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3-05 そのとき今日のように問題となることはなかったのか…

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pipopipo555jp

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3-05 そのとき今日のように問題となることはなかったのか…


  双葉社から出したときの発行部数は三十万部だった。一般に本が万単位で出ると反響がそれなりにあるものだが、読者からの反響も問題になることもなかった。それとなくわかったのはその本を購入したのはかつて戦地で従軍慰安婦を買った元兵隊か、慰安所の存在を知っていた元兵隊で、一種の想い出物語として手に入れたということだった。

  一部の元軍人グループから「今さらこんな軍の恥部をさらけ出して何になる」という激烈な意見ももらったが、婦人団体や婦人層からは全くといっていいほど反応はなかった。逆に「私こんな本は嫌いよ、きたならしい」という婦人団体の幹部もいた。この従軍慰安婦を考えだした軍の幹部の根底には日本国内の公娼制があったと見抜き高く評価してくれたのはキリスト教婦人矯風会の高橋喜久江さんを代表とする幹部と、兼松左知子さんを代表とする全国婦人相談員のグループだけだった。

  三一書房の三一新書はわりと学生が読むらしく、そこで復刻されるや大学生の間から若干の反響があったが、大学生は卒業し就職するとそんなものは忘れてしまうものらしくそれで終りだった。講談社の講談社文庫の方も売れはしても社会問題になることはなかった。



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