「裁かれた沖縄戦」安仁屋政昭の編集
紹介dj19さん：「dj19の日記」より
http://d.hatena.ne.jp/dj19/20071012
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「裁かれた沖縄戦」安仁屋政昭 編（晩聲社・1989年）。同書は*1第三次教科書訴訟で家永氏が取り上げた沖縄戦に関連する裁判記録が収められたものです。
「裁かれた沖縄戦」P68.69.70.71
安仁屋政昭証人調書
―――（曽野綾子氏の著作に）赤松隊長によって集団自決が命令されたのだという事実がなかったのではないかということを立証された文章がございます。該当部分だけを読みますと、「自決命令はなかったこと。集団自決の実態がかなり誇大化されている点などを立証した。この事実関係については、今のところ曽野説をくつがえすだけの反証は出てきていない。」こういう表現がございます。この点について証人はどのようにお考えになっているのでしょうか。
安仁屋政昭：二点ありますね。一点は、曽野綾子さんが、「ある神話の背景」という本の中で、「自決命令はなかったこと。集団自決の実態がかなり誇大化されている点などを立証した。」こう書いていますけども、あの本を読む限り、立証されているとは思いません。それから、「この事実関係については、今のところ曽野説をくつがえすだけの反証は出てきていない。」こういうようなことを言っていますけれども、私自身、渡嘉敷村史の編集を担当しておりまして、1972年以来の調査で言いましても、20年近い調査活動をやっている中で、曽野綾子さんの説をくつがえすだけの反証は出てきております。先ほど申し上げました通り、兵事主任という役割は、大きな役割だと言いましたが、兵事主任の証言を得ているということは、決定的であります。これは、赤松部隊から、米軍の上陸前に手流弾を渡されて、いざというときには、これで自決しろ、と命令を出しているわけですから、それが自決命令でないと言われるのであれば、これはもう言葉をもてあそんでいるとしか言いようがないわけです。命令は明らかに出ているということですね。
―――その、兵事主任の証言というのは、渡嘉敷村史に収録されているということですね。
安仁屋政昭：はい、渡嘉敷村史にも収録されておりますし、私が二年か三年前に書いています地方史研究にも書いておりますし、私だけではなくて、多くの人がそのことは書いております。
（中略）
―――また先ほどの文章のところに戻りますけれども、この*2大城さんの文章は、この自決命令はなかったとい事実を立証したというふうに断定的にお書きになっておられるわけですけども、そのある事実がなかったと、まあここでは自決命令ということになっておりますけれども、これが存在しなかったということは、通常あり得ることなんでしょうか。
安仁屋政昭：それは極めて困難であるということですね。住民殺害をした日本軍の一員であった人が、私はやったというような証言をなさっている例も有無ではありません。ないわけではありませんけれども、大方は自己弁護のための、『私はそんなことを言わなかったと、やらなかった。』ということで被害を受けた住民の側から告発されておりますが、突っぱねて、水掛論になるという事例が多いわけです。そういう意味では、今の渡嘉敷の例で言いますと、命令があったんだという立証としては、私はこの手榴弾を兵事主任が受け取っているという事実です。手榴弾は実際に爆発しましたので、それまでは否定できないでしょうね。手榴弾というのは、本来民間人が持つものではないわけですよ。厳重に監視されている、あんなきびしいスパイ防諜対策をとっている中で、民間人が手榴弾を持つということ自体がおかしいのです。そのことまでは否定できないと思います。盗んできたわけではありません。二十発も盗んでくることはできないわけですから、これはあったというふうに思うべきですね。で、なかったという立証を曽野綾子さんはなさったと言いますけれども、これは文章で書いている限りのこと、あるいは赤松隊関係の人達の証言を一方的に、これこそ誇大に表現しているに過ぎないと思います。
- 1：1988年2月9日・10日に那覇地方裁判所で行なわれた原告・家永側（安仁屋政昭氏、金城重明氏など）の証人調べに対して、被告・国側（曽野綾子氏など）の証人調べは同年4月5日と5月13日に東京地裁にて行なわれた。
- 2：「ある神話の背景」が出版された１９７３年には、曽根綾子氏の主張が事実に反することを立証する証言が出ていた。渡嘉敷村の兵事主任であった新城真順氏（戦後、改姓して富山真順）は、「日本軍から住民に対して自決命令が出ていたこと」を明確に証言している。（詳しくはこちらhttp://www.geocities.jp/forever_omegatribe/okinawa.html ）
