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参考人(原子力安全委員会委員) 久住 静代君

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参考人(原子力安全委員会委員) 久住 静代君



○川内委員長 それでは、まず久住参考人にお願い申し上げます。

○久住参考人 皆様、おはようございます。原子力安全委員会の久住でございます。

 本日は、このような発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。委員長初め皆様にお礼申し上げます。

 それでは、私は、御用意いたしました、パワポ形式になっておりますが、資料に基づきまして御説明をさせていただければと思います。

 内容は三つございまして、原子力災害時の安全委員会の対応、二番目に安全委員会の助言の活動について、それから三番目に放射線防護に関する助言の基本的考え方、私ども安全委員会の基本的考え方について御説明申し上げたいと思います。

 お開きいただきまして、パワーポイントの三ページ目でございますが、まず、原子力災害発生時の対応といたしまして、私ども原子力安全委員会では、原子力災害対策特別措置法に規定する原子力災害が発生した際には、緊急助言組織を立ち上げるとともに、同法に基づき、原子力災害対策本部長、内閣総理大臣に対し、技術的助言を行うこととされてございます。

 技術助言組織とはということで下に書いてございますが、私どもは約四十名の専門調査委員の方々に御協力いただくようにしております。

 それから、次の四枚目、原子力防災体制でございますが、私どもは、右上の方にございますように、原子力災害対策本部に対して技術的助言をさせていただきますとともに、総理官邸にございます緊急時参集チームに参画しております。

 五枚目でございます。

 原子力安全委員会が行う技術的助言についてでございますが、一番最初は緊急事態応急対策の実施に関する技術的事項、二番目に緊急事態応急対策を実施すべき区域の変更に関する事項、三番目に緊急事態応急対策を実施すべき区域内の居住者等に対し周知させるべき事項の変更に関する事項、四番目に原子力緊急事態の解除に関する事項が主なものでございます。

 六枚目でございますが、私どもは、この助言をさせていただくために、日ごろからいろいろな指針を用意してございます。

 主に、一つは「原子力施設等の防災対策について」という、通常防災指針と言っております指針でございます。この防災指針は、放射性物質の放出の態様、緊急時環境放射線モニタリング、周辺住民に対する防護対策等の原子力防災対策の技術的、専門的事項について基本的な考えを示したものでございます。下半分に主な目次を示してございます。

 おめくりいただきまして七ページでございますが、この防災指針に関連いたします指針といたしましては、私どもは、環境放射線モニタリング指針等々七つの指針あるいは報告書を用意いたしまして、それらに従って助言を申し上げているところでございます。

 八枚目でございます。

 二番目に、助言活動について申し上げます。

 三月十一日十六時に、原災法十条に至ったとの認識のもと、第十六回原子力安全委員会臨時会議が開催され、緊急助言組織の立ち上げが決定されました。

 また、地震等による交通や通信の渋滞から、関係者への情報伝達や参集困難が予測されるため以後の委員会は実効的に、かつ柔軟に開催することを決定いたしました。

 以来、原子力安全委員会は、緊急技術助言組織の調査委員や専門委員の協力を得て二十四時間体制で、原子力対策本部や原子力災害対策現地本部等に対して助言を発出してまいりました。

 九ページ目でございますが、発出いたしました助言の主なものは右半分にございますが、避難区域の見直し、計画的避難区域の設定等々でございます。左半分にございますのは、これは私ども安全委員会のホームページでございますが、このような形でホームページに、公開された助言ということで一覧表を出してございます。今後、整い次第、さらにこれは追加していく予定でございます。

 最後に、三番目でございますが、これらの助言をさせていただく際に、私どもが基本的にはどういうことを考えて助言していたかということを、この助言活動の公表に伴いまして、私どもの説明責任を果たすという意味でも、公表させていただきました。

 ちょっとここは読み上げさせていただきます。

 「放射線防護に関する助言に関する基本的考え方について」これは、きのうの第三十三回安全委員会臨時会議において安全委員五人の合意事項として取りまとめたものでございます。

 「はじめに 平成二十三年三月十一日に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、原子力安全委員会は、直ちに緊急技術助言組織を立ち上げて以降、これまで、緊急事態応急対策調査委員、専門委員等の専門家の協力を受け、政府の原子力災害対策本部や関係行政機関等への助言を行ってきた。同発電所の状況は、安定化の方向にあるとはいえ依然として予断を許さず、また事故の長期化に伴って、また、事故の影響が広い範囲に及んでいることによって、周辺住民等の放射線防護に関わりをもつ社会的課題が数多く生じている。原子力安全委員会は、今後とも必要に応じ、政府の原子力災害対策本部や関係行政機関等による総合的な判断に資するため、放射線防護に関する技術的助言を行っていくこととしているが、この際、これまでの助言について、当委員会として、いかなる考え方に基づいて行ってきたのかを広く示すことは、自らの説明責任を果たす上で意味のあることであるとの認識のもと、以下にその基本的考え方を示すこととする。」といたしております。

 おめくりいただきまして十一枚目でございますが、基本的考え方の柱が四つございまして、まず一つが「放射線防護を踏まえた総合的判断の必要性」「東京電力福島第一原子力発電所の事故に関し、今後の周辺住民(避難を余儀なくされている方々を含む。)の生活支援、産業活動、土地利用等に向けた判断を行うに当たっては、周辺住民の生活や社会活動を過度に制限することを避けつつ、放射線被ばくによる健康影響に対する適切な防護を担保することが必要である。このためには、最新の科学的知見や国際的な基準を踏まえた放射線防護の考え方に基づき、さらに環境、健康、社会、経済、政治、倫理等に配慮した判断を行うことが重要である。」

 二番目でございます。「放射線防護の対象としての現状の特殊性(ICRPのいう緊急被ばく状況、現存被ばく状況、計画被ばく状況の併存と移行)」「今回の事故においては、事故が収束に至らない状態が今後ともある程度の期間にわたり継続する可能性がある。また、施設の周辺では、地域によってさまざまなレベルでの環境放射線の測定結果が得られているが、これらの地域では、通常どおり、または通常に近い態様での生活や社会活動が維持されている。このことにより、汚染レベルの異なる地域間での物流や人の移動が生じている。すなわち、状況が異なる地域が明確に隔てられることなく隣接するとともに、それぞれの状況が時間とともに変化しており、これによって問題が複雑化しているともいえるので、放射線防護に関わりをもつ判断においては、この点について十分留意することが必要である。」

 三番目でございます。「異なる被ばく状況が併存する状況での最適化の努力」「周辺住民の生活支援、産業活動、土地利用等に向けた判断においては、避難を始めとする生活や社会活動への制限と、健康に影響を及ぼすには至らないものの平常時を上回る放射線被ばくの受容という、個々人にとっての異なる負担の間のトレードオフを扱うこととなる。生活や社会活動を過度に制限することなく、放射線防護における最適化を達成するため、適切な管理や除染・改善措置等による線量の低減が考慮されるべきである。今後、施設の安定化や事故収束に伴って、周辺住民にとって「通常」と考えられる生活状態が回復し、社会的・経済的活動が再開される地域が拡大されていくためには、とくに除染・改善措置が果たす役割が大きいといえる。」

 四番目でございます。「利害関係者の関与、透明性、総合的判断」「このような総合的な判断においては、地元自治体や地元住民との情報交換や意見交換、ならびに協議を充分に図ることが望ましい。さらに、放射線による人への健康影響(晩発影響)を考慮する一方で、防護措置や除染・改善措置を講ずることに伴う経済的影響、心理的影響および社会的影響を含めたあらゆる側面に対しての配慮が必要である。」

 おめくりいただきまして十五枚目でございます。

 これはICRPの緊急被曝状況、現存状況、計画状況についての定義を引用してございます。

 また十六枚目には、先ほどお示ししました参考レベルのバンドについて御説明させていただいております。

 緊急被曝状況というのは二十より大きく百までということで事故の直後。それから、現存被曝状況というのは一より二十ということで、これは非常にいろいろな御議論があるかと思いますけれども、私どもは通常の計画被曝状況では一ミリ以下ということで公衆の方々の安全を管理してございますが、今回は残念ながら年間一ミリシーベルトということで管理が難しいところが生じております。そのときに、それでは日常生活、あるいはそこは避難の区域にして全く何もできないのかというと、そうではないのではないかというのがICRPの一番新しい二〇〇七年勧告、特にチェルノブイリの教訓を生かした勧告でございました。

 これが一より二十ミリシーベルト以下ということで、現存被曝状況ということで、特に事故の復興段階としておりますが、福島の場合は緊急事態があって復興段階ということではなく、初めから放射性物質のフォールアウトによりまして復興段階と称するところからスタートせざるを得ないところも生じているのではないか、先ほど複雑化しておるということを申し上げさせていただきましたが、このようなことではないかと思っております。

 それから、最後の十七枚目ですが、これは、我が国の放射線防護に関する法令等と国際基準の関係ということで、釈迦に説法でございますが、まず、UNSCEARと申します国連科学委員会の報告書、それから、それを受けた国際放射線防護委員会の防護の枠組みの勧告、さらに、それを受けて、IAEAによる国際安全基準の策定、それを各国のそれぞれの放射線防護の法令、規則等々に適用させていくのが現状でございます。

 我が国におきましても、放射線審議会を含め安全委員会もこのような体系で放射線防護に対する考え方を示させていただいております。

 以上でございます。

○川内委員長 久住参考人、ありがとうございました。




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