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2011年の時限トップ

ここでは、2011年に掲載された時限トップを保管してあります。
(※時限トップとは、数分~数十分の間だけ表示されるページの事です)


2011/12/20 14:45頃


!!!!

~『円卓』~

「まったく、生命とは厄介なものだな」
「ムシュ、まったく同感ですな。ここまで立て続けにチャンスを失うとは、さすがに予想外……」
「やはり、何とかしてトビアスが必要だな。『生と死を分かつもの』が顕現したままの現状は危うい」
「我々だけでディアボロスランサーを探すのはほぼ不可能ですからな。
 しかし神戸の『影の城』を落とすのもまた、ほぼ不可能で……ムシュ!?」
「どうした、ルルモード?」
「ワタシが何人か倒されました! 誰かがこの『円卓』に向かっているでムシュ。
 しかも、配下の抗体ゴーストが、その誰かに次々と取り込まれて……」

「されどやはり、汝を取り込むのは不可能であったようだ、ルルモード卿よ!」
「ムシュ、やはり原初の吸血鬼! しかもその燃え立つ精気と大声は……」
「秘されし大罪のひとり、『情熱』のブリュンヒルデだな?」
「ほう! 私と汝等は初対面の筈だが、良く分かったな。犬共を操り、私達を『獲物』として追い回し続けただけあって、流石に詳しいようだ。感心感心!」

「それで、何の用だ? ここに乗り込んだところで、我々は倒せんぞ」
「ムシュ!? ヒョッとしてワタシが目当てですかな?」
「確かに汝は欲しいな! だが違う。
 私達『原初の吸血鬼』に、抗体ゴーストを寄越すのだ!」
「用件が単純すぎますぞ! 銀誓館学園にリベンジでもするつもりですかな?」
「そうだ! アドルフとリチャードは私の傘下に入り、今は先の戦争で離散した原初802名の大半を集めさせている。こいつらに抗体ゴーストを配布し強化するのだ。さぁ、早くしろ!」
「ムシュー、交渉も何もあったもんではありませんな。アドルフに代わって欲しいですぞ」

「だが、要求を飲もう。その代わり、我々の条件をひとつ飲むのだ」
「ワレワレが何を言わんとするか、実は聡明なアナタなら分かりますな?」
「神戸にある『影の城』を攻め落とし、トビアスとやらを開放すれば良いのだな。承知した!」

2011/12/11 20:51~21:51 ゴーストタウン「<グランドイン上高地>生と死の蹂躙者」にて



 『もうひとつのグランドイン上高地』へ向かおうとした君は、奇妙な形の剣を手にした若者達に、その行く手を遮られた。

「……正体を隠したナンバードというわけでもないようだな。能力者か。
 何処の組織かは知らないが、 1時間だけ 、待ってもらいたい。
 そうすれば、我々 カースブレイド が仇敵 九ガ沼・終哉 との決着をつける!」

 カースブレイド達の瞳には、何人たりとも通さぬという凄まじい意志が宿っている。
 今、探索に向かおうとすれば、彼らカースブレイドを殺さざるを得ないだろう……。

●九ガ沼・終哉
 突然現れたカースブレイド達の姿に、九ガ沼・終哉は衝撃を隠せなかった。
「お、お前……まさか、俺と『因縁』を持つ者か!」
 慌てて他の抗体ゴーストを呼ぶ終哉だが、その声は虚しく響くばかりだ。
 少女の手にした巨大にして奇怪な呪剣が、ナンバードを切り裂かんと刃を軋ませる。
「あなたに破れた仲間、そして殺された人々の悲しみ、無念……。
 今日、ここで晴らします……!!」
 カースブレイドの少女は仲間と共に、狼狽するナンバードへと撃ちかかる!!

2011/12/09 18:00頃


!!!!!!!

~平岸3条5丁目あたり~

「なんか、外暗くない?」
「夜だから当たり前だと思いますけど」
「ああそうか、そりゃそうか。……なんか外出るの面倒くさいね、出前とか取る?」
「会社の冷蔵庫にあるもの食ってりゃいいんじゃないですか?」
「まぁそうだね、何か面倒くさいし」
「今、なんか凄い吠え声とか聞こえなかった? まるで怪獣みたいな」
「円山公園に出たって言うヒグマじゃないですか?」
「アホな、大事件だろそれ!? ……なんかますます外に出たくなくなったわー」
「なぁなぁ、会社の手前におっきな家って建ってなかった? 無いんだけど……」
「……あそこはずっと前から瓦礫の山ですよ、確か」
「そうかなぁ? まぁいいや、とにかく外に出るのはやめよう。何だか面倒だし……」

2011/11/25 16:40頃


!!!!!!!!!!!!!!!!

~死の淵にて~

美佐緒の、篠の、晶の、星夜の精神に、最期の光景が刻まれる……!


彼の者の眼前を『生の世界』と呼び、

彼の者の背後を『死の世界』と呼ぶ!

人類のあらゆる神話において、神をも抗えぬ宿命の番人と語られしもの。

すなわち冥府の支配者、地獄の審判、具現化した生と死の境界線!

あれこそが、『生と死を分かつもの』……!

2011/11/11 15:45頃


水晶剣ルルモード&清廉騎士カリスト

~『円卓』~

「ムシュ!? カリスト殿、あの気配はもしや!」

「配下を放っていたことは把握していたが、まさか自らが出向くとはな」

「何をノンキな……奴は【生と死を分かつもの】、根源の守護者なのですぞ!」

「やむをえまい、奴は既に顕現した。君の力を借りることも無く、な」

「ムシュ、つまり我々には、既に選択肢が残されていないという事ですな……」

「トビアスが封印された今、ディアボロスランサーの回収もままなるまい。奴の顕現によって、この星に生ける全ての生命と同様、我等もまた決断を迫られているのだ」

2011/10/02 09:30頃


七星将「巨門」

~東京湾上空2000キロメートル~

はるか、上空。
いまだ大気圏外から、巨門が、眼下の青をぎらぎらと睨みつけている。
まがまがしい歓喜の目だ。
「さあてっと、帰っていいとは言われてないけど、これは不可抗力だもん。月の連中に、ひきずりおろされただけだもんねえ。それに……」
ぺろりと、舌なめずり。
「いまの妖狐どもに、ぼくを従わせる力なんてあるのかな? しっぽの二、三本も引き抜いて、ぼくが仕切ってもいいように思うしね。どっちにしても、いまさらまた寝るとか……ありえないし」
巨門が、生身で大気圏にダイブする。ルナエンプレスでもない身だが。
彼は、自分が生き延びると確信していた。

リプレイ発表!そして決戦の刻をそのまま待て!

2011/10/02 09:00頃


切恵・麻緒

~湘南海岸~

何だ、例の通信機から、また何か聞こえるぞ?
……なになに、「……東京の……海に……落ちます……」!?
ななな、なに物騒な事言ってんだアンタ!?

なにがなんだか分からないけど、切羽詰まってるのはよーく分かった!
これは、急いで銀誓館学園に知らせるべきだな!
東京の海っていうと、えーと、アクアラインとかに集まっとくのがいいのかな?

2011/08/30 15:30頃


七星将・貪狼

~山口県山中~

「畜生、畜生、畜生ッ……!」
七大ヤクザの生き残りである菱田・洋子が、汚れる着物にも構わず、転がるように山道を駆けおりていく。神戸の戦いを生き延び、沖縄の戦いでは銀誓館を退けた洋子の顔からは、今や、焦りと憔悴の色しか読み取ることはできなかった。
彼女は、抗体ゴースト『ダブルフェイス』としての力を完全に己のものとした。同様の力を十全に得た部下達も揃っている。いかな能力者・来訪者といえども、今まさに再興せんとする「菱田組」を止めることはできまい。
……そんな数分前の洋子の自信は、もはやどこにも存在しなかった。

既に、洋子の周辺は燃えさかる炎に覆われていた。
先ほどから洋子をつかず離れず包囲している、あの巨大な妖獣の群れによるものだ。
その数は数十体に及ぶだろうか。中国獅子舞のようなユーモラスな顔の妖獣。
しかしその体躯は十mを越え、全身に炎を纏っている。
最初の遭遇で、洋子の部下は全員消し炭に変えられた。
そしてその後、獅子妖獣達は、炎に炙られながら逃げ惑う洋子を包囲し、洋子の走る方向についてくる。敵意などなく、まるで玩具にじゃれつく子供のように……。

「そろそろ限界かしら……?」
突如、洋子の背後から、鈴の音のように美しく、それでいて冷たい声色が響く。
思わず振り返った洋子の視線の先にいたのは、朱い衣を翻す、艶やかな女の姿。
洋子は彼女の異様な「ドリルガントレット」に目を奪われたが、すぐにそんなものは些末事と悟る。
この女から発せられている殺気の量……これは何だ!?
これが、ひとりの人間の保有する『力』なのか!?

圧倒的な力量差に戦意を喪失した洋子は、震える声で訴えかける。
「アンタ……アンタが、この獅子たちの主!?」
「そうよ。それが何?」
「……決まってるだろ! 見逃しておくれ、後生だよ! アタシがアンタに何をしたってんだい!」
「『何をしたか』……だと?」
突如、朱い女がふわりと前進し、洋子が反応すらできぬ間に、彼女の体に静かに触れる。
次の瞬間、凄まじい威力の「気」が洋子の体内で炸裂し、洋子は全身からあらゆる体液をまき散らしながら、地面にくずおれた。同時に洋子の武器もバラバラに分解され、地面にばらまかれる。

「今放ったのは砕甲掌(さいこうしょう)だから、死んではいないでしょう? だから、話を聞きなさい」
そして、朱い女は話を続ける。
「あなたが沖縄で殺めたのは、金毛九尾に従う妖狐。我等が女王の所有物を殺めておいて、報いを逃れたいとは、何とも虫の良い話……」
朱い女はおもむろに洋子の前髪を掴み、獅子妖獣達の眼前に放り投げる。
すでに視線は洋子になく、朱い女は背を向けて、妖獣達に短く命じる。

「灯せ」

獅子妖怪達が一斉に炎を噴き上げた。
菱田の全身が瞬く間に黒く焦げ、炎に煽られた体が奇妙なダンスを踊る。
「他愛もない……。廉貞なら『大山鳴動して鼠一匹』とでも言って苦笑いする所ね。
まあいいわ、妖狐七星将がひとり『貪狼』にまみえた栄誉、あの世で感謝なさい」
朱い女……貪狼が呟くと同時に、限界に達した菱田の体が消滅する。
それを見届けると、貪狼は焦土と化した山を後にするのであった。

2011/07/20 14:00頃


七星将「廉貞」 & 洪・文曲

~鎌倉市の路上~

1学期最後の登校日。文曲は銀誓館学園への通学路をてくてくと歩いていた。
早くもなく遅くもなく。目立たない一学生として暮らすことを旨とする文曲は、通い慣れた通学路を
いつも通りのペースで歩いていた。

「連環の愚を見るが如し。奸佞邪智たる蛇蝎は清水で蠱毒を失いしか?」
突然背後から掛けられた声に、文曲は久しく感じる事の無かった恐怖を覚え、通路の脇へと反射的に飛び退いた。思わず口から漏れてしまった絶叫を、誰が咎められるだろう。

「お、お久しゅうございます、廉貞(れんちょう)さま! そして……返す言葉もございません。わたしはかつてのわたしとは、すっかり変わってしまいましたゆえ……」

妖狐七星将・廉貞は、文曲を見やって得心とばかりに頷き、言葉を続ける。
「逃兎を追うのが我が由ではない。此度の我は妖狐の特使である」
「それはつまり、銀誓館学園との交渉の仲介を、私につとめよとの事ですね……あっ、それはもしや、金毛九尾様は抗体ゴーストと戦うおつもりなのですか?!」
「当意即妙小気味良し。銀誓館学園へと案内せよ」


2011/06/24 15:30頃


無血宰相トビアス

~神戸モザイク~

はむはむ。クレープっておいしいね。
何となく名前が気に入ったから来たけど、よく考えたら僕ここに用事ないね。

いや~、それにしても困ったなぁ。
鳳凰堂でドラゴントライアングルを殆ど全部使ったのに、銀誓館のせいで「不滅の災い」以外はあんまり蘇らせられなかったし。平家は平家で、平家だけの都を作り上げちゃうし……。
しかもその都に、僕を入れてくれないなんて!
「平氏にあらずんば人にあらず」なんて、人をバカにしてるよね。

……まぁいいや、気持ちを切り替えよう!
平家の作った「福原京」は、なかなかダーティで面白そうだし。
最悪、不滅の災いだけ持って帰れればいいしね。
さーてそうと決まれば、めいっぱい平家のお手伝いしちゃおうかなっ★
とりあえずその辺のカップル殺しまくってゴーストにしよーっと。

2011/06/24 15:00頃


???

~京都東福寺山内・正覚庵地下~

京を護るだけでなく、京が封じた妖物を留め置く事も、また我等の使命。
「不滅の災い」は、我等の手で何としても封じねばならない。

彼奴に三筋の傷を刻みし後、「災禍縛印」を施す!
今こそ、我々が代々受け継いできたこの秘文字を発動する時だ。

不滅の存在に傷を残すことは、並大抵の労苦ではない。
伝承が真実だとすれば、我等の力で傷を三筋付けるのに、果たして何年かかることか……。
しかし、やらねばならぬ。
子の代、孫の代となっても、必ずやこの災いを封じるのだ!

2011/06/07 09:50頃


???

~京都西陣~

汝に手向けるは「葬」の一文字。滅せよ、黄泉還り!
……………………。
やれやれ、ようやく片付いたか。
それにしても、ここ数日の鳴子の騒ぎようは、一体どうしたことか。
まるで、「不滅の災い」が永き時を経て舞い戻らんとでもしているかのような……。

2011/05/25 15:00頃


原初の吸血鬼

~北海道大雪山系~

ば、ばばばばバカな!?
我が、我の放った抗体ゴーストが、こうまで返り討ちにあうだとっ!?
バカな! この偉大なる原初の俺が殺されるぅ!? バカなバカな!

……に、逃げよう! 逃げの一手だ!
何を使えば逃げられる!? 飛行機だ! 飛行機しかない!
最寄りの旭川空港まで逃げられれば、あそこまで行ければ!
どーかどーか、銀誓館に先回りされませんように!

2011/04/07 14:50頃


悪路王

~悪路王の特殊空間~

「篠よ、何用だ……?」
「まだ空に『二つの三日月』は浮かんで無いが、今日は王に聞きたい事があって来た」
そして時任・篠(朧夜の藍氷華・b58875)は説明を始める。『異形』によってビャウォヴィエジャの森の世界結界が破られ、万色の稲妻と共に「抗体兵器」を持つゴーストが生まれた事。破られた世界結界は聖杯で修復可能な事を補足しながらも、篠は問いかける。
「ひょっとして、あのゴースト達は……?」

「然り。彼奴達こそが、『二つの三日月』に与する者也。長き戦いの始まりを覚悟せよ」
「いや、俺達はいいんだけど、王達はゴーストなんだから、もし稲妻に乗っ取られたら……」

「心配には及びませんよ」
悪路王の妻、鈴鹿御前が答える。
「あの稲妻に支配されるのは、ゴーストの本能を違えぬ者のみ。人魔共存を唱える我々や、視肉を嗜むマヨイガの住人達ならば、影響は受けません。とはいっても、現代にマヨイガが残っているとも思えませんが……」

そして、悪路王軍は再び眠りについた。
篠は、以前よりも明らかに強大な力を取り戻した悪路王軍を目の当たりにし、彼らの「眠り」に少し興味を引かれながらも、特殊空間を後にするのだった。

2011/03/23 17:05頃


「人狼十騎士」大騎士長ビスマルク

~ポーランド森林地帯・大騎士長の間~

「ググ、ウガガガガ……」
ヨーロッパ人狼騎士団を統括する、大騎士長の執務室。
部屋の中央では、鳥の頭部を持つ人型の怪物が、苦しみでのたうち回っていた。

「う~ん、そろそろビスマルクは限界かな~?」
苦しむ怪物を見つめるのは、クマのパーカーを着た脳髄の異形、無血宰相トビアスである。
「しょせんキミは紛い物だもんね。そ~れ、『逆賊の十字架』~」
鈍く光る十字架を怪物にかざしながら、異形は少女の声色でひとりごちる。
「でも駄目だよ、もう少しだけ持たせてね。せめてキミ達人狼騎士が用済みになるまで、さ」

2011/03/17 15:50頃



「人狼十騎士」無血宰相トビアス

~ポーランド森林地帯・ローラの塔~

「そ~れ、『グレイプニル』~♪」
そう言った『異形』の放った長い紐にローラは絡め取られ、引き寄せられてしまった。
『異形』が現れて1分足らず。瞬く間に、戦場は地獄と化していた。

殺気を感じ塔を飛び出したローラ達を待ち受けていたのは、自らが殺害した人狼騎士『先駆けのヴィッシュ』の首を持った、まさしく『異形』であった。
あどけない声で話し、クマをかたどった可愛らしいパーカーを着用した『少女』。
だが、パーカーに覆われた頭部は、その全てが『脳』であったのだ。

人狼騎士達が何かを問いただすより早く、『異形』は装備しているライフルを手に、圧倒的な力量差による殺戮を実行したのである。『異形』は、人狼十騎士第2席『無血宰相トビアス』と名乗った。

ライフルをおろし、トビアスが再び少女の声で言う。
「裏切るなんて駄目だよローラ~? 一緒に帰ろうね~♪」
既に事切れたズィーベンとフォーヘンミアの上で、ローラを抱えたトビアスが踊る。

「本当は吸血鬼とやりあうつもりだったんだけど、誰かさんのせいでフェンリルが足りないからね。
ギンセイカンが相手でも別にいいんだけど、とりあえず目の前のあいつら殺そ~っと!」
ライフルを生き残りのガムテラとアガテに向けたトビアスは、しかし意外な方向から反撃を受ける。
背後から突如現れた何者かが、剣でトビアスの後頭部を刺し貫いたのだ!
「「レオンハルト……!」」
「行け、ガムテラ、アガテ! 銀誓館に伝えるのだ!」
「『名も無き者レオンハルト』か、面倒だなぁ♪」

脳を刺し貫かれ、更にはローラを抱えたまま、人狼騎士レオンハルトと戦い始めるトビアス。
その僅かな隙を縫って、ガムテラとアガテは逃げ延びたのだった……。

2011/03/17 15:05頃



「人狼十騎士」狼使いローラ

~ポーランド森林地帯・ローラの塔~

ここは、狼使いの森と呼ばれる場所にある、人狼騎士ローラの塔。
洗脳を解かれ、密かに銀誓館に味方する彼女には、万一に備え、幾人かの護衛がついていた。

「状況的に、銀誓館の学生が出入りする訳にはいかんからな」
スープの入ったコップを手に、螺旋剣ズィーベンがローラに話しかける。
「ありがとう、みんな」
「ローラは素直で可愛いですね。それに比べて」
「何でこっちを見るんですか、フォーヘンミアさん!?」
「アガテが可愛いのは、ガムテラの前だけですものね。残念です」
「な……! そ、それのドコが悪いんじゃボケェ!」

「まぁまぁアガテ、その辺にして」
小太りの男『時計騎士ガムテラ』は、この場にいる人狼騎士『狼使いローラ』『螺旋剣ズィーベン』
『麗しの月フォーヘンミア』『西風のアガテ』を見回した後、ズィーベンに話しかける。



「ところでズィーベン、十騎士の誰がいわゆる『異形』なのか、手がかりは無いのかい?」
「う~む。俺とローラ、アリスは除くとして……。確実に『異形』と判明しているのはカリストだけ、だな。皆と同じく、俺の過去の記憶は、ネジで改変されたものと考えるのが妥当だろう」
ヨーロッパ人狼騎士団を統括する『人狼十騎士』のリストを眺めながら、ズィーベンは唸る。
「何か手がかりがあれば、銀誓館の助けになるかと思ったんだけど、そう上手くはいかないか」
「まぁ、仕方がありませんね。……そういえばズィーベン、ヤドリギの村に顔は出しました? ラプンツェルさんがあなたを探しているそうですけど」
「む、どうにも、あの女人は苦手で……」
「いい人なのに」「意気地の無いひと」「バカな男ねぇ~」


第1席大騎士長ビスマルク
第2席無血宰相トビアス
第3席清廉騎士カリスト
第4席鈍色のシュルツ
第5席背徳のラダガスト
第6席紫煙公エリザベート
第7席狼使いローラ
第8席聖女アリス
第9席水晶剣ルルモード
第10席螺旋剣ズィーベン


しかし、和やかな雑談は長くは続かなかった。
次の瞬間、一同は一斉に塔を飛び出し、森へと躍り出た。
塔の外から、尋常ならざる殺気を感じたからである……!

2011/01/24 18:40頃



ジャック・マキシマム

~新ジャックマキシマムハウス~

 照明を落とした新ジャックマキシマムハウスに、11人のジャックと、颯爽・菱子の本体が集まった。
「全ての策は潰えたぞジャック!」
「黙れジャック、貴様ほどの者がいながら何だこの有様は!」
「おのれジャック言わせておけば! そもそも貴様が……」

「うるさーーーーーーーーーーーーい!」
 唐突な菱子のアニメ声に静まりかえる11人のジャック。
「チッ、無駄な特技を使っちまった……。ジャック、いや、ジャック達。ここまでさんざん負け続け、残る配下はアタシ一人だ。勝ち目が無いのは明白なんだから、こんな至近距離に居を構えずに、ここは引いて再起を図れば……」

「いや、それは無理だぞビシコよ。これだけやれば、もうすぐここも奴等の怪しげな予知能力の対象となるだろう」
「ビシコよ、かくなる上は、お前が手に入れた『アレ』の出番だ」
「本来ならばティンカーベルを手に入れるか破壊した上で使いたかったが、やむを得ぬ」
「アレって……。ああ、あの変な蜘蛛の置物? あんなものが何の役に……」

「ビシコよ。あれは『瑠璃硝子の蜘蛛』……メガリスと呼ばれるものだ」
「メガリス……?」
「そうだ。貴様には我が王朝の最期の臣従として、ナイトメアの王にだけ許された『力』を見せてやろう。すなわち、我が『完全幻想』をな!」

2011/01/11 16:35頃



ジャック・マキシマム

~新ジャックマキシマムハウス~

「ドウメキよ。これが『力』だ……」
 圧倒的な『力』を得た百目鬼・面影は、しかし沈思黙考の表情を隠さない。
 その表情のまま、彼はジャックに向き直り言葉を発する。

「確かにこの『力』は素晴らしいものです。しかし、あなたの力は一度に一人しか与えられません。残念ですが、僕一人の力では、父やあなたをも倒した銀誓館学園に勝てるとは思えません……」
「なるほど、確かにそうかも知れん。しかし、誰がひとりと言った」
 ジャックがそう言うと同時に、背後のエレベーターがポーンと音を立てて停止し、その扉が開かれた。エレベーターの中から現れたのは、まるで燃える炎のような、ひとりの女性。

「颯爽さん……」
「遅かったな、ビシコよ」
「……なぁ、ジャック。天竜とかの時にも、アタシは普通に役に立ったんじゃないのか? 『力』はともかく、アタシを使わなかったのは単なる出し惜しみだろ」
「なるほど、颯爽さんに僕の昭和ゴーストを特訓して貰うという事ですか……」
「できるか、ドウメキ?」
「『できるか?』というご質問なら、颯爽さんがいようがいまいが、元より関係ありません……勿論、やってみせますよ。恐らく僕の事など覚えてもいなかった父ですが、僕は父の為に戦います」

2011/01/07 13:45頃




~鎌倉市郊外~

「メガリス・アクティブ?」
 銀誓館学園からやってきたひとりの卒業生が、目の前の老人に聞き返す。
 老人はゆっくりとうなずき、言葉を続ける。

「メガリス・アクティブは能力者ではありません。運命予報士のように、後天的に身につけた力でもありません。それは、本人の才能や修練とは関係の無い、ただの『相性』と呼べるものです」
「だから、竜宮城はあそこまで大きくなったという事なんですか?」
「僕がメガリスを手にした時の感触を説明するならば、それが結論です」
「メガリス・アクティブに何か共通点のようなものはあるのですか?」
「それは分かりません。僕は、僕以外のメガリス・アクティブを見たことはありませんから……。ただ、あくまで『相性』である以上、本人には何の特徴も無いでしょう。ただ、メガリスの力を引き出すことができる。それだけの人間です」

 その老人……かつてメガリス「竜宮の玉手箱」の所持者であり、今は反動で年老いてしまった
近江・永都氏は、そう言って話を締めくくった。
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