なんだよ、騒がしいな……まだ寝ていたいのに。そういや、昨日は夢の中で鈴木と会話したなぁ。「俺たちは心を共有している!」とか言ってたし。変な夢だったなあ。
 「鈴木君!鈴木君!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 鈴木がどうしたんだよ。頼むから甲高い声で叫ぶなよ、朝からうるせぇな。酒井って、あんなにキャーキャー騒ぐタイプだったか?
 「おい……菅原が起きてこねえぞ」
 とたんに外がざわつく。俺が毎日寝坊することぐらい、みんな知ってる癖に。一体何があったのかと外に出る。そこに、死体があった。変わり果てた鈴木が、そこにあった。しかも身体はズタズタに引き裂かれている。騒然とする中、声を張り上げる奴が一人―――佐藤だ。
「みんな、聞いてくれ!あの言い伝えが現実になった!人と狼との戦いの言い伝えが!そして僕が占いの力を得た……酒井さんは人間だったよ」
 わけがわからない。そんな話が本当にあるものか。占い師とか、霊能者とか、共有者とか、狩人とか、そして狼や狐がいるわけが―――
「佐藤は嘘付きだ!俺が本当の占い師だよ!野田さんは人間だ」
 二人目?どういうことだ。みんながみんな頭がいかれたのか。そう思ってる間に―――
「全く……男どもは嘘付きばかりで困るわ。私が本当の占い師よ。横山さんは村人だわ」
 三人?まさか、これから霊脳やら共有やらも―――共有……『僕たちは心を共有している』まさか―――
「僕は霊脳だよ。占いが3人なら、対抗はいないと思うなあ……」
真は、まことに真霊脳ってか。そんな寒いギャグを誰かが言ったが、言わなかったことにされた。
 共有は出ないのか―――?占い霊脳出たから、出た方が良いと思う……いや、出たら人外が黒をいくらでも出せる。――出た後に黒だしなら――真が引いたら――
 みんながみんな、怪しい所を口にする。
「この後、どうするんだよ」そう、口にしてみた。大人はどこにも見あたらない。ということは、みんな狼に殺されたのだろう。
「決まってるじゃないか。」これまでずっと黙っていた総龍が、口を開いた。
「言い伝えの通りに―――。一日一人ずつ、投票で殺せばいい。まあ今日はよくわからないから、情報のない奴をランダムで殺せばいいだろ。」
 ランダムで人を殺す―――怒りよりも先に、自分が殺されることへの恐怖。だから、僕は声を張り上げた。死なないポジションであることを、嬉しく思いながら。
「共有は僕だ。相方は鈴木……まあ、役者は揃ってるな。今日は僕ら役職と暫定的に村人の人を除いてランダムで投票。怪しい奴狙えよ……投票用紙には記名するように。」
「了解」
 こうして、生き残りをかけた戦いが始まった。生きるために殺すことが、いいことなのかはわからない。だけど、僕らにはこれしか選択肢がなかったのだ。

 投票結果
 山は投票の結果死亡した……
最終更新:2011年08月12日 12:19