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第6章 緊急被ばく医療
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第6章 緊急被ばく医療
緊急被ばく医療の基本理念は、「いつでも、どこでも、誰でも最善の医療を受けられる。」という命の視点に立った救急医療と「最大多数に最大の利益を」という災害医療の原則に立脚することである。
具体的には、原子力施設の従事者と周辺住民等を分け隔てなく、被ばく患者を平等に治療しなければならないという共通認識から出発して、緊急被ばく医療に携わる関係者が適切な研修、訓練を受けることにより、円滑かつ迅速に被ばく患者を診療できる体制を構築する必要がある。また、医療の視点からは、原子力施設における原子力緊急事態の発生時のみならず、原子力緊急事態に至らない場合にも被ばく患者が発生する場合があり、これらにも対応できる体制を構築することも必要である。このため、「緊急被ばく医療のあり方について」(平成13年6月原子力安全委員会原子力発電所等周辺防災対策専門部会)の策定以来、整備が進められている緊急被ばく医療体制と日常的に機能している一般の救急医療体制、災害医療体制との整合性を図ることとし、原子力緊急事態を含めた異常事態の発生時には、救急医療体制に加え、必要に応じ、広域的な災害医療体制にも組み込まれて機能し、実効性を向上させることとする。
このような基本的考え方に基づき、以下の体制を整備し、実効性の向上に努めることが必要である。(図1参照)
(1) 原子力災害合同対策協議会の医療班
オフサイトセンターに設置された原子力災害合同対策協議会は、国、地方公共団体、原子力事業者等を代表するもので構成される。原子力災害合同対策協議会に編成された医療班は、緊急被ばく医療活動の把握及び広域的な医療活動の調整を行う。また、地方公共団体の災害対策本部の医療グループ、医療機関等と緊密に連絡を取り、必要に応じて助言、指導等を行う。
(2) 地方公共団体の災害対策本部の医療グループ
地方公共団体の災害対策本部の医療グループは、地方公共団体、地域医療機関、保健所等の関係者によって構成される。現地の医療活動を把握し、初期被ばく医療機関及び二次被ばく医療機関等に助言、指導及び支援を行う。
(3) 緊急被ばく医療派遣チーム
三次被ばく医療機関を中心とした医療関係者等からなる緊急被ばく医療派遣チームは、地方公共団体の災害対策本部のもとで、被ばく患者等に対する診療や周辺住民等への対応について、初期及び二次被ばく医療機関の関係者を指導するとともに自らもこれに協力して医療活動を行う。
(4) 緊急被ばく医療機関等
緊急被ばく医療機関は初期診療や救急診療を実施する「初期被ばく医療機関」、専門的な診療を実施する「二次被ばく医療機関」、高度専門的な診療を実施する「三次被ばく医療機関」からなる。なお、これらの医療機関の連携はもとより、地域の災害拠点病院や救急医療機関との協力体制を構築しておく必要がある。
各緊急被ばく医療機関の役割、要件等の詳細については、「緊急被ばく医療のあり方について」(平成13年6月原子力安全委員会原子力発電所等周辺防災対策専門部会)等によるものとする(付属資料1(未作成))。
これらの緊急被ばく医療とは別に、周辺住民、原子力施設従事者及び防災業務関係者等の健康不安への中期的な対策としてメンタルヘルスに関する対策を実施することが重要である。なお、メンタルヘルス対策に関する詳細については、「原子力災害時におけるメンタルヘルス対策について」(平成14年11月、原子力安全委員会)によるものとする。
※地方公共団体は、必要に応じ現地対策本部を設置する
図1 原子力緊急事態の発生時における緊急被ばく医療体制
図1 原子力緊急事態の発生時における緊急被ばく医療体制
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