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3『「20ミリシーベルト」誰が決めた?』

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「20ミリシーベルト」誰が決めた?

東京新聞5/3 16~17面 『こちら特報部』
非常によくまとまっています。
残念ながら、福島県では読めません。

添付画像と以下の書き起こし文を、
皆様お知りあいの福島在住者にメールで送ってあげてくだされば、
幸いです。

【見出し】
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「20ミリシーベルト」誰が決めた?
福島県内の学校被ばく線量規準
文科省と安全委議論数回
~~~~~~~~~~~~~~~~

【リード】
政府が、福島県内の学校などでの被ばく線量を年間20ミリシーベルト以下と定め
た問題。先月22日付の「こちら特報部」でもお伝えしたが、この決定に抗議し、
内閣官房参与の小佐古敏荘・東大大学院教授が辞任するなど、波紋が広がってい
る。判然としないのは、誰がどうこの基準を決めたのかという点だ。取材すると、
いつもながらの役所と政治家の無責任体質が浮かび上がってきた。(篠ケ瀬祐司、
中山洋子)

【写真&説明】
「年間20ミリシーベルト以下」という結論までの経緯を記した原子力安全委員会
事務局が作成したメモ


【本文】
ここに、1つの「メモ」がある。作成者は内閣府の原子力安全委貴会事務局。議事
録の代わりというこの「メモには学校での被ばく線量を「年間20ミリシーベルト
以下」とした経緯が記されている。

文部科学省から安全委に対し、「福島県内の学校などの校舎・校庭の利用判断の
考え方について相談したい」と、依頼があったのは先月九日。その後、文科省の
担当者が安全委を数回訪れ、議論を重ねた。

相談を受けた五人の原子力安全委員らが何回か相談し、文科省にそのつど口頭で
議論の結果を伝えた。先月十九日午後二時ごろ、この問題に最終的な責任を持つ
政府の原子力災害対策本部が安全委に「助言要請」。四時ごろ、安全委から同本
部に「20ミリ以下」とすることは「差し支えない」と文書で回答した。

ただ、メモには安全委のメンバーから「年間20ミリシーベルトはあくまで出発点
とすべきで、被ばくの低減化に努めることが必要」「内部被ばくを考慮すること
が必要」といった意見が出たとある。

この「メモ」は、社民党の福島瑞穂党首の求めに応じ、四丹二十八日付でつくら
れた。

福島氏が同委事務局に十九日の委員の集合時間を尋ねたところ、五人の安全委員
のうち、班目春樹委員長ら三人が集まったのは「助言」した一時間前の午後三時
ごろ。遅れた委員と地方にいた委員へ電話連絡した後に「助蓄」したという。

安全委の代谷誠治委員が、記者会見で10ミリシーベルト以下を目安にすべきだ
との見解を示したこともあったが、事務局は安全委の議論の過程では10ミリシ
ーベルトに触れた委員はいなかった、と説明した。

ところで、文科省側の担当者は誰か。同省は取材に「安全委と協議したのは原子
力災害対策支援本部とスポーツ・育少年局学校健康教育課の担当者だ」と明らか
にした。同支援本部は、同省原子力安全課の職員らで構成されている。

一方、基準の「助言」にあたり、安全委は正式な委員会を招集せず、議事録も残
していない。同委事務局は「『答申』を出す際は、正式に委員会で決定するので
議事録を作成しなければならないが、口頭で行える『助言』は委員会を招集しな
くても可能だ」〈総務課の担当者)と説明した。

先月三十日の衆院予算委員会で自民党の小里泰弘氏が「通常時の一般人の基準は
年間1ミリs-ベルトだ」などと引き下げを求めたが、高木義明文科相は「この方
針で心配ない」。細野豪志首相補佐官もテレビ番組で「政府の最終判断だ」と突
っぱねた。

【見出し】
~~~~~~~~~~~~~
安全委「認めていない」
苦しい言い訳
厚労省「文科省と議論する」
~~~~~~~~~~~~~

しかし、専門家たちからも、この基準に対する疑問の声がやまない。

政府は基準の根拠は国際放射線防護委員会(ICRP)の報告と強調するが、小佐古教
授は「20ミリシーベルトは高すぎる。国際的にも非常識」と、内閣官房参与を辞
任した。

さらに市民団体「福島老朽原発を考える会」など六団体は二日、国会で政府関係
者に対し、再び撤回を要請したが、その席上でも、基準決定のあいまいさが露呈
した。

この席上、安全委事務局の担当者は「子どもに対して年間20ミリシーベルトの基
準は認めていない」と繰り返した。だが、同委は対策本部に「差し支えない」と
文書で「助言」しているはずだ。

さらに、この担当者は安全委メンバーに聴取した結果として、文科省への口頭の
回答では「被ばく量を低くするために低減措置を求めることが絶対条件」「子ど
もに20ミリシーベルトは認めないこと」「教員が線量計を身に着けてモニタリン
グ報告をすること」と伝えてあると説明。"20ミリシーベルト基準"を全否定した。

一方、文科省の渡辺格・原子力安全監は安全委のこの全否定にも、「20ミリシー
ベルトで危険ということではない」と発言。「私どもの行政的な知見の中でICRP
の報告などを基に判断し、年間20ミリシーベルトを超えない範囲で一時間あたり
3.8マイクロシーベルトと算出。それで原子力安全委員会にOKをもらった」と説
明した。

話がまったく食い違っても、安全委、文科省双方がその点で言い争うという場面
はない。うやむやな雰囲気が流れる。

市民団体はこの日、保育園を管轄する厚生労働省にも要請行動をした。保育園も
同じ基準が適用されている。

労働基準法が十八歳未満の作業を禁じている「放射線管理区域」の基準は、一時
間あたり0.6マイクロシーベル。この値を基に追及する市民らに対し、厚労省の担
当者は「放射線管理区域で子どもを遊ばせることは認められない」と回答。これ
以上の放射線量が基準となっていることについて「文科省と議論する」と苦しい
答弁に終始した。

ちなみに福島県の調査では、県内の小中学校の75%以上がこの管理区域基準を上回
る数値が出ている。そのため郡山市などが独自に学校の表土を取り除き始めている。

だが、この日、文科省側は「自治体の取り組みにブレーキをかけるつもりはない」
としつつ「除去しなくても安全上は問題ない」と強弁した。

そもそも、20ミリシーベルトはICRP「事故収束後」の基準。ところが、福島第一
原発の事故はまだ「収束」していない。

市民らの「放射線量が低くなっていく保証もない」との指摘にも、文科省と安全
委の回答はともに「今後モニタリングを続け、高放射線量が続くなら再検討する」
と繰り返すのみだった。

結局、文科省の強気な姿勢が突出するが、支えであるはずの安全委は見解を事実上"
撤回"しつつ、言い訳に終始。この矛盾を閣僚たぢ政治家が黙認している、という
構図が浮かび上がる。

福島市内の保護者らが一日に結成した「子どもたちを放射能から守る福島ネット
ワーク」のメンバーは、文科省が「規準以下」とする学校から採取してきたとい
う汚染された土を持参した。

政府関係者に「この土の上で子どもたちが遊んでいる。福島の父母と同じ目線で、
子どもを守ってほしい」と迫った。

~~~~~~~~~~

《デスクメモ》
現実を知るというのは最悪を想定することだ。その意味で、この国の政府はかな
り危うい。東電の原発事故で「想定外」の理屈が破綻したことを学習したはずだ。
それなのに再び子どもの被ばく規準で希望的観測を持ち出した。パキスタン情報
機関に「売られた」ビンラディンも同じ穴に落ちている。(牧)

【写真説明】
(上)福島県内の学校での被ばく線量を「年間20ミリシーベルト以下」とする
基準の撤回要請書を文科省の担当者に手渡す市民運動の関係者(右)=2日、参
議院議員会館で
(下)利用制限を呼びかける看板が立てられ、砂場がブルーシートで覆われた福
島市内の公園=先月25日

(引用者書き起こし:看板の表示内容)
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公園を利用する皆様へ
信夫山子供の森公園につきましては、4月22日の環境放射線測定の結果、基準
値を上回ったため、公園利用にあたっては次の点に留意してください。
〇公園の利用は、1日あたり、1時間程度としてください。
〇公園の利用後は、手や顔を洗い、うがいをしてください。
〇砂場の利用は控え、土や砂を口に入れないよう注意してください。
(問い合わせ先)福島市公園緑地課 TEL 525-3765
~~~~~~~~~~~~~~~~

以上です。



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