rァ 羽入かもしれない

障子に、頭に角の生えた特徴的なシルエットが浮かび上がる。
「羽入?」
俺が呟くと同時に、戸が開かれる。
そこに立っていたのは、やはり羽入だった。
俺は上半身を起こした。
「羽入? …………どうしたんだよ? こんな時間に」
しかし、羽入は答えない。
戸を閉め、無言のまま俺の目の前へと進み、座った。
いや……ちょっと待て、どうして羽入はパジャマとかじゃなくて……巫女装束を着ているんだ?
羽入の両手が俺の肩に置かれる。
え……嘘だろ……おい? ちょっと…………待ってくれよ……。
羽入は両目を瞑って……俺の顔に自分の顔を近づけてくる。
「……んっ」
俺の唇に羽入の唇の柔らかい感触が広がった。
そのキスはとても優しくて……温かかった。
やがて…………ゆっくりと、羽入の唇は俺の唇から離れていった。
「圭一、眠れないのですか?」
「あ、ああ……。なんだかこう……気が高ぶってさ。それと……あと、もしも誰かが欠けてしまったらって……嫌な想像しちゃって……」
白状する俺の目を、羽入は真っ直ぐに見つめていた。
それはまるで、俺の気持ちの奥底まで見透かされているようで……けれどどこか安心する瞳だった。
「分かってる。……俺だってみんなを信じてる。絶対、そんなことになるわけがないっていうのは分かってるんだ。けれど……」
「圭一。それを圭一が罪に感じることはないのですよ……」
「羽入……?」
静かに、そして優しく羽入は俺を抱き締めてきた。
それは初めてなのに……どこか懐かしくて、温かくて、柔らかい匂いがした気がした。
「それはすべて、圭一がみんなを大事に思っているからなのです。決して、仲間を信じていないからなのではないのですよ」
「でも……でも俺、このままじゃ……」
少しでもこの気持ちを打ち消そうと、俺は羽入にしがみつく。
「運命と戦うということは、そういうことなのです。誰にも分からない未知に挑み、その結果を受け入れていくということなのです」
「分かってる。……分かってるんだ。けれど……けれど……俺はっ!」
ダメなんだ。俺の命はみんなに預けられる。どうなったっていい。けれど俺には……。
「圭一。大丈夫なのですよ。僕は知っていますのです。僕は圭一が何度となく運命を打ち破るのを見てきているのです。だから……圭一は自信を持っていいのですよ」
羽入のその言葉が俺の胸に……何よりも痛い。嬉しいのに……凄く嬉しいのに、俺は素直に受け止めることが出来ない。それが何よりも辛い。
だから俺にはただ、羽入を力一杯抱き締めることしか出来ない。
「そして、圭一が僕達の運命を背負う資格が無いなんてこと、考える必要も無いのです。……罪は、誰もが背負っているのですから…………」
「………………………………え…………?」
理由も何も分からない……。けれど、その言葉は不思議なくらい俺の心の奥底にまで届いた気がした。
「僕達はたとえ結果がどうなろうと、圭一に自分を懸けることを厭わないのです。だから、圭一は信じた選択を僕達に課していいのですよ」
救われる気がする。羽入のその言葉は、信じることさえ出来れば俺の罪を流してくれる気がする。けれど……俺はそれでもその言葉を受け入れることが出来ない。
何でだよ。……何を俺はいつまでも恐がってるんだよ……。何で羽入の言葉を信じるのが恐いんだよ。
自分が情けなくて……涙が出そうになる。
「いいのですよ。……言葉だけでは、想いのすべてを伝えることは出来ないのですから」
それでも羽入は、そんな俺に……あくまでも優しく語りかける。
「………………………え? …………ちょっ…………!!」
不意に、羽入が俺に体重を預けてきて……俺はそれに耐えきれなくて……。バランスを崩し、羽入に押し倒された。
俺の耳元で羽入が囁く。
「圭一。……それでも僕はこの想いを伝えたいのです。言葉だけでは伝えられないこの想いを圭一に分かって欲しいのです」
「…………羽入?」
羽入は俺の下腹部に腰を下ろした格好で、上半身を起こした。
「……えっ? ちょっ……! 羽入っ!」
俺は慌てて目を背けた。
何故なら突然……羽入が巫女装束を脱ぎ始めたからだ。
でも目を背けても、衣擦れのしゅるりとした音を聞くだけで、羽入が服を脱いでいく様子が見えているような錯覚を覚えてしまう。
ダメだ……そう考えると、それだけで……。
俺の意思とは裏腹に、俺の下半身に血が昇っていく。しかもそれが、羽入の柔らかいお尻に当たっていて……。
俺は恥ずかしさに目を瞑りながら……でも……それでも浅ましいことに、あんなところで羽入のお尻の感触を悦んでいる自分がいるのを自覚していて……。
「圭一。僕を見て欲しいのです」
俺は首を横に振った。
「でも……羽入は今…………その、裸じゃねぇか……」
「僕の裸を見るのは……嫌なのですか?」
悲しげな羽入の声に、俺は再び首を振る。
「そんなわけない。……そんなんじゃないんだ。白状すると、見たくて見たくて仕方ないんだ。でも、本当に……その……」
段々と、俺の口調が尻すぼみになっていく。
「いいのですよ圭一。……僕は、圭一のそういったものを受け止めたくてこうしているのです」
そうだよ……、羽入は俺に見て欲しいって言ったんじゃないか……。なら、ここでいつまでも目を閉じている方が、羽入の想いを蔑ろにしていることになってしまう。
「ああ……分かった。ごめん。馬鹿なこと考えてて……」
俺は覚悟を決めて、羽入を見上げた。
そして…………その光景に息を呑んだ。
艶やかな長い髪と、透き通るように白い肌。前を大きく開いた巫女装束から覗く、ふっくらと整った乳房。緩やかな曲線を描くその肢体は神々しいまでに均整が保たれていて……。
まるでこれが幻想のような……そんな錯覚を覚える。
「綺麗だな」
俺の口から、自然とそんな言葉が漏れた。
羞恥心とかそんなものが一切吹き飛んでいるために言えた……素直な感想。
「あぅ☆」
羽入は嬉しそうに微笑んでくれた。その眩しい笑顔に釣られて、俺も笑った。
「羽入。胸……触ってもいいか?」
「あぅあぅ。いいのですよ。圭一の好きなようにして欲しいのです」
何故だろう……羽入の笑顔を見ていると、不思議と安堵感に包まれる。俺のすべてを受け止めてもらえるという確信が湧き上がる。そして、俺も羽入のすべてを受け止めたいと思う。
俺は羽入の胸へと両手を伸ばした。下から持ち上げるように、乳房を覆っていく。
誰かの頭を撫でているときのように愛撫すると、乳房は滑らかに俺の手の中で踊った。優しく揉みしだくと、柔らかく俺の手のひらを受け入れた。
温かかった。とても気持ちよかった。
桜の蕾のような乳首が、慎ましやかに息づいてくる。指先で突くと、仄かな柔らかさを持ちながらも、強く押し返してきた。
俺の意識が痺れてくる。
俺は上半身を起こして、羽入の胸へと顔を近づけた。
もっとよく見たい。もっと近くで見たい。もっと……もっと……。
「あぅ……。圭一。息がくすぐったいのです」
ふるふると俺の口の前で震える羽入の胸。
駄目だ。……触るだけなんて、我慢出来ないっ!
俺は羽入の乳首に舌を伸ばした。
「あぅっ」
俺の頭上で、羽入の甘い吐息が漏れる。
舌先で羽入の乳首を転がすと、指で触ったときと同様の反応を……でもそれ以上に俺の意識へとその存在感を訴えてくる。
はぁはぁと荒い息を吐きながら、俺は羽入の乳房に吸い付いた。
ちうちうと、小さな子供に戻ったように羽入の乳首を吸いながら、もう片方の乳房にも手を当てて撫で回す。
そんな俺の頭を羽入は優しく撫でていた。
やがて俺は、自分の唾液で汚した羽入の乳房から口を離した。
羽入の顔を見上げると、彼女は甘くとろけた笑顔を浮かべていた。
俺の頬に羽入の手が添えられ、俺の唇に羽入の小さな唇が近付いてくる。
ちゅっ
俺の唇に羽入の唇が押し当てられ、羽入の舌が俺の口の中へと侵入してくる。
それは温かくて、小さくて蠢いていて……ともすればナメクジのようなのに、何だか無性に可愛いように思えた。
だから俺も自然と、羽入の口の中へと舌を入れ、そして絡めた。
互いに舌を舐め回して、同時に自動的に唾液を交換している。そんな行為が、とても嬉しかった。
思う存分、長いキスを交わして、羽入は俺から唇を離した。
「圭一のパジャマも、脱がせていいですか?」
「ああ。もちろんだ。……頼むよ」
俺がそう言うと、羽入はまた優しい笑顔を浮かべてくれた。
羽入の細い指先が俺のパジャマのボタンへと伸びていく。
プツリ プツリ とボタンが外されていく。そのときに当たる羽入の指先を俺の胸や腹は敏感に感じとって……そんな感触すら、気持ちよかった。
俺の上半身を撫でながら、羽入は俺の上着を開いていった。
羽入は腰を浮かし、少し後ろに下がって、羽入は俺のパジャマのズボンとパンツを下ろしていった。
俺の固く膨らんだものが露出する。
ひんやりとした夜気の中で、それは冷めない熱さを放っていた。
膝まで俺のパジャマとパンツを下ろしたところで、羽入は愛おしげに俺のものを見つめ、そして優しく握ってきた。
ぬらりとした感触が袋から伝わる。少しだけざらついて、それでいて滑らかな舌の感触。
羽入は指を小刻みに動かして竿を刺激しながら、ちろちろと袋を舐め回してきた。
単純に気持ちいいというのもあるけど、なによりその姿が愛くるしいものに思える。
「羽入っ! あのさ……、俺もその……」
「はい。…………何ですか?」
俺のものから口を離し、羽入が優しい眼差しを向けてくる。俺はその眼差しを真っ直ぐに見返した。
「俺も、羽入の……触ったりしていいか?」
「あぅあぅ☆ もちろんなのですよ☆」
羽入はにっこりと笑顔を浮かべて、そう言ってくれた。
四つん這いになったまま、羽入は俺の顔にお尻を向けてきた。
俺は羽入の衣服をまくり、湿った下着をずらして秘部を露出させた。そこは既にうっすらと愛液が滲んでいて、羽入の匂いがしていた。
右手を羽入の秘部に当てる。
そこはふにふにとして、そして熱かった。
今度は、くにくにと揉みしだいていく……。
「あぅあぅあぅあぅ」
羽入が喘ぎ声を漏らす。
心なしか、秘部の潤いが増してきた気がする。
あむっ
羽入が俺のものを口に含んだ。
温かい唾液を絡め、亀頭を吸ってくる。柔らかな唇と、時折当たる歯が、この行為が紛れもない現実であることを証明していて……今さらながらに、羽入がこんなことまでしてくれるのかと考えると、胸が熱くなる。
俺も、手や指で触るだけじゃ物足りない。
俺は羽入のお尻を手で掴み、秘部に舌を挿入した。
「あぅあぅ……うぐぅ」
粘り気のある露と唾液が混ざったものを舌で絡め取る。丹念に入口の周辺を舐め回し、その柔らかい感触を味わう。そして、再び溢れてきた露をまた舐め取る。
舌で舐めるだけじゃない。何度も何度も、唇を羽入の秘部に押し当てた。今の俺には、羽入のすべてが愛おしかった。
俺の唾液と、羽入の愛液でベタベタに濡れる俺の口。
懸命に俺のものに奉仕する羽入。その口の中で、俺のものがびくびくと震え始めていた。
ちゅぽっ
余韻を残すように、羽入は俺のものから口を離した。
「圭一。あぅ……その……そろそろ……」
「そうだな。……俺も、もう……」
互いに、思うところは同じだった。
羽入は俺の腰の上に立ち上がり、そしてこちらに体を向けた。
下着を脱ぎ、巫女装束をまくり上げたまま、腰を下ろしてくる。
俺は手を自分のものに添えて、羽入を受け止めた。
くちゅっ ちゅぷっ
粘っこい音を立てて、俺のものは羽入の中へと飲み込まれていく。
「あっ…………ああああっ」
俺の口から、思わず呻き声が漏れる。
羽入の秘部は優しく俺のものを抱きとめ、そして包み込んだ。
気持ちいいとかどうとかというより、まるで俺の下半身が無くなって……羽入の中に溶けているような感覚。不思議な一体感。
「あぅあぅ……圭一。気持ちいいですか?」
俺は頷いた。もう……頷くことしかできなかった。
「それは…………よかったのです。あぅっ」
俺は羽入と互いの手のひらを合わせた。固く握り合い、強くお互いの存在を伝える絆。
羽入は目を瞑って、俺の上で腰を振っている。
くちゅっ くちゅっ くちゅっ くちゅっ
結合部から俺のものが抜き差しされる度に漏れる、淫猥な音。
俺もまた、羽入の動きに合わせて腰を振っている。羽入の奥の奥まで味わおうと、貪欲に自分のものを打ち付ける。かさの部分を少しでもひだと絡めようと、掻き回す。
「あぅ……あぅあぅ……」
俺の荒い息に混じって、羽入の甘い喘ぎ声が部屋に響く。
ずっと沸騰しっぱなしの俺の意識は、とっくの昔に限界を超えていた。
俺のものが、とうとう欲望を抑えきれなくなって……ぎゅうって力が込もっていって……。
「羽入っ! 俺……俺……もうっ!!」
「いいのですよ圭一。僕の中に…………いっぱい……いっぱい出して下さいなのですっ!!」
それから、二、三度腰を振るのが、本当の本当にもう限界で……。
「うっ……あっ……あああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「あぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅううううううぅぅぅぅぅぅっ!!!!」
俺は叫びながらすべての欲望を羽入の中に吐き出し……羽入はくぐもった呻き声を上げ、震えながら受け止めていた。
そして……長い射精が終わっても、俺達は繋いだ手を放さず、そして繋がっていた。
「圭一。……僕は圭一のこと、愛してますよ」
「ああ……俺もだ。羽入」
それは、嘘偽りの無い言葉。絶対の絶対に信じられる言葉。
「圭一は、今でも僕の愛を受け止めてはいけないと思っていますか?」
俺は首を横に振った。
「では、今でも自分はみんなの運命や命を背負う価値が無いと思っていますか?」
俺はその問いかけにも、首を横に振った。
そして、俺が恐がっていたものの正体とその理由を……なんとなく理解していた。
「みんなも、僕と同じように圭一を愛しているのですよ」
「えっ?」
今度はイタズラっぽく、羽入は笑った。
「いつか圭一がそれに気付いたそのとき、圭一が誰を選ぶのか……それを僕は楽しみにしています」
ふと、俺は妙なことに気付いた。
ひょっとして羽入の体が……透けていってる…………?
「おい……羽入? 羽入っ!」
俺は慌てて叫んだ。
繋いだ手からも、その温もりが薄くなっていく……。
見間違いなんかじゃない。本当に透けていっている。
その姿はどんどん薄くなって……部屋の壁が見えていて……。
「おやすみなさい……圭一。それと、ありがとうなのですよ」
最後に、透明になる本当の本当に寸前に……羽入は俺の額にキスをした気がした。

「待ってくれっ!」
がばっ
俺は叫びながら布団を引き剥がし、上半身を起こして手を伸ばした。
しかし…………、俺の手は空を切った。
誰もいない……薄暗がりの寝室。
慌てて時計を見る。…………もうすぐ、四時になろうとしていた。
今までのは…………夢? いや? そもそも夢を見ていたのか? 夢を見ていたとしても……俺……何も覚えてないぞ?
何か……とても大事なことを聞いたようで、でもそれが何だったのか、どれだけ頭の中を探っても全然思い出せなくて……。それが何だか、寂しかった。
「いや…………そうじゃない」
俺は確認するように呟いた。
そう、きっと何かがあったはずだ。……たとえ記憶に残らなくても、その大切な何かは俺の魂に刻まれている。そんな気がする。
今まで意識していなかったけれど確かにあった……俺の中の欠けた部分が埋められている……そんな心の変化を俺は感じていた。

その日の夕方。
長かった戦いが終わった。
富竹さんの胸の中で、鷹野さんが泣いていた。
富竹さんと鷹野さんの間にあるものがどういうものなのか、それはきっと当人達にしか本当の意味では理解出来ないのだろうと思う。
けれど、それでも……鷹野さんが泣いている本当の理由と、富竹さんが受け止めたものが何なのか……それが少しだけ分かる気がした。
殺されそうになった。俺の大切な仲間達がその命を狙われた。けれど俺には……その光景を見て、鷹野さんを憎むことは出来なかった。
鷹野さんが富竹さんや番犬の人達と一緒に山を下りていく。
俺はその光景を……彼らの姿が見えなくなるまで……ずっと眺めていた。
梨花ちゃんが羽入へと近付いて、微笑む。
そして……それまで呆然としていた羽入が、とても……嬉しそうに笑っていた。
俺も、羽入へと駆け寄った。
「あぅ? ……あぅあぅあぅあぅあぅあぅ☆」
頭を撫でてやると、羽入ははにかみながら、輝くような笑顔を浮かべた。
「生きててくれて……よかった……」
何故だろう……本当は鷹野さんが撃った銃弾は、羽入の胸に真っ直ぐに向かっていた気がする。そんなあり得ない記憶がある気がする。
ひょっとしたらもう羽入には会えなかったのかと考えると、この手に伝わる温もりが、とても嬉しかった。
「頼むから、もう俺の目の前からいなくなるような真似はしないでくれ。そんなのは、身を引き裂かれるより辛いからさ……」
そして俺も、みんなの前からいなくなるような真似はしないと……、心の中で固く誓った。
「大丈夫なのですよ。……僕はこれからもずっと……ずっと一緒なのです……」
その幸せを噛み締めるように、羽入はゆっくりと……そしてはっきりとそう言った。
俺もまた羽入の言葉を、幸せな気持ちで受け止めていた。
「ああ、ずっと……ずっと俺と……俺達と一緒に……。って……あれ?」
不意に、何故か涙がこぼれた。目も痛くないし、胸が締め付けられる感覚も無い。それなのに……。
「圭一。どうしたのですか?」
梨花ちゃんが驚きながら訊いてくる。
「いや……何でもないんだ…………何でもないのに……あれ? 何でだ?」
「ひょっとして何かを思い出したのですか?」
「いや? そんなわけでもないんだ。けど……はは……変だな? これ……」
俺は首を傾げる。まるっきり涙を流すような心当たりが無い。涙が流れる理由も分からないから、止め方もよく分からない。
「圭一。……ありがとうなのです」
羽入はそう言って、微笑みを浮かべてきた。
「え? 何がだよ? 羽入」
「羽入? あなた何か知ってるの?」
俺達の問いかけに、羽入はにっこりと笑顔を浮かべた。
「さあ? 僕は何も知らないのですよ? きっと愛の力なのです。あぅあぅあぅあぅ☆」
羽入の答えに、俺の頭はますます混乱して……、そして何故だか梨花ちゃんは少しむくれた。
そんな俺達の周りで、いつまでもひぐらしがないていた。

―羽入END―

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最終更新:2007年03月10日 21:40