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原子力災害時における放射性物質の放出と安定ヨウ素剤の意義について

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1.原子力災害時における放射性物質の放出と安定ヨウ素剤の意義について



(1) 放射性物質の放出形態


原子炉施設等において、原子力災害が発生した場合、放射性物質として、気体状のクリプトン、キセノン等の希ガスとともに、揮発性の放射性ヨウ素が周辺環境に異常に放出されるが、希ガスは外部被ばく、放射性ヨウ素は内部被ばくにより、人体に影響を与えることが想定される。

一方、多重の物理的防護壁により施設からの直接の放射線はほとんど遮へいされ、固体状及び液体状の放射性物質が広範囲に漏えいする可能性は低い。

また、核燃料施設において、臨界事故が発生した場合、核分裂反応によって生じた核分裂生成物である希ガスとともに放射性ヨウ素が放出されることが想定されるが、放出される量は原子炉施設に比べて極めて少ない。

(2) 安定ヨウ素剤の意義


人が放射性ヨウ素を吸入し、身体に取り込むと、放射性ヨウ素は甲状腺に選択的に集積するため、放射線の内部被ばくによる甲状腺がん等を発生させる可能性がある。この内部被ばくに対しては、安定ヨウ素剤を予防的に服用すれば、放射性ヨウ素の甲状腺への集積を防ぐことができるため、甲状腺への放射線被ばくを低減する効果があることが報告されている。ただし、安定ヨウ素剤の服用は、甲状腺以外の臓器への内部被ばくや希ガス等による外部被ばくに対して、放射線影響を防護する効果は全くないことに留意する必要がある。

また、放出された放射性ヨウ素の吸入を抑制するためには、屋内へ退避し窓等を閉め気密性に配慮すること、放射性ヨウ素の影響の少ない地域への避難等の防護対策を適切に講じることが最も重要である。

放出された放射性ヨウ素に汚染された飲食物の摂取による人体への影響については、飲食物摂取制限が講じられるため、それらの飲食物を摂取することにより身体に取り込まれる放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくについては、小さいものと考えられる。


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