかしくはなかったが、未だ足のロープが解けていないのと絶頂の直後で身体に満足に力が入らないのとで、梨花と詩音の間に拮抗が生まれつつあった。
ぐいぐいと足から胴、胴から腕へと伝わる力に身震いしながらも、柱に絡めた両腕に力を込める。詩音の根が尽きるまで自分の力が持つともあまり思えなかったが、それでも抵抗はしなければならない。
しかし、それも長くは続かなかった。
「みぃっ!」
業を煮やしたのか、梨花の足の裏をちろりと舐めあげる詩音。
思わず手を離してしまい、あっと気づいたときにはすでに柱はこちらの腕の射程外にあった。
「みぃぃぃーー!!」
かりかりと床に爪を立てるが、その程度で何とかなるはずもなく。
程なくして、梨花はうつぶせのまま詩音にすっぽり抱きかかえられる格好となった。
「んん~、やっぱり可愛いですね梨花ちゃまは。髪はつやつやですし肌はすべすべですし、ああ素晴らしき哉幼女補正!」
きゃー、と黄色い声を上げながら、すりすりとこちらの髪やら顔やらを撫で回す詩音を、梨花はどこか諦めたように眺めていた。
とは言え、抵抗らしい抵抗もできないし、詩音の手つきはそれなりに優しくて心地よいのでとりあえず何もしないでおく。やはりなでなでされなれている者は違うということか。
恐るべしにーにー。
(さすがね、悟史)
頬に一筋の汗を垂らしながらも、不敵に笑って、梨花。
(んっ、やっぱり、沙都子ゲットの道程での最大の障害は、くンっ、あなただけか……って)
「……って、どこ触ってるのですか、詩ぃ!」
いつの間にかワンピースの隙間から腕を突っ込んでぴこぴことこちらの乳房を弾いていた(揉むとは言えないのが悲しい)詩音に、慌てて叫ぶ。
「んー? だって言ったじゃないですか、梨花ちゃま」
くすり、と笑みを吐息に変えて零すと、詩音は覆いかぶさったまま、こちらの首筋をぺろりと舐めあげた。
「ひゃう!?」
「――弄り回してあげる、って」
言葉と同時に、乳首をきゅうっ、とつねられ、梨花は仰け反って嬌声を上げる。
「ふふっ……可愛い」
仰け反った拍子にこちらに近づいてきた梨花の頭に首を巡らせ、はむ、と梨花の耳を甘噛みした。
梨花は首を振って逃れようとするが、その動きもどこか弱々しい。
「はむ……ん……ちゅ。ほら、こんなに濡れてます。私が押し倒さなかったら、どうせ後で自分でヤッていたんでしょう?」
ちっちゃくても思春期ですもんねぇ、と淫蕩な笑みを漏らす詩音に、
「あっ……ふ……んんっ。ち、ちが――」
「ふーん。じゃ、確かめてみます?」
「……へ?」
何を、と聞き返す間もなく、詩音はするりと体位を変えると、梨花の下着をするすると剥ぎ取った。足首を縛られているというのに、驚異的な動作のなめらかさである。FPSに直すと85は優に出ていそうなぐらいの快適さだ。
「さてさて、ご開帳~☆」
そのまま、かぱちょと梨花の膝を掴んで股をM字に開く。梨花はと言えば、抵抗を諦めたのかぐったりと脱力していた。
ふんふんと当たる詩音の吐息をもどかしげに感じつつ、スカート越しに詩音の頭をぎろりと睨む。
ええい、もうどうにでもなれだっ。
詩音はといえば、うわー、と感嘆の言葉を漏らすと、
「ふむふむ、梨花ちゃま"も"生えてないんですねー。沙都子とおんなじ」
さわさわとこちらの恥丘を撫でる詩音に、恥ずかしさのあまり梨花はぷい、とうつむき――
「……って待ちなさい! あんた沙都子に何やったのよ!」
思わず猫かぶりも忘れて、がばと身を起こす。
「何したって言われましても……ナニに決まってるでしょ?」
「きぃぃぃぃっ、この泥棒猫っ! やっぱりでか乳にはロクなのがいないわねっ! もう怒ったわ、あんたみたいなサカッた雌猫なんかこの私にオとされてしまえー!」
「ふっふっふ、上等ですよ梨花ちゃま! 梨花ちゃまのブラックリストにお姉は入ってるのかとかいうツッコミは華麗にスルーしつつ、私は悟史くんと沙都子とお姉さえ手に入れば他は何も要らないんですがそれはそれとして梨花ちゃまも頂いておきましょう!」
ふーっ! と毛を逆立てて威嚇する梨花に、するり、とこれまたあっさりと足首のロープを外して笑みを浮かべる詩音。
ツッコミ禁止。
「百年かけて仕入れたエロ知識なめんなー! かかって来なさいグギャ女!」
「言ってくれるじゃないのっ! イき倒されてぇかぁぁぁぁっ! ぐげげげげげげげ!」
「ん……む。はぁ……ちゅ」
「く……んんっ。ぺろ……ちゅぷ」
ぴちゃぴちゃと淫猥な音を響かせて、二人の少女が絡み合う。お互いの髪が動く度に舞い踊り、まるでのたくる蛇の群れの様だ。
詩音の上半身に被さった梨花が、詩音の乳首を吸い上げる。むにむにと手の中で暴れる乳房をしっかりと握り締めて、すりすりと乳輪を擦りあげた。
梨花の胸の突起を、詩音がついばむ。そのまま唇と歯でコリコリと転がし、もう一方の乳頭をかりかりと爪で引っかいた。
(……んっ。さすがに、はんっ、ヤバいわね。手馴れてそうだとは思ったけど、まさか、んんっ。これほど、とは)
(……くっ。こ、子供だと思って、甘く、はんっ、見ちゃいました、ね。ていうか、くンッ、お姉より数段巧いじゃないですか、この子っ)
内心で焦りを覚えながらも、互いを責める手は止まらない。
頭に靄がかかったままさらに肉欲に溺れていき、理性が磨り減っていく。回れば回るほどに堕ちていく、正に快楽地獄だ。
やがてお互いの胸だけでは満足できなくなったのか、二人は体位を変えると、お互いの股間に顔を埋めた。
詩音が、梨花の秘所を舌で撫でる。秘裂をちろちろとねぶり回し、奥まで舌を突き入れる。
梨花が、詩音の淫核を口に含む。赤子のように、一心にちゅうちゅうと吸いたてる。
(ええと……なんだっけ。私、何をしにここへ来たんだっけ)
なんだろう。なにか大切なことを忘れてるような。
ぼーっと半ば放心したまま、梨花は詩音が自分のヴァギナを股間にあてがうのを、他人事のように見ていた。
――くちゅっ。
「「は、あああああああああっ!!」」
お互いの接合部から爆発した快感に、一瞬ならず意識が飛んだ。
はあはあと肩で息をつきながらも、にちゅにちゅとお互いの動きに合わせて形を変える秘裂に、確信を込めて直感する。
お互いに、それが自らにどれだけの影響を及ぼすか、今の絶頂だけで容易に想像がつく。これ以上は、踏み込んではならない。
だが、しかし。
「はっ、あっあっあっあっ、ああっ!!」
「んんっ、んっんふ、んううううううっ!!」
腰が、身体が、止まらない。お互いに次なる快楽を求めて腰をくねらせ、新たに爆発する甘い感覚に身悶えする。
蜜に惹かれる虫のようだ。皮膚の下でぞわぞわと蠢き、ぞくりと寒気を伴った戦慄と、とろけるほど熱い恍惚とをもたらしてくる。
と、その時、二人の淫核がこりっ、とお互いを弾きあった。
「「あ、ああああああああああああっ!!!」」
落下感にも、浮遊感にも似た絶頂の余韻を味わいながら、梨花の意識はゆっくりと黒く塗りつぶされていった。
……結局、梨花が当初の目的を思い出したのは、翌朝になってからだった。
最終更新:2007年04月21日 12:14