皮の感触が、俺の腕を嫌というほど痛めつけた。
いや、肉体的な痛みはそれほどない。
ひどいのは、精神的な痛みだった。
もどかしさがこれほどまでつらいものだったとは、
こんなことをされるまで知る由もなかった。

「みー、改めて聞きます。圭一は祭具殿に入りましたか?」
「……入って……ません……」
そう言うと、また梨花ちゃんは俺の限界まで張り詰めた神経の塊をなでまわした。
その手は汚れないようにと手袋がされており、
そして俺を必要以上に痛めないようにと……ぬるぬるとした液体が塗られてあった。
おそらくそれは気遣いじゃない。
これも梨花ちゃんの尋問に必要なものなのだ。

「うぅ……」
俺は、自然と腰を動かす。
動かそうとするが、腰も完全に固定されていて、
満足に動かすことが出来ない。
ただ皮のベルトをきしきし言わせるだけだった。
「だめですよ、圭一。正直に言ったらもっと気持ちよくなるのです」
梨花ちゃんは、果てる寸前のところでいつも止める。
もう十分も責められ続けているせいか、
感覚が鈍くなっているのだろうか?
いや、それは、梨花ちゃんが調整しているのだろう。
俺のものは、実際には時間が経つごとに敏感になっている。
「圭一、かわいそかわいそなのです……そろそろ一度出させてあげるのですよ。
ただし、今から圭一は猫さんになるのです。みーみーなのです」
朦朧とした意識は、その意味をしっかりととらえることが出来なかった。
梨花ちゃんは、その小さな体で巧みに俺を縛り付けている皮のベルトを操作する。
革のベルトは一度天井の梁にかかっており、
俺はその天井から吊り下げられている格好だった。
ただ、俺の足は地面についてる。浮いているのは手だけだ。
梨花ちゃんは手のほうのベルトを地面に近づけ、
腰のベルトを浮かした。
猫のポーズ、というやつだろうか。
俺は尻を突き出す形になった。
「圭一は今から、みー、としか言っちゃだめなのです。それ以外のことを言ったらやめます」

梨花ちゃんが、俺の背中から股間に手を回す。
まるで、梨花ちゃんに犯されているかのような格好だ。
そして、梨花ちゃんはいままで撫でるだけだったのを、
しっかりと掴んで……皮を上下させる。
「うっ……うぅ……」
「やめるのです」
「え? り、梨花ちゃん?」
「みー、ですよ」
「み……みー」
「そうです、みー、なのです。にぱー☆」
梨花ちゃんは、今までから考えられないような速度で、
俺の、今日まで一度も剥いたことがなかった皮を、何度も何度も上下させた。
俺はこの責めをされる前、問答無用で何度も何度も無理やり射精させられたのだ。
この長い苦しみを、より味あわせるように
「み、みー、みっ……みー、みぃ」
「そうです、圭一は飲み込みが早いのです」
梨花ちゃんに尻を叩かれ、尻の穴に指を突っ込まれる。
突如、電撃のような

(全てを読むにはワッフルをボクに献上するのですよ。あぅあぅww)

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突如、電撃のような衝撃を受け、俺の目は覚めた。
「はぁっ、はぁっ、はぁ、はっ……!」
激痛だった。
次いで、どろりとした嫌な感触が、尻から足へと伝い落ちていく。
「はぁ……はぁ……はぁ……やっと、起きたね、圭一」
「……痛っ」
俺は、痛みに身をよじらせようとしたが、拘束されていてそれもままならないようだ。
さっきの、「夢」の中のように。
「圭一、その格好猫みたいだね?」
「み、みぃ」
「あはは、なんだいそれ? 梨花ちゃんの真似?」
「み、みぃ! みぃぃぃいい!」
俺は、大きくかぶりをふった。
悟史の股間からは、俺の1.5倍はありそうな巨大なものが、
そそり立っていたのだ。
「? どうしたの? ……あはは、そんなに僕のが気になる?
変だよね、圭一としたら、こんなになっちゃったんだよ、収まらない」
「みぃぃいいいい!!!」

俺の口の中に……
中に……
卵白だけをそのままぶちこまれたような感覚が広がる。
……ほら、あのチューブのりっていうのがあるだろ?
あれみたいな……味がして……生臭い臭いが……
「うぇえ、うぇ、けほっ、うえぇ!」
「ひどいなぁ、圭一。ちゃんと飲んでくれよ」

「俺が、俺が何をしたっていうんだよ? なぁ!」
理不尽だ。
あまりにも理不尽すぎる。
なんで、俺がこんな目に?
「知りたい?」
「あ、ああ」
悟史は、笑顔のまま言った。
「圭一が元凶だよ。覚えてる? 
魅音に本屋で見つかったとき、圭一……いったよね、参考書を買いに来たって。
あの時、圭一が男らしく本当のことを言ってくれてたなら、
全ては狂いださなかったのかもしれない」
「うそ……だろ?」
悟史の笑顔は、笑顔であったが、寂しそうだった。
「圭一は理解できなくて当然だよ。だって、ノーヒントなんだもん。正答率0%だよ。あはは」
「う、うぁあああああ!」
「さぁ、圭一、そろそろ再開するよ?」
悟史は、俺の背後へと回る。
俺は首さえ動かせないように拘束されていた。
「ああ、それで悟史がおさまるのなら」
「本当?」
「う、うそ、嘘だって、やめて、お願い!」

俺は、人生で四度目の失神を経験した。


白い天井が見える。
白いカーテンも見える。
白い……柵だろうか。
ベッドだった。
病院のベッド。
俺は、その上に居た。
傍らには、魅音とレナが心配そうに椅子に座っていた。
「け、圭ちゃん! レナ……皆! 圭ちゃんが起きたよ!」

入江監督がすぐに走ってきた。
「目が覚めましたか!」
「し、心配しましてよー!」
「みー、圭一が死んじゃったかと思ったのです」
「圭一くん……良かったぁ……」
皆、それぞれの言葉を俺に投げかけてくれた。

「俺は……一体?」
「圭ちゃん、私にちょっかい出そうとしたのかしらないけど、
乗ってた自転車のバランスが崩れて……そのまま、ダンプの前に……」
「その時にレナさんが思いっきり圭一さんを突き飛ばしましたのよ!」
「みぃ、レナが居なかったら今頃圭一はひき肉になってみんなのハンバーグの材料になってたのですよ」
確かに体が痛む。

「ごめんね、圭一くん……どこか、痛くない?」
「ああ、ちょっと……なんだその、し、尻が」
そう言ったとたん、レナは口をつぐんだ。
「あ、ご、ごめん、ちょっと下品だったか、あはは」
「ごめんね、私が突き飛ばしたとき、圭一くんおしりから落ちていたから」
「はは、そうだよな、俺、ヘンな夢見てたんだ、すっげぇリアルでさ、夢じゃないみたいな」

「夢だよ」

レナが、さっきまで笑顔だったレナが、
俺の目をじっと見つめていった。
「あ……う……そ、そういえば悟史は?」
そう言うと、レナはうつむいて、言った。
「言わなかったかな……圭一くん……悟史くんは、転校したの」
「え?」
時間と一緒に、俺の背筋が凍りついた。
「そ、そそ、そうだよ。圭ちゃん、悟史なんて名前、どこで聞いたの?」
「へ……あ、あはは」
「にーにーは、まだ帰ってきてませんのよ」
「みー、かわいそかわいそなのです」

俺は、梨花ちゃんに頭をさすられながら、
あらゆる疑問の答えを穴埋めしていった。
この世に完全に納得できることなんて無いのだ。
自分に、そう言い聞かせながら。

未知なる悟史を夢に求めて ―完―

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最終更新:2007年03月16日 00:49