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沖縄集団自決冤罪訴訟が光を当てた日本人の真実

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正論2006年9月号(産経新聞社・扶桑社)
靖国特集 

沖縄集団自決冤罪訴訟が光を当てた日本人の真実

弁護士 徳永信一

《リード》

その戦いは、平成17年10月28日大阪地裁202号法廷で始まった。《沖縄集団自決冤罪訴訟》と命名された裁判である。壇上に3人の裁判官が座り、開廷が宣言され、やがて弁護団の岩原義則弁護士が立ち上がり、満員の傍聴人が見守るなか、訴状の要旨を朗読し、最後にこうまとめた。

「以上のとおり、被告大江健三郎が著した『沖縄ノート』を含む被告岩波書店発行の書籍は、沖縄戦のさなか、慶良間列島において行われた住民の集団自決が、原告梅澤裕元少佐あるいは原告赤松秀一の兄である亡き赤松嘉次元大尉の命令によるものだという虚偽の事実を摘示することにより原告らの名誉を含む人格権を侵害したものである。よって、原告らは、被害の回復と拡大を防止するため、それらの出版停止、謝罪広告及び慰謝料の支払いを求めるものである」

これがこの裁判の骨子である。虚偽の事実を摘示して人の名誉や人格権を傷つけたものは、刑事、民事の責任を負う。この裁判は、言葉の力を信じることで成り立つ民主主義社会の出発点となるべきこの普遍的ルールに則り、虚偽をふれ回った者に対して謝罪広告等の責任を求める民事訴訟である。そしてそれは沖縄戦のさなか慶良間列島で起きた集団自決という悲劇の責任を「自決命令」という全くの虚構をもって2人の守傭隊長に押し付け、沖縄戦の実相から目をそらしてきた「戦後」という奢った時代の偽善と欺瞞を問うものである。

標的としたのは「戦後」の言論をリードしてきた岩波書店が出版した3冊の書籍。昭和40年に発行された中野好男・新崎盛暉『沖縄問題二十年』、昭和42年に初版本が発行され昭和61年発行の第二版を文庫化した家永三郎著『太平洋戦争』、そして昭和45年に出版された大江健三郎著『沖縄ノート』である。


  1. 『鉄の暴風』―――発端
  2. 覆された「神話」
  3. 訂正された家永著作
  4. 梅澤元少佐の意見陳述
  5. 歴史の「拡大解釈」
  6. 教科書と「偽りの記憶」
  7. 提訴の決意
  8. 大江健三郎と戦後民主主義
  9. 『石に泳ぐ魚』事件判決
  10. 政治的強弁の手法
  11. こじつけの手法
  12. 死者への<しっと>
  13. 『泣いた赤鬼」と靖國の心。


徳永信一氏
昭和三十三年(一九五八年)大阪府生まれ。六十年に京都大学法学 部卒業、司法試験
合格。六十三年、弁護士登録。大阪HIV(薬害エ イズ)訴訟弁護団、小泉純一郎首相
の靖國神社参拝をめぐって起こ された訴訟のうち、大阪訴訟で被告とされた靖国神
社を守るため に結成された「靖國応援団」の中心メンバー。編著書に『薬害エイズ
国際会議』(彩流社)、共著『新世紀の靖國神杜』(近代出版社)。
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