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4-01 韓国でなぜ今問題になっているのか…

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pipopipo555jp

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4-01 韓国でなぜ今問題になっているのか…


  話してきたように日本の敗戦後、朝鮮の独立後長くこれが社会問題となることはなかった。そこにはこれも語ってきたように北から南まで朝鮮半島全土が廃墟となった朝鮮戦争、その後遺症としての経済の大混乱などの問題もあった。儒家思想による男社会の問題もあったように思われる。

  ところが一九八七年韓国におこった民主抗争のなか女性運動がめざましくなり、そのなかで女性の立場から日本帝国主義下における韓国人・朝鮮人の被害をみつめなおそうとする動きが出てきた。そのことが根底にあったのではないかと私は思っている。下からの市民運動ということだ。

  いっぽう韓国の梨花女子大に尹貞玉(ユンジョンオク)という教授がおられた。一九九一年に停年で教授職を退かれたが、彼女は挺身隊にとられた世代の一人だったが父親がうまく徴用令逃れに動いてくれたのでそれにとられることなく助かった方だ。そうした流れのなか彼女がかねてから胸のなかにうずいていた挺身隊にとられた同胞のことを調べ始めていた。

  やがて一九九〇年五月盧泰愚(ノテウ)韓国大統領の訪日を前に「日本の戦争責任問題」が韓国内で問題となるや、その大きな一つとして尹貞玉さんらの調べてきた従軍慰安婦(挺身隊)にかかわることが当然のように取り上げられることになっていった。ところがこれにたいし日本政府は「従軍慰安婦は民間業者が連れて歩いたもので国としては関与していない」とした。国には責任がないとしたわけだ。

  これに怒った韓国の十三の女性団体は「抗議の公開書簡」を発表するとともに「韓国挺身隊問題対策協議会」を結成、尹貞玉さんを共同代表におした。さらなる追及に「調べようにも手がかりがない」ことを口実に謝罪・補償はできないと日本政府が答えると再び公開書簡を発表していった。それは戦後四十七年少なくとも韓国・朝鮮に関してはこの問題をふくめ戦争責任問題のいっさいを無視し、とりあおうともしなかった日本と日本政府への怨念の爆発だったといっていいだろう。



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