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中隊の内部組織

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中隊の内部組織

流転の旅路 -シベリア抑留記-  佐々木 芳勝 著
http://www.asahi-net.or.jp/~ID1M-SSK/
四 満洲第七二五〇部隊に配属
http://www.asahi-net.or.jp/~ID1M-SSK/shiberia/yoshi04.htm
より抜粋

(略)

 翌朝六時、「起床」の声で一斉に飛び起きた。「点呼を行うから直ちに営庭に集合せよ」との声がかかる。昨夜脱いで枕許においてあった軍服を引き寄せ、手早く身に付けようと焦る。ボタンをかけながら、軍靴に足を突っ込む、なかにはボタンをかけながら中央廊下を走る者もいた。非常呼集でもないのに、毎朝この状態が繰り返されるのかと思いつつ、私も先を競って走った。営庭に出てみると、内務班毎に隊列が組まれ、それぞれが次々と加わっていった。

 整列が終わってみると、私の整列順位はかなり前の方に位置していた。初めて受ける朝の点呼である。前方に中隊長以下、中隊全員の上官が居並ぶ中で点呼が行われた。中隊長が指揮台に立ち、昨夜の訓示を補うように、我々初年兵の士気を鼓舞してから、隷下の士官等を隊付将校、池田少尉、柳少尉、永瀬少尉、川井見習士官、人事係小林准尉、庶務係松沢軍曹、被服係常法寺軍曹、兵器係辻軍曹、金子伍長、陣営具係長原軍曹、自動車係上野伍長、馬係北川軍曹、菅原伍長と、次々顔ぶれが紹介された。中隊の内部組織が、すこし分かった様な気がした。その後、川井見習士官の指揮で、天突き運動と呼称する運動、脚を屈折しながら両手拳を上に突き挙げる運動を数十回繰り返した。酷寒の北満の朝、息づかいの荒くなった兵士の吐く白い息が隊列の中を漂っていた。

(略)
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