夏淑琴さん名誉毀損訴訟とは
日本兵に家族を殺された夏淑琴さんが、「否定派」として有名な東中野氏と展転社に対し、損害賠償と謝罪を求めて争っているこの裁判は、昨年6月の第1回公判以来7回の口頭弁論が行われ、ようやく判決を迎えることになりました。7月27日の第7回(最終)口頭弁論の傍聴の抽選は、傍聴席40に対し抽選券の発行は26枚という寂しい人数でしたので、判決日は是非多くの方々に集まっていただきたいと願います。翌日の報告集会も是非ご参加下さい。
1937 年12月13日、南京の新路口付近に住んでいた夏淑琴さんの9人の家族は、侵入してきた日本兵によって7人を殺害され、夏さん自身も背中や脇腹を銃剣で傷つけられました(これは「新路口事件」と呼ばれています)。当時南京在住のアメリカ人宣教師ジョン・マギーは事件の現場を調査し撮影フィルムとその解説文(英文)を残しています。
しかし亜細亜大学教授・東中野修道氏は著書の「『南京虐殺』の徹底検証」(展転社)の中で、
「夏家の『七、八歳になる妹』は銃剣で刺し殺されたことになっている、すなわち夏淑琴さんはこの事件の生存者ではない」
という主張を行いました。つまり夏さんは偽の証言者であると、記述したことになります。
この東中野氏の推測の元となったものは(恐らくは意図的な)誤訳です。氏は「bayonet」という動詞を「銃剣で刺し殺す」と訳しましたが、これには「銃剣で突き刺す」という意味もあり、必ずしも殺害を意味するものではありません。しかも氏の解釈では12月13日に刺し殺されたはずの「七、八歳になる妹」が、年が明けてから「ドアのところに立って」いるところをマギーに撮影されているのです。氏の解釈はこの部分を無視して創作されたものであり、事実を無視した誹謗中傷に他なりません。
被告側(東中野氏の弁護側)はこの指摘に対し過ちを認めるどころか、多くの準備書面を提出し「名誉毀損に値する記述ではない」「夏淑琴さんは事件の被害者とは別人だという判断も妥当である」「新路口事件の証拠がない」などと主張してきました。
それらは氏の従来の主張を繰り返すようなものでしたが、原告側(夏さん支援側)は一つずつ反論を積み重ねました。被告側が提出した原文が不明な邦訳文献については、数多くの資料を収集しなぜそのような記述が生まれたのか解明しました。どちらの主張に妥当性があるかは一目瞭然でしょう。
戦争犯罪の被害者・証言者の名誉を守り、歴史の事実を正しく伝えるためにも、この裁判に勝たなくてはなりません。その為にも一人でも多くの方々に集まっていただきたいのでよろしくお願います。
※東中野氏の主張の問題点については、これらのサイトで詳しく論じられています。
南京大虐殺 論点と検証
http://wiki.livedoor.jp/kknanking/d/%c6%ee%b5%fe%c2%e7%b5%d4%bb%a6%a1%a1%cf%c0%c5%c0%a4%c8%b8%a1%be%da
http://wiki.livedoor.jp/kknanking/d/%c6%ee%b5%fe%c2%e7%b5%d4%bb%a6%a1%a1%cf%c0%c5%c0%a4%c8%b8%a1%be%da
夏淑琴さんは「ニセ証人」か?-東中野修道氏『SAPIO』論稿をめぐって-
http://www.geocities.jp/yu77799/nankin/kashukukinsapio.html
http://www.geocities.jp/yu77799/nankin/kashukukinsapio.html
続・夏淑琴さんは「ニセ証人」か?-東中野修道氏『「南京虐殺」の徹底検証』を検証する-
http://www.geocities.jp/yu77799/nankin/tetteikenshou.html
http://www.geocities.jp/yu77799/nankin/tetteikenshou.html