梨花ちゃんが囁いた答えは、あまりにも理不尽なものだった。
「圭一、猫語でおねだりするのですよ」
「猫……語?」
そう囁いている間にも、
梨花ちゃんは絶えず手を動かし続け、俺の陰茎は跳ね続けた。
一度跳ねるたびに体を右に左に動かし、身を強張らせる。
その動きは、俺の脳が下した命令ではなくて、脊髄がこうしなくてはならないと下した法律だった。
「圭一、早くしないと大変なことになるのですよ?
 圭一が一生射精できないようになるのです……くすくす、それはそれで面白いかもしれないけれど」
もはや、梨花ちゃんの口調の変化など、
俺には些細なことだった。あらゆる神経組織が正しく機能していない。
ただ俺は、男を完全に否定されたような嬌声を上げ、体をくねらせるだけだった。
「あっ、あっ、あっ……あぅ……はんっ」
「圭一、泣いてる場合じゃないのですよ。早く猫語でおねだりしないと、大変なことになるのですよ」
「……無理、です……教えてください、教えてください……」
「圭一、僕は猫語しかわからないのですよ、みー☆」
「みぃ、っく……みー、ひっく、みーぃぃ、みっ、みぃぃぃぃぃ……」
梨花ちゃんが、にぱー☆と笑った瞬間だった。俺の尿道にあった違和感が、突如なくなる。
「いっぱい出すのですよ、圭一……」
梨花ちゃんは両手で力いっぱい、
俺のペニスからミルクを絞りだすように、すばやくしごいた。
まるで尿道に芯が入ったように、何かが詰まる。
精液だ。
「みぃっっっっ! みぃっっっ!」
自分でも滑稽だと思った。
失神しそうなぐらいの快感が、俺の全身を駆け巡る。
一度出るたびに、情けない猫語が口から出てしまう。 「みっ、みっ、みぃっ……み……み……みぃ……みぃーーーーーーーーー!」
また射精が始まる。確実に俺はおかしくなっていた。
「け、圭一出しすぎなのです……ボクの手どころか、足にまでかかってるのですよ……」
ちょっと羽入やりすぎ、とつぶやいた気がしたが、
涙混じりに射精の快楽に酔っている俺には、思考する権利が与えられていない。
「みぃいぃ……みっ!」
もはや、射精何回分だとかいうのでは表せない、
全く次元の違う快楽。小便のような大量の精を放ちながらも、
尚俺のペニスは跳ね続ける。もはや出るものが無いのに、
何かの拍子で梨花ちゃんの手が触れるたび、
俺の腹に張り付くぐらいに勃起したモノが、ありもしないものを吐き出そうとする。
「ひっく……ごめんなさい、祭具殿に入りました、
ごめんなさい……ひっく、祭具殿に入ったことを認めますから、許してください……」
「かわいそかわいそなのです……
ぼ、ボクもここまでやるつもりはなかったのですよ……
いま楽にしてあげます」
俺を拘束していた皮のバンドが、一つ一つ解かれていく。
腰はもはや機能しない。足が鉛のようだった。
あたまがガンガンする。なのに、床にペニスが触れるたび、
また反り返ってしまう。俺の体は壊れてしまったのだろうか。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
謝っても謝っても終わらない快楽は、苦しみ以外の何物でもなかった。
俺はそのまま動けずに、意識が混濁していった。

「みぃ、圭一、そろそろ起きるのですよ」
気がつくと、朝だった。
神社の中の集会所で、俺は昨日、梨花ちゃんに拷問を受けていた……
拷問といっても、むちゃくちゃ気持ちよかったんだけど。

「……圭一、まだ戻らないですか?」
「ん……ん?」
俺の朝立ちした元気なものは、朝立ちっていうレベルじゃねえぞ! 
というぐらいに立っていた。まだ腹についている。
しかも、動くとまた昨日と同じ状態になってしまい、へにゃへにゃと力が抜けてしまう。
「一回出したら大丈夫なのでしょうか?」
梨花ちゃんはそう言って、何のためらいもなく、
寝たままの俺のズボンを下ろした。
外気に触れた俺の股間は急速に冷え込んだが、
まったく萎える気配はなかった。
むしろ、ズボンを下ろされるときの動きで、
先っぽから少し滲み出していた。
「り、梨花ちゃ」
梨花ちゃんの手がそっと触れる。
それだけで、何もいえなくなった。
また栓が壊れたように、ぬめりのある液体が出てきた。
「みぃ、また皮かむってるのですよ……圭一って仮性なのですか?」
「そ、そんな言葉どこで覚えたの? 
梨花ちゃん……ちょっ……アッ、む、剥かないで、梨花ちゃ、梨花ちゃんッ!」
「みぅ!」
梨花ちゃんが、俺の皮を一気に引きずりおろした。
それだけの動作だというのに、俺は達してしまった。
今度こそ、おさまっていく。
「圭一は早すぎなのです。嫌われるのですよ? 
ボクは大丈夫ですけど。
いくら早くても、何度でも何度でも無理やり勃たせますです。にぱー☆」
実際、そうされた俺は何も言えなかった。
「で、梨花ちゃん……俺、祭具殿に……」
「そんな村の古いしきたり、関係ないのですよ。
でも、少々勘違いの犬さんが居るので、懲らしめるのを手伝ってほしいのですよ。」
勘違いの犬さん……言葉のニュアンスからして、大石だろうか?
「もうはっきり言いますです。詩ぃがボクを脅してきたのです。
詩ぃを懲らしめにいきましょうです」
「詩ぃって……詩音のことか?」
俺の心に、暗澹たる思いが宿る。
詩音って……味方だったよな?
「圭一、動けますですか?」
ぼきぼきと、体からすごい音がした。
きっと、昨日ずっと拘束されていたからだ。
体が重いのは、たぶん射精のしすぎだ。
「いや……歩くぐらいは出来るけど……
たぶん、走っても五十メートルぐらいが限界だと思う……」
「そうですか、じゃあこれを飲むのですよ。
オヤシロパワーが含まれてるお汁なのです。
飲むと常人の五倍ぐらいの活力がみなぎります」
すっ、と何事もなく出されたかわいいマグカップには、
なにか黄色い液体がなみなみとそそがれていた。
別に異臭を放っているわけでもなく、すこし舐めてみたところ、栄養剤のような味がする。
何が入ってるかはわからないが、味付けは普通のようだ。
「一気にぐいぃっと飲むのです」
「ん……んぐ」
……特に異常は感じられなかった。
オヤシロパワーってなんなんだ。
ツッコミそびれた。
「一時間ぐらい眠るのですよ。おやすみー、なのです。
目をつむらなくても、横になってればいいですよ」
「うん……ありがとう、梨花ちゃん」
「いえいえ☆ でも、圭一……その薬飲むとですね、圭一もっと敏感になっちゃうのですよ。
三日後に。
その日は学校を休むことをお勧めするです。
いいですか、絶対休むのですよ? 
たぶん、布がこすれただけでイっちゃうのです」
「……梨花ちゃん、君ってやつぁ……」
なんかそれって、永遠にループしそうな気もするが……
とにかく俺は、横になった。
疲れが抜けていなかったのか、五分ほどで眠りについた。

「……ん……り、梨花ちゃん?」
壁にかけられた時計を見ると、一時間とちょっと経っていた。
梨花ちゃんが……布団のなかでもぞもぞしていた。
「圭一、起きたですか」
「何、してるの?」
「何も感じないですか? 圭一?」
良く見ると、俺の半分勃起したペニスを、梨花ちゃんは股の間に挟んでいた。
「うあっ! な、何してんの!?」
「薬の効果を試してるです。さっきの圭一なら……もうイッちゃってるところですよ。
大丈夫なのです。これで詩音を懲らしめられるのですよ」
つまり、俺は詩音を?
「ちょっと待て、梨花ちゃん。それは犯罪じゃないか?」
「合意の上でヤっちゃえば、犯罪じゃないのですよ?」
平然とした顔で、恐ろしいことを梨花ちゃんは言った。
満○金融並の銀ちゃん並だ。
「む、むぅ……」
いくらなんでもそれは……と、考えこんでいると、梨花ちゃんがぽん、と手を打った。
「それでいきましょう。
圭一、悟史の真似をするのですよ。
きっと今の詩音なら、海原雄山がむぅって言っても悟史に見えるのですよ!」
「いや、悟史って……関係ないだろ」
「そうでした。圭一は知らなかったんですね。
詩音は悟史にきゅんきゅん☆なのですよ」
だからと言って、俺は一体何をすればいいんだろう。
「圭一、やるか死ぬかですよ。
このままだと圭一死んじゃうのです。
もしかしたらその前に、実の母親に朝起こされただけでイってしまうのです」
「……解毒剤とかあるの?」
「もちろん用意してますですよ」
「……満○はん、あんたほんまに鬼ですわ……」

詩音は、俺が呼びだしたらすぐに来てくれた。
輿宮の図書館から、雛見沢寄りの林へと場所を移す……
丁度、小屋があった。農具がか何かを入れているのだろうか? 
とにかく、周りの目を気にしないところへと、詩音を誘い込む。
「で、圭ちゃん……何かわかったのですか?早くしないと……殺される……」
小屋の中は、数日なら滞在できそうなくらいに整理されていた。
床はござがしいてあったし、掃除もされている様子だった。
ご丁寧に、ランタンやろうそくなどの照明器具まである。
なぜか俺がここに入ったとたんに、
尻にむずかゆいものを感じて頭が少し痛くなったが、気にしないことにした。
「詩音……そうだな、お前、はじめてか?」
「はぃ?」
うん、意味不明だろう。
「はじめてって、何がはじっ、きゃあっ!」
俺は、詩音の肩を思いっきり掴んで、そのまま押し倒した。

数日後
「圭ちゃんきゅんきゅん☆」
俺の隣には、詩音が居た。べったりとねっとりと組み付いて、離れない。
魅音がやってきて、詩音を力任せにひきはがそうとしても、離れない。
「おねぇ……アンタ、貰ってないんでしょ? ねぇ? 圭ちゃん、お姉にもあげてくださいよ。アレ」
がくがくとゆすられる。
「なんなの!? アレって……とにかく詩音、あんた圭ちゃんから離れてよ!」
「……んー、じゃ、詩音、手伝ってくれ」
「はぃ……行きましょ、お姉」
「行くって……どこに?」
「テ・ン・ゴ・ク」
「ちょ、し、詩音、あんた、どこに」
ばちっ、と音がして、魅音が崩れ落ちた。地面に倒れこんでしまう前に、なんとか抱きかかえる。
「さっ、圭ちゃん。さっさと済ませちゃってください」
「あ、ああ……」
俺は、また例の小屋に連れて行った。

数日後
「圭ちゃーん」
魅音と詩音が、口をそろえて、家の前で俺を呼んだ。
「あ・そ・ぼー」
その声に、近くを通りかかったレナが反応する。
「最近仲いいね、魅ぃちゃんと詩ぃちゃん」
「うん……あ、そだ、レナ」
「レナさ、まだはじめて?」
「え? なにかな? なにかな?」
「いやぁね、新しい部活のゲーム、ちょっと考えてさ。
圭ちゃんと詩音と私、それにレナの四人でやってみない?」
俺は、またかと頭をかいた。
もう、なんでもきやがれ。
「うん、いいよ。どこでやるの?」
俺たちは、例の小屋に行った。

数日後
「最近レナさんが構ってくれませんのー!」
「はぅ……圭一くんの……オットセイ……はぅ……」
まさに、上の空といった感じのレナに、沙都子はさまざまないたずらをしたが、レナの反応は薄かった。
「みぃ、圭一、ちょっとやりすぎなのですよ
……いくら合意のもととはいっても、倫理的に問題があるのです……」
「はぅ、梨花ちゃん……沙都子ちゃん……かぁいいね
……そうだ、圭一くん、二人をもっとかぁいくしてあげない?」
おいおい……
「ちょ、レナさん? 何しますの!」
「みー!」
レナはかぁいいモードで二人を脇に抱きかかえて、ついでに俺のベルトを引っ張って……
例の小屋へと連行された。

数日後
神社で集まって、なにやら俺を犯す計画をしていた皆から、俺は逃げ出そうとしていた。
「あらあら……皆仲がいいのね? 
そろそろ綿流しのお祭りがはじまるけど……
園崎さんのところは、大忙しなんじゃないのかしら?梨花ちゃんも」
が、目の前に三四さんが現れたことで、それは阻止されてしまった。
「あ、三四さんこんにちわ」
一番はじめに気付いた魅音が挨拶をする。つづいてみんなも挨拶をする。
基本的に子供に優しい三四さんは、皆から慕われていた。
怖い話もするけど、それは俺たちの反応を見て楽しむためにやってるんだと思う……
本当に子供好きなのだろうか。
「三四さん、さいきんごぶたさですか?」
「? 何のことかしら?」
「いえいえ、ちょっと私たちと遊んでいきません?」
「みぃ……遊んでくれたら……祭具殿の中を見せてあげますですよ……」
今から起こるであろうことに、梨花ちゃんは恍惚の表情を浮かべる。
「とっても楽しい遊びでしてよ」
「みぃんなで出来るんです。お姉が考えた遊びなんですよ」
「さ、祭具殿! 本当なのそれは! するする、はやくしましょ!」
というわけで、集会場に、俺は連行された。


七月
今日も雛見沢は変わらない。
相変わらず異常気象のせいで暑いし、
先生は昼飯にカレーを持ってくるしで、まぁ、なんというか、平和だ。
梨花ちゃんがつぶやいた。

「あ、越えてる」

百万回やった(何を?)猫 ―完―

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最終更新:2007年03月15日 21:05