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1Bqの摂取が与える預託線量Sv

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1Bqの摂取が与える預託線量Sv(預託線量係数Sv/Bq)
( 表によって単位が、Sv/Bq のもの mSv/Bq のものとがあります。)
 
 
 
Contents
 
 
 
1-1 原則
 
ベクレルBqからシーベルトSvへ換算する「線量係数」は、あくまでも「摂取量Bq」に掛け算するべきものであって、「体内残存量Bq」に掛け算してはいけない。

たとえば、ヨウ素131の場合、原子力安全委員会の規定では、体内に入ったヨウ素131が日本人の場合20%が甲状腺に沈積するとされている。

したがって、


「甲状腺沈積量Bq」=0.2×「摂取量Bq」


「甲状腺沈積量」とは、1時的吸入摂取においては、血液中を巡ったヨウ素131が24時間後に甲状腺で最大ピーク量となる、その値のこと。その後は、実効半減期約7日で減っていき、「体内残存量」となる。 

(実効半減期とは、物理的半減期8日に排泄などの生物学的半減期を 掛け合わせたもの)

 
 
1-2 参考文献
 
・ ICRP Publication 72: Age-dependent Doses to Members of the Public from Intake of Radionuclides: Part 5. Annals of the ICRP, 26(1), 1996. (国際放射線防護委員会)
・ 原子力安全委員会:『環境放射線モニタリング指針』2008年3月(原子力安全委員会)http://www.nsc.go.jp/anzen/sonota/houkoku/houkoku20080327.pdf
・ 原子力安全委員会・原子力発電所等防災対策専門部会・環境ワーキンググループ:『飲食物摂取制限に関する指標について』平成10年3月6日http://trustrad.sixcore.jp/wp-content/uploads/2011/03/7221186cfa36d490b84f398707fcf5e2.pdf

 
1-3 変換プログラム

 
1-4 年間摂取量
 
・年間の核種摂取量=環境試料中の年間平均核種濃度×その飲食物等の年間摂取量(1)
または
・年間の核種摂取量=環境試料中の対象期間内の平均核種濃度×その飲食物の毎日摂取量×対象期間内摂取日数(2)
または
・年間の核種摂取量=Σ(環境試料中の毎日の核種濃度×その飲食物の毎日の摂取量)(3)
 
 
1-5 吸入摂取による内部被ばく線量
 
H=Σi(Ki・χi・M・T)
 
ここで、H:実効線量又は組織の等価線量[mSv]
Ki:線量係数[mSv/Bq]
χi:放射性物質の大気中濃度[Bq/cm3]
M:呼吸率[cm3/h 又はcm3/d]
T:滞在時間[h 又はd]
であり、Ki、M については、〔表I-7〕に示す値を用いるものとする。また、χi は、
モニタリング結果又は計算結果より求める。添字iは放射性ヨウ素、ウラン、プルトニウ
ムの各同位体を表す。
なお、安全側の評価となるよう、放射性ヨウ素については小児、ウラン及びプルトニウ
ムについては成人の被ばく線量を評価するものとする。
 
(c)呼吸率*
評価対象
活動時[cm3/h]
日平均[cm3/d]
小児
0.31×106
5.16×106
成人
1.2×106
22.2×106
* ICRP Publication 71
 


1-6 預託線量とは
 
預託等価線量, HT(τ) [Committed equivalent dose]
標準人が体内に放射性物質を摂取後,特定の組織又は臓器における等価線量率の時間積分。ここで,τは摂取後の年で表した積算時間である。成人の場合は50年,子供の場合は70歳までとする。
 
預託実効線量, E(τ) [Committed effective dose]
臓器又は組織の預託等価線量と適切な組織加重係数(wT)との積の和。ここで,τは摂取後の年で表した積算時間である。預託期間は,成人の場合は50年,子供の場合は70歳までとする。
(以上はICRP2007勧告日本語版・用語解説より)
 
上記の「時間積分」は、核種ごと、1回の摂取イベントごとに行い、その総和を求める。
 
上記の「実効=effective」とはICRP勧告書によれば、「死への貢献度」で評価した、という意味である。切除手術を受けて9割が医学上治ってしまう「甲状腺がん」は、いわば「死への貢献度」である「組織・臓器荷重係数」が、意外に低い。「人生」におおきなダメージを与える障害であることは考慮されていない。
 


 
 
1Bqを経口又は吸入摂取した場合の
〔成人、幼児及び乳児の甲状腺の等価線量に係る線量係数単位:mSv/Bq)
原子力安全委員会
国際放射線防護委員会(ICRP Puble72, 1996)
年齢
経口摂取
吸入摂
取※
年齢
経口摂取
吸入摂取
エアロゾル
ヨウ素
単体
ヨウ化
メチル
急速
中位
緩慢
成人
3.2
×10-4
2.9
×10-4
成人
4.4
×10-4
1.5
×10-4
2.2
×10-5
1.1
×10-6
3.9
×10-4
3.1
×10-4
15
6.9
×10-4
2.2
×10-4
3.4
×10-5
1.7
×10-6
6.2
×10-4
4.8
×10-4
10
1.1
×10-3
3.7
×10-4
5.5
×10-5
3.O
×10-6
9.5
×10-4
7.4
×10-4
幼児(~4歳)
1.5
×10-3
1.4
×10-3
5
2.1
×10-3
7.3
×10-4
1.1
×10-4
5.9
×10-6
1.9
×10-3
1.5
×10-3
乳児(~1歳)
2.8
×10-3
 
2.5
×10-3
 
1
3.6
×10-3
1.4
×10-3
2.1
×10-4
1.2
×10-5
3.2
×10-3
2.5
×10-3
3ヶ月
3.7
×10-3
1.4
×10-3
3.2
×10-4
2.3
×10-4
3.3
×10-3
2.6
×10-3
原子力安全委員会の吸入摂取は元素状(ヨウ素単体)を想定
 
 
1Bqを経口又は吸入摂取した場合の成人の実効線量係数単位:mSv/Bq)
原子力安全委員会
国際放射線防護委員会(ICRP Puble72, 1996)
年齢
経口摂取
吸入摂取※
年齢
経口摂取
吸入摂取
急速
中位
緩慢
成人
1.6
×10-5
1.5
×10-5
成人
2.2x10-5
7.4x10-6
2.4x10-6
1.6x10-6
15
3.4x10-5
1.1x10-5
3.4x10-6
2.0x10-6
10
5.2x10-5
1.9x10-5
4.7x10-6
2.4x10-6
幼児(~4歳)
7.5
×10-5
6.9
×10-5
5
1.0x10-4
3.7x10-5
8.2x10-6
3.5x10-6
乳児(~1歳)
1.4
×10-4
1.3
×10-4
 
1
1.8x10-4
7.2x10-5
1.5x10-5
6.2x10-6
3ヶ月
1.8x10-4
7.2x10-5
2.2x10-5
8.8x10-6


 
1Bqを摂取した場合の線量係数の比較
原子力安全委員会単位:mSv/Bq)
 
乳児(~1歳)
幼児(~4歳)
成人
(経口)甲状腺の等価線量に係る線量係数
2.8
×10-3
1.5
×10-3
3.2
×10-4
(経口)実効線量に係る線量係数
1.4
×10-4
7.5
×10-5
1.6
×10-5
(吸入)甲状腺の等価線量に係る線量係数
2.5
×10-3
1.4
×10-3
2.9
×10-4
(吸入)実効線量に係る線量係数
1.3
×10-4
 
6.9
×10-5
1.5
×10-5
 
甲状腺の等価線量に係る線量係数:実効線量に係る線量係数=20:1
 
乳児(~1歳):幼児(~4歳):成人=8.8 :4.7:1≒9:5:1
(経口甲状腺の等価線量の場合、他もほぼ同じ比例=体重逆比例、甲状腺重量逆比例関係)
8.8 :4.7:1=1/Wb:1/Wc:1/Wa
Wb乳児の甲状腺重量を割合1とすると
Wc幼児の甲状腺重量は8.8/4.7=1.9
Wa成人の甲状腺重量は8.8/1=8.8
となります。
 
(注意)
この年齢に伴う比は、あくまでも重量差によるもので、成人と子どもの細胞における放射線感受性の違いを考慮したものでは、決してありません。
ICRPは子どもの細胞の感受性については「傍論」的には触れていますが、「本論」では考慮に入れていません。
 
 
 
 
5-1 経口摂取の場合(ICRP Publication 72)
単位:Sv/Bq
3か月
1 歳
5 歳
10歳
15歳
成人
2.6E-08
1.6E-08
1.3E-08
1.4E-08
1.9E-08
1.9E-08
 ※E -8は、×10-8のこと
 
 
5-2 経口摂取の場合(日本:原子力安全委員会)
                 単位:Sv/Bq
乳児
幼児(5歳)
成人
2.6E-08
1.3E-08
1.9E-08
※出典:
★飲食物摂取制限に関する指標について 平成10年3月6日
原子力安全委員会・原子力発電所等防災対策専門部会・環境ワーキンググループ
 
 
5-3 経口摂取 乳児・幼児・成人の違い
 
乳児・幼児・成人の係数が、体重逆比例になっていないのは、
摂取したものがどれだけ沈着するか「沈着率」や、代謝による排泄「生物学的半減期」の年齢差によるものと思われる。
 
 
5-4 吸入摂取の場合(ICRP Publication 72)
                 単位:Sv/Bq
 
3か月
1 歳
5 歳
10歳
15歳
成人
急速
1.1 E-08
7.3E-09
5.2E-09
5.3E-09
6.3E-09
6.6E-09
中速
3.1 E-08
2.6E-08
1.6E-08
1.2E-08
1.1E-08
9.1E-09
緩慢
7.0 E-08
6.3E-08
4.1E-08
2.8E-08
2.3E-08
2.0E-08
 
 
5-5 吸入摂取 乳児・幼児・成人の違い
 
5-4「急速吸入」における比は5-1経口摂取における比に近いが、4-4緩慢吸入では若年への傾斜が大きくなっている。ただし、体重比までには至っていない。
 
 
5-6 吸入摂取の場合(原子力安全委員会)
 
[不明]もしくは未発表
 
 
 
 
 
6-1 経口摂取の場合(ICRP Publication 72)
単位:Sv/Bq
3か月
1 歳
5 歳
10歳
15歳
成人
2.1E-08
1.2E-08
9.6E-09
1.0E-08
1.3E-08
1.3E-08
 
6-2 経口摂取の場合(日本:原子力安全委員会)
                 単位:Sv/Bq
乳児
幼児(5歳)
成人
2.1E-08
9.7E-09
1.4E-08
※出典:
★飲食物摂取制限に関する指標について 平成10年3月6日
原子力安全委員会・原子力発電所等防災対策専門部会・環境ワーキンググループ
 
 
6-3 吸入摂取の場合(ICRP Publication 72)
                 単位:Sv/Bq
 
3か月
1 歳
5 歳
10歳
15歳
成人
急速
8.8 E-09
5.4E-09
3.6E-09
3.7E-09
4.4E-09
4.6E-09
中速
3.6 E-08
2.9E-08
1.8E-08
1.3E-08
1.1E-08
9.7E-09
緩慢
1.1 E-07
1.0E-07
7.0E-08
4.8E-08
4.2E-08
3.9E-08
 
 
6-4 吸入摂取の場合(原子力安全委員会)
 
[不明]もしくは未発表
 
 
 
 
日本の原子力安全委員会は、セシウム134及び137についてはICRPをほぼ踏襲しているが、乳児を除いては若干の違いがある。これは体重比だと思われる。
ヨウ素131についてはかなり違う。それは、甲状腺での沈着率をICRPは30%と見込み、原子力安全委員会は20%と見込んでいるからである。
 
 
 
影響評価の違いが、線量係数(換算係数)の違いに現れている。
Cs-137では、成人で5倍、子どもで10倍、乳児で15倍の差になっている。
 
単位:Sv/Bq
 
半減期
01
115
adult
I-131ICRP
 
1.8E -7
1.0E -73.4E -8
2.2E -8
I-131ECRR
8.04d
5.5E -7
2.2E -7
1.1E- 7
Cs-134ICRP
 
2.6E -8
1.6E- 81.9E -8
1.9E -8
Cs-134ECRR
2.06y
1.0E -7
4.0E -8
2.0E -8
Cs-137ICRP
 
2.1E -8
1.2E -81.3E -8
1.3E -8
Cs-137ECRR
30.0y
3.2E -7
1.3E -7
6.5E -8
   Sr-89ECRR)     50.5d         1.3 E-7         5.2 E-8        2.6 E-8
 Sr-90/Y-90ECRR 29.1y/2.67d      4.5 E-5         1.8 E-5        9.0 E-6
 
   ICRP                                                           成人・経口              成人・吸入
Sr-89 50.5日 2.6×10-9 7.9×10-9
Sr-90 29.1年 2.8×10-8 1.6×10-7
 
※E -7は、×10-7のこと
 
 
 
(以上)
 
 
 

 
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