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質疑 斉藤鉄夫君(公明)

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質疑 斉藤鉄夫君(公明)




○川内委員長 次に、斉藤鉄夫君。

○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 きょうは参考人の先生方、本当にありがとうございます。

 それでは、時間も十分と限られておりますので、四人の先生方に質問を最初にだっとさせていただいて、あとお一人ずつ答えていただければと思います。

 まず、久住原子力安全委員ですけれども、ちょっときょうの本題からそれますけれども、今ごろになってメルトダウン、かなり初期の段階から起こっていたということを我々知らされて、愕然としております。もしそうであれば、住民の安全を守るためのいろいろな措置等、別な手を打つべきだったのかもしれません。そういう中で、原子力安全委員会が、初期の段階で時々刻々と出てくるいろいろなデータを見て、メルトダウンという事象を想定しなかったのか、どのような議論があって、燃料の炉心溶融は起きていないというふうに判断されたのか、そのことをお聞きしたいと思います。

 それから、矢ヶ崎先生には、お話の中で、チェルノブイリの後の子供の甲状腺障害やがんのお話をしていただきました。そのときに先生が、いろいろな意見があって、大変情けないことにという言葉をおっしゃいました。どんな意見があって、何が情けないのか、そこをお話しいただきたいと思います。

 それから、崎山比早子先生には、大変勉強になりました。ありがとうございました。地球ができて四十五億年、生命が生まれて三十五億年と言われておりますけれども、その三十五億年の間、地球上、表面はある意味で放射線場だったと思うわけです。そういう中で、生命の進化に放射線がどのような影響を与えてきたのか、また放射線がどのように地球上で変化してきたのか。また、高等生物になってからの放射線影響というと、当然、初期のころの放射線影響とは違ってくるということも考えなくてはなりません。そういうことも、現在の科学の最先端の知見を教えていただければ、このように思います。

 それから、武田先生、私も技術者でございまして、そういう意味では、まさにじくじたる思いでございますけれども、これもきょうのテーマからちょっと外れるかもしれませんが、今回、総理が浜岡原子力発電所の停止を要請されました。このことについての先生の御見解。それから、日本の技術の粋を集めて除染をすべきだ、まさにそのとおりだと思います。ただ、想像しますに、大半を占める山岳地帯、山、それから野原、こういうところでの除染をどうするかというのが一番大変だと思うんですが、それについてのお考えがあれば教えていただければと思います。

○久住参考人 非常に難しい、私の専門外のところでございますが、メルトダウンに関する事実関係だけをお答えさせていただきます。

 私ども安全委員会は、保安院が東電に対する規制を行いますが、その保安院から、現状についてもどのようにそれを評価したかという報告を受けるという立場にございます。

 メルトダウンに関しましては、先般、保安院が今現状の炉心の状況という図を持ってまいりましたときに、私どもの安全委員長、班目委員長は、非常に不正確な図というような表現で保安院に対する強い意見を言われたと思います。

 私ども安全委員会では、いろいろな状況を判断いたしまして、委員会の中では、メルトダウンが起きているのではないかということは早い段階から想定しておりました。ただ、ではそれがどうやって確認できたのか、東電がどのように、あるいは保安院がどのようにそれを確認できるのかということは私どもはわかりませんので、今回のメルトダウンの報告というのは、実態が確認できた段階での報告と思っておりますが、想定はいたしておりましたというのが正直なところでございます。

 お答えになっておりますかどうか。失礼します。

○矢ヶ崎参考人 実は今、世界で、被曝をどういうふうに見るかという見方に、大きく分けて二つ存在してしまっております。一つはICRPで、率直に申し上げますと、これは、内部被曝を全く見ない尺度でいろいろ計算やその他見方をやっております。もう一つはヨーロッパ放射線リスク委員会、これは、内部被曝をきちっと科学的に見てどういう結果があるか、そういうことを見ている集団がございます。

 日本では、特に内部被曝を見ないということで、チェルノブイリの結果も原爆症認定集団訴訟などで示されましたけれども、被爆者の見方も随分違うものがあります。

 具体的には、私も著書に書きましたが、アメリカが原爆を投下したすぐ後、アメリカと日本の科学者を動員して内部被曝を隠すようにいたしました。これは目的からすると、核兵器を通常兵器と同じように見せて、放射線で長期的に人々に病害を与えるということはないという姿を描こうとしたわけです。

 具体的な手段は、非常に単純なんですけれども、枕崎台風という物すごく大きな台風で、広島なんかは床上一メートルの大洪水に見舞われた後で測定をやらせて、ほこりですから大部分洗われちゃったけれども、辛うじて土の中に残っているその量で、この量しか初めからなかった、そういう極めて複雑な計算をしていますけれども、そういう科学操作をいたしました。

 この結果が、被爆者の認定基準、一九五七年に原爆医療法が定められましたけれども、このときに、直接被爆といって、核分裂が六百メートル上空で起こりますけれども、そのときに地上に放射線が降り注いでおりますが、爆心地から二キロメートルまではその影響がある。この二キロメートル以上遠いところの人は一切放射線は浴びていない、そういう基準で今の被爆者認定基準がつくられております。

 これが実は住民の実態と全く離れているものですから、二〇〇三年から三百六人の原爆症認定集団訴訟というものが起こったわけです。そのときに、集団訴訟で訴えた人たちは、がんにかかっている、健康被害を受けている。それで、基本的には、二キロよりも遠い、原子雲、キノコ雲が広がった範囲に住んでいた人たちが中心ですけれども、原子雲があるということは、実は、放射線が雲のところにあるものだから、雲ができて雨が降る、そういうところで、非常に濃い放射能のほこりがまき散らされた領域なんですが、そこに住んでいる方が、自分の病気は放射線のせいだからということで訴訟を起こしたわけなんです。

 裁判所は、何が本質であったか、そういうことを一生懸命追求しました。十九回裁判がありましたが、すべて内部被曝を認めて原告勝訴ということにいたしました。これをきちっと集団として認知していないのが、日本の放射線化学の人たちでございます。

 チェルノブイリを見るときも、現実にはいろいろな疾病がたくさん出ている。ただ、患者さんあるいは亡くなった方の原因がまさにこのチェルノブイリの放射能でつくられた、そういう側面の追求ができないんですね。それだものですから、放射線が原因と考えることはできないということで、いろいろな疾病の患者さんがいるということは抜きにして、認められない、それがないんだ、そういう表現までしてしまっている状況でございます。

 ECRR、ヨーロッパ放射線リスク委員会が、一九四五年から八九年までの間に放射線で亡くなった世界の人の数が六千五百万人と推定しております。それに対して、ICRPの基準でいうと百十七万人しかありません。この差が内部被曝の、みんな世界じゅうでほこりを散らされたものがカウントされていない、そういう状況です。

 さらに一言つけ加えますと、今、何ミリシーベルトというような数字というのはすべて外部被曝で、外から放射線が飛んでくる基準で語っておりますけれども、内部被曝は、体の中に入った物質の量で被害が決まってきます。例えば沃素131だったら、一千万分の一グラム体の中に入っただけで一シーベルトというような大きな被害が与えられる。このことに関してきちっと議論できている日本の科学の現状ではありません。

○崎山参考人 生物は発生のときからずっと放射線にさらされて生きている、だから放射線は危険じゃないというような教育がずっとやられてきました。文科省とか電力会社が子供たちに配付する教材には、ずっとそういうふうに書いてあります。

 でも、生命が生まれたのは、宇宙線が全然届かない深海です。それで、だんだん進化していって浅い海に出てきた。それが浅くまで生きられるようになったのは、バンアレン帯というものができて地球に降り注ぐ宇宙線が少なくなった。だから、深海から上の方に出てきても生物は生きられたわけです。それで爆発的に生命がふえて、陸上に上がったのはなぜかというと、紫外線があって、紫外線がずっと強かったら生物は生きていられないわけです。オゾン層ができて紫外線が遮られたので生物は陸上に上がれた、そういう経緯があるわけです。

 ですから、逆に言ってみれば、生物というのは、そういう宇宙線とか紫外線とかが少なくなったところにずっとふえていった、そういうふうな見方もできるわけですね。

 そういう見方をしないで、生物は生まれたときからずっと放射線にさらされている、だから安全だというような教育、文科省や電力会社がやった教育というのは全く間違えているんだろうと。

 それで、放射線というのは、一ミリシーベルトが安全というわけではないわけです。安全量は存在しないというのが国際的な合意なんです。なぜ一ミリシーベルトとしたかというと、それは、それより低くしたらもう原子力産業は成り立たない、そういうことなんですね。

 それで、放射線作業者が五年間で百ミリシーベルト、一年間で五十ミリシーベルトというふうに決めているのも、放射線作業者が何も一般の人たちよりも放射線に感受性が低い、彼らにがんができにくいというわけではないわけです。そういうふうに設定しないと産業が成り立たない。

 だから、暫定基準とか規制値とかいうものは、生物学的とか学問的な基準で決めたのではなくて、社会的、経済的な理由からそういうものが設定された、そういうふうに認識した方がいいと思います。

○武田参考人 私は、現在、福島原発は壊れていますけれども、日本の原発の中で一番安全なのは福島原発だと思います、もう壊れていますから。

 一番危険なのは、私は「もんじゅ」だと思います。「もんじゅ」の危険性の第一は、「もんじゅ」の事故を隠しているということですね。そういう体制の中では巨大技術を安全に運行することはできません。

 それから、二番目は浜岡原発で、これはとまりましたけれども、まだ二、三年は燃料がありますので、十分に気をつけなきゃならない。ただ、福島原発が津波でやられたから浜岡原発は防波堤をつくるなんというつまらない議論で浜岡原発が議論されている限りは、やはり技術的には危ないと思います。

 次に危ないのが日本のほかの原発で、原子炉を除いて、システムとして全体を考えれば、青森県の東通原発が震度四で全電源を失いましたけれども、それを見てわかりますように、国民の被曝という点で考えれば、震度三から五ぐらいで設計されているわけで、別に、福島原発が震度六で壊れたところで何も驚くことはないわけですね。

 今度、事故が起こって私が何を思ったかというと、福島原発は震度五ぐらいで壊れるようになっているわけですよ、原子炉だけは違うけれども、全部終わって見れば。そのことは何もショックではありませんでした、残念でしたけれども。問題なのは、次々と出てくるうそです。このぐらいうそが多くつかれるのであれば、日本は巨大技術をやる資格はないというふうに思いました。

 それから、除染ですけれども、私もいろいろ計算をしまして、町の中はどういうふうになる、それから山野はどうだ、重機の入るところ、重機の入らないところをやりまして、福島原発の周りの五キロぐらいのところに全部汚染された土地を戻すと、やはり十五メートルぐらい上がっちゃうなという気がします。ただ、できないことではないし、状況を見ていますと、それを十分の一ぐらいにすれば、表土を一センチぐらい取れば、土を入れかえることなく、ことし実施してしまえば、一ミリシーベルトの枠の中に入る可能性がある、そういうふうに思っています。

 それから、特に葉っぱとか木々については、ちょっとこびりつく性質もあるので、夏ぐらいになって、土の上に載ったものがもう一回風で吹かれると葉っぱなんかにつきますので、適切な時期に雑草とか木の葉を全部切って、木自体は切る必要はありませんが、回収つきの焼却炉をつくって、そこでそれを順次燃やしてきれいにしていくということが必要かと思います。

○斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。終わります。


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