旅行 Soundscape
サークル:荒御霊
Number | Track Name | Arranger | Original Works | Original Tune | Length |
01 | 旅行 | 和泉幸奇 | 卯酉東海道 | ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express | [05:47] |
02 | 雲水 | 和泉幸奇 | 卯酉東海道 | 53ミニッツの青い海 | [06:57] |
03 | 低年齢社会 | 和泉幸奇 | 夢違科学世紀 | 科学世紀の少年少女 | [05:38] |
04 | 限界集落 | 和泉幸奇 | 蓮台野夜行 | 夜のデンデラ野を逝く | [08:12] |
05 | 山稜 | 和泉幸奇 | 卯酉東海道 | 青木ヶ原の伝説 | [05:06] |
06 | 西暁 | 和泉幸奇 | 夢違科学世紀 | 華胥の夢 | [05:20] |
07 | 狂里 | 和泉幸奇 | 大空魔術 | 大空魔術 ~ Magical Astronomy | [05:13] |
08 | あっぽっしゃ | 和泉幸奇 | 蓮台野夜行 | 幻想の永遠祭 | [07:11] |
09 | パープルヘイズ | 和泉幸奇 | 蓮台野夜行 | 魔術師メリー | [03:55] |
10 | 眼のない兎 | 和泉幸奇 | 蓮台野夜行 | 月の妖鳥、化猫の幻 | [06:57] |
11 | 旅行の始末 | 和泉幸奇 | 卯酉東海道 | 最も澄みわたる空と海 | [04:40] |
詳細
レビュー
- 原曲香る系エレクトロニカ、チルアウト系アレンジ。四つ打たない荒御霊、ビートがゼロというわけではないが、いつもの四つ打ちハードコアとは対極にある作品。アレンジ技術はもはや触れる必要がない水準以上、電子楽器の特徴をオーソドックスに活かした端正な出来栄えとなっている。全般的に不気味で陰鬱な別世界的空間を作り上げようとするアレンジャーの意図は、同時頒布の秘封倶楽部小説の内容とリンクしているのだろう。小説の具体的内容やそれとのマッチングについては、ネタバレ防止のためここでは触れない。敢えて小説には手をつけないで聴いた感想であることは付言しておく。
それほど雑音的効果を使っているわけではないが、音色は私が聞いたことのあるメジャーなエレクトロニカでいうならAutechre寄りだろうか(大した数をこなしたわけでもないので誤謬はご容赦願いたい)。5曲目青木ヶ原の伝説アレンジはもっと原曲メロを壊すなり音を絞るなりしてもよかったか。1分20秒からの原曲メロの登場に違和感があったのだ。だが4分3秒からラインをひとつ加えて最後に向かう展開は鉄板ながら美しいと思った。9曲目魔術師メリーアレンジはメリーが好きすぎて生きるのが辛い私の個人的事情が大きく影響を与えていることを加味しても1分10秒からのメロの音色がすとんと納得とはならなかった。10曲目月の妖鳥、化猫の幻アレンジは個人的に絶賛のトラック。原曲のメロディラインを活かしながら原曲の高速進行をすっかり取り払い、このアルバムのクライマックス的な終末への雰囲気を込めた佳作だと思う。時折入る雑音的効果が趣をいっそう深めている。
全体を概観して、どこかに例えばMelodium的なきれい系ピアノオルゴール風味の、毛色の違った小品があれば、コンセプトアルバムとしての懐が深くなったような気がする。それはこのアレンジャーであれば間違いなくできることだ。
きっちりとまとまったコンセプトは、恐らくはアレンジャーが同時頒布の小説も書いておりイメージがしっかりしているからであろう。上にも書いたとおり全体として暗めだが聴いていてまとまりがあって気持ちよい、いい作品だと思う。聴き込める一方で、単純に作業BGMとしてもかなり優秀だ。
なお、いつもの四つ打ちハードコアとは違うので、このサークルの四つ打ちが好きという人は試聴してからの検討をお勧めする。 -- 電波? (2010-11-29 04:27:55)