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沖縄タイムス:『軍強制認めず・教科書検定緊急インタビュー』上江洲由直・南部商業高校教諭

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http://www.okinawatimes.co.jp/spe/syudanjiketsu/kinkyu_interview04.html
軍強制認めず・教科書検定緊急インタビュー(4)

上江洲由直・南部商業高校教諭 (12月30日朝刊社会21面)


生の「教材」で真実補う
体験継承 教師に義務

 ―来年度の教科書から「軍強制」の記述が消えることがほぼ確定した。

 軍の命令で「集団自決(強制集団死)」に追い込まれたのが歴史の事実であり、到底認められない結論。「集団自決」の背景を踏まえた上で、「軍関与」の記述が出てきたことは評価できるが、「軍命」の肯定派と否定派の両方にいい顔をしようとする、子どもだましの結論だ。国の中ぶらりんな状態が読み取れる。

 ―指導方法に影響はあるか。

 教科書は必要最低限度の知識。沖縄には戦争体験者がいて、その証言集もある。重みのある生の「教材」を授業に取り入れて教科書を補えばよいし、今までもずっとそういう形で進めている。これは教える側に許容されている範囲で、教科書からの逸脱にはならない。

 ―「9・29県民大会」以降、生徒たちの意識に変化はあったか。

 それまでは、ただ「戦争は怖い」「戦争は嫌だ」だったのが、「何でそんな悲惨な戦争が起こったんだろう」と問題を掘り下げて考えるようになった。体験者の言葉を受け止め、「自分たちが次の世代に伝える役割を担っているんだ」と気付いたのではないか。

 また、一人一人は無力でも、万単位の人間が集まると、国も関心を持つことを肌で実感した。授業で「地元だけじゃなく、全国のマスコミも取り上げるようになった」と発表した子もいる。「大きな山」が動くのを、間近で見ることができた。

 自分は何も変えられない、という悲観的なイメージが、政治不信や選挙離れにつながる。今では「教科書検定はどうなっているの」と生徒の方から聞かれるし、高校生が発言する機会も増えた。数年後には有権者になる子どもたちに、主体性を持って政治に参加する意識が芽生えている。

 ―今後、現場の教師には何が求められるか。

 教科書の記述が足りなければ、教員が沖縄戦の実態を理解した上で、子どもたちにしっかり伝えていく義務がある。地道に戦争体験を集め、教材化して授業の中で生かすような取り組みがあってもいい。子どもたちが自分の手と足を使い、地域の戦争体験者の声を聞き取ることも重要だろう。

 体験者は年々減っていく。彼らの証言を無にしないように、国に「違うものは違う」と伝えていくことが必要だ。(聞き手=社会部・又吉嘉例)
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