Kowa SEの分解(2010.12)

たまには気分を変えていつもと違うカメラ屋さんによったら、500円でコーワSEのジャンクがあった。
脊髄反射で購入。F1.9のレンズがついた(レンズ交換はできない)レンズシャッター一眼である。

症状は時々シャッターが閉じっぱなしになるというもの。例によって早速分解。



上蓋の取り外しは通常通りだが、前面にあるCdS窓のカバーを先に外さないといけないので注意。



底蓋を外すと巻き上げがあらわれる。矢印の方向にラック&ピニオンギヤでチャージするのがレンズシャッター機らしい。

露出計が動かなかったので配線を交換したりしたが、メーターが死んでいる事が配線チェックで判明したのであきらめる。残念。プリズムを外してファインダー掃除をしておく。



レンズもカビていたので、外して掃除をする。銘板をゴムリングで外し、出てきたカニ目を外すと前群レンズが取り出せる。
前群レンズを外すと絞りの押さえ板があらわれるが、ここの固定リングを回して外すと絞り羽根がはずれてバラバラになるので注意すること。
うっかり外してしまって絞りの再組み立てに四苦八苦することになった…。



ちなみに絞りはこんな感じで組む。



絞り設定リングの前にある銀色のリングを留めている三本のネジを外すと鏡筒が取れる。



これで後玉の表面のカビが取れた。バルブにしてフィルム室から掃除してもよいかもしれない。

鏡筒をはずし、シャッターだけで動作させても、症状はかわらない。シャッターの故障だ。
シャッターは革をはがし、前板を外すとあらわれる。



さらに押さえ板をはずす。シャッターユニットがあらわれる。



一番下の丸い歯車がチャージギアで、巻き上げるとここが回ってチャージする。

様子を見ようと何度も何度も空シャッターを切っているうちに、「スカッ」と巻き上げ軸が
空回りした。チャージギアと本体のラック&ピニオンギアを連結するチャージ軸が破断したらしい。

チャージ軸にアクセスするのは難しいうえ、強度を保って接着する方法が見つからないので、
残念だが、ここで修理をあきらめることにする。
またいつかこのカメラと出会った時のために部品取りとして保管しておきたいと思う。

時々取り出して、己の思い上がりを戒めるのもよいのかもしれない。



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最終更新:2010年12月06日 11:06