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安定ヨウ素剤予防服用の考え方・まとめ

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まとめ


広島、長崎の原爆、マーシャル諸島における核爆発実験、チェルノブイリ原子力発電所事故等の調査結果及びヨウ素と人に係る生理学的、病理学的な知見を踏まえ、放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくに対する防護対策について、以下の基本的な考え方をまとめた。

  1. 原子力災害時に放出された放射性ヨウ素の吸入による甲状腺への影響が著しいと予測された場合、安定ヨウ素剤を予防的に服用すれば、甲状腺への放射性ヨウ素の集積を効果的に抑制し、甲状腺への障害を低減できることが報告されている。このため、災害対策本部の判断により、屋内退避や避難の防護対策とともに安定ヨウ素剤を予防的に服用することとする。
  2. 放射線被ばくによる甲状腺への影響は、甲状腺がんと甲状腺機能低下症がある。被ばく後の甲状腺がんの発生確率は、乳幼児の被ばく者で増加する場合があるが、40歳以上では増加しないため、年齢に応じて、安定ヨウ素剤の服用対象を定める必要がある。特に、新生児、乳幼児等には、安定ヨウ素剤服用の措置について最優先とすべきである。これに対し、甲状腺機能低下症はしきい線量以上の被ばくで生じるため、甲状腺機能低下症に対する安定ヨウ素剤予防服用については、しきい線量の概念を導入することとする。
  3. 安定ヨウ素剤の服用による副作用は稀であるが、副作用を可能な限り低減させるため、年齢に応じた服用量を定めるとともに、服用回数は原則1回とし、連用はできる限り避ける。
  4. 安定ヨウ素剤の服用により、重篤な副作用のおそれがある者には、安定ヨウ素剤を服用させないよう配慮し避難を優先させる。
  5. 安定ヨウ素剤の服用については、その効果を最大とするため迅速に対応する必要がある。このため、安定ヨウ素剤予防服用に係る指標を定め、屋内退避や避難等他の防護対策とともに、より実効性のある防護対策を定めておく必要がある。
  6. 防災業務関係者は、その防災業務の内容、甲状腺がんと甲状腺機能低下症の発生リスクを考え合わせ、安定ヨウ素剤を予防的に服用することを考慮する。
これらの考え方に基づいた「安定ヨウ素剤予防服用に当たって」を次頁に示す。


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