純なる想いを叶える智 京太郎×衣×智紀×純 衣の人
第4局>>400~>>457


   「どうぞ・・」
   「あっ、どうも・・」(ここか・・ある意味意外だな・・)
    予想外の部屋に連れて来られた京太郎、しかし驚いてはいたが辺りを見回すような事はしない、マナーが悪いから控えている訳でも、緊張して余裕が無い訳でもない、ここは京太郎にとって見慣れて慌てる必要の無い場所だったからだ。
   「もしかして・・いや、だった・・この部屋だと・・」(ここなら・・須賀京太郎も余計な警戒しなと踏んだけど・・・読み違えた?)
    戸を閉めようとドアノブに手をかけた智紀は、京太郎の微妙な表情を見て動きを止める。
   「あっ、いや・・そんな事無いですよ、てっきりだだっ広い客間に通されたら緊張するなって、余計な心配をしていただけですから・・むしろ、ここの方が慣れているし気が楽でありがたいです」
   「そう・・それなら、よかった・・」(客間は・・誰かに聞かれるかもしれない・・そんな場所で、この話をする訳にはいかない・・・)
    心配が杞憂に終わり安心した智紀は止めていた動作を再開させ戸を閉めた、それを確認した京太郎が早速話を切り出す。 
   「それで・・大切な話しって何ですか?」
   「それは・・」「お前に聞きたいことがある!」
   「えっ!?」 
    後ろから聞こえてきた声に驚いて振り向く京太郎、すると柱の後ろから純が姿を現した。 
   「い、井上さん・・えっ、さ、沢村さん・・えっ、ど・・どうして井上さんが!?」 
    大切な話しだから二人だけになれる場所を用意したと思っていた京太郎は、純の突然の登場に混乱し、純と智紀を交互に見てどちらにとも無く訊ねた。 
   「黙っていたのは悪いと思う・・けど」「・・大切な話しがあるのは・・俺も智紀も一緒だからな・・」 
   (な・・なんだ、いったい・・ふ、二人とも・・なんか怒っているみたいだし、お、俺・・二人を怒らせるようなことしたかな・・?) 
    強張った表情で京太郎を睨みつける智紀と純、京太郎も当然二人のただならぬ表情を読み取り、二人を怒らせてしまった理由を考えるが特に思いつかず。 
   「お、俺・・何かしましたっけ?」 
   「自分の胸に聞いてみな!」「それが・・良い・・」 
    思い切って聴いてみるも二人の怒りを煽っただけ、仕方なく京太郎は自分の胸に手を当てて今一度何かなかったかを思い起こす。 
   (ばらばらに考えよう、沢村さんは・・昨日最後まで送らなかった・・って、それは無いか、じゃ・・じゃあ・・井上さんは・・ま、まさか・・あ、あれで・・け、けど何か違う気が・・で、でも、それしか・・そ、それとなく聴いてみるか・・) 
    唯一思い浮かんだのは、昨日純の怪我を治療した後、純にお礼を言われて言ってしまったあの一言、何か違う気もしたが思いつくのはそれ一つのみで、他に思いつかなかった京太郎はもう一度それとなく訪ねる。 
   「えっ~と・・やっぱり傷ついちゃいましたか?」 
   「なぁ、マジかよ!?」「そ、それは・・本気で言っている?」 
    まさか考えている事が違うと思わない純と智紀は、京太郎の言葉に驚いて声を荒げる、京太郎も二人と考えている事が違うと思わないので、その態度に逆に驚いてしまう。 
   「はい・・そこまで傷つくとは思わず、すみませんでした」(そんなに驚くなんて、やっぱり女の子に言う時には注意しないと駄目だな・・) 
    素直に本当の事を言って反省をしながら謝る京太郎、それが火に油を注ぐ結果になるとも思わず。 
   (あ、ありえない・・透華になら手を出しても黙っていると、それとも衣は浮気されても文句を言わないと思っていたの・・どっちもありえない、こんな・・こんな男だったなんて・・許せない、須賀京太郎も・・自分も・・) 
    京太郎の言葉に智紀は大きな失望すると共に怒り、更にこんな男を衣の恋人と見ていた自分に腹立ちを覚える、だか性格からか智紀は怒りを行き成り前面に押し出すタイプではないそう近くに居る純とは違い。 
   「ってめぇぇ!!」「えっ・・ちょ、ちょっと・・まって、って、うわぁ!?」 
    いきなり京太郎に掴みかかる純、突然の事態に驚いた京太郎は逃げようと動き回るものの、途中で後ろにあるベッドの存在に気付かず足を取られてそのままベッドに倒れこんだ。 
   「お、お前は・・お前は言う奴はああああ!!」「純、駄目!!」 
    そのまま京太郎に馬乗りになって腕を振り上げた純、さすがに不味いと思ったのか智紀が純の腕に掴みかかり身を挺して止めに入る。 
   「ちょ、ちょっと・・まってください、結構とかつけたのは俺が悪かったですが・・その」 
    自分が仕出かしてしまったことでここまで怒られるとは思っていなかったのか、一先ず純を落ち着けようと謝るのだが。 
   「何を訳の分からないこと言ってやがる!」「意味不明・・」 
   「えっ・・?」(な、なんだ・・なんで、えっ・・も、もしかして・・) 
    自分の謝っていることに対しての純と智紀の反応を見て、京太郎はようやく違和感の招待に気付く、この二人が怒っている理由は別にあるのではないかと、そして。 
   「あの・・つかぬことをお聞きしますが、い、井上さんと・・沢村さんは何を怒っていらっしゃるのでしょうか?」(た、たぶん怒られるだろうけど・・聴かないとわからないからな・・) 
    話しが繋がらなければどうにもならないと思い、怒らすのを覚悟で思い切って訊ねる京太郎。 
   「い、今更・・何を・・」(けど・・そういえば・・何か会話がおかしいかった気が・・)
   「っっざけるな、こっちはなぁ昨日のお前と透華の話を聴いているんだ、しかも一度は認めておいて・・今更言い訳が通るかよ!」 
    ほんの少し冷静な部分が残っていた智紀はそこで話が噛み合っていない事に気付くが、頭に血が上りきっている純はそれに気付く訳も無く、京太郎を睨みつける目に更なる力が入るだけだった。
   (やっぱり勘違いしていたか、でも・・俺と透華さんの会話って、電話だよな・・昨日何か話したか、いや・・特に変な話はしていなかったはず・・絵本のお礼言われて・・それで透華さんを少しからかって・・特におかしなところは・・)
    自らの考えが正しかったことに一先ず安心する京太郎、しかし純の口から出てきたヒントらしき、昨日の透華との電話について思い出すも特におかしな点は思い出せず、黙り込んだまま考え込んでしまう。 
   「黙り込んでいるって事は・・思い当たるところがあるんだろ・・」 
    黙っているのを自分の言葉の肯定と受け取ったのか、純は眉を引きつらせて鬼の形相で京太郎を睨みつける。 
   「えっ、ち、違います・・落ち着いてください・・」(えっ~と、確か・・最後に愛していますよって・・あ・・あれ・・透華さん俺との関係を二人には・・って、ま、まさか・・いや、それなら・・納得がいく・・) 
    純になんとか落ち着くように言いながら、昨日の会話を全て思い出したその時、ある可能性が思い浮かぶ、自分と透華の昨日の会話を関係を知らない二人が聞いていたなら、二人が怒っている理由も大よそ検討がついた。 
   「えっ~と、その・・誤解ですよ・・井上さんや沢村さんが・・思っているとは違って・・」 
   「誤解、それはどう・」「だったらお前と透華はどんな関係なんだよ!?」 
    先ほどから違和感を覚えていた智紀は京太郎に言葉の真意を尋ねようとしたのだが、純によってその言葉は遮られる。 
   「えっ・・そ、それは・・」(素直に言ったら・・説明が終わる前に、井上さんに怒られるだろうし・・けど、だからって・・う、嘘ついたら・・好きだって言ってくれた透華さんに悪いし・・それに・・) 
    嘘をつけばこの場を乗り切れるかもしれない、しかし乗り切る為だけに嘘をつくのは自分の恋人である透華にも、そして目の前に居る二人にも悪い気がして言えない京太郎。 
   (どうしたの・・否定しない、誤解ならば・・否定しておしまいのはず、さっきのは言い訳で・・本当は私たちの予想があっていたから・・・それとも、何か違う原因があるから?) 
   「どうした、誤解だって言うならどんな関係かはっきり言えよ!」 
    もう一度純に問い詰められた瞬間、京太郎は覚悟を決めた。 
   「・・透華さんは・・俺の恋人です!」(嘘は・・つけないよな・・やっぱり・・) 
   「なぁ!?」「う、嘘!?」 
    驚いて絶句する純、同じく驚いた智紀は掴んでいた純の腕を離して、口元を手で覆いながら後ろに数歩下がる。 
   (と、兎に角・・今は少しでも説明を)「驚くのはわかります、けどこれは衣・」 
    少しでもわかってもらおうと説明を、全てを話そうとした京太郎であったが衣の名前が出た瞬間。 
   「黙れぇぇぇ、そんな口で衣の名前をよぶんじゃねぇぇぇぇぇ!!」 
    恋人発言で頭に血が上り、その状態で京太郎の口から衣の名前を聞いたからか、純は完全に理性が吹き飛び、抑えるものがなくなった拳を京太郎目掛けて振り下ろす。 
   (しまった、あの状態で離せばどうなるかなど・・くぅ!?)(しまっ・・仕方ない!!) 
    智紀は自分の失態を呪い、京太郎は覚悟を決めて歯を食いしばり、純の拳に備えようとした、瞬間。 
   「ここか、京太郎?」 
   「衣!?」「嘘!?」(なんで・くっ!) 
    戸が開きそう訊ねながら衣が入ってきた、当然緊迫した雰囲気であった京太郎と智紀もそれに気付き声をあげる、純も衣の存在に気付き、衣の目の前で殴り飛ばすのは気が引けたのか、咄嗟に握り拳を解き京太郎の顔の真横に手をついて殴るのをなんとか止める。 
   (あ・・危ない、いくらこいつが・・最低でも、衣にとっては・・・くっ!) 
    なんとか衣の前で恋人を殴ると言う最悪のシーンを見せずに済んだ事に安心する純、しかし腹立たしさが消えるわけではなく悔しそうに京太郎を睨み付ける、だがそれも一瞬。 
   (・・今はそれどころじゃないよな、殴ろうとしたのは・・見られただろうし、どう言えば良いんだよ・・そのまま・) 
    今すべきことを思い出す純、もしも殴ろうとした理由を聞かれた時に、どう答えれば衣を一番傷つけずに済むかを考えるが、それを待ってくれるほど時は優しくは無い。 
   「・・純・・これはどういうことだ?」 
   (お、怒っている・・ど、どうする、どう答えれば・・・) 
    いつの間にかベッドの直ぐ横まで来ていて衣は、先ほどの何処か楽しげな声とは違う静かにどこか冷たさを感じさせる声で純に訊ねる、純は声から静かな怒りを感じたがどう答えたものか迷い口を紡ぐ。 
   「衣・・怒っているの?」(やはり・・殴ろうとしたから?) 
   「当たり前だ!」 
   (やっぱり・・けど、どう答える!?)(どうすりゃいい、どうすれば・・) 
    純の代わりに智紀が訊ねると、今度は激しい怒りをあらわにして叫ぶ衣、智紀と純は次に確信をつく言葉が来た時になんと答えるかを必死に頭をフル回転させて考える、そしてその瞬間は直ぐに訪れた。 
   「体でお礼をするなど、衣は断じて認めないぞ!」 
   「・・・はい?」×2
    衣の怒りに満ちた目とは違い、自分達が予想していたのとは余りに違う言葉に、純と智紀は間の抜けた声を上げて首を傾げる、だが衣はそれに気付いた様子も無く、熱く語り始める。 
   「純がどれほど京太郎の世話になったか衣の知るところではない、しかし体でお礼など・・好いている相手に対してならまだしも、お礼で体を差し出すなど絶対に駄目だ!」 
   「・・えっ、お、お礼・・何のことだ?」「お礼・・お礼、体で・・あっ、そうか、純、衣が言っているのは昨日お風呂で話した・・須賀京太郎にお礼をすると言う話」 
    衣が何を言っているのか今一つ理解できない純はもう一度首を傾げる、一方の智紀はキーワードから昨日の風呂での会話を思い出して、純にわかりやすく説明する。 
   「えっ・・ああ、そうか・・でも体って・・どういうことだ?」 
   「それは・・衣が純と須賀京太郎の体勢を見ての判断、衣が・・いえ、事態の流れを知らない人が・・客観的に・・今の状態を見れば・・見方によっては・・」 
   「なんだよ・・もったいぶって、知らない奴が今の状態を見れば・・・・俺が・・須賀の上に・・」 
    智紀に言われ純は今の状態を口頭に出しながら確かめる、ベッドの上に仰向けの京太郎、その京太郎の腰の辺りに馬乗りになって座る自分、それを事態の知らぬ者が見た場合、それはつまり。 
   「俺が須賀を・・押し倒して・・いる?」 
    きょとんとした目で、まるで悪い夢でも見ているかのように顔を引きつらせながら智紀に訊ねる純、しかし無常にも智紀首は縦に振られて、そして衣の口から聞こえてきたのは、ただ一言。 
   「違うのか?」 
   「ちちちち、違う・・違うぞ衣、これは・・違うぞ、これは・・お、押し倒したわけじゃない、絶対違う!」 
    衣の言葉から自分の出した答えが正しいと判断した純は、慌てて京太郎の上から飛び退いて衣の前に立ち誤解を解こうとする。 
   「・・それでは同意の上でベッドに入ったのか?」 
    押し倒したことだけを否定されたと思った衣は、首をかしげながら聴き方を変える。 
   「それも違う、いや・・そもそもそんなお礼をするつもりでここに来たんじゃなくて、俺がここに来たのは透華と須賀が浮気しているかもって思ったからで・」「じゅ、純!?」 
    誤解を解こうと必死になるあまり、一番話してはいけなかったはずの、京太郎を呼び出した目的を口走る純、更に続きそうになったところを寸前で智紀が止めに入る。 
   「あっ・・くぅ!?」(お、俺は何を・・く、くそ・・これじゃあ何のために・・) 
   (純だけの責任じゃない・・私が衣の性格を計算に入れてなかったから・・そもそも、私が確かめようなどといわなければ・・) 
    それ以上余計なことを言わないように自らの口を手で押さえる純、だが既に口にしたことは取り消すことなど出来るはずも無い、純も透華は自らのミスを悔いる。 
   「京太郎と透華が浮気・・馬鹿なことを言うな、そんなのありえない!」 
    悪い冗談だと思ったのか、衣は怒りを露にして純の言葉をばっさりと切り捨てる。 
   「そりゃそうだ・・俺だって最初は信じられなかった・・けど、けどな、須賀の奴が透華は恋人だって、そう言いやがったんだぞ!」 
    これ以上衣が騙されるのが耐えられなかった純は、一番説得力のある、一番重要な言葉を口にする、それが衣を傷つけるとわかっていても。 
   (言っちまった・・けど、これ以上隠しても衣が余計に傷つくだけだ・・)(言った・・けど、仕方ない・・これ以上衣に隠すのも・・辛い・・) 
    目を逸らしたくなる純と智紀、知らせた者の責任、そしてそれに同意した者の責任か、ゆっくりと衣の表情を見る、最初は驚き理解した瞬間悲痛な声と表情をするのだろう、そんな想像をしながら、そして二人の目に映ったのは。 
   「理解しているではないか、そうだぞ京太郎と透華は相思相愛の恋人だ、なんだ後ろめたい関係では無い、浮気だなどと言ったら透華が怒り狂うぞ」 
   「・・はい?」「えっ・・なんで、こ、衣は二人の関係を知って・・いや、認めているの?」 
    にっこりと笑い楽しそうに京太郎と透華の関係を語る衣の姿、純は意味が分からず頭が真っ白になり首を傾げる、智紀も一瞬間の呆けた顔になったが何とか持ち直し、慌てて透華と京太郎の関係が浮気で無いのかを衣に確認すると。 
   「認めるも何も、透華が京太郎に告白して、透華と京太郎が恋人になったのは衣の目の前だぞ」「・・なるほど・・」 
    平然と、と言うよりはなぜ態々そんな事を聞くのか、不思議そうにしながらもちゃんと答える衣、それを受けて納得がいったのか頷く智紀、そして。 
   「なななな、なんだそりゃああああああああああああああ!?」 
    衣の意外すぎる言葉にショックを受けた純の叫びが、邸の中に響き渡ったのだった。
    少し落ちついたが今一つ納得尽くす事が出来ない純の為に行われたのは、京太郎の膝の上に陣取った衣による京太郎と透華がいかに恋人なのかと言う説明であった。 
   「と言うわけだ・・うん、どうした鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、う~ん・・そんなに変わったところはなかったはずだが・理解し辛かったか?」 
    雄弁に語り終えた衣が目にしたのは、間の抜けた表情で口をぽかぁんと開いた純の顔で、その顔をみて自ら話した事を思い出すも特に引っかかる点など無く衣は首をかしげた。 
   「わ、分かり易かったぞ、透華が衣の前で想いを伝えてって・・勘違いして、恋人にしてやるって言うのも透華らしいと思うぞ、だがな・・なんで一の名前が出て来るんだ・・そ、それってつまり・・」 
    押し黙る純、透華が京太郎に告白して結ばれる場所に一が居た、しかも恋人になった透華を喜んで迎え入れたと聞けば、一の立場など一つしか思いつかなかった、だがそれをあえて口にするのは躊躇ったのは信じられなかったからだ。 
   「決まっているだろう、情交をしていたからだ・・一も京太郎の恋人の一人だからな」 
    戸惑うが馬鹿らしく思えるほど、衣はいとも容易く純の考えが正しいことを認める。 
   「一もって・・そんな簡単に・・」(こんな奴の何処が・・別に麻雀が強いわけでも無いし、腕っ節も強そうに見えないし・・見た目は悪いとは思わないが・・) 
    自分の友達三人が夢中になる秘密を探ろうと、膝に乗せた衣の頭を優しく撫ぜる京太郎を見て考える純だったが、顔以外は思い当たるほどの事も無く、そのまま視線を動かさずに居ると京太郎に見ている事を気付かれる。 
   「うん・・どうかしましたか井上さん、俺の顔に何かついていますか?」 
   「えっ、あっ・・いや、その・・」(うっ・・ま、まさか何処が良いのか・・探してなんて言えないし・・あっ、そうだ・・さっきのまだ謝ってなかったな・・よし) 
    見ている事に気付かれた純は慌てて京太郎から視線を外し、本当の事は言えないので何か無いかと考えて、先ほど殴りかかった事を思い出し早速謝ろうとするのだが。 
   「そ、その・・さっきは悪かったな、いきなり・・殴りかかって・・」(って・・な、なんでこんな謝り方に・・これじゃあよけい怒らせる・・よな・・) 
    緊張からか咄嗟だったからか、言葉として素っ気無く謝る意思は本当であったが、それが伝わったどうか不安を覚える純は少し震えながらも、怒られる覚悟を決めて京太郎を見た、しかし。 
   「いや、俺がちゃんと報告してればこんな事態は起きなかったんですから、嫌な思いさせてしまって済みませんでした、井上さん、沢村さんも」 
    純の予想とは真逆の反応、京太郎は自分の非を認めて純と智紀に謝罪する。 
   「衣が傷ついていないのと、衣と透華が険悪にならないのなら、私は特に気にしない」 
   「お、俺もそうだけどよ・・智紀は兎に角、殴ろうとした・・俺にまで謝らなくても・・」 
    智紀は特に焦ることも無く何時ものように落ち着いた口調で返すも、純はまさか逆に謝られると予想外の中でもとびきりのもので、とことん戸惑った様子であった。 
   「良いんですよ、大切な人が遊ばれていると思ったら・・・ああいう行動は致し方ないでしょう、俺だって井上さんと同じ立場だったら怒るでしょうから、だから気に病まないでください」 
   「す、須賀・・」(な、なんで・・そんなに優しくするんだよ、し、しかも笑顔で、お、俺は殴ろうとしたのに・・うっ、こ・・こういう、優しいところが良いのかな・・衣も一も透華も・・恋人になれば・・もっと・・) 
    向けられたのは京太郎の笑みと優しさ、それに触れた純は何と無くだが皆が京太郎を好きになるのが分かった気がした、そして視線は衣に移り、恋人ならこの京太郎の優しさに笑みに触れられるのかと想像する、それが何を意味するかも分からぬままに。 
   「・・・純、顔が赤いけど・・どうかした?」 
   「あっ・・いや、なんでもない」(な、何考えているんだ俺は・・殴ろうとしたのに恋人なんて、それに・・衣や一みたいに可愛い訳じゃないし、透華は・・性格はあれだけど美人だしな、それに比べると俺は・・男らしいって言われるからな・・) 
    智紀に声を掛けられ少し冷静さを取り戻した純は自らの考えに驚きながら、名前の上がった京太郎の恋人達を思い浮かべ、自分との魅力の差に愕然として肩を落とす。
   「そう・・なら良いけど、衣と須賀京太郎・・一つ聴きたい事がある良い?」(純も少し気になるけど・・今はこっちの方が・・) 
    純の態度に引っかかりを覚える智紀、しかし今は目の前に居る二人のほうが優先すべきと思い頭を切り替えて衣と京太郎に視線を向けた。 
   「なんだ、なんでも答えるぞ」「俺も答えられる事なら・・」 
    質問に乗り気を見せる衣と、何を聞かれるのかと思い身構える京太郎、そして許可を貰った智紀はゆっくりと口を開いた。 
   「最初に・・衣以外の恋人を作ろうと言い出したのは・・・須賀京太郎、それとも衣?」 
   「それは・」「衣だ、衣が優希を見て思ったのだ・・恋しい思いはそう易々と諦めきれるものではない、もしも衣が優希の立場だったなら・・と、だから衣は願い出た優希を恋人にしたらどうだと・・それが最初だ」 
    智紀に問われた京太郎がちらりと衣を見ると、衣は雄弁にただありのままの事実を答える、あの時の優希の事を思い出した為か一瞬衣の表情が曇るも、最後は笑顔で話を閉めた。 
   「そう・・」(須賀京太郎が・・衣を言いくるめて、なんて事態じゃなくて安心した・・) 
    心配していた事が杞憂に終わり安心した智紀、そこで話は終わる、筈も無く。 
   「ま、まてまてまて、そう・・じゃないだろう、何を落ち着いているんだよ・・優希って、あのタコス・・じゃなくて、俺と戦った片岡優希だろう・・あ、あいつも恋人なのか!?」 
    衣の話に出てきた優希の名に驚いて、特に追求しようとしない智紀に更に驚く純、仕方無しに自ら衣に事の真意を訊ねる。 
   「もちろんだ、優希は衣の次に恋人になったんだぞ、その次が咲で次が一、その次が透華」 
   (衣に片岡優希、宮永咲、一に透華・・見事に体形が、偶然・・それとも須賀京太郎はそういう娘が好みなのだろうか・・じゃあ、私は・・・) 
   「こ、衣以外に・・四人も居るのかよ・・」(片岡も・・生意気そうだけどあれはあれで可愛いとか・・、宮永咲も・・麻雀は凄いけど、それ以外は普通の女の子みたいだしな・・) 
    衣が上げた名に反応を見せ智紀と純、智紀はその恋人達の体形を思い浮かべ自分の胸を見て、純は優希と咲の事を思い浮かべて其々が魅力的だなと思い、両者とも肩を落とす。 
   「四人ではないぞ、最近ノノカも仲間入りしたから五人、衣も含めて六人だぞ」 
   「ああ・・もう一人ね、ノノカ・・って、原村和!?」「まさか最後の一人が原村和とは・・びっくり・・」 
    間違いをすぐさま訂正する衣、今更一人増えたところで驚くつもりはなかった純と智紀であったが、今まで名前の上がっていた恋人達とは明らかに毛色、ではなく体形が違う和の登場に驚く。 
   (は、原村和は当然、あ・・あれ、あの圧倒的な、須賀京太郎は・・別に胸が小さくなくても・・良いの?、そ、それなら・・私にも・・) 
   (は、原村和って・・や、やっぱり・・女らしい奴が好きなんだな・・、片岡や宮永や一や透華なら・・い、一応胸とかなら・・勝てそうだけど、原村は・・身長位か、い、いや・・それで勝ってもな・・) 
    胸の事を考えていた智紀にとって和の名は可能性を繋ぐ希望となり、女性らしさを考えていた純にとっては可能性を断ち切り絶望にしかならなかった。 
   「そうだ、優希、咲、一、透華、和、そして衣の六人だ・・・って、どうした純、何やら気を落としているようだが?」 
   「・・えっ、いや・・その・・それだけ人数居たら、衣はちゃんと相手をしてもらっているのかなって・・」「純!」 
    落ち込んでいることが衣にばれた純は、内容がばれないように適当に誤魔化そうとするが口にした内容が不味く近くに居た智紀が純の口を塞ぐ。 
   「ん・・んん!?」(って、し、しまった・・お、俺は何を口走っているんだ・・こ、これじゃあ・・まるで・・衣が・・お、怒っているよ・・!?) 
    怒られると思った純が見たのは、怒るどころか寧ろ余裕の笑みを浮かべた衣であった。 
   「その様な心配は杞憂だ、京太郎は衣も他の恋人と同じく・・いや、他の恋人よりも沢山愛してくれているぞ、なぁ、京太郎」 
   「ああ・・なるべく会いにきていますから、心配かもしれませんが・・安心してください、井上さん」(井上さん・・本当にそれを気にしていたのかな・・何か違う気が・・) 
    甘えるように京太郎の腕に抱きついて、仲の良さをアピールしながら京太郎を見つめる衣、京太郎も衣の体を抱きしめて同意しながら、純の不安を取り除く言葉を話すものの、純の態度と言葉に微妙な違和感を覚えていた。 
   「・・そ、そうか・・そ・れなら・・いいんだけどよ・・」(よ、よかった・・お、怒ってないみたいだな・・) 
    元々疑っていたわけではないので純の返事は素っ気無いもので、それよりも衣が怒っていないことに安心する純、だがその態度が予期せぬ事態を招くことになる。
   「う~ん・・・言葉だけでは納得尽くことは出来ないか、それも致し方ないか・・」 
   「えっ・・、な、なんで・・?」「純が気の抜けた返事をしたから、衣は純が不安を拭えなかったと判断した」 
    ちゃんと言葉にしたはずなのに衣には通じていなくて戸惑う純に、冷静に事態を分析した智紀が分かりやすく説明をした。 
   「よし・・今から証拠を見せてやろう、良いな京太郎?」 
   (う~ん、でも衣の予想が当たっていたら・・衣の言う通りにした方が良よな・・)「わかった、じゃあ・・するか」 
    智紀の分析が当たっていると証明するかのように、衣は自分が愛されていることを証明しようと京太郎に是非を問う、思うところはあるもがそれが当たっている自信が無い京太郎は衣の提案を受け入れる。 
   「ここで止めると・・ややこしくなる、だから・・しっかりと見せてもらう」「わ、わかっている・・しっかりと見せてもらうぜ、ちゃんと相手にしてもらっているって証拠を」 
    これ以上事態が妙な方向に進まないように釘を刺し視線を衣と京太郎に移す智紀、純もこれ以上ややこしくする気は無く、智紀の言うように黙って衣と京太郎をじっと見つめる。 
   「うむ、渇目してみるがよい・・京太郎・・」「衣・・」 
    純と智紀の見る気を感じたのか衣はにこりと微笑んだ後、京太郎と対面になる様に体制を変えて京太郎の名を呼び目を瞑る、京太郎もそれに答えるように衣の名を呼んで、顔を近づけ、唇を重ねた。 
   (うっ・・な、なんだ、き、キスかよ・・で、でも・・確かに手っ取り早いかもな)(愛されている証明がキス・・どこかのゲームみたい・・) 
    観覧車でのキスを見ていた純と智紀にとって、普通のキスはそれほど強い衝撃は受けず、多少気恥ずかしさがあるが落ち着いて衣の京太郎のキスシーンを見守っていた、だが。 
   (こ、こんなに長かったけ・・それに・・あ、あんなに動いたか・・それに・・この音・・き、キスってこんなのだっけ?) 
    思っていたよりも長い衣と京太郎のキスを見て、観覧車の時の事を必死に思い出そうとする純、しかし二人の動きも、ゴンドラ越しだったから聞こえなかったはずのぴちゃぴちゃと言う音も、記憶とは違う気がしてくる。 
   (あの時とは違う・・何かはわからないけど、まるで・・互いの熱を・・交わすような・・そんな・・) 
    純とは違い、今目の前で行われている行為と観覧車での行為とが、別のものだと気付いた智紀、しかしそんな二人の事など知らぬと言わないばかり、京太郎と衣はキスを交わしていた、互いの舌絡め、唾液を、熱を感じ交わすようなキスを。 
   「ぷはぁぁ・・はぁぁ・・京太郎・・」「はぁ・・衣・・」 
   (お、終わった・・よかった、これを見せられ続けたら、どうしようかと・・)(終わった・・いや、違う衣の目が・・まだ、終わりじゃない!?) 
    京太郎と衣の唇が離れ、ようやく証明が終わったと思い安心する純、しかし智紀は衣の瞳が自分達を全く見ていない事に気付き、まだ証明が途中である事に悟る。 
   「はぁぁ・・京太郎・・衣は・・今のキスで・・体が熱く・・」 
    甘く熱い途息を吐きながら衣が膝で立ちながら下着を下ろすと、下着と股間の間に愛液が糸の様に伸びて、先ほどのキスで感じて準備ができている事を示す。 
   (なんだ・・お、終わったんじゃ、こ、衣のや、奴・・な、何を!?)(これは・・まさか・・) 
    衣が何をしようとしているのか分からず混乱する純と、衣が何をしようとしているのか理解しながらも混乱する智紀。 
   「衣はエッチだな・・まあ、それは俺もだけどな・・」 
    衣が何をしたがっているのか理解した京太郎は反対しようとはせず、少し腰を上げて下着ごとズボンを下ろすと、窮屈な場所から解放されたモノが衣と同様に準備が万端であると言わんばかりに、天井をさし示していた 
   「ああああ、あれって・・ま、ままま・・まさか!?」「須賀京太郎の・・あぅぅ・・」 
    知識はある、しかしそれをさし示す言葉が出ないのは恥じらいか、あるいは何だかの方法で見たモノとの差か、純と智紀は衝撃を受けて黙り込んで思考が止まりかける。 
   「京太郎ぅぅ衣はもう我慢できないぞぉぉ、京太郎としたい・・情交を、京太郎に愛されたい・・いっぱい・・」 
    衣は京太郎のペニスにおま○こを擦りつけながら京太郎の許可を待つ、その表情は大好きな餌を前にお預けをさせられている子犬の様な愛らしい表情、だが衣が求めるのはそんな可愛らしいものではなく、肉と肉の性と性の重なり合い。 
   「俺もしたいぞ・・衣といっぱい・・愛し合いたい!」「よし、今日は衣が入れるぞ、京太郎は動かなくて良いからな!」
    京太郎の許可が下りると、証拠を見せると言ったからか、単純に我慢の限界だったのか、それとも単純に一度してみたかったのか、京太郎に動かない様に指示を出して、ゆっくりと腰を落としえ京太郎のペニスを自分の膣内に挿入してゆく。 
    くちゃ・・くちゃ・・ 
   「あはぁ・・京太郎の・・あいかわらず、おっきぃぃ・・」 
   (はぁ!・・み、見ている場合か、と、止めないと)「ま、待って、そこまでしなくても!」 
    快楽に震える衣の声で朦朧としていた意識がはっきりした純は、当然そこまで見る気など無いので京太郎と衣の行為を止めようとする・・が。
   「えっ!?」「ひゃぁっ!?」 
    このタイミングで止められるとは思ってもいなかった京太郎が驚いて体を動かすと、その衝撃で衣が体勢を崩し膣内の一番奥まで一気に京太郎のペニスが押し入る。
    ズブッッッッッ!! 
   「いきなりぃぃぃぃぃ!!いくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 
    行き成り奥まで一気に突き上げられる快楽に、衣は我慢する間も無く絶頂に達し体を大きく震わせた。 
   「連鎖反応・・純が声をかけたことに対する・・」「えっ、う、嘘・・ま、まじかよ!?」 
    今衣が絶頂に達してしまったのが自分の責任だと聴いた純は、まさかと思いつつもゆっくりと自分の責任で絶頂に達しさせてしまった衣の顔を窺う、すると。 
   「じゅ・ん・・なぜぇぇ・・はぁぁ・・じゃまおするのだぁ・・はぁぁ・、見るのでは・・なかったのか?」 
   「た、確かに・・わ、わるい・・」(そ、そうだよな・・衣は最初からこうする気で、い、いくら想像していなかったとは言え、あ、あんな所で声かけちゃ駄目だよな・・) 
    荒い呼吸の衣が純を睨みつけながら止めようとした理由を問うと、純も一度自分が見ると誓ったはずの事を、想像と違うだけで止めてしまったことを反省する、だが衣の怒りはそれで収まる訳も無く。 
   「うっ、せっかく・・京太郎と一緒に・・」「衣、悪いんだけど・・怒るのは後にしてくれないか・・このままお預け食らうのは・・結構・・な」 
    純に更に文句を言おうとする衣だが、それは京太郎によって遮られた、京太郎は絶頂による締め付けの気持ち良くなりながらも、衣が怒った状態では続ける気はなれないのか、腰を動かしてもどかしさを主張する。 
   「ひゃあぁ・・あっ、そうであっ・はふぅ・たな・・すまぬ、今は・なにより大切な恋人の・・秘め事だった・・あっ、動いてくれ京太郎・・、今度は一緒に気持ちよくなろう・・」 
   「ああ、わかっている・・今度は一生にイクぞ・・」 
    純に対する怒りよりも今は京太郎との情交が優先だと思った衣は、すぐさま意識を切り替えて京太郎を誘うような妖しい声で囁く、京太郎も我慢の限界だったのか一声かけると腰を動かし始める。 
   (た、助かった・・でも、見続けるのか・・ああ言ったから見ないのも・・ううっ、し・・仕方ない・・よな・・うわぁぁ・・すげぇぇ・・) 
    衣の怒りが逸れた事で胸を撫で下ろす純、既に止める気は無くなり、一瞬迷ったものの約束を守るべく目の前の行為に視線を向けると、迷いなど直ぐに忘れその行為に魅入られる、一方先ほどの騒動でも黙っていた智紀はと言うと。 
   (あんなに深くくわえ込んで・・衣・・凄い・・、原村和で・・良いなら・・私も・・いいのかなぁぁ?)「あっ・・あはぁ!」 
    右手を股間に伸ばしパンツの中に突っ込んでおま○こを弄り、左で左の乳房を揉みながら、興味津々と言った感じで京太郎と衣の情交を魅入っていた。

   (あっ・・どれ位・・経ったんだ・・わからねぇな・・けど・・) 
    ふとそんな疑問を抱く純、十分と言われればそんな気も、三時間と言われればそんな気もして、大よそですらどれ程時間が経過したのか分からずにいた、ただ一つ分かっていたのはその時間に部屋に響いた音が。 
    ズブブッッ!!ズブッッッッ!! 
    肉と愛液が混じりあい。 
   「ひゃあぁぁぁ!・・きょうたろぅ・・こ、ころもは・・かんじすぎてぇぇぇ!」 
   「ああ・・いいぞ、俺もだ・・俺ももうすぐ・・だからぁぁ!!」 
    喘ぎ声と互いを求める声もしくはキスの音、それらが目の前で交わされている京太郎と衣によって奏でられていると言うことだけであった。 
   (ああ・・すげぇぇ・・衣・・あんなに・・痛いくらい・・声あげて・・) 
    苦痛かと聞き違えるかと思うほどの衣の声、それでも京太郎に快楽を与え与えられる衣はとても幸せそうな表情をしている気がする純、そして京太郎もまた幸せそうに見えた。 
   (あ・・熱いな・・でも、衣と須賀は・・もっと熱そうだな、あんなに突き上げられて・・声を上げて・・そんなに気持ち良いんだ・・いいなぁ・・) 
    純の頬は赤い、最初はただ見届けるつもりであったが見ているうちに、京太郎と衣の熱に、男女が交わるいやらしい匂いに当てられ、頬だけではなく体の芯まで熱が篭っているようだった。 
   (須賀の恋人って・・みんなあんな風に愛されているのかな・・・良いな、須賀なら俺を・・って、な、何考えているんだ・・俺は、いくら許されたからって、あ、あんなことした俺をそんな風には・・って、だ、駄目だ、集中、集中だ!) 
    衣や京太郎の恋人に対する羨みだろうか、一瞬京太郎に抱かれる自分を想像しそうになった純だが、すぐさま否定し二人の行為に意識を集中させようと頭を左右に振って考えを吹き飛ばそうとする、とその時。 
   「・・うっ・・はぁ・・くはぁ・・」(・・こ、この声って・・ま、まさか!?) 
    聞こえたのは京太郎と衣の声ではない別人の者、艶やかで湿っぽい声はナニをしているのか純が理解するに十分なものであった、ちらりと横を見た純の目に飛び込んできたのは。 
   「んんっ!・・くっ!!・・」(や、やっぱり智紀!?) 
    服を噛んで声を押し殺しながらも殺しきれない、京太郎と衣の情交を餌に片手で服の上から胸を揉み、もう一方の手はスカートの中に入れて自慰行為に耽る智紀の姿であった。 
   (声を漏らしちゃ・・駄目・・邪魔に・・なる・・けど・・手が止まらない!)「うっくっ!?」 
    智紀は純に見られている事に気付かない、気付く暇など無いのだろう、止められない手か来る快楽で声を上げ、目の前の仲睦まじい恋人の邪魔をしないように必死だったからだ。 
   (と、智紀の奴こんな風に・・するのか、こ、こういうことに興味ないと思っていたけど・・い、意外と凄いな・・) 
    情交を見せられるのも初めてだが、同姓のしかも友達の自慰行為を見るのも初めての純は、そちらに視線を奪われそうになるが。 
   「きょ、きょうたろう・・こ、ころもはもうぅぅほんとうにぃぃぃ!!」 
   (あっ、こ、衣!?)(衣と須賀京太郎がぁ・・うっく!) 
    衣が限界を迎えた声に智紀のことのなど吹っ飛んで純はすぐに京太郎と衣に目を遣る、智紀は視線を外さないものの更に快楽を求める肉欲が手の動きを止めずにいた。 
   「ああ・・俺も限界だ、いくぞぉころもぉぉぉ!!」 
    絶頂後に敏感な状態で与えられ続けても、京太郎が気持ちよくなるまではと言う衣の我慢も、京太郎の声であっさりと限界を突破した。 
   「いっしょぉぉぉ!!きょうたろうとぉいっしょにいくぅぅぅぅぅ!!」 
   「俺もいくぞぉぉぉ!!」 
    声を上げて体を大きく振るわせて二度目の絶頂を迎える衣、その声に応えるかのように京太郎も絶頂に達した。 
    ドクゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥン!! 
   「きたぁぁぁぁぁきょうたろうのせいえきぃぃぃぃ!!」 
    京太郎が気持ちよくなった証拠である精液を膣内に射精され、その幸福感に衣は先ほどより体を大きく震わせて歓喜の雄叫びを上げる。 
   (そ、そんなに・・気持ちいのかな・・うっ、お・・お腹・・っていうか・あ、あそこが・・) 
    快楽に身を焦がす衣を見て、純は体を伝わっていた熱が下腹部に集まるのを感じた、そして京太郎と衣の行為を餌に自慰行為に耽っていた智紀は。 
   「衣いやらしい顔・すがきょうたろ・うっ、くぅぅ・・つぅぅぅ!!」 
    二人の顔が快楽に染まりきるのを見届けて自らも絶頂に達したのだった。

最終更新:2012年02月25日 00:59