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琉球新報:「極めて一方的だ」 防衛研見解、研究者から批判の声

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「極めて一方的だ」 防衛研見解、研究者から批判の声


 防衛省の防衛研究所が沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)に関する資料に「隊長命令はなかった」との見解を付けていたことが明らかになったことについて、沖縄戦研究者や県民大会実行委員らからは「極めて一方的な見解」など批判の声が相次いだ。係争中の岩波訴訟の争点でもあり、軍命を一方的に否定する政府の姿勢が研究所の見解であらためて浮き彫りになったともいえ「国の意図がますますはっきりした」との声も上がった。

 「研究所の図書館はわたしたちも使用しており、驚いた」と不信感を示すのは沖縄戦研究者の大城将保さん。「岩波訴訟の原告側の主張に沿った記述が見解として付けられている。研究所が(原告側と)何らかのつながりを持っていると疑われても仕方がない由々しき行為だ」と批判した。その上で「直ちに(見解の記述を)削除すべきで、公的責任者が削除を(公に)言明しないといけない」と強調した。

 琉球大学の高嶋伸欣教授も「政府の公の機関が、議論があることについて極めて一方的な見解を資料に添えて示すということは、二重、三重に軽率な行為」と強く批判した。「研究所には非公開の資料もある。不公正な判断で非公開を決めているのではないかと根本的に疑われる問題だ」と指摘した。

 玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会会長は「沖縄戦の実相を消そうとするのは許せない」と国の姿勢を強く非難した。「国が偽造しようとするのは、戦争中にデマを流した日本軍の手口と似ている。だが、体験者の証言する事実は決して消えることはない」と強調した。

 渡嘉敷島の「集団自決」で母と妹、弟を失った金城重明さんは「渡嘉敷島では阿波連の集落の者も遠く離れた字渡嘉敷の北山に移動した。自発的に死のうとしたのなら、自分の集落や墓で死んだはず。軍の命令に従って移動したことは明らかで、そこで強制集団死(『集団自決』)が起きた」と話す。「国は戦争中の軍の暗い部分を払拭(ふっしょく)し、戦争のできる国をつくろうとしている」と危機感を募らせた。

(1/14 9:39)
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