15年戦争資料 @wiki

質疑 阿部知子君(社民)

最終更新:

pipopipo555jp

- view
管理者のみ編集可

質疑 阿部知子君(社民)



○川内委員長 次に、阿部知子君。

○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日の参考人のお話、本当に役立ちました。

 今回の福島の事故は、一九五三年以来のいわゆる原子力の平和利用ということが本当に可能なのかどうかという大きな問題を突きつけていると思います。もちろん、我が国は被爆国で、いわゆる核兵器等々の問題は廃絶を願うものですが、その一方で、平和利用ということは国民的合意も得てやってきたことだと思います。

 しかし、一たん事故が起きると、一番伝えなきゃいけない情報が避難している人にも伝わらないという状況。それから、未来が見通せない、子供たちはどうなるのかという不安に今国民が立たされていると思います。

 この委員会は、一つでも前向きに物事を提言しながらやっていこうという委員会だと理解しておりますので、その観点から、おのおの聞かせていただきます。

 まず、久住委員に関しては、私は、いわゆるSPEEDIがスピーディーに情報伝達されないために、当日あるいは翌日、逃げる方向が風下に向かってしまったり、非常に余分な被害をふやしたと思います。

 例えば、赤宇木というところの避難所に逃げられた方、これは浪江のちょっと先あたりだったと思いますが、ここは、簡単な数値でいうと、年間になると百ミリシーベルト以上のところに行ってしまうような、しかしそこが避難所になっておりました。これは本人にも伝えられない。そして、今もその方たちは、恐らく自分が受けたトータルの被害を把握できていないと思うんですね。

 早速にやっていただきたいのは、聞き取りと、健康手帳を今回避難している皆さんにぜひ持っていただきたい。県外避難の方もおられますので、あのときの私の歴史はどこにあったのかということをきちんと個人個人に持っていただくということが、今ぜひ安全委員会にやっていただきたいことです。

 一点目は、なぜ情報がスピーディーに伝わらなかったのか。そして、今後のことを考えると、個人管理の手帳ということを安全委員会から強く強く強く言っていただきたいが、いかがでしょうか。

○久住参考人 お答え申し上げます。

 先生がおっしゃいます情報を的確に早く伝えるということは、私どもも非常に重要であると認識しております。それが住民の方々を被曝から守るという意味で非常に重要なことかと思います。

 SPEEDIを使ってなぜスピーディーな情報を伝えなかったかということでございますが、まず、SPEEDIはもともと文部科学省が持っているものでございます。私どもは途中から、安全委員会どうぞお使いくださいということでお借りしているというのが現状でございます。

 それは、通常、事故、いろいろな場合を私ども防災訓練等でいたしますが、その場合には、発電所からの放出量がわかっておりまして、それに対して、では、風向き等々考えまして、どの方向へプルームといいますか放射線の多い空気が流れるかということをSPEEDIで予測いたしまして、そこのところを避難する等々いたしますが、今回は、まず発電所からの放出量がわからない、その状況で私どもは文部科学省からSPEEDIをお使いくださいと託されたわけですが、どういうふうに使うことができるだろうかということを考えまして、実は文部科学省の実行されますモニタリングを私どもが評価するということで、文部科学省からデータをいただくことになっております。

 私どもは、逆に、その文部科学省が実施されるモニタリングデータが、プルームというか放射線の量の多い空気、そこをうまくつかまえておれば、それを逆算することによってどのぐらい放出されたかがわかるのではないかということで、一生懸命そのあたりの測定をしてくださいということを文部科学省にお願いしまして、何点か確認できたところでSPEEDIの結果を公開させていただいたというのが現状でございます。

 おっしゃるとおり、早く風向きをということでございますが、ちょっと私どももそこは、初めの時期は、SPEEDIも含めて、持っていなかったというのが事実でございます。

 それから健康影響の問題でございますが、ここは非常に重要なことでございまして、今既に経産省の支援チーム等々でいろいろなことをされていると思いますが、これは私の個人的な意見かもしれませんけれども、各県あるいは各自治体は、疾病登録あるいはがん登録のようなものを持っておられます。既にそういうものがありますので、そういう既にあるものを強化して、住民の方々を網羅できるような形で、どういう影響が出たかというのをきっちりと押さえていくということが重要ではないかと思っております。

○阿部委員 私が申し上げた意味はちょっと違うんですね。

 これは矢ヶ崎さんと崎山さんに同時に伺います。

 実は、私は小児科の医者です。赤ちゃんが生まれたとき、お母さんたちに母子手帳を持っていただきます。その子がどこでどんなふうに暮らしたか、どんな疾病にかかったか、予防接種はどう受けたか、履歴、ヒストリーがわかります。私は東大におりましたので、よく福島からがんの患者さん、子供を診ておりました。

 これから先、もし私の前に患者さんとして来た子が、では、この子の履歴の中にはどんなことがあっただろうか、今のような方法ではたどることができません。一人一人が持つことが重要なのです。さっき、矢ヶ崎先生はフィルムバッジ、これも一人一人です。あと、線によって、アルファ、ベータ、ガンマが分析されます。そこまでいかないと、実は今の医学統計の中で、がんの確率が何%、何%といっているのは外から探っているようなもので、中、内実を見ていないと思います。

 今回、私は悲惨さはチェルノブイリを上回るくらいと思っています。だからこそ個人管理の手帳を持つべきだと思います。お二人に、同じ質問です。

○矢ヶ崎参考人 私も全く同じ意見を持っております。

 今、具体的には三日ほど前も郡山や丸森、福島に行ってまいりましたけれども、そのときに住民の皆さんから、自分の子供は日ごろぜんそくを持っているが、のどが非常に渇いて、からからのせきが出るようになった、甲状腺がはれるようになった、卵巣の右側がはれている、そういう訴えを聞きました。

 これが放射線とどういう因果関係があるかということはきちっと統計学的に見ないとわかりませんけれども、おっしゃるように、すべての住民に、福島だけでなくて、全国民的な規模できちっと健康管理手帳を記録してもらうということが大変重要です。これは、福島だけではなくて、比較的安全なところの人々と福島を比較することによって、放射線の害ということがきちっとあぶり出される、そういう統計を示し得るものになります。そういう意味で、ぜひこれは実現させていただきたいと思っております。

○崎山参考人 原発労働者が放射線管理手帳を持っているような感じだと思うんですが、そういう記録をつけておくことは重要ではあるわけですけれども、予防にはならないわけですね。がんになってしまったときに、もとをたどって放射線であるかもしれない可能性を証明するためには記録を残すということが大切だとは思いますけれども、まずやることは、そういうこと以前に、がんにならないように、皆さんが、特に国会議員の方が力を注いで、それにならないようにしていただきたいと思います。

○阿部委員 ちょうどよくつないでいただきました。

 では、予防のために何をするかということで、武田参考人にお尋ねいたします。

 私は全く同じ考えで、今、降り注いだ、土や木々やいろいろな、屋根の上にもある放射線をまず除染する、それなくして膨大な健康被害は防止できないと私は思います。そして、かなりの可能性でできると思います、一年かどうかは別として。

 残念ながら、ここで時間となりましたので、またぜひ、除染を早めるべきだ、強めるべきだ、全力を挙げるべきだということを随所で発信していただきたいと思います。

 終わらせていただきます。ありがとうございました。




目安箱バナー