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一三 全貌に迫るために

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pipopipo555jp

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一三 全貌に迫るために

 いうまでもなく現在、南京大虐殺の全貌を厳密に実証・再現することは、ほとんど不可能である。しかし、旺盛な資料・証言発掘によって、その全貌に迫っていくことは可能である。

 そのための当面の作業としては、つぎの三つが考えられる。一つは、南京攻喀戦に参加した日本軍の兵士.将校の資料・証言を発掘・収集すること。最近になって「中島第十六師団長日記」(『増刊・歴史と人物』一九八四年十二月)をはじめ、重要な資料が出はじめている。一つは、中国・台湾側の資料.証言の発掘・収集。中国人の虐殺目撃者はすでに本多勝一氏が聞き取り調査を行っているが、まだまだ少ない。南京事件調査研究会の一員として、一九八四年の暮、南京の現地調査に参加したとき、往来で偶然話した人が、自分の職場や親戚に虐殺目撃者がいることを紹介してくれた。南京にはいまでも一七〇〇余名の体験者が生存しているとのこと。そして一つは、南京に残留した外国人の資料・証言記録の収集である。これは今回私が着手した作業である。

 以上の個別作業を進めながら、日本兵・中国人・外国人(欧米人とすべきだが、いままでの呼称に従う)の三者の立場から得た証言・資料をつき合わせて、個々の事例について照合させていけば、相当実態に遣ることができる。こうした具体的事例の符合を積み重ねていけば、その全貌がしだいに浮かび上がってこよう。

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