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(2)編集のことば 谷本小次郎

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(2)編集のことば 谷本小次郎


 二十五年の歳月が巡りて八月十五日終戦記念日を迎え、三百万歴戦の戦没勇士を偲び、誤り伝えられる我が海上挺進第三戦隊の戦闘詳報を、編集記録し、熱烈なる祖国愛に身を挺し、慶良間海に水漬き、渡嘉敷島に草むし悠久の大義に殉じたる戦友の御冥福を祈り、御遺族の方々に幸多かれと祈念致します。そして我が父、兄弟、かく戦えりと後世に伝え何時迄も平和な国日本の道標の一端にもなれば幸いと存じます。私、本部付として戦闘詳報、命令会報を記録し甚だ以て僅かの戦闘のみしか参加せず誠に汗顔の至りでは御座居ますが、幸いに基地勤務隊辻政弘中尉殿が克明に書き綴られた本部陣中日誌と第三中隊陣中日誌(中隊指揮班記録による四月十五日より七月二十四日迄の記録、第三中隊長所有)を資に取り纏め聊の追記誇張・削除をも行わず、正確な史実を世代に残し歴史は再び巡りて精強第三戦隊たりと誇れる事を念願します。又名誉の戦死を遂げられた戦友の嚇々たる武熱を記録し御遺族に御安堵戴きたいと存じます。

 戦死の概況は記述調整官により復員時援護局へ提出済みのものであります。以上の如く沖縄現地に在る渡嘉敷戦闘概要は全く史実に反し記述しあることを現地の村民の方々からも聞き及んでおります。

昭和四十五年八月十五日
元海上挺進第三戦隊本部付
谷本小次郎

大阪地裁判決文より2008年3月28日

陣中日誌(甲B19)は,その中に掲載された「編集のことば」によれば,第三戦隊本部付であった谷本小次郎が基地勤務隊辻政弘中尉が記録した本部陣中日誌と昭和20年4月15日から同年7月24日までを記録した第三中隊陣中日誌をもとに,昭和45年8月15日に編集,発行したものであるとしている。折しも,赤松大尉が渡嘉敷島を訪れた際に抗議行動が起こり,そのことが報道されたのが同年3月であるところ(甲A4ないし7),「陣中日誌」は,このような報道後,同年8月15日に発行されたものであるし,その元となった資料は書証として提出されておらず,その転載の正確性を確認できない。


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