教科書検定に関する意見書
去る9月29日、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」が、沖縄県知事、沖縄県議会議長、那覇市長及び県内41全市町村議会をはじめ、県民が一体となり、復帰後最大の県民の参加で開かれ、文部科学省による沖縄戦の歴史の歪曲に抗議し、その実相を正しく継承していかなければならないという熱い思いのこもった大会となった。
旧日本軍の関与が削除されたことを機に、これまで証言をためらっていた戦争体験者の方々から、沖縄戦に関する新たな証言が相次いでいる。
当市議会は、復帰35周年の5月15日、沖縄戦における「集団自決」が、日本軍による命令・強制・誘導等なしに、起こりえなかったことは紛れもない事実であり、そのことがゆがめられることは、悲惨な地上戦を体験し、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられてきた沖縄県民にとって、到底容認できるものではない。沖縄戦の歴史を正しく伝え、悲惨な戦争が再び起こることがないようにするためにも、今回の検定意見が速やかに撤回されるよう意見書を提出した。
しかし、文部科学省は、那覇市民、沖縄県民の沖縄戦における「集団自決(集団死)」の実相、体験を無視し、教科書会社による訂正申請に対し、再度の書き直し「指針」を伝えたことが明らかになった。
この「指針」に示された内容は、「沖縄戦の事実を正しく伝えてほしい」との市民・県民の思いに応えるものでなく、軍の強制をあいまいにするもので到底容認できるものではない。
よって、文部科学省は、「沖縄戦の事実を歪曲してはいけない」との市民・県民の声を真摯に受け止め、速やかに検定意見を撤回し、記述を回復されるよう、再度強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成19年(2007年)12月25日
那 覇 市 議 会
あて先 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、文部科学大臣
2007年12月26日(水)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-12-26/2007122615_02_0.html
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-12-26/2007122615_02_0.html
教科書検定
那覇市議会が意見書
文科省「指針」容認できぬ
沖縄戦「集団自決」をめぐる教科書検定で、訂正申請した教科書会社に対し文科省が書き直しを求める「指針」を伝えたことについて、那覇市議会は二十五日、「軍の強制をあいまいにし、到底容認できない」とする意見書を全会一致で可決しました。意見書は、議会運営委員会で日本共産党市議団が全会派に呼びかけていたものです。
意見書では、沖縄戦における「集団自決」の実相、体験を無視し文科省が再度の書き直し「指針」を伝えたとして、「『沖縄戦の事実を正しく伝えてほしい』との市民・県民の思いに応えるものでなく、軍の強制をあいまいにする」と厳しく批判しています。
その上で「文科省は、『沖縄戦の事実を歪曲してはいけない』との市民・県民の声を真摯に受け止め、速やかに検定意見を撤回し、記述を回復」するよう求めています。
同市議会が教科書検定問題で意見書を可決したのは、五月に次いで二回目。
渡久地修・党市議団長は「市民・県民の意思を無視し、文科省が指針を出したことは許せない。意見書の可決は、検定意見が撤回され軍強制の記述が復活するまでたたかいぬく新たな出発点になると思う」と語っています。