東方出流幻想譚 (とうほういづるふぁんたじあ)
サークル:VAGUEDGE
Number | Track Name | Arranger | Vocal | Original Works | Original Tune | Length |
01 | Girlish Aspiration | Hull | 宮簀月菜 | 東方求聞史紀 | 夜の鳩山を飛ぶ‐Power Mix | [5:53] |
02 | Bustle with the Raven's Wings | Hull | 東方風神録 | 妖怪の山 ~ Mysterious Mountain | [3:57] | |
03 | Set the new Revelie ~ 妖々の夢見 | Hull | うるし | 東方妖々夢 | 妖々夢 ~ Snow or Cherry Petal | [4:08] |
04 | un Viento Caliente, el Viejo Mundo. | Hull | 東方永夜抄 | 懐かしき東方の血 ~ Old World | [4:26] | |
05 | Sleeping 3rd Eyes | Hull | 東方地霊殿 | 少女さとり ~ 3rd eye | [2:08] | |
06 | 散った過去と今に咲く花 | Hull | うるし | 蓮台野夜行 | 過去の花 ~ Fairy of Flower | [5:08] |
07 | Girlish Aspiration (Off Vocal) | Hull | 東方求聞史紀 | 夜の鳩山を飛ぶ‐Power Mix | [5:53] | |
08 | Set the new Revelie ~ 妖々の夢見 (Off Vocal) | Hull | 東方妖々夢 | 妖々夢 ~ Snow or Cherry Petal | [4:09] | |
09 | 散った過去と今に咲く花 (Off Vocal) | Hull | 蓮台野夜行 | 過去の花 ~ Fairy of Flower | [5:07] |
詳細
博麗神社例大祭6(2009/03/08)にて頒布
イベント価格:1000円
レビュー
- 未だ知らぬ新進気鋭のサークルの作品との“出会い”・・・これこそイベントの醍醐味の一つだと
思うのですが、例大祭6の島中サークルの頒布物で、現在ヘビロテ中の個人的要注目CDがこれ。
ギターロックやエレクトロポップ風の女性ボーカル曲×3、民族調やオルゴールなどのインスト曲×3、
ボーカル曲のOff Vocalバージョン×3の全9曲。
敢えて辛口の批評をしますが、完成度の高いアルバムとは言い難いです。技術的に不安な部分や、
アレンジにもう一工夫欲しいなと感じさせられる部分が随所に見られます。しかし、それと同じくらい
キラリと光るものもあるんですよ!
まず興味を惹かれたのが選曲です。恐らくこのサークル初の東方アレンジCDだと思うのですが、
3面道中曲や4ボス曲のインストはあるものの、通常人気が高いであろう5・6・EXボス曲が皆無で、
サークルとして力を入れていると思しきボーカル曲はといえば、タイトル画面テーマや、「求聞史紀」
「蓮台野夜行」の曲!珍しいですよね。
ちょっと意表をついたセレクトですが「人と同じ事をするのが嫌」ってだけで選んだ感じではありません。
アレンジャー氏の持つカラーが明確で、バリエーションはあれども正反対の方向性にはみ出すことが
無いので、アルバム全体を通して割と統一感があります。自分のカラーに合ったアレンジができる曲を
選んだ結果が自然とこうなった・・・そんな感じではないでしょうか。
その上、ボーカル曲はいずれもかなりの力作ではないかと思います。私のお気に入りはtr.01と06。
tr.01は「東方求聞史紀」より「夜の鳩山を飛ぶ‐Power Mix」のボーカル曲。
物悲しいピアノと美しいオーケストラに、ゴリゴリしたへビィなギターが絡むギターロックです。
阿求の・・・というよりは、歴代阿礼の子達に脈々と受け継がれてきた運命を、シリアスな角度から深く
考察した歌詞が素晴らしい!求聞持の能力・・・考えてみれば、見てはいけないものを見てしまう事も
あったでしょう。忘れてしまいたい忌まわしい経験もあったでしょう。しかし忘れることができない・・・
転生する度に記憶は受け継がれ、背負わされる業は深さを増していく。そんな運命を受け入れて
永遠に生まれ変わる彼女達の“情念”と“祈り”のようなものを感じさせられました。これは凄い!
歌い手さんは歌唱力はまだまだですが、情念的な芯の強さを感じさせる曲の雰囲気にぴったりな
声質がGood。そんなわけで、天野月子とかCoccoとかがお好きな人に特におすすめの一曲かも?
tr.06は「蓮台野夜行」より「過去の花 ~ Fairy of Flower」のボーカル曲。
このアルバムの目玉ではないでしょうか?これまた繊細なピアノとオーケストラ・サウンドにベースが
良いアクセントを付けているバラードソング。あの原曲を良くぞこんなふうにアレンジしてくれた!と
拍手を送りたいような良いアレンジだと思います。この曲、書籍文花帖のコラムでも触れられておらず、
タイトルと「蓮台野夜行」のジャケ裏解説以外にこれといってテキスト情報も無いのですが、タイトルの
イメージを膨らませることで切なくも美しい歌詞に仕上がってます。作詞の方、中々やるなあ!
歌い手さんはefsの阿部左さん?系の可愛らしく繊細な声質をしており、幅広い層から支持を集めそう。
ちなみにこの曲のOff Vocalバージョンのtr.09も必聴です。純粋なインストではなくコーラス・トラックが
入ったカラオケ・バージョンなのですが、それ故演奏とコーラスの美しさが際立って、それはそれで
一つの楽曲としてバランスよく成立してると思いますよ。
以上、けっこうキビシイ事も書きましたが、アレンジャー氏の音楽的方向性も定まってるし、作詞家や
歌い手さんなど、それを形にするに適したメンバーも揃ってる。不安に感じたのは主に技術的な面ばかり
なので、経験を積んでいけばこれからどんどん良くなっていくでしょう。将来が楽しみなサークルかと。
あ、それからこのアルバム、どうやらショップ委託もするみたいなのでこの機会にぜひお試しあれ!
ジャケットは黒のストラトを携えた阿求さんのイラストが目印です。 -- 9630 (2009-03-15 21:23:11)