IV-04＜若藤楼の女性たち、慰安婦だったら「自決」しないだろう＞ - 15年戦争資料 @wiki

【沖縄戦】「美しい死」と「不潔な死」
IV. 伊波苗子証言(2) 2012.3.1 書き起こし

---

IV-04＜若藤楼の女性たち、慰安婦だったら「自決」しないだろう＞

動画https://youtu.be/O6i1g0Tu6vY?t=10m52s

スタジオ
（水島）はい、最後は何て、とんでもない人がいるっていう？…

（大高）わからん人が言っているということで、結局その若藤楼の女性というのは、看護士集団だったけれど、それに落ちて炊事係として奉仕したということを、仰っているわけですね。

（水島）兵隊としてね、はい*37

（大高）で、その若藤楼出身の3名の女性のうちの一人はですね、坂口副官とまあ恋愛関係にはあったということも仰ってるんですけれども*38、それだと、次ごらんいただくＶＴＲの証言、辻褄が合うんですけども、3名の女性は最期牛島閣下が切腹する前にですね、自決してるんです*39。で、その状況を伊波さんがまた説明してますので、なぜ、女性たちが自決したのか、慰安婦だとしたら本当に自決するのかということを*40、ご覧頂きたいと思います。(11 47)

伊波苗子さんインタビュー　録画ビデオ

（大高）で、トミさんハツさんは、最後に自決した。

（伊波）最後に自決をした。

（大高）なぜ自決されたのかもう一度*41、教えていただけますか？

（伊波）これはね、摩文仁でね、あの、追っ手にね、外でされる*42よりね、また自殺するより、みなさんね、閣下殿、牛島閣下殿、参謀長閣下殿、高級副官将校、みんなの前でね、あの、あがると*43、そんでね、閣下殿のね、牛島閣下殿、参謀長閣下殿ネ、将校、あの、方々のね、皆様の先に行ってね、「天の川でお待ちしてお迎えする」って*44、だから皆様の前でネ、わたしら13名*45 をネ、お願いしますって来たわけ。そんでＯＫしてね、参謀たちもみ～んな立って、みんなこうして立ってなさるよう、そのまんなかでねえ、台の上で、やっている、これが20日の日ね*46a。　

（伊波）こうして並んでさ、あたしあちこちしようとして来たらネ、もう並んで、このハツとね、金ウシとね、首里の王様の娘*46bである、そんでトミとね、徳田トミ、徳田ハツ、金ウシ、3名*47並んでいる。そのときにね、もうコップの中、薬入れているさ、こうして座っているけど、うちによ、「あんたはね包帯たくさん持っているからね、私たちがこのコップの水を飲んだらね、横になるから、手と膝と足とね、あんたがたが持っている包帯で、くくって頂戴よー」って。「ハイ」ちゅうてね、私は、救急袋からみんな出してね、＿？＿飲んでから、皆様立ってるそれよ。そんでね、お辞儀して、「お先に天の川でね、お待ちしてますから、お迎えしますから、お先にお願いします」*48言うてね、お辞儀してコップとって飲んで、横になりおった。私はもう、＿？＿気もしないでね、見つめていたまで。そんで、飲んで横になってこうしたから、わたし慌ててね、手くくってね、足もくくって3人ともして、して後からね、額さわってね、もう「ご冥福をお祈りします、もう何のね心配もしないでよ、後のことチビ*49がね、やっていくから、ご冥福祈りますよ、お先に」ちゅうてね、こうこうしたら…（15 01）フェードアウト

• *37　水島氏は、若藤楼の女性たちを「女性志願兵」にしようとしている。
• *38　徳田ハツが長勇参謀長付き副官である坂口勝大尉の愛人。徳田トミが高級副官である葛野隆一中佐の愛人。
• *39　この話は首里ではなく摩文仁での出来事。「牛島閣下が切腹する前に」という自決順序は、他の文献に照らすとかなり不可解であるが、「お先に天の川でお待ちしてます」という物語性には欠かすことができない順序なのだろう。
• *40　「慰安婦だとしたら本当に自決するのか？」という大高や水島の物言いは、「従軍慰安婦とは、金にまみれた朝鮮人女」という、彼ら自身がレッテル付けした定義に縛られたものなのだろう。こういう定義に縛られると、事実も真実も見えてこない。慰安婦でも戦闘に参加したり、「自決」したりした事例はある。https://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/520.html　→次項*50
• *41　この動画がリテーク＝撮りなおしのモノだということを示す言葉。ここで注意すべきは、伊波さんの話が首里から摩文仁へと飛んでいるということ。
• *42　殺される
• *43　高いところにある司令部壕に上ると。摩文仁の司令部壕は断崖の上部にあった。
• *44　「正論」2012年7月号の大高未貴記事では、「天の川」ではなく「三途の川」になっている。沖縄では「三途の川」を「天の川」というのだろうか。
• *45　摩文仁の司令部壕に現存している女性たちの数なのか、あるいは既に死んでしまった人も合わせて、摩文仁までいった仲間の数なのか？
• *46a　伊波さんは「6月20日」だったと強調するが、それは、司令官・参謀長、副官たちとの自決の順序、「先に御待ちします」のキーワードに関わるからだろう。
• *46b 辻遊廓の女性たちは、辻の歴史と伝統、格式の高さを誇りにしており、ジュリの初めは琉球王家の血を引く姫君であった、という言い伝えを信じていた。
• *47　徳田トミ、徳田ハツは若藤楼のおそらくチミジュリ（詰尾類）、金ウシは2人のアンマー（抱親）。この3人が揃って写っている写真が、那覇市歴史博物館2012『辻の文化史を伝える』特別展示のパンフレットに載ってるという（『正論』2012.7月号、大高）。
• *48　この「天の川」物語がこの証言を読み解くキーワードか。百田尚樹あたりが殉国小説化するかも知れない。
• *49　「チビ子」は当時の伊波さんのニックネーム　2011年11月のビデオで語っている

---

【沖縄戦】「美しい死」と「不潔な死」

.