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福島市政だより速報版特集号:『放射能』について正しく理解しましょう

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福島市政だより速報版特集号:『放射能』について正しく理解しましょう


(ソース)
http://bousai.city.fukushima.fukushima.jp/info/h23-jishin/files/copy_of_ecce.pdf
ふくしま市政だより
東北地方太平洋沖地震 特集号
速報版


『放射能』について 正しく理解しましょう


福島第一原発事故によって、市内でも通常より高い放射能の値が測定され、市民のみなさんには健康への影響を心配されていると思いますが、報道では大気、水、野菜などの安全性に関する耳慣れない科学的な数値が公表され、不安を感じていることと思います。

今最も大切なのは正確に情報を理解することであり、“放射能の数値がどんな意味を持つのか”、“実際に影響があるのか”という情報をきちんと集めることです。今回、放射線の種類や量による健康への影響を分かりやすく専門家が説明した講演会を開催しました。この特集号では、その内容と放射線について分かりやすくまとめました。今後、毎日、大気や水などに含まれる放射線の量が公表されますが、この特集をぜひお役立て願います。

福島市長 瀬 戸 孝 則


講演「福島原発事故の放射線リスクについて」


3月21日(月)14:00
ところ/福島テルサ
講 師/
山下 俊一先生
県放射線健康リスク管理アドバイザー。医学博士。
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科長、世界保健機構(WHO)緊急被ばく医療協力センター長を務める。
高村 昇先生
県放射線健康リスク管理アドバイザー。医学博士。長崎大学教授。昨年1月から9月まで世界保健機構(WHO)テクニカルオフィサーを務める。

当日会場には、定員を超える約500人の方が来場。メモを取りながら先生のお話に熱心に聞き入っていました。また、講演の後には活発な質疑応答が行われました。

講演の要旨

【高村先生のお話】


チェルノブイリと違い健康リスクは全くない
放射能の検出報道に不安を感じるのは、やむをえないと思います。しかし、市民・国民の皆さんに、今回のことで健康リスクは全くありません。それは放射線量の違いです。
今回の事故は、炉心が完全に爆発したチェルノブイリとは全く性格が異なり、測定された放射線量は胃の透視よりも低いレベルです。疲労と不安が重なっていると思いますが、情報をきちんと集めて、冷静に対応してください。
<次ページへつづく>

<前ページよりつづく>

【山下先生のお話】


「外部被ばく」と「内部被ばく」
被ばくには「外部被ばく」と「内部被ばく」の2種類があります。
外から皮膚などに放射線を浴びる外部被ばくは熱線によるもの。20~30km先では絶対にありません。
今回問題なのは、体内に放射性物質が入って被ばくする、内部被ばくです。放射性物質は風によって飛散していくからです。なお、飛び方は風向きによって変わります。

現状は危険ではない
よく「最悪のシナリオ」と言われますが、それでも屋内退避の区域を広げないのは、現状が危険ではないからです。
放射線は確かに細胞を壊します。1ミリシーベルト(=1,000マイクロシーベルト)で遺伝子1個に傷がつきます。しかし、生きた細胞には修復機能があり、100ミリシーベルトでも、壊れた遺伝子100個の内、間違って修復してしまい、がん細胞になりうるのは1個程度。そんなレベルの健康への影響です。
10マイクロシーベルトや50マイクロシーベルトでは、細胞は傷つきません。

体内に入る放射性物質は空気中の1/100
福島市内の環境放射能の測定値は、一番高いときの約20マイクロシーベルトから10マイクロシーベルト以下に下がっています。この数値の意味は、1時間の間これだけの放射性物質がこの場所にあるということですが、屋内では約10分の1、体内に入るのは約100分の1になります。
しかも、放射性物質は不安定な状態なので、安定した状態になろうとし、放射線が弱まっていきます。半分になるのを「半減期」と言いまして、ヨウ素の場合は8日で放射線が半減します。体内に入って、ずっと残っているというのは誤りです。

全ての安全基準は、赤ちゃんを基準に作られている
空気中の放射能も食べ物の放射能も、設定された安全基準値は、1年間その量を浴び続けたり、食べ続けると問題になる可能性がある数値を、単純に1回に換算しているものです。
今回の事故による、放射能による市民の皆さんの健康影響は微々たるもので、監視の必要はまったくありません。特に大人、成人男性の放射線の感受性はほとんどありません。
妊婦や赤ちゃんについてはご心配だと思いますが、全ての安全基準は赤ちゃんを基準に作られていますので、安全基準を超えなければ安心いただいていいと思います。

Q&A

講演会では、熱心な質疑応答が行われました。
その一部についてお知らせします。

Q ヨウ素は半減期8日とのお話だったが、同じ放射性物質でもセシウムは半減期30年。危険ではないのか?
A セシウム137は、体内に入ってもほとんど尿として出てしまいます。一部は筋肉に入りますが、代謝など人体の生理的な働きで体外に排出され、約70日後には取り込まれた量が半分になります。
チェルノブイリ周辺で、セシウムを含む食品を食べ続けた人の数は数百万にも上りますが、健康被害は出ていません。
水道水についても、フィルターで除去されヨウ素しか残りません。ただし、井戸水はしっかりと測定する必要があると思います。

Q 福島市の水道水は安全か?
A 現在の、基準値内の水を飲んだりしても全く心配ありません。基準値を超えた場合には、国などからきちんと指示が出ます。

Q 福島市の放射能数値だけ高いが、盆地という地形や立地条件など、高くなる要因があるのか?
A 風向きと地形と気温によります。盆地という要因も考えられます。

Q 福島市内で生活する上で、こうすれば安心というのを具体的に教えてほしい。
A 環境放射能が100マイクロシーベルトを超さなければ、全く健康に影響を及ぼしません。

Q 子どもを屋外で活動させても大丈夫か?
A 大人は100マイクロシーベルトでも大丈夫ですが、子どもは1/10の高いハードルを課して10マイクロシーベルトを基準に考えています。実際は大丈夫だと思いますが、国では念には念を入れて基準を設定しているんです。

Q 自分の車に黄緑色の雨の跡が残っていた。これは放射能ではないか。
A 放射性物質は目に見えません。心配の必要はありません。

Q 乳製品が汚染されているようだが?
A 放射性物質が降ると牛乳に濃縮され、放射性ヨウ素が高く出ます。チェルノブイリでも、子どものがんが増えたのは汚染されたミルクを飲み続けたのが原因です。ですので基準値を超えた牛乳は、日本でも飲まずに捨てようということになっています。

Q 洗濯物は屋外に干してもいいのか?
A 現在の福島市のような、一桁のマイクロシーベルトのレベルでは心配ありません。ただし、屋内退避に指定されている場所では、室内に干す方が安全です。

Q ガソリン不足で、約2時間かけて自転車で出勤している。大丈夫か?
A 大人は現状のレベルでは全く影響ありません。大丈夫です。

Q 結婚したばかりだが、近い将来赤ちゃんがほしいと思っている。今の状況が大丈夫かとても不安だが、出産に問題はないか?
A ある一定以上浴びると良くありませんので、例えば現在の状況が1カ月以上収束しないようなら、対応を考えた方が良いと思います。しかし、今の状況が1週間程度で収束するなら何ら問題ありません。

山下先生が3月19日に行った記者会見をもとに作成されたQ&A「環境放射能が人体に及ぼす影響」を掲載した「市政だより速報版」第13号が、市ホームページからご覧になれます。
【アクセス方法】市ホームページ・トップ画面「市政だより速報版を発行しています」より


正しく知ろう「放射線」

専門用語ばかりで分かりにくい、放射線のこと。
よく使う用語などをまとめました。

☆「ヨウ素」と「セシウム」
放射性物質の中でも健康への影響が指摘され、よく取り上げられるのが放射性ヨウ素と放射性セシウムです。
放射性物質 半減期 集まりやすい
場所(体内)
人体への影響など
ヨウ素 約8日 甲状腺 多量に蓄積されると、甲状腺がんなどを引き起こす恐れがあるとされる
セシウム 約30年 筋 肉 尿などで排出されるのでたまりにくく、約70日で半分程度が身体の外に排出される
【半減期】放射能(放射線を出す能力)が半分に弱まるまでの期間。

“少ない放射線量でも、期間が続くと積算されるのでは”と心配される方もいますが、放射能が弱まったり体外に排出されたりするので、実際には単純な積算とはなりません。



☆飲食物の「暫定規制値」

食品衛生法が食品の放射能汚染を想定していなかったため、国では急きょ暫定的に規制値を設定し、食品の安全性を確保しています。

この規制値は、その数値のものを1年間飲食し続けて初めて、健康に影響が出る可能性があるというものです。数値を上回るものを飲食しても、直ちに健康に悪影響が生じるものではありません。

また、国では放射性物質が付着した食品を流通させないように求める「出荷停止」や、国民にその食品を飲食しないよう求める「摂取制限」を行うことがあります。この措置は、食品に放射性物質が付くような状況が一定期間続くことが予想されるとき、念のために早い段階で行われます。

☆放射能の検出数値を知るには

次のところで発表しています。判断の材料にしてください。
◆市内の空気中の環境放射能数値、市内の水道水の環境放射能数値 ⇒ 【福島県ホームページなど】
◆食品中の数値 ⇒ 【厚生労働省ホームページなど】
◆出荷停止・摂取制限の指示について
⇒ 【消費者庁ホームページ、首相官邸ホームページなど】

水道水が暫定規制値を超えた場合
○飲用を控える
○入浴・手洗いなど生活用水としての利用には問題ない
※代わりに飲む水がないときは、飲んでも差し支えありません。

特集号に関するお問い合わせ/広報広聴課.525-3710


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